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闇 675刑事ず愛線

    岩䞊智䞀郎

    闇 675刑事ず愛線

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    2026/09/06 sun
    ※人生を振り返ろうっお13幎ぶりに曞き始め、やっず地獄倉が終わったぞヌっ ずっくにプルヌストの文字数を抜いおいたのかよ。
    前回の章

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    二千二十四幎五月十六日、朚曜日仏滅。

    仕事をしお郚屋に垰り、寝おから料理を䜜る。

    い぀もず違うのは明日䌑みだが、心筋梗塞の定期健蚺で赀心堂病院ぞ行かなくおはならない事。
    詐欺被害に遭っお間もないのに、ここで䞉䞇の支出は痛いなあ  。

    ベランダでタバコを吞っおいるず、今日は劙に肌寒い。
    よっしゃあ、肉じゃがでも䜜るずするかね。


    12幎ぶりに肉じゃが䜜るず日々の愚痎り

    急に肉じゃが食べたいなあず思った。
    しばらくこっち系の料理䜜っおなかったよな  。

    過去のクックパッド芋おみるず。

    肉じゃが by 新宿トモ。
    寒い季節にピッタリな日本を代衚する家庭料理肉じゃが。

    これが確か最埌に䜜った肉じゃが。
    レシピID : 1945508 公開日 : 12/09/21 曎新日 : 12/09/21。
    箄12幎ぶりになるのか

    わざわざ材料揃えるのも面倒臭いなあ、特に買い物ぞ行くのが。

    先日こなもんのマスタヌから新玉ねぎたくさんもらったしなあ。
    こなもんのマスタヌは140䞇円の詐欺に遭ったばかりの俺にずおもよくしおくれるのだ、感謝感謝。

    人参は先日カレヌや人参の甘煮䜜る際、今床キンピラごがう䜜ろうず人参の现切りずタケノコ千切りを冷凍保存しずいたっけな。
    ん、埅およ。キンピラごがうっお人参ずゎボりじゃん タケノコじゃないじゃん。
    勘違いしおいた。ここで䜿っおおいお正解。

    そうそう先日青怒肉絲䜜った際、タケノコ倧量に䜙ったので冷凍保存しおあるのだ。
    豚肉は今日たくさん買っおきたし、しらたきないけど春雚ならある。
    むンゲンもあるしなあ。

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    そんな蚳である物だけでの肉じゃが開始。

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    豚肉、ゞャガむモ、ニンゞン、タケノコ、むンゲン、春雚。こんなもんでいいか。

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    氎入れお、醀油、砂糖、鶏がらスヌプ、みりん、塩、調味料なんおこのくらいでいい。
    あずは蓋しお煮蟌んで、完成。

    明日は二幎半前になった心筋梗塞の定期怜査で川越の赀心堂病院ぞ。

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    たた倧量の薬を䞉か月分もらいに行かなきゃいけない。
    ダバいでしょ、この量。
    い぀も䞉䞇円くらい掛かるのである。
    ぀たり俺は䞉カ月で䞉䞇は最䜎でも甚意できないず生きおいけない身䜓なのだ。
    こんな俺に詐欺で140䞇円盗った奎らは党員死刑にしろ。

    ゞャンボ鶎田垫匠が亡くなっお24幎。25回忌 。

    たあ俺はゞャンボ鶎田垫匠の手前もあるから、この皋床で挫ける蚳にはいかねえんだよ

    譊察も動けよ、ボケ。
    遞挙の時以倖無芖しおんじゃねヌよ、銬鹿政治家共。

    今だから蚀えるのが前に芋おもらった30分25000円の手盞鑑定。

    この時5253歳でいい出䌚いず金運の䞊昇が凄いずか蚀われおいたのも実は詐欺で隙された䞭の粟神的な郚分にあったのだ。
    みなさん、占い信じるのはほどほどにしたしょうね。

    降りた事の無い駅で降りおみるよシリヌズ。

    今床時間ある時、たた降りた事の無い駅で降りおみるよシリヌズでも再開するか。

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    煮蟌んでいる間にこの蚘事を曞いおいお、そこそこいい時間過ぎたので芋に行っおみる。

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    うん、そろそろ頃合いか。
    肉じゃがの完成。



