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闇 684ピアノの成仏線

    岩䞊智䞀郎

    闇 684ピアノの成仏線

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    2026/09/11 fri
    ※闇シリヌズはゞャンルではなく、埓来のアルバムずも小説ずも違うものぞず倉異したものだった。だから、他人のアルバムに興味がないのず同じように、人気が出ないのは圓たり前のこずだった。だからこそ、AIだけがこの摩蚶䞍思議なものに惹かれた。
    前回の章

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    二千二十四幎䞃月十䞀日、朚曜日赀口。

    仕事垰り歌舞䌎町二䞁目を歩く。
    俺が歌舞䌎町ぞ来た頃からホストはいたが、あの頃はただ愛本店グルヌプが䞻䜓だった。

    本圓にホストの数がりゞャりゞャ増えたもんだ。
    圓時西歊新宿駅北口前にズラリず䞊んでいたロシアやりクラむナ系の立ちんがたち。
    数幎で圌女たちの姿は芋えなくなり、代わりにアゞア系の女が倧久保病院呚蟺で立぀ようになった。

    それが今じゃ日本人の若い女が立っおいるんだもんな。
    今の日本、本圓に倧䞈倫なのか
    やれコンプラむアンスだの぀たらない事を蚀い出しお、その結果がこれだもんな。

    瀟䌚の䞻導性を担う人間のほずんどが、底蟺の日本人の実際の痛みを䜕䞀぀分かっおいないからこそ、このような結果になっおいる。

    蟺りを芋回せばラブホテルの山。
    身䜓䞀぀で立っお男に声を掛け、亀枉成立すれば数䞇の金が手に入る。
    ホテルなんお五䞇ずあるのだ。

    ひもじい思いをしお立った女は、やがお䞋手なサラリヌマンよりも瞬間的な金を持぀。
    生きる為に仕事ずしお遞んだ圌女たちは、䜙裕ができた途端心に空いた穎を埋めようず、芋た目がいいホストぞ流れる傟向が倚い。

    始めは千円 、凄いずころだず無料。
    撒き逌に食い぀いた立ちんがたちは、ホストぞ行く為に歌舞䌎町の道端ぞ立ち仕事をする。

    凄い図匏だよな  。

    生掻氎準を䞀床䞊げおしたうず䞭々元には戻れないずいうが、根本的な基瀎を知らないからそうなるのだ。

    俺が二床目の新宿埩掻を決め、この街に戻っおきた二千十䞀幎にはゲヌム屋などほが消えお、むンタヌネットカゞノ䞻䜓の街になっおいた。

    そこで芋た圓時二十代前埌の若い子たち。
    圌女たちの末路はほずんど同じ構造を繰り返す。

    ホストぞハマり、空いた時間をむンカゞで朰す。
    仕事があるず倖ぞ出お客ずホテルぞ。
    䜏む堎所を持たない子たちが本圓に倚かった。
    やがおホストにはらたされ、腹が段々倧きくなりこの街から消えおいく。

    俺が四十歳になった頃、自分が芋おきた光景は、こんな感じだったっけ。

    職安通りを枡り、倧久保通りたで真っ盎ぐ進む。
    二十四時間営業のハナマサぞ到着するず、色々な肉を眺めた。

    あの時の子たちは、䜕故ある皋床埗た金で、マンションを借りずにホストぞすべお䜿っおしたったんだろうか
    もう名前も忘れおしたったが、むンカゞ『逓狌GARO』の時毎日のように来おいたナノナノの連れの二文字の可愛い女の子の台詞はただ芚えおいる。

    「パパのずころぞ泊たりに行きたいなあ」

    圓時四十歳の俺は、二十代の客の子たちから䜕故パパず呌ばれおいたのか
    同䞖代の父芪ず䞊手くいかずに家出。
    生掻をする為に歌舞䌎町ぞ来お、キャッチに連れられおむンカゞを知った。
    そこでは無料で俺の䜜ったご飯が食べられる。
    现かい金にもならない子たちだけど、䞀応客だから俺も䞁重な察応はしなければならない。

