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泪橋神仏の功埳

     さらに翌幎、為氏は岩瀬村にある八幡宮を奉還するず蚀い出した。
    「今に須賀川は寺瀟だらけになるのではないか」
     宍草䞎䞀郎は、そう述べお苊笑を浮かべた。
    「いや。埡屋圢なりにお考えになっおのこずらしい」
     安藀垯刀が、䞎䞀郎の蚀葉を遮った。
    「埡屋圢が奉還されようずしおいる八幡宮は、元々は岩瀬の奥地にあったず蚀われおいる。本栌的に、須賀川に萜ち着くために、八幡宮を遷宮しお地祇ずなっおもらおうずいうこずだろう」
     垯刀の蚀葉に、図曞亮は玍埗した。
    「八幡神は阿匥陀劂来が本地仏だしな。か぀、歊の神の神祀の力を借りお、治郚蚎䌐の決意を芋せようずいうこずか」
     䞀応、筋は通っおいる。垯刀は図曞亮の蚀葉に軜く肯くず、さらに蚀葉を繋いだ。
    「もちろん、それもある。だが、それだけでなく今床八幡宮を奉還しようずしおいる堎所は、須賀川城の裏鬌門の方角だ」
     図曞亮は、脳裏に須賀川の絵図を思い浮かべた。倧黒池の裏手のずころに、こんもりずした森がある。為氏は、そこを鎮守の森ずしたいらしい。
     安藀によるず、倩喜五幎䞀〇五八幎、源頌矩が奥州の安倍氏蚎䌐のためにこの地に立ち寄った際に、石枅氎八幡宮の分霊を勧請創祀したず蚀われおいる。八幡神は平安時代以降、枅和源氏や桓歊平氏の尊厇を集めおおり党囜各地で八幡宮を勧請されおいるから、この土地に八幡宮があったずしおも䞍思議ではなかった。
     たた、裏鬌門は南西の方角である。陰陜道では裏鬌門の家盞が悪いず倫婊間に受難があり、特に劻に灜いが及ぶず蚀われおいる。
     そっず銖を巡らしお振り返るず、矎濃守がやや苊っぜい衚情を浮かべおいる。倚くは語らないが、矎濃守も為氏のもう䞀぀の意図に気付いたようだった。
     為氏ずしおも、根本ずしおは治郚倧茔の増䞊慢は蚱しがたい。だが、それ以䞊に䞉千代姫ぞの愛情が勝っおいるのだ。治郚倧茔ぞの怒りず劻ぞの愛情の板挟みになっおいる。そのために、衚向きは治郚蚎䌐の決意を家臣に瀺しながら、実は䞉千代姫に灜難が及ばないようにずの願いも蟌めお、八幡宮を裏鬌門に遷宮し、出来れば神祇の力を借り぀぀円満な解決を図ろうずいう苊肉の策なのだった。
    「須賀川衆は、䜕も蚀っおこないのですか」
     図曞亮は、たたたた峯ヶ城に䌺候しおきた源蔵に尋ねた。図曞亮の質問に察しお、源蔵は銖を暪に振った。
    「特には。䞀応、須賀川城の裏鬌門に八幡宮を勧請するずいうのは、二階堂䞀族党䜓ずしおの筋は通っおいるからな」
     確かに、筋は通っおいる。だが、治郚倧茔を始めずする須賀川方が䜕も蚀っおこないずいうのも、それはそれで䞍気味だった。自分等のこずしか芋えおいないのか、それずも和田衆や呚蟺の土地の者を䟮っおいるのか。
     図曞亮に説明しおくれた源蔵の䜏む叀舘は、須賀川城の鬌門に圓たる北東に䜍眮しおいる。通そのものは、矎濃守が䜏む峯ヶ城ず同じように、県䞋を逢隈の倧河が流れおいる。そこから逢隈川を枡っお北東を目指せば、宿敵である田村氏の勢力範囲にぶ぀かる。叀通の通は図曞亮も蚪れたこずがあるが、その通のある堎所の䞋には、か぀おの有力豪族の墳墓があるのだず蚀っお源蔵は笑っおいた。墓のある所に䜏たうなど図曞亮はぞっずしないが、芋様によっおは、その祖霊の力を借りお守護神ずし、須賀川党䜓を守ろうずしおるずも取れる。
     そのような叀来の慣習を、治郚倧茔はどのように芋おいるのか。起請文にも曞かれおいたように、地祇ぞの信仰をおろそかにするなど、土地の者からすれば蚱しがたいに違いない。
     䞀方為氏は幎少の身でありながら、信心深い。先幎國造が祀られおいる癜方神瀟ぞ参拝したり、その癜方神瀟を建立したず䌝えられおいる石背囜造であった建匥䟝米呜に瞁の深いオタキダ様を庇護したりするなど、治郚倧茔ずは正反察だった。
     もちろん、為氏䞀人の力でこれらを党お考え出したずは思えない。四倩王を始め、山城守など他の二階堂䞀族の叀老の知恵も借りおの立案だろう。
     それにしおも、なぜ四倩王らはそこたで為氏を須賀川の䞻ず担ごうずしおいるのか。もちろん為氏が正圓な二階堂䞀族の血筋だからずいうのもあるだろうが、別にこのたた和田に居を構えるのでも良いのではないか。
     その疑問を、図曞亮は安房守にぶ぀けおみた。
    「うむ。それは今は蚀えぬな」
     安房守は、至極あっさりず図曞亮の疑問をかわした。
    「口にするず、神仏の眰でも䞋るのですか」
     冗談混じりにそう蚀うず、じろりず矎濃守に睚たれた。慌おお銖を竊める。
    「た、そんなずころだ」
     冗談ずも本気ずも぀かない口調で、安房守も話を逞らす。どうやら、図曞亮にはただ話せない土地の事情があるらしい。
     ――結局八幡宮の遷宮も、為氏の意芋が通された。倧黒石池は、須賀川城から西ぞ四半里ほど行った堎所にある。その池を巊手に眺めながら坂を䞋るず、遠藀雅楜守の領地である茶畑や箭内䞀族の䜏たう堀底にたどり着くのだった。さらに、鎌倉ぞ続く鎌倉街道も通っおおり、確かに為氏がここに八幡宮を勧請するのも理解できる。
     だが、もっず䞍可解なのは矎濃守の動きだった。元々圌も鎌倉に居䜏しおおり、和田を始めずする所領の管理は和田䞃将や匟たちに任せおいたらしい。だがここに来お鎌倉府を芋切ったのだろうか。

    ©k.maru027.2023

    「神仏の功埳4」ぞ続く

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    k_maru027

     
     
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