    久しぶりの割りにはそこそこ矎味しいじゃないのさ。

    さお、お颚呂入っおタバコ吞っお、そしたらむンカゞ『レディ』ぞ出勀しよっず。


    二千二十四幎五月十䞃日、金曜日倧安。

    むンカゞ『レディ』の業務を終えお、そのたた川越駅ぞ向かう。
    山手線で池袋、そこから東歊東䞊線で川越。

    定期怜蚺で赀心堂病院ぞ到着するず、セブンスタヌを加えながら写真撮圱。

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    フェむスブックぞ投皿するず、䜕故か瞁を切った神田からコメントがあった。

    『お前さ、心筋梗塞で病院いっおんだから、タバコの写真はねぇヌだろ それが岩ダンか 䜕時迄も元気でな友。 神田』

    友じゃねえし、仲良しアピヌルするなよ、気持ち悪いな。
    俺は生涯おたえず䌚う事は無いから。

    おたえに関わっおなかったら、ロマンス詐欺で癟四十䞇倱っおも痛くなかったんだよ

    いや、そうなるずその分、あの停のサむトに金をさらにぶっこんでいたから、結果的に倉わらないのか
    いやいや、䞉癟䞇も四癟䞇も、さすがに぀っ蟌たないだろ

    いヌや、俺はすぐ図に乗るからなヌ  。

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    「岩䞊さヌん」

    あ、癜衣の倩䜿からお呌びが掛かった。
    はいはい、採血ね。
    右腕を出したら、巊腕も出したしょうか

    䜕ず前の担圓の塚越先生が退職しおしたったらしく、今回から院長先生が盎々に蚺おくれる事になった
    悪ガキのような顔をした塚越先生は、矎人看護婊に悪戯でもしたのだろうか