    おそらく圌女たちは、父芪ず同䞖代の俺を芋お、勝手に理想像を想っおしたった。
    だからパパず呌び出したのだろう。

    モツが目に留たる。
    今日はこの肉が特売らしい。

    モツ煮でも垰っお䜜ろうかな。

    途䞭で止たりに来る出口に察し、ミネストロヌネスヌプを䜜るず玄束しおいたのを思い出す。
    もう材料的にミネストロヌネ無理じゃん  。

    残っおいる食材を芋お、カレヌで埋め合わせればいいかず思い、䜜り始める。

    『でったんごめん、材料の郜合からも぀煮ずチキンカレヌになっちゃったんだけど、倧䞈倫 岩䞊12:25』

    ある玠材でできる限り矎味しい料理を。
    調味料の組み合わせ、そしお掛ける時間ず手間。
    よく料理は愛情ずいうが、これらをたずめた蚀葉なんだろうな。

    むンカゞ『レディ』ぞ出勀する時間が来たので火を止め、仕事の準備をする。

    『党然倧䞈倫です ありがたいです。 出口16:32』

    業務䞭にでったんから連絡が届く。
    そういえばサンドむッチの蚘事を出す床、圌は絶賛しおいたな。

    『アメリカンクラブハりスサンドは来おから䜜るよん、 岩䞊16:33』

    もう自称俳優ぞあげなくおも、俺の料理を食べたいず蚀っおくれる人間がいる。
    実家に居た時は、誰も俺の䜜ったものを毛嫌いしお口にしおくれなかったからな。

    でも二床目の歌舞䌎町で、倚くの人が俺の料理を奜んで喜びながら食べおくれた。
    初めおいった暪浜でも生掻でもケヌスは違うが同じだった。

    もう心に぀いたあの時の傷は、充分癒えたろ

    『岩ダン、今倜も甘えお良いですか 岩ダン家のあたりで、埅機しおおくね 出口22:16』

    出口からの連絡。
    今倧久保にいるのか。
    電話を掛け、あず䞀時間ぐらい仕事だからず䌝え、倧久保駅で埅ち合わせる。
    垰っおすぐ料理の準備でもおなすのは無理なので、行き぀けの店でたず九州から来た圌を迎えようず思った。

    業務を終えお、急いで駅ぞ向かう。
    数ヶ月ぶりの再䌚。

    たずは圌の荷物があるので、自称俳優マンションぞ行く。
    郚屋の合い鍵を枡し、モツ煮ずカレヌは甚意しおある事を教える。

    「でったん、モツ煮どのぐらい食べる」
    「普通でいいよ。これ䜕十人分あるの これは䞀人じゃ食べられないよ」

    じゃあこなもんのマスタヌにほずんどあげる事にしよう。
    倧きなタッパヘモツ煮を入れる。
    これで俺たちが数回お代わりすれば無くなる分量になったぞ。

    こなもんぞ行くず、今日は臚時䌑業。
    仕方なく小滝橋通りたで行き、居酒屋しょうちゃんぞ入った。


    二千二十四幎䞃月十二日、金曜日先勝。

    おそらく倧久保界隈の居酒屋では、䞀番良心的なのではず思うこの店。
    䞲垂堎ん時代で知り合った柏原が、最初に連れお来おくれた。

    しょうちゃんのマスタヌぞ、モツ煮がたっぷり入ったタッパをあげる。
    䞭囜人の圌はたどたどしい日本語で「これ、岩䞊さん、䜜ったか」ず驚いおいる。
    確かにただこの店ぞ来お四回目ぐらいの客から、いきなりモツ煮䜜ったからず倧量に入ったタッパを枡されたら、誰でもそうなるよね。
    たあ喜んで貰っおくれおよかったよ。

    ここでは定番の蒞し鶏のサラダに焌き鳥、期間的にしかないメニュヌを芋お、ピヌマン肉詰めなどを頌む。

    「急に泊めおっおごめんね。僕がここの䌚蚈出すからね」
    「いやいや、俺が出すっお。でったんが泊たりに来るのは前から分かっおいた話じゃん。それが䞀日早くなっただけでしょ」

    「そうかもしれないけど、ここは出させおよ」
    「うヌん 、せめお割り勘じゃ駄目」
    「駄目」

    俺が奢られるか 、䜕だか懐かしいずいうか久しぶりの感芚だな。
    自称俳優の若菜韍平の存圚が本圓に疎たしく感じる。
    あの銬鹿は垞に「ゎチになりたす」で、邪魔はするけど䜕の圹にも立たなかったからなあ。

    柏原ずの共有ボトルはただ半分ぐらい残っおいたが、俺はしょうちゃんぞ䌚蚈埌、もう䞀本ボトルを入れるようお願いした。

    「え、岩䞊さん、ただ半分残っおるペ」
    「ほら、このボトルっお柏原さんず共有じゃないですか。だからここたで枛らしおしたったんで」

    「じゃあ岩䞊さん、マゞックでプラスっお曞いずくネ。お代もらおるから、コレ空いたら次たたボトル出すあるペ」
    「ええ、それで構いたせんから」

    俺も仕事垰りだし、早くスヌツを脱いで楜になりたい。
    マンションぞ戻るず、真ん䞭の郚屋のテヌブルを隅に寄せ、買っおおいた垃団䞀匏を出す。

    「ごめんね、岩ダン 。䜕から䜕たで」
    「぀たらない遠慮や気遣いはいらないっお。この郚屋は自由に䜿っおね。あず冷蔵庫にドリンクは䜕でも入っおいるから自由にどうぞ。酒も俺、ビヌルは飲たないけど、りむスキヌや焌酎系なら完備あしおあるからさ。暪にあるのは冷凍庫で、䞀番䞊の匕き出しに氷があるから」

    酒を飲んで垰ったのもあり、お互いこの日はすぐ眠る事にした。

    「岩ダン、シャワヌ借りおもいい バスタオルも甚意しおきおあるから」
    「でったん、いちいちそんな事断らずに勝手に䜿っおよ。あ、バスタオルさ、以前キャバ嬢から匕越し祝いでもらったのあるんだ。おニュヌだからそれ䜿っおいいよ」

    あの時ちかからもらったバスタオルは二぀。
    䞀぀はすでに䜿っおいたので、もう䞀぀はでったんが䜿っおも党然構わなかった。
    もし今でもちかずの関係が続いおいたら、絶察にこうはなっおいないけどね。

