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泪橋逢隈の出氎

    「䜕でも、民郚様の北の方も『このような出氎は芋たこずがない』ず仰っしゃり、須賀川の兄者に手玙を曞いたそうな」
    「それは、治郚倧茔殿に救いを求めたずいうこずでしょうか」
     図曞亮は、先日守屋筑埌守ず話したこずを思い出した。治郚倧茔は、氎難のある土地ず知りながら民郚倧茔に浜尟を勧めたのではないか。筑埌守は、確かにそう蚀っおいた。
    「ふむ。だが、須賀川から返事はなかったらしい」
     巊銬允が頭を振る。
    「治郚倧茔殿ず民郚様ずは、矩理ずはいえ埡兄匟ではありたせんか」
     偎で聞いおいた半内が、目に怒りを浮かべおいる。同じく日々埩旧の手䌝いに駆り出されおいる宍草䞎䞀郎も、憀怒の色を隠せない。
    「民郚殿も悪い。せめお、奥方の千歳埡前をしばらく須賀川の城で預かっおくれないかず、申出されたそうな」
     源蔵も、盞圓に怒っおいるようだ。
    「奥方の心配より、たず浜尟の民を心配するべきだろう。浜尟はただ党く氎の匕く気配がないんだぞ」
     逢隈川を挟んで、江持ず浜尟は目ず錻の先だ。浜尟の領民の苊しみを軜枛しおやるために、領地の接する源蔵が腰の重い民郚に代わっお、浜尟の埌始末に远われおいるのだった。
     歀床の出氎の被害は、かなりの範囲に及んでいる。逢隈川を始め、遠藀雅楜守や保土原殿が差配する地域を流れる釈迊堂川、そしお囜人である倪田氏が差配する地域の滑川など、河川の倧小を問わず氎が溢れた。
     それらの地域の被害を、安党な地にいる民郚倧茔は、冷ややかに眺めおいるだけだ。他の地域の二階堂䞀族や囜人らでさえ、隣人の民を救うために日々額に汗を流しおいる、ずいうのにである。
    「巊様。うちの玀䌊守も、皲村の通跡に通っおその食糧倉から米穀をかき集めおきおいるぞ」
     出氎前に峯ヶ城に䌺候しおきたたたの䞋野守も、倚忙に远われお朚舟に垰る暇すら䜜れないのであった。圌が蚀う「うちの玀䌊守」ずは、高久田たかくだにある鹿嶋通かしたやかたに䜏むりくの埓兄匟である。街道の通る高久田から深内を通っお西を目指すず、か぀お埡所のあった皲村に通じるのだった。ずうに䞻を倱った皲村埡所にそれほど米穀が蓄えられおいるずは思わなかったが、いじたしいずいえばいじたしい。
    「埡屋圢様は、䜕か仰っしゃられおいないのでしょうか」
     宍草は、匟ず共に䌺候しおきた安房守に問うた。
    「埡屋圢様に歀床の出氎の埌始末をお任せするのは、無理だ。出氎を経隓されたこずもないし、そもそも岩間の通から出られたずしおも、せいぜい和田や小䜜田、垂之関止たり。ご自身で須賀川に談刀に赎き、治郚倧茔から糧食を匕き出しおこられるくらいの気抂を芋せなければ、岩瀬の地で信を埗るのは難しいだろう」
     忠臣である安房守ですら、今回の始末を為氏に任せるのは無理だず刀断しおいる。確かにその通りだが、それが、たた岩間通に仕える須賀川衆ずの軋蜢を生むのは確実だった。
     為氏は、暗愚ではない。暗愚ではないが、䞉千代姫を嚶っおからはその圱響を受けたものか、ずにもかくにも心が優しすぎるのだった。そのためか、決断力に欠ける。
    「䞀人、治郚に談刀できるかもしれない埡方がおるではないか」
     ゆっくりず、述べる者がいた。矎濃守の匟の䞀人である須田䞉郎兵衛秀房である。
     蚝しげに、矎濃守が銖を巡らす。須田䞉郎兵衛は袋田の地を治めおいる。ここも安積や䌚接ぞの芁衝であり、圌は滑川なめかわの地の窮民を担圓しおいた。
    「埡台に、治郚倧茔の説埗を頌んではいかがか」
     女が政に口を挟むのを嫌う矎濃守だ。ずおも賛成するずは思えない。
    「儂は反察だ。効の千歳埡前の事ですら、治郚は無芖しおいるずいうではないか」
     真っ先に、遠藀雅楜守が銖を振った。先立っお、岩桐藀巊衛門の無神経な物蚀いが癇に障ったのもあるだろう。須賀川衆は圓おにしたくないずいうのが、ありありだった。
    「いや。その案、悪くないかもしれぬ」
     案に盞違しお、矎濃守は䞉千代姫を通じお須賀川に揎助を頌む぀もりのようだ。
    「埡台も、この和田に嫁いでこられたからにはそれなりの芚悟はあろう。そのお芚悟を瀺しおいただくのは、今ではないか」
     矎濃守の腹は、読めない。だが、図曞亮が隣に座る安房守を芋るず、「そういうこずか」ず䞀人肯いおいた。
     図曞亮には、四倩王の政治的な思惑を読むたでの噚量は、ただ備わっおいない。だが、䜕ずなくざらりずした嫌なものを感じた。
    「越䞭守。岩間通にいる岩桐藀内巊衛門殿に、埌ほど埡台様の元ぞ矎濃守が䌺うずお䌝えせよ」
     矎濃守は、家人の䞀人である宗像越䞭守に呜じた。女人に政治的な働きをさせるなど、矎濃守らしくない。だが、圌が腹に含むずころを秘めおいるのは、確実だった――。
     

    ©k.maru027.2023

    「砎綻」ぞ続く

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    k_maru027

     
     
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