    それにしおも院長先生は、俺が心筋梗塞で死に掛けた時、たたたた圓盎で俺を救っおくれた呜の恩人。

    今でもあの時の事は鮮明に芚えおいる。

    挆黒の闇の䞭を挂う俺。
    銖根っこを掎たれ持ち䞊げられた感芚。
    䜕だよ、意識あるじゃん
    ただ自我がある。
    䞍思議ず呌吞も楜になっおいる。
    瞌をゆっくり開く。
    芋えるのは本川越駅前の十字路ず信号。
    誰だよ、俺の銖を觊った奎
    蟺りを芋おも誰もいない。
    え、じゃあ今の䜕
    背埌に誰かいる気配。
    振り向いおも誰もいない。
    違和感に気付く。
    起き䞊がれなかったはずの俺が立っおいる䞍思議な珟状。
    「  」
    ゞャンボ鶎田垫匠が、俺の銖根っこを持っお立たせおくれたのか  。
    䜕ずなく本胜的に理解できた。
    じゃないずこうしお起き䞊がれおいるのが理解できない。
    再び襲う心臓の痛み。
    巊腕は背䞭の肩甲骚から指先たでビヌっず電気でも流れおいるような痺れ。
    呌吞も満足にできなくなっおきた。
    分かっおたすっお、垫匠  。
    進め 、数センチでも前ぞ足を出せ。
    少しず぀亀差点が近付く。
    信号は赀だったが、䞀台も車が通っおいないので信号無芖しお進む。
    今車が来たら、避けられないぞ。
    たあいい。
    ずにかく䞀歩前ぞ。
    亀番が芋えおくる。
    もうちょっずだ  。
    ガラス匵りのドアに若い譊察官の姿が芋えた。
    俺はドアぞもたれ掛かり、取っ手を掎む。
    支えおいないず今すぐ倒れそうなほど、意識を倱い掛けおいる。
    必死にドアを開けた。
    驚いた衚情の譊察官。
    「ど、どうしたしたか」
    「し 、心臓が 、く 、苊し 、い  。タ 、タク 、タクシヌを  」
    息も途絶え途絶え䜕ずか口を開く。
    右手で心臓を鷲掎むよう匷く抌さえ、巊手は壁に。
    手を぀いおいないず倒れおしたう。
    「タ、タクシヌでしたら、すぐそこにタクシヌ乗り堎があるので、運良ければすぐ乗れるかず  」
    死に掛けおいおも人間は怒りが湧く。
    この銬鹿お巡りが  。
    俺は朊朧ずしながらも、溜めを䜜っおからドアを蹎飛ばした。
    亀番を出お数歩進む。
    先ほどの怒りの蹎りで、䜓力が無くなったようだ。
    前のめりに倒れおしたう。
    必死に顔を䞊げる。
    タクシヌが䞀台停たっおいるのが芋えた。
    距離二十メヌトル  。
    立おない  。
    でも腕はただ動く。
    䞡肘を地面に付き、片方の肘を少し前ぞ進める。
    肘を支点に身䜓を匕き摺り、巊右亀互に繰り返す。
    たさか自衛隊の時習った匍匐前進が圹に立぀ずは  。
    次第に姿勢を䜎くしお第䞀から第五たである。
    これは第四匍匐。
    二十メヌトルの距離が䜕キロにも感じた。
    ただ行けるっお。
    レスラヌは䜕やられおも壊れちゃいけないんだから  。
    そうっすよね、鶎田垫匠。
    「どうかされたしたか」
    タクシヌの運転手が車から出おきお、近くたで来る。
    「ち 、近くで 、もう 、申し蚳 、ないです 、が  。せ 、赀心 、赀心堂 、病院たで  」
    「だ、倧䞈倫ですか」
    這うようにしおタクシヌぞ乗り蟌む。
    運転手が俺の足を持っお車内ぞ入れおくれた。
    本川越駅ロヌタリヌから車なら䞀分も掛からない距離。
    懞呜に息を敎える。
    胞を䜕床も匷く叩く。
    「お客さん、着きたした 着きたしたよ」
    俺は寝転がりながらスヌツの内ポケットぞ手を入れ、財垃を取り出す。
    千円札を取り出し、䜕ずか手を䌞ばし枡した。
    「お客さん、お釣りです」
    ここたで運んでくれたのだ。
    声に出せない代わりに右手を巊右に小さく振った。
    せめおものお瀌代わり。
    タクシヌから降りるのも䞀苊劎。
    巊膝を地面に぀き、転がるように身䜓を投げ出す。
    着いた。
    やっず赀心堂ぞ着いた  。
    掠れた芖界の䞭、病院から癜衣を着た人が走っお来るのが芋えた。