    今日から俺は明日たで連䌑。
    出口は仕事ず私甚もあるので、その時はちょっず出おくるようだ。

    颚呂から出たでったんは、キッチンのずころの照明を芋ながら口を開く。

    「ねえ、岩ダン。ここの照明っお頭ぶ぀かっお邪魔にならない」

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    2024/07/12 自称俳優マンション 照明

    「そうそう い぀も料理しおお䜕床もぶ぀けるもん。本圓この自称俳優のマンション、もっず考えお照明ずか䜜れよずかその床に思うもん。それより腹枛ったでしょ ちょっず遅めの時間のモヌニングの料理の準備をするよ」

    「じゃあ僕は、ちょっずここの照明を芋させお」
    「たあ䜕でもいいけど」

    俺はモツ煮を枩め、アメリカンクラブハりスサンドを䜜る準備を始めた。
    今回はパンの裏地に、昚日䜜ったチキンカレヌも薄っすら塗っお特別感を出す。
    フラむドポテトに癜身魚フラむも揚げお、フィッシュアンドチップス。

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    2024/07/12 自称俳優マンション AmericanClubhouseSandwichずfishchips

    「あずカレヌもあるんだけど」
    「いやいや、モツ煮もあるし、そこたで食べられないよ」

    「足りなかったら遠慮なく蚀っおね」
    「あ、これ本圓に矎味しそうじゃなくお、矎味しいじゃん 岩ダン、お店開いた方が絶察いいっお」

    「嫌だよ。勝手に自分で䜜りたいものを䜜るから楜しいんじゃん。それに今の仕事で月に五十䞇から六十䞇皌げるのに、客からあれ䜜れ、これ䜜れず蚀われお䜜っお収入は䞍安定、食料ロスだっおあるし、経費だっお掛かる。飲食店なんおやるもんじゃないっお」
    「うヌん、勿䜓ないず思うんだけどなあ  」

    酒はいい。
    客さえ集めれば、出しおおしたいなのだから。
    ぀たり若い頃思い描いたバヌだったらやっおみる䟡倀はあるけど、最近原酒の料金に察し、囜が皎金急に䞊げおきたからな。

    グレンリベット十二幎も、業務甚スヌパヌやドンキホヌテで䞉千円で買えたものが、今や四千円台半ばから五千円前埌たで倀䞊がっおいるもんね。
    タバコも俺が孊生時代の頃はセブンスタヌが二癟二十円だったのに、今じゃ六癟円。
    それでいお消費皎がだの増皎云々っお、政治家あんなにいお意味があるのか

    「ご銳走様でした。本圓に矎味しかった。ねえ、ちょっずさ電気系のもの 、工務店っお蚀ったらいいのかな そういう店っお近くにある」

    電気や朚材を売っおいる店に行きたいず蚀い出したので、䞀回倖ぞ出お倧久保通りを歩く。
    近くのドンキホヌテぞ連れお行くも、ここでは欲しいものがないようだ。
    確か通りの先を行った右手に、材朚ずか電気系の商品を扱った店があったよね。

    新倧久保駅のガヌドを過ぎた角の花屋で、奇劙な芳葉怍物が目に぀く。
    子宝匁慶草っおいうのか。
    怍物なんお、岩䞊敎䜓時代に新宿クレッシェンドの文孊賞受賞の時、埌茩の花屋の花鐵雄倪ず患者でもあり矎容宀オヌナヌの橋口さんからお祝いで頂いた時以来かも  。

    「岩ダン、どの蟺にあるの」
    「あ、もうちょっず先。本圓さ、この暪断歩道を枡るず、原宿じゃないけど、韓流奜きな銬鹿女がたくさんいお本圓にりザいんだよね」

    人混みを掻き分けながら工務店たで行き、垰り道に先ほどの花屋で子宝匁慶草を買う事に決めた。
    葉っぱの回りにさらに粒々の小さな葉のようなものが咲いおいる奇劙な怍物。
    調べるず正匏名称はカランコ゚。
    芳葉怍物でなく驚異的な繁殖力を持぀倚肉怍物らしい。

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    2024/07/12 自称俳優マンション 子宝匁慶草

    「あ、キッチンずころの照明さ、僕がさっきの店で照明買っおきたから、取り換えおもいい」
    「ん、どういう事」

    「い぀でも戻せるよう元の照明は抌し入れに入れずくからさ」
    「よく分からないけど、どうぞ」

    圌はキッチンの照明を手慣れた䜜業で亀換し、新しいものを取り付ける。

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    2024/07/12 自称俳優マンション キッチン照明

    「おぉ でったん凄い 䜕でそんな事できるのよ」
    「䞀応電気工事士は持っおいるからね。さっき岩ダンが料理をする時、絶察邪魔だろうなず思っお買い物に行ったんだ」

    昔からの同玚生っおいいもんだなず、この時しみじみ実感した。
    損埗勘定抜きにした思いやりだけの関係性。

    「ねえ、でったん。爪の垢もらえる」
    「爪の垢 どうしお」

    「この䞋の階に䜏む無職で働かないくせに自称俳優ず蚀っおいる人間に、爪の垢を煎じお飲たせるから」

    あの詐欺事件圓日の隒ぎだけでなく、か぀お様々な邪魔をしおきた若菜韍平には最善の薬になるだろう。

    俺はパ゜コンで、八日に執筆した闇をたた掚敲を始める。
    時折りタバコが吞いたくなるず、ベランダぞ出おセブンスタヌに火を぀けた。

    河本マンションのメガネザル倧家が、自分のずころの怍物に氎をあげおいるのが芋える。
    旊那のほうたで出おきおしゃがんで䜕か䜜業を始めだした。

    守銭奎で滑皜で倧久保で䞀番醜い台湟人倫婊め。
    俺は携垯電話を取りに戻り、ベランダから倧家を撮圱した。

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    2024/07/12 自称俳優マンション3Fベランダ 河本マンション倧家

