
スキ警察に捕まるな!?④〜原則ぬくもりフォロバ主義〜
妄想物語「スキ警察」シリーズの④を書きました。①から読んでいただけたら、嬉しいです♪
(*以下の物語は、noteで「スキ」を押しすぎると取締られる世界という妄想の中の話である。)
5、 第二取締局:フォロバ特別監査室
白い部屋だった。
ここは、noteスキ取締課の下部組織――
第二取締局・フォロバ特別監査室。
役割はひとつ。
フォロー関係の“異常拡散”を監査すること。
壁一面に並ぶアカウント名。
矢印でつながれた相関図。
中央モニターには、ひとつのアイコン。
目をバナナで隠した、ふざけた顔。
その上に赤字で表示されている。
要観察対象:モヤハル
フォローバック率:92%
「高すぎますね」
若い監査官が言う。
彼は分析担当。
数字を読み、偏りを見つける役目だ。
「原則フォロバ主義のようです」
奥の椅子に座るのは、主任監査官。
感情を表に出さない、効率ゴリゴリズム信奉者。
「厳選こそ戦略だ」
主任は言う。
「無差別フォローはノイズを増やす。
アルゴリズム評価も不安定になる」
若い監査官がタブレットを操作する。
「ですが先輩、一定の傾向があります」
「何だ」
「ジャンルはバラバラですが……
“心が動いた形跡”のあるアカウントに集中しています」
「形跡だと?」
「スキ履歴とコメント履歴を重ねると、
高確率で一致しています」
主任は眉をひそめる。
モニターにフォロワーの一覧が流れる。
物語を書く人。
詩を書く人。
絵を描く人。
投資を語る人。
子育てに悩む人。
教育に携わる人。
動物や植物を愛する人。
ゲームを作る人。
趣味を語る人。
新しいことに挑戦する人。
資格勉強中の誰か……
「……まるで一貫性がない」
「まだいますけど……」
「もういい!!」
主任はこめかみに手を当てながら断言する。
「すなわち、……戦略性ゼロだな」
若い監査官は、少しだけためらう。
「……ですが、拡張性はあります」
「拡張?」
「未知ジャンルへの接触率が高い。
結果として接触母数は増えています」
主任は椅子にもたれた。
「リスク過多だ…
それに、ノイズも増える」
沈黙。
モニターの中央で、赤字が点滅する。
要観察対象。
「本人はどう考えている?」
若い監査官が資料をめくる。
「“知らない世界を覗きたい”と書き込んでいます」
主任は小さく息を吐く。
「感情優先型か」
「はい」
「数値は育ちにくい」
「ですが主任……、ぬくもりは育つかと」
主任の指が止まる。
「ぬくもりは測定対象外だ」
「承知しています」
若い監査官は、少しだけモニターを見つめる。
「ですが……フォロバ後の交流継続率は、
平均より高いです」
主任は黙る。
壁の相関図が、静かに広がっている。
効率から見れば、非合理。
だが完全に無意味とも言い切れない。
「結論は?」
主任が問う。
若い監査官は答える。
「管理対象ですが、
排除対象ではありません」
わずかな沈黙。
「……泳がせるか……」
赤字が黄色に変わる。
要観察。
6、その頃……(モヤハル自宅。)
私は、のんびりと昼食を終え、
コーヒーを淹れると、
タイムラインに戻っていた。
新しくフォローしてくれた誰かのプロフィールを開く。
まだ知らない文章。
まだ知らない景色。
一行目。
二行目。
三行目。
——あ。
世界が、少し広がる。
私は、フォローバックを押す。
戦略ではない。
義務でもない。
ただ、扉をひとつ開けるように。
効率ゴリゴリズムの世界で、
私は少しだけ遠回りをする。
遠回りは、
ときどき思いがけない景色へ私を連れて行ってくれる。
それを私は、もう知ってしまったのだ。
(つづく)
最後まで読んでくださって、ありがとうございます。
みなさんにとって、いいことがありますように♪
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