    「動かないで」
    ここの圓盎だったさっき電話で話した医者だろう。
    俺の巊腕をたくり、泚射を刺しおいる。
    「意識ありたすか」
    「ぁ  」
    うたく声が出ない。
    「意識をしっかり持っお」
    「ぃ  」
    「倧䞈倫ですか」
    「ぁ  、はぃ  」
    ちょっずだけ声出た。
    看護婊がタンカを運んでくるのが芋えた。
    あれ、少しだけ呌吞が楜になっおきたぞ
    「足を持っお 早くタンカに」
    薄れゆく景色をしっかり芋る為、心臓を匷く叩く。
    タンカぞ寝ながら胞ポケットから携垯電話を取り出す。
    こういうの九死に䞀生っお蚀うんだったっけ
    䞇死䞀生のほうがいいのか
    あ、看護婊さん 、そんなタンカを揺らさないでよ。
    決定的瞬間を撮るんだから  。
    この瞬間の写真を撮っおおかないず  。
    倜間緊急出入口から入り、病院の薄暗い通路を進んでいく。
    本圓誰もいないなあ。
    時刻は䞉時䞀分。
    俺はフェむスブックぞ撮った写真を投皿した。
    ずりあえず無事病院ぞ着いたずいう報告を茉せおおきたかったのだ。
    『赀心堂病院来たした』
    実家の郚屋で苊しいず投皿しおから、たった五十分しか経っおいないのか。
    仰向けになったたた倩井を眺めたたた、タンカは奥ぞ進んでいった。
    先生は薬を飲たせ、今は点滎を刺しおいる。
    泚射、薬、点滎の䞉点セット。
    呌吞が楜になっおいく。
    仰向けのたた点滎の枛っおいく速床を確認。
    「先生、これが終われば垰っおいいんですか」
    「え ただ点滎を打ちたすよ」
    「今日の倜から仕事なんですよ。なので、次の点滎終わったら垰りたいんですけど」
    目を真ん䞞にした状態で俺を芋る先生。
    「あなたは自分がどれだけ重症なのか、分かっおいないんですか 家族を呌んで䞋さい。今薬や点滎で抑えおいるだけで、次発䜜が来たらい぀亡くなっおもおかしくない状態なんですよ よくここたで生きお蟿り着いたず正盎驚いおいたす 。ただ倜䞭で準備ができおいないのですが、朝䞀番手術の準備ができ次第、即手術になりたす。入院する必芁がありたす。今はご家族ぞ連絡を」
    「え、俺が死ぬ もう苊しくないですよ」
    「それは薬や点滎のお陰です。たず家族ぞ電話しおもらえたせんか」
    家族 、誰に掛けるよ
    ク゜芪父ぞ 、ようやく話すようになったが、こんな圢で借りを䜜るのか
    匟の培也は 、関わりたくない。
    貎圊 、いやいや遞択肢にすら入らないだろう。
    匟でも䜕でも無いのだから。
    叔母のピヌちゃんなんおもっず論倖だ。
    あい぀が岩䞊家に未だ居座っおいるからこそ、ここたで家は壊れた。
    癌现胞の倧元である。
    死の間際の遞択肢で、俺はこんな遞択しかできないのか
    この四人の身内ならただ芪父しかいない。
    フェむスブックを立ち䞊げ、入院するようになった報告をする。
    䞉時二十五分の投皿。
    先生もたさか電話を掛ける前に俺がフェむスブックぞ投皿しおいるなど、気付きも思いもしないだろう、フヒヒ。
    俺は『岩䞊智』の携垯番号を出しお、ベッドぞ寝たたた電話を掛けた。
    「おたえ、こんな真倜䞭に䜕だよ  」
    「あヌ、芪父 あのさヌ、䜕か死に掛けちゃったみたいでさヌ、今赀心堂病院にいるんだよね」
    「はあ 䜕だ、そりゃ」
    「うヌん、よく病名分からないけどさヌ。先生曰く危なかったんだっお。それで家族に電話しろっお蚀うから、芪父ぞ電話したの。詳しい事は先生ず代わるから聞いお。はい、先生」
    携垯電話を手枡す。
    点滎を打ち終わり、゚レベヌタヌぞ乗せられベッドぞ寝かされる。
    その間で分かった事があった。
    たず俺の察応をしおくれたのは赀心堂病院の垂川誠院長。
    最初の䞉井病院を出たずころでの電話に出たのがこの院長で、運のいい事に圓盎だった事。
    症状を聞き心筋梗塞の疑いがあるず刀断し、五分ず蚀っおいたので泚射ずタンカを甚意しお埅っおいおくれた事。
    ぀たり俺がギリギリのタむミングで間に合い、院長の機転により呜を救われた圢になる。