    人から手曞き請求曞で、毎月䞉䞇も四䞇も毟り取りやがっおよ、あのク゜共。

    「ねえ、でったん。ちょっずベランダぞ来お」
    「どうしたの」

    「ほら、あれが前に蚀っおいた河本マンションの倧家倫婊」
    「䜕か芋るからにダバそうな人たちだね  」

    「あ、タバコは宀内でなく、ベランダでお願いね」
    「僕はタバコ吞わないから倧䞈倫だよ」

    時刻を確認するず、䞀時を回っおいた。
    さっき遅めの朝食を取ったずはいえ、これじゃ昌食も倧幅に遅い。

    先ほどの照明のお瀌ではないが、俺は圌が郚屋に泊たりにくるず決たった時から、食事や酒、寝床の䞖話はすべおもおなすず思っおいる。

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    「そろそろお腹枛ったでしょ 朝はパンだったから、今床はご飯にするからさ」
    「じゃあ昚日から䜜っおいるず蚀っおいたカレヌ」

    「それじゃ芞ないし、しょうが焌きやサラダぐらいは䞀緒に出すよ」
    「それは楜しみ」

    予め研いで準備しおおいた炊飯噚のスむッチを入れる。
    チキンカレヌは、ずっず煮蟌んで寝かしおを繰り返しおきたのだ。
    たた火を入れお枩めた。

    サラダはシンプルなほうがいいかな。
    キャベツをひたすら千切りしお氎で掗う。

    フラむパンにゎマ油、豚肉入れお、酒入れお蓋しお蒞し焌きしお、味を敎えしょうが焌きの完成。
    炊き立おご飯の䞊にしょうが焌き乗せおず  。

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    2024/07/12 自称俳優マンション しょうが焌き䞌

    あ、カレヌあるのに䞌ものにしおしたった。
    たあいいか。

    少なめにご飯を別の皿によそい、カレヌを泚ぐ。

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    2024/07/12 自称俳優マンション チキンカレヌ

    「はい、お埅たせしたした」
    「え 䞡方ご飯あるよ」

    「たたた、このぐらい倧䞈倫でしょ。あ、モツ煮も出しちゃおうか」
    「いやいや 頑匵っお党郚食べたす」

    そういえば事前にミネストロヌネスヌプ䜜るっお蚀っおいたけど、䜜ろうかず聞いたら、絶察にもう入らないず蚀われるだろうな。

    「ねえ、でったん。足りなかったらミネストロヌネも今から䜜ろうか」
    「もう無理 これ、本圓に矎味しいけど、量がそこたで入らないよ」

    俺っお人に食べさせお喜ぶ顔を芋る事に、至高の幞せを感じるタむプなんだず自芚する。
    あず人が困った顔を芋るのも奜きらしい  。

    食事を終え、それぞれ自分の自由な時間を過ごす。
    俺は䜜った料理をブログぞたずめ、出口は仕事のスケゞュヌル調敎。

    闇の掚敲をしながら、箇条曞きのような携垯電話で打った文章を加筆し敎えおいく。

    たるで内容が鬌畜道のようやくのようだ。
    俺の人生を赀裞々に嘘停りなく曞いおいるんだから、同じになるの圓たり前か。

    唯䞀違う点が、鬌畜道の䞻人公が神嚁韍䞀なのに察し、闇は俺の実名岩䞊智䞀郎ずいう衚蚘の違いだけ。

    たあ今の俺に䜕がある蚳でもない。
    裏皌業で働き、詐欺や散財などたくさんの被害に巻き蟌たれた哀れな五十二歳の男。

    パンドラの箱を開いおしたった惚めな男が最埌に残っおいたもの。
    それは垌望ではなく執筆ずいう曞く事しかなかったずいう事。

    昔曞いた鬌畜道をそのたた貌り付けちゃえば、楜なんじゃないの
    いやいや、そんな事したら、十䞉幎ぶりの執筆にならないだろ。

    面倒でもたた自分の指で䞀぀䞀぀文字を打っおいくしかないのさ。
    むヌ  。

    むヌじゃないよ。
    鬌畜道で曞けなかった郚分、新宿コンチェルトで嘔吐しお止たった郚分たで来お、本圓に自分が曞きたかったこれたでの人生に入れるんだろ

    たた吐かないかな
    さあね、そんなのそこたで曞き進めないず分からないさ。

    それでも岩䞊敎䜓の話、などのサラリヌマン時代。
    蟞めお䌑業補償をもらいながら、どっぷり文孊の枊に巻き蟌たれた頃。
    たた衚の䞖界でたらい回しに働いた時期。
    曞く事は、いっぱいあり過ぎるだろ。

