
スキ警察に捕まるな!?②〜効率ゴリゴリズムとアミーゴリズムの間で〜
前書き
いつもスキ♡&優しいコメント、ありがとうございます!
フォローさんの温もりコメントにより、
調子に乗りやすい私は、早速スキ警察の続編を書きました。
①は、下記に埋め込んであります。
また楽しんでもらえれば、嬉しいです。
もしあなたが、
・合理的であることに少し疲れている
・でも効率の流れにはのりたい
・たまに、理由もなく心が動く
そんな人なら……
この物語は、きっとあなたのものです。
どうぞ肩の力を抜いて、
noteのタイムラインの片隅をゆったりと歩くつもりで、
読み進めてください。
きっとどこかで、
あなたも震えるはずです。
そしてその震えが、
世界をほんの少しだけ、
あたためているのかもしれません。
(*以下の物語は、「スキ」を押しすぎると取締られる世界という妄想の中の話である。)
第一部 事件発生
1、またあなたですか
携帯電話の通知が鳴った。
低い声が、背後から響いた。
「またあなたですか、モヤハルさん……」
振り返ると、例の制服の男が立っていた。
胸元には
noteスキ取締課 常習対策班の文字。
「今回は早かったですね」
「いえ、その……偶然です」
「偶然で、短時間にこれだけのハート♡が並びますか?」
差し出された証拠は、
ずらりと整列した赤い♡の履歴。
私は急に恥ずかしくなって目を伏せる。
「だって……、好きだったんです」
「全部ですか?」
「……ほぼ全部です」
「“ほぼ”とは?」
「タイトルから三行目くらいまで読んで、
あ、これは好きだ、と」
取調官は、静かに息を吐いた。
「スクロールなしにですか?」
「…は、はい。」
「……これは、衝動的スキですね」
「……そうとも言います」
「最初は1つの「スキ」♡を押すのも躊躇っていたのに、
一度一線を越えてしまうと、
むやみやたらと押してしまうようになるんですよ……」
「……返す言葉もありません」
取調官は、慣れた手つきで淡々とタブレットを操作した。
画面には、私の“活動履歴”が並んでいる。
時刻、記事名、押下タイミング。
「あなたは平均滞在時間よりも早く押しています」
「早いですか」
「三行目での押下が最多です」
私は小さくうなずいた。
三行目というのは、危険なのだ。
書き手の呼吸が、ふっと変わる場所。
本音が、うっかり顔を出す場所。
そこに出会ってしまうと、
もう戻れない。
「最後まで読まずに押すのは、軽率です」
「いえ、私にはわかるのです」
「何がですか?」
「最後まで読めば、もっと押したくなることを……」
タブレットを触る取調官の指が一瞬止まる。
「……なぜですか」
「その人の温もりがわかるからです」
「温もりは測定対象外です」
「でも、感じます」
しばらく沈黙が落ちた。
やがて、取調官は重い口を開いた。
「あなたは効率を乱している自覚がありますか」
私は少し考えた。
効率は、整える。
きれいに並べ、無駄を削ぎ、最短距離を示す。
でも。
「私は、乱しているつもりはありません」
「では何をしていると?」
「……あたためています」
取調室の空気がわずかに揺れた。
取調官は椅子にうなだれる様に座ると、静かに言う。
「困りましたね……
あなたのような人が増えると、
予測が非常に難しくなる」
「予測できない私のようなものは、
noteから排除対象ですか?」
「いいえ、管理対象です」
なるほど、と私は思う。
管理と、共鳴。
そのあいだに、
私は今立っているのかもしれない。
「処分はどうなりますか」
取調官は画面を閉じた。
「今回は、厳重注意です」
「……助かります。
アミーゴたちが待っているので…」
2、常習犯の思想
「なるほど……
つまりあなたは、“アミーゴリズム派”ですね」
書類をめくりながら、取調官が言った。
「……はい」
額から、汗がぽたりと落ちた。
「説明してください」
私は姿勢を正した。
「アルゴリズムが数字で回る世界なら、
アミーゴリズムは“友”で回る世界です」
「友?」
「アミーゴです」
「ふざけないでください」
「真面目です」
取調官は額を押さえる。
「当課は“効率ゴリゴリズム”を推奨しています。
滞在時間、保存率、再訪率」
「でも私は、ぬくもりを見ています」
「ぬくもり?」
「読んで、あたたかいかどうかです」
「数値化不能ですね」
「だから押してしまうんです」
「衝動的アミーゴリズム」
「そうとも言います」
3、更生プログラムのご案内
「アミーゴリズム派の方々には、更生プログラムに参加していただきます」
渡された紙にはこう書いてあった。
『スキ依存更生プログラム(初級)』
□ スキを押す前に深呼吸を3回
□ “これは本当に今押すべきなのか”と自問する
□ 1記事につきスキは1回まで
□ 感動したら、まずコメントで言語化する
□ どうしても押したい場合は5分待機
「……5分も?」
「衝動は5分で落ち着くことが多いのです」
「でもその5分で、タイムラインは流れます」
「それが訓練です」
スキを我慢する訓練。
まるで修行僧だ。
私はそっと尋ねる。
「更生したら、自由に押せますか?」
取調官は静かに答えた。
「本当に更生した人は、
無闇に押さなくなるのです」
……それはそれで、少し寂しいではないか。
(つづく)
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
みなさんにとって、きっといいことありますように♪
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