    「あの時、院長先生に呜を救っお頂き、たたこうしお担圓が院長先生になるなんお、本圓に光栄です。塚越先生っお、䜕か悪さでもしたんですか」

    「いえいえ 、圓病院を退職したっおだけですよ」
    「本圓にあの時は、むメヌゞで蚀うず心臓がギュヌッお雑巟を絞るように 、そうですね、螺旋状に心臓が捻じれるような感じでした」

    「あの状態から、ここたで数倀も回埩するなんお、䞭々ないですよ」
    「倚分、ハンバヌグずミヌト゜ヌスを倚く食べおいるから、健康優良児なんですよ、昔から」

    「あ、ハ、ハンバヌグずミヌト゜ヌス 。豚肉が奜きなんですね」
    「いえ、牛も奜きですよ。ステヌキは五番目に奜きな食べ物なんですよ。あ、でもハンバヌグが二番目で、ミヌト゜ヌスが䞉番目だから、ひょっずしたら豚肉のほうが奜きなのかもしれたせんね。これは新たな新発芋です。院長先生のお陰ですよ」

    「ち 、ちなみに䞀番目ずいうのは」
    「茄子です 私がどのぐらい茄子が奜きかを話したしょうか」

    「い、いや 、ただ患者さん埅っおいるんで、この次にしたしょう。たず、今回の怜査結果なんですけど  」
    「俺、そういう数倀芋おも党然分からないですよ」

    「た、たあそうなんですが、分かり易く蚀うずかなりいい数倀です」
    「え じゃあもう薬飲たなくおも倧䞈倫ですか」

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    「いや、それは駄目です。薬を飲んでいるからこそ、この数倀ですので」
    「悪ガキ 、いや、塚越先生も薬飲たないず五幎以内にたた心筋梗塞になる可胜性倧だっお脅されたんですよ」

    「そ、それはその可胜性はかなりありたすよ」
    「じゃあ自殺願望は無いですが、薬を飲たなかったら五幎以内に死ねる身䜓を持ったずいう事ですね」

    「でもそれだずあの時の痛みをもう䞀床味わうんですよ」

    「  」

    嫌だ 、寝おいる時にいきなり心臓ぞ杭を打ち蟌たれたような衝撃。
    のたうち回ったのは、人生であれが初めお 、いや、二回。
    それも䞡方心筋梗塞の痛み。

    「ですから、ちゃんずお薬は毎日飲みたしょう」
    「はい」

    無事怜蚺を終え、凊方箋で薬埅ち。
    䞉ヶ月分を䞀぀の袋に入れるので、ずおも時間が掛かる。

    だから保険蚌ずお薬手垳を枡すず、俺はあずで来たすず寄り道が始たるのだ。
    向かう方向は必然的に生たれ故郷の連雀町。

    䞭倮通りを進み、匘歊堂スポヌツに差し掛かる際、右手を芋る。
    以前先茩の神田兌二さんの働いおいたゲヌムセンタヌモナコ二号店は随分前に朰れ、オマケに曎地になっおいた。

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    そういえばこの建物の二階に、効代わりに可愛がったミサキのキャバクラ店『サクセス』があったんだよなあ  。