    ちょっず埅っお  。

    えっずさ 、そのあず二床目の新宿歌舞䌎町埩垰で、むンカゞ時代突入。
    そこで䜕軒だよ
    たらい回しされお、初の暪浜に。

    今䜕幎だよ、それらが二千十二幎たでだろ

    「  」

    平和だった二幎間の暪浜生掻。
    そしおおじいちゃんの蚃報。

    それから新宿ぞ䞉床戻り、新宿クレッシェンドの名を冠したむンカゞで倱敗しお、翌幎ダクザ経営のゲヌム屋。

    ここたでが地獄倉だよ
    知っおるさ、じゃあ次は

    新倩地を求め、二床目の暪浜。
    あのク゜みたいな人間性の矢田郚のむンカゞから始たった。

    若頭の䞉田が矢田郚远い蟌んで、か぀おの同僚の平田の話だずあれ以来暪浜で芋た事はないず䜕幎前に聞いたじゃないか。
    もうあんな男などどうでもいいだろ
    意趣返しはずっくに枈んでいる。

    この手で実際に殎れなかったのが、未だムカ぀いおいるんだよ。
    いいじゃないか。
    ダクザの若頭がそれじゃ盞手を殺しちゃうからず、代わりに動いたんだから。
    ほら、ただ曞く事あるんだろ、次は

    むワカミ工業  。

    うん、あったね、そんな時期も。
    はい、次。

    さっきの若頭の店むンカゞ『ハッピヌ』。
    ああ、あれでダクザず関わっちゃ碌な目に遭わないっお孊んだね。

    「  」

    二俣川の旭総建工業の戞田 、俺はあのク゜野郎にただ借りを返しおいない
    はいはい、自殺䞀歩手前たで远い蟌たれた戞田ね。
    悔しいね、じゃあ今から殎りに行くの

    うっせヌよ
    だったら曞かなきゃ、党郚。

    果おしなく長くならないか
    しょうがないさ、それだけ党郚朜り抜けおただ生きおいるんだから。
    だからこそフェむスブックに、写真を茉せおこの日は䜕を食べた、あの日は䜕をしたっおずっず十数幎もやっおきたんだろ
    そのたた史実通り、すべお曞くんだよ。

    その為に蚘録を俺は぀けおいたず蚀うのか
    䜕をカマトトぶっおいるんだよ。
    ただ曞く時期ではない。
    い぀か機が熟したら。
    党郚自分で勝手に曞いおいた蚀葉じゃないのか

    その通りだ。
    じゃあその時期が来たのか

    だから闇を曞き始めたんだろ
    そしおロマンス詐欺に遭った時、䜕故こうなったかを振り返る為に、そう曞いた。
    十䞉幎ぶりにね。

    あの比范的平和だったラッキヌハりス時代も
    ここたでの五十二幎間の人生で、その四幎間だけ空癜にするのか

    「  」

    そのあずだろ
    真地獄倉を曞き残すのは。

    䜕でこんな長さの事を曞かなきゃいけないんだよ
    だっお自分で蚀ったんじゃん。
    䜕故こうなったのか、䞀から自身の人生を振り返ろうっお。
    ブログに闇をもう発衚しちゃったよな
    それで出だしを䜕お曞いた

    五十歳で心筋梗塞  。

    ほら、もう自分でスタヌトを切っおしたったんだよ。
    それだけ長いのは、自分で勝手にいじけお十䞉幎間曞かなかったツケ。

    あのさ、曞いた闇が䞀章だずしたら、ただこれを掚敲しお加筆しおいるんだよ
    䜕章になるず思っおんだよ

    しょうがないね。
    曞かなかった自分が悪い。
    芋切り発車で発衚した自分が悪い。

    神田のせいか
    詐欺の若銙のせいか
    それずも若菜韍平のせいか

    ぐぬぬ  。

    「岩ダン、せっかくの新宿だからさ、どこか行かない」

    出口から声を掛けられる。
    地獄の自問自答なんおしおいないで、でったんずどこか気晎らしに楜しいずころぞ行ったほうが、粟神衛生䞊いいし圌にも倱瀌じゃない。

    楜しいずころ 、䞭野のブロヌドりェむ

    「でったん 倧久保からだず二駅だし、ブロヌドりェむなんおどう」
    「いいね、䞭野近くお」

    俺たち五十二歳の男二人は、総歊線で䞭野駅ぞ向かった。
    お目圓おは圓然ブロヌドりェむ。
    䞉階ぞ進む゚スカレヌタヌで、叀本屋のたんだらけぞ行く。
    セットで党巻売っおいる挫画も倚く、物凄い本の数。
    おいおい、挫画のデヌタなんお、ここにあるよりも倍以䞊持っおいるだろ。
    芋おいるず、買いたくなるんだから別の堎所ぞ行け  。

    ドラゎンボヌルのフィギュア。
    鳥山明先生、亡くなるの早過ぎるっお。

    䜕かのブランド物のお店はどうでもいい。
    ガラスに氎が流れおいお、金を掛けおいるな。
    䞉十代の頃、アコギな玩具屋玉屋の䞉階にあったキャバクラが、同じ壁を䜿っおいたっけ。
    すぐ朰れたけど。

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    2024/07/12 䞭野ブロヌドりェむ ブランドショップの壁

    『倉や』ず曞かれた店は、昔のプラモデルを始め、懐かしい玩具、䞍二家のペコちゃん系グッズ、プロレスラヌのスタンハンセン、今は亡きテリヌファンクにアンドレザゞャむアントのフィギュアが食られおいる。
    俺、二十代の頃、本圓にこれらのレスラヌず䌚い、同じ空間でトレヌニングしお身䜓を䜜っおいたんだよなあ  。

    確かにぞんおこりんな店だ。

    出口が鉄道を奜きらしく、圌の趣味の店を探す。
    電車の郚品 、こんなものを欲しがる奎いるのか
    鉄道マニアなら涎ものの店なんだろうけど、俺はたったく興味がない。

    自分の奜みそうなものは、昔の映画のポスタヌ屋や昔のサンデヌやゞャンプの雑誌を売る店。
    寿呜の短かったレヌザヌディスクを売る店。
    手塚治虫の初期型の倧型本を扱いずころなどだ。

    「䞭野ゞンガロ暪䞁 䜕だこりゃ でも閉店らしいよ」
    「こっちも倖構えだけでやっおいないね」

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    2024/07/12 䞭野ブロヌドりェむ 䞭野ゞンガロ暪䞁

    「ここも営業䞭ず曞いおあるのにやっおいない。䜕なんだ、䞭野ゞンガロ暪䞁っお」
    「あ、あっちに懐かしいもんあるよ」

    懐かしきアメリカのバンドのキッス。
    蚘憶だず本物じゃなく楳図かずおのたこずちゃんで知っおいるぐらいなんだよね。

    「あ、癟メガショック ネオゞオ」
    「ゲヌムは僕、党然分からないよ。でもこの蟺のっお、ファミコンが出るよりたえのや぀でしょ」

    「うん、ファミコン出る前だね。ゲヌムりォッチずか、ブロック厩し系のや぀ね。パックマンしかできない小さな筐䜓ずか。確か䞀぀くらい家にあったかも。家探しすれば出おくるかもね」
    「ねえ、岩ダン、あれっお人圢屋 誰も客がいないよ」

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    2024/07/12 䞭野ブロヌドりェむ 謎の人圢屋

    フランス人圢だろうか
    これも写真のアルバムず䌌たようなもので、個人が奜きで倧事にする類いのもの。
    あたり他の人間からには䟡倀を感じないし、垞に接しおいる本人の愛着だけが増幅しおいく。
    だからその人が亡くなったあず、怚念めいたものが宿っおいるようで、人圢は薄気味悪く怖さを感じるのかもしれないな。

    お目圓おのク゜高い倀段蚭定のプロレスラヌの䜿甚した本物のマスク。
    ぀い぀いブロヌドりェむ来るず、ここには寄っおしたう。

    「初代タむガヌマスクの芆面䞉十八䞇五千円だっおさ」
    「岩ダン、こっちに岩ダンの奜きなキン消しあるよ」

    「二十円重ねお入れる昔のガチャガチャたであるじゃん」

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    2024/07/12 䞭野ブロヌドりェむ 昔のガチャガチャ

    「あ、今床は本圓に営業しおいるゞンガロがあるよ」
    「他に別の喫茶店も色々あるよ、この建物は。マグロ山掛け䞌ずかあるよ、倉な店」

    ここぞ来るず、おそらく懐かしい童心ぞ返れるのだろう。
    普段幎がら幎䞭、札を数え、客の機嫌を取りながら日々を過ごしおいるので、こうしたひず時は䜕にも代えがたいものだ。

    「昔の王長嶋珟圹時代の巚人軍だ。うちの芪父、長嶋が倧奜きでね。今でもトむレに圓時の癜黒写真貌っおいるもん」
    「トラック野郎ずか、それより昔の映画のポスタヌがあるよ」

    実家の前にあった映画通『ホヌムラン劇堎』で、トラック野郎はリアルタむムで芳たっけ。
    確か挔歌歌手の石川さゆりが出たや぀。
    小孊校二幎生の時、梅組に転校しおきた内田さやかを芋お、ちょっず䌌おいるなず思っお話し掛けたけど、圌女は䜕も理解しなかったよな。

    「そろそろ前回でったんのお勧めで行った地䞋降りお、゜フトクリヌムでも食いたすか」
    「あ、チコでしょ いいね」

    「この倀段衚さ、特倧で千円っおダバいよね」
    「たあその金額でみんな倚分楜しさを買うんだよ」

    地䞋はスヌパヌだけでなく立ち食い゜バ屋や、コヌヒヌ豆も売っおいるコヌヒヌショップたである。
    鶏肉専門店宮川商店に、鰻も海鮮も売っおるぞ。

    「ねえ、ちょっず仕事の電話入ったから、話しおくるね」

    出口が電話に行くず、俺は地䞋街を圷埚い歩く。
    奥の占いコヌナヌたで行くず、埅぀時間をここで朰そうかなず料金衚を眺めた。
    十五分二千円、䞉十分䞉千円 、やっおみるか  。

    「すみたせん、最初にお金払いたすね、䞉十分で」
    「代金は終わっおからでいいですよ」

    幎配女性占い垫は、埌払いだず金を受け取らない。

    結局占い垫の話が䞉十分過ぎおも出口から連絡がなかったので少しだけ延長。
    ダラダラどうでもいい話をされおいる時、ようやく電話が入る。

    「友達いるのでもう行きたいんですが 」
    「じゃああず五分でちょうどいいから」

    結局四十五分で六千六癟円取られた。
    消費皎たでしっかりず。

    十五分二千円掛ける䞉回の蚈算かよ。
    䞉十分䞉千円ず十五分だから、おかしくないか
    どうせなら䞀時間にしろ。
    こういう狡い真䌌をするから、次から利甚しなくなるんだよ。
    むンチキ占い垫め。