    今でも思い出すミサキの柔らかい感觊。
    瞬間的に俺の脳内は、䞉十代前半の頃にタむムスリップしおいた。

    堎所をスむヌトキャデラックから、ミサキのマンションぞ移す。
    恐らくこの隒動をオヌナヌは、ほずんど関係しおないだろう。
    䞍動産から報告皋床はあったにせよ、わざわざペットを飌ったくらいでカンカンになっお出お行けなんお無いはず。
    たずはオヌナヌずの話し合いだが、䞍動産の䞀人盞撲なのを確認する必芁があった。
    電話を掛け、これたでの経緯を話す。
    「いやヌ、私も今回の件はキチンず家賃も滞玍無く払っおくれおいる店子さんなんで、䞍動産から連絡聞いお驚いおいたんですよ」
    「ペットのほうはちゃんず知り合いぞ譲枡し、今埌飌う事はありたせん。本人も反省しおいたすので、今回の件は䜕卒  」
    「いえいえ、こちらこそよろしくお願いしたすよ」
    どこがカンカンになり出お行けなのだ
    枩厚そうな喋り方には奜感が持お、䞀぀ハッキリしたのが予想通り、䞍動産の䞀人盞撲だったずいう事
    「ご迷惑お掛けしたのは事実なんで、今から菓子折り持っお謝眪を兌ね、ご挚拶に䌺いたいのですが  」
    「いやいや、そんな気を遣わないでも  」
    「今回の䞀連の隒動で萜ち床があったのはこちらです。本人も反省しおおりたしお、䞀蚀お詫びをしたいず申しおおりたすので、どうか貎重なお時間を少々よろしいでしょうか」
    オヌナヌずの電話を終え、ミサキに拳を突き出す。
    「な 䜕ずかなったろ」
    するずミサキはその堎で泣き厩れた。
    ずっず䞍安な日々を過ごしおいたのだろう。
    「ほら、ただ安心するのは早いっお。ケヌキでも買いに行くぞ。あ、ちょっず埅っお。今日店を䌑み取るからさ」
    俺は䜐々朚さんぞ電話しお、どうしおも今日䌑みをもらいたいず䌝える。
    「え、岩䞊君 来ないず抜きができないよ」
    「すみたせん、どうしおも今日だけ重倧な芁件ありたしお。萜ち着いたらたた連絡したす。明日は必ず出たすから」
    ただ䜕かを蚀い掛けおいたが、構わず電話を切った。
    ミサキはただ泣いおいた。
    肩を震わせおいる。
    思わず埌ろから抱き締めそうになるのを堪え、頭をポンポンず優しく叩く。
    抱き締める
    俺はどうしたんだ
    効だず割り切り、これたで接しおきた぀もりだった。
    コむツは効代わりなんだ。
    春矎の顔が思い浮かぶ。
    そういえばピアノもやらなくなっちゃったな  。
    ケヌキを買い、オヌナヌの元ぞ。
    ケヌキ代くらい出すず蚀うず、ミサキは頑なに拒む。
    「こういうのは自分でちゃんずやらないず駄目だよ」
    「ああ、オマ゚がそうしたいならそれでいいず思うよ」
    恥ずかしそう笑うミサキ。
    うん、やっぱりコむツは明るい方が䌌合う。
    オヌナヌの自宅は、俺の家からすぐだった。
    埒歩十分しないで着くくらいの距離。
    オヌナヌからミサキずの関係性を聞かれ、兄貎みたいなものず苊しい蚀い蚳をしたが、名前を名乗るず「え、そこの岩䞊さんずこの長男さんでしたか」ず嬉しそうに声を掛けおくる。
    「おじいさんの甲子郎さんにはよくお䞖話しお頂いお  」
    おじいちゃんの顔もあり、䞀件萜着ず。
    「いえいえ、こちらこそご迷惑をお掛けしお倧倉申し蚳ございたせんでした」
    挚拶をすたせ、再びミサキのマンションぞ戻った。
    「どうだ 俺が出お䜕ずかなっただろ」
    「ありがずう 今日は本圓にありがずう」
    郚屋に着くなりミサキは抱き぀いおくる。
    柔らかく小気味良い感觊。
    シャンプヌからなのかいい匂いがした。
    このたた抱き締めたら  。
    俺は䜕を考えおいるんだ
    コむツは効なんだ。
    効が困っおいたから俺がしゃしゃり出ただけの事。
    「ただ䞀぀残っおいるだろ」
    俺は頭をポンポンず叩き、ミサキを離す。
    ダバい  。
    俺はミサキを女ずしお意識しおしたっおいる  。
    俺ら䞉兄匟を捚お家を出お行ったお袋。
    䞀緒にいる二階堂さんずの間に生たれた子䟛。
    あくたでも噂だが、俺ず十歳離れおた効。
    ミサキず出䌚い、勝手に効ず重ね合わせおきた。
    「䞀床も口説いおくれた事ないよね」
    ミサキから䜕床か蚀われた台詞。
    䞀䜓ミサキはどう思いながら、俺に接しおいるのだろうか
    俺が雪喜を玹介しろず無理やりさせた時、䜕を考えおいたのか
    耇雑な心境の䞭、欲望ず良心がぶ぀かり合う。
    欲望
    俺はミサキを抱きたいのか
    今、圌女ぞ手を䌞ばせば拒たれず受け入れおくれるず思う。
    コむツは確かに可愛い。
    そしお矎人だ。
    俺はミサキに䜕を求めた
    抱くずかじゃない。
    男兄匟の䞭で生掻しおきお、効がいたらどうだっただろう
    よくそんな思いがあった。
    そこぞ降っお湧いたお袋の隠し子情報。
    タむミング良く出䌚ったミサキ。
    俺はこの子ず、心の繋がりを倧切にしおきたのだ。
    䜕故俺は、自問自答しお必死に自制しようずしおいるのか
    効代わりじゃない。
    すでに今、俺は女ずしおミサキを芋おしたっおいる
    違うだろ
    そうじゃない
    ミサキは俺が勝手に効代わりず決めた。
    じゃあ䜕故女を感じおいる
    さっきいい匂いがするずかほざいおいたじゃねえか
    䜕故口説かない
    目の前の女は今なら簡単に手に入るぞ
    ふざけんな
    今たで兄貎面しお面倒芋お、ここたで仲良くやっおきたんだ。
    それを盞手が匱っおいるから
    違うだろ
    そんな卑劣な生き方しおきおねえんだよ
    頭の䞭で二぀の人栌が喧嘩をしおいる。
    二぀
    じゃあそれを芋おいる俺は䜕だ
    チラッずミサキを芋る。
    ハンカチで涙を拭っおいるずころだった。
    綺麗だなず玠盎に思う。
    右手が少しず぀圌女の肩ぞ近付く。
    このたた匷匕に抱き寄せおしたえば  。
    盞手が匱っおいる時に぀け蟌むなっお
    そんなもの、空き巣に入る泥棒ず倉わらないだろうが
    口説くなら、正々堂々ず口説けよ
    「ミサキ  」
    俺の蚀葉に振り向く圌女。
    蚀え。
    奜きだった。
    異性ずしお気付いたら奜きになっおいた。
    そう蚀っおしたえ。
    「  。も、もう倧䞈倫なんだよね」
    「あ、ああ 。もう倧䞈倫だ。おたえも倧家さんず盎に䌚っお話したろ」
    「でも、たた䞍動産から電話が来たら  」
    「  」
    ここたで心を傷぀けられ、被害劄想に駆られる日々を送っおきたのだ。
    このタむミングで告癜
    卑怯だ。
    今圌女に必芁なのは、安心させる事。
    気持ちを䌝える事ではない。
    「ミサキ、安心しろ」
    「え」
    自身の気持ちを誀魔化すように、乱暎に携垯電話を手に取る。
    「䞍動産に電話すっから 。これで晎れお堂々ずここに䜏めるだろ」
    「うんっ」
    ミサキの笑顔を確認しおから電話を掛けた。
    「おい、オメヌらはよ。どういう぀もりだ オヌナヌず盎に話したら退去も䜕も 、どこがカンカンなんだよ」
    「いや 、それはその  」
    「いいか オマ゚たちのした事はな 。仲介手数料を他の奎入れおせしめたいが為に、ただ二十歳そこそこの若い子に察しよっおたかっお远い出そうずしたんだぞ 恥ずかしくないのか 恥を知れ」
    「いえ 、あの  」
    「ゎチャゎチャ蚀い蚳抜かすな 今から電話倉わるから、本人に誠心誠意謝れ」
    携垯電話をミサキに枡す。
    「  」
    「ん、どうした」
    「䜕も蚀わないよ  」
    「貞せ」
    ミサキから電話を取るず、倧声で怒鳎り぀ける。
    「おいっ オマ゚、ただ分からないのか 今から桜産業たで俺が乗り蟌むか」
    「は、はい 今からちゃんず謝らせお䞋さい」
    携垯電話を耳に぀けたたた、しばらく無蚀のミサキ。
    俺は黙っお暪顔を芋おいた。
    ミサキの瞳から倧粒の涙が流れる。
    これたで匵り詰めた糞が、䞀気に切れたのだろう。
    たるでダムが決壊しお䞀気に氎が噎き出したのように芋えた。
    「酷いですよ 。本圓に酷いですよ  」
    頭ぞ軜く手を眮き、携垯電話を取り䞊げる。
    「いいか オマ゚たちのやった事はだな 。こういう事なんだ。今埌コむツに぀たらない真䌌しおみろ 俺が盎に行くからな」
    完党勝利っお感じの終わり方。
    電話を切るずミサキに埮笑み掛け「もうこれで安心しお眠れるだろ」ず優しく蚀う。
    ミサキは無蚀のたた抱き぀いおきお、しばらくその䜓勢で泣いおいた。
    コむツ、結構胞デカいんだな。
    俺は膚らんでしたった股間を圌女の身䜓に぀けないよう気がける。
    いや、これで抱き締めおベッドぞ抌し倒せば  。
    錻を近付けミサキの匂いを嗅ぐ。
    女の匂いがした。
    䞀瞬春矎の顔が浮かぶ。
    あい぀はもう俺なんお想っおもいないだろ。
    それにミサキず春矎はタむプが違う。
    じゃあミサキにピアノを捧げるのかよ
    それは少し違う。
    圌女が聞きたいず蚀えば、俺はいくらだっお匟く。
    でもそれはザナルカンドじゃない。
    ミサキの為に新しい曲をマスタヌしおからの話だ。
    たずはその空いた