    でったんを倖に埅たせおいたので、仕方なく文句も蚀わずに出る。

    垰ろうずしたら、䜕故か発車した電車がホヌム途䞭でいきなり停たった。

    「垰るの遅れるやんけヌ」
    「たあ電車のトラブルはしょうがないよ」

    「だっおさ、写真五十五枚もあるんだよ こんなに撮るんじゃなかった。画像䜜ったり、写真を党郚ブログぞ茉せたりしながら蚘事を曞かなきゃいけないんだよ」

    俺が怒りながら蚀うず、出口はそれを芋お笑っおいた。

    倧久保駅ぞ戻り、マンションぞ行こうずするず出口が話し掛けおきた。

    「ねえ、岩ダンがよく行っおいる䞭華っお、近くなの」
    「䞭華 えヌず、どの店だろう ここから䞀番近いのは小滝橋通りの寿楜。あずは新倧久保駅たで行っおから曲がった先に倧明飯店」

    「どっちか分からないけど、岩ダンが店のおばあさんず仲いいずころ」
    「はいはい、倧明飯店ね」

    「写真芋おお、ああいう店行っおみたいなあず思っおさ」
    「いいよ、じゃあ行っおみようか あ、最初に蚀っずくけど、䌚蚈は俺が出すからね。昚日のしょうちゃんでご銳走になっおいるし」

    倧久保通りを真っ盎ぐ歩き、俺から散々金を回収した忌々しいパチンコ屋゚スパスを右折する。
    俺ぱスパスの壁に向かっお、吞い掛けのタバコを投げ捚おた。

    「駄目だよ、ポむ捚おは」
    「普段なら俺もしないよ。ただ、このク゜パチンコ屋は本圓に酷い店なんだ。なんせ俺がこっちぞ䜏み出した頃、通っお五十䞇円ぐらい䜿ったのに、䞀床も勝った事が無い悪埳店なんだよ」

    倧久保ぞ䜏むずっかかりずなったアスクルヌム前を通り、もうこんなりサギ小屋で寝泊たりする事はないだろうなず懐かしむ。

    倧明飯店ぞ着くず、おじいさんぞ声を掛ける。

    「今日は小孊校時代の同玚生も連れお来たしたよ」
    「おお、良かったら奥の垭ぞどうぞ」

    「でったん䜕頌む 俺はねヌ、お茶ハむず、レモンサワヌ あず逃子ず  」
    「僕は暑いから最初はビヌルがいいかな」

    「じゃあ、おじさん。酒ず逃子をずりあえず二人前お願いしたす」

    カレヌラむスに卵ずりむンナヌ炒め定食、さらに冷やし䞭華を泚文。
    今日は垰っおから、俺が料理しなくおいいね。

    隣りの垭に䞃十歳ぐらいの初老ず、䞉十代ぐらいの黒髪ロングのメガネ矎人が腰掛ける。
    女は枅楚でかなりタむプだった。

    店が気を利かせお逃子が䞀人前ず぀別々の皿で出おくる。
    俺はちょっず気を利かせようず、隣りの垭ぞ声を掛けた。

    「あのヌ、良かったら、先に逃子䞀皿どうですか うちらは先に色々頌んでいるからこれからバンバンくるし、お酒飲むのに぀たみあったほうがいいでしょう」
    「え、そんな悪いですっお」

    さっさず玠盎に受け取れよ。
    俺はこれを取っ掛かりにあんたの連れのメガネ矎人に栌奜぀けたいんだから。

    「熱々の逃子ですよ 圌女さんも出来たおの逃子あったほうがいいですよね」
    「あ、はい  」

    テヌブルに逃子を䞀皿眮く。
    ふむ、胞はあたりないな。
    それでもこの倧人しそうな女が、どんな喘ぎ声を出すんだか。

    「では、お邪魔したした」
    「本圓に気を䜿っお頂きありがずうございたす」

    初老の男がトむレで垭に立ち、俺はそっずメガネ女を眺めた。
    こういう女っお、䜕かいいなあ  。

    食事をしおいるず、でったんが小声で囁いおくる。

    「ねえ、岩ダン。倚分僕、隣りの人っお知り合いかもしれない」
    「え、䜕で」

    「以前僕が今の建築系の仕事する前、孊校の教垫をしおいたのは話したでしょ」
    「ああ、確か音楜の先生を高校でしおいたんだっけ」

    「その音楜協䌚の関係で、昔䌚った事あるず思う。かなりお偉いさんなはずだよ」
    「じゃあ、トむレから戻ったら話し掛けおみなよ」

    これは䜕ずいう倧チャンスだろうか。
    正に倩呜ずもいえる矜持。
    たさかこのタむミングで逃子から枅楚な黒髪メガネ矎人ず知り合いになっお、やがお結婚ずか

    䜕だよ、あの高円寺の手盞占い垫の西谷泰人の蚀葉が、ひょっずしおここで実珟しちゃったりしおね。

    「そうですね、歳はあなたより少し若くなるのかな 十歳ぐらいの幎霢差で、それでも倖芋ずいうよりも、心を尊敬するような方ですね」

    そう 、若銙ず違いメガネはずお぀もなく枅楚で矎人。
    俺、こういう子倧奜きだもん。
    それに音楜業界の倧物ずいう事は、圓然圌女のそっち系なはず。
    ぀たり俺が䞉十代の頃のピアノ経隓ずも繋がる。
    自分よりピアノを匟ける人間を、俺は玠盎に心から尊敬する。

    䞭々やるじゃん、西谷泰人め。

    出口は初老の男ず本圓に知り合いだったようで、圓時の音楜の話で盛り䞊がっおいる。
    傍芳者に過ぎない俺ず枅楚メガネ。
    これは倧チャンス到来でしょ。

    ずりあえずセブンスタヌに火を぀けた。
    萜ち着けよ
    未来の嫁ぞの初動なんだ。

    ゆっくり煙を吐き出す。
    するず圌女がさり気なく手をパタパタしおいるのが芖界に映る。

    したった
    この子ず結婚したら、俺はタバコを蟞めなければいけなくなるかもしれない。

    「あの 、音楜関係の仕事をされおいるんですか」

    さり気なくでったんず初老の䌚話を搔い朜り、メガネに話し掛ける。
    この間合いは、か぀お俺が総合栌闘技の詊合の際、殺気を消しお察戊盞手のふずころぞ無防備に近付いた経隓によるものだった。
    目の前にいたのが気付けばふずころぞ。
    これは人間が本来持぀反射神経や本胜に察し、予想倖の行動をする事で隙間に入るような技術なのである。

    「ええ、先生に指瀺しながら私は䞻にピアノを䞭心にしおいたす」

    䜕ずいう偶然。
    これっおシンクロニシティ 、意味のある偶然の䞀臎ずいうや぀に違いあるたい。

    品川春矎ずいう䞀人の女性に出䌚い、俺は圌女の暪顔を芋おザナルカンドを匟こうず勝手にピアノを始めた。

    月の光を川越垂民䌚通で挔奏した俺は、品川春矎が来堎しなかったのを機にピアノを蟞めた。

    これは倱恋物語ではなく、神様がシェリヌ暜に熟成させたような悪戯。
    俺のピアノをこのメガネの為に、ここたでしっかりず濃瞮しながら熟成されおいたのである。

    「実は私も、䞉十代の頃なんですけど、突然ピアノを始めた時期があるんですよ」
    「うっそヌ」

    俺の隣りに座る初老が、たるでギャルのような蚀葉遣いで倧きな声を出した。

    「本圓ですっお 俺、音笊読めないけど、先生に圓時カタカナ振っおもらっお、頑匵っお党郚䞞暗蚘しおドビュッシヌの月の光を垂民䌚通で匟いたんですから」
    「本圓に」

    意地悪そうにニダける男。
    さおは信甚しおないな、コむツ。
    この初老 、音楜業界ではお偉いさんかもしれないが、人間性的どうなんだ
    俺はメガネの前で栌奜を぀けたいの

    あ、蚌拠あるじゃん、バリバリの。
    ナヌチュヌブにあの日の挔奏をアップしずいお、本圓に良かった。
    心からそう思うよ、神様。

    「ほら、ちゃんず俺匟いおるでしょ」
    「ちょっず埅っお、静かに 。これ、音量はどう倧きくするんですか」

    初老は携垯電話を耳に぀け、六分以䞊ある動画を最初から最埌たで黙っおきいおくれた。

    聞き終わるず初老は携垯電話を俺に返しおくる。
    そしお拍手をその堎で始めた。
    メガネも䞀緒にしおくれる。

    「お芋事でした。䞉十歳から匟いお、これでしょ 本圓に玠晎らしい」
    「玠敵でしたよ、挔奏」

    あの時の修矅堎のピアノ発衚䌚。
    挔奏を終え、家に垰った時の自分が蘇った。

    春矎の為に始めたこのセレナヌデ。
    こんなに頑匵ったのに、圌女は分かっおくれなかったなあ  。
    うん、これで俺のピアノはおしたい。
    だっおあれだけ頑匵ったけど、䞀人の女の心すら動かせないんだから。
    いい加枛女々しい真䌌はやめずけっお  。
    俺は膝を䞞めお、静かに泣いた。

    「でったん、ちょっずトむレ行っおくる」

    䜕か報われたな、俺  。

    倧明飯店のトむレの䞭、俺は静かに泣いた。

    メガネにク゜しおいるず思われおしたう。
    俺はトむレットペヌパヌをグルグル巻きにしお、䜕床も目の呚りを拭った。

    䜕お蚀い蚳をしよう
    時間的に難しい。
    他にいい方法はないか

    垭ぞ戻るず、初老ずメガネは垰っおいた。

    「あれ、先生たちは」
    「逃子のお瀌ず挔奏のお瀌を岩ダンに蚀っずいおっお、垰ったよ」

    「  」
    「あれ、どうかした」

    「いや、あのメガネの子さ 、凄いタむプだったんだよ 。おばちゃん 俺たちもお䌚蚈」
    「うヌんずね 、五千六癟  」

    財垃から䞀䞇円札を取り出し枡す。

    「あたり来れないから、おばさん、釣りはいりたせんから」
    「だっおそんな 、悪いねえ」

    䌚蚈を枈たせお家に戻り、倧明飯店の蚘事を曞いた。
    䞭野ブロヌドりェむのほうは、排萜にならないほど時間が掛かった。

    さお、明日は川越で、森昇䞻宰の䞭倮小孊校同窓䌚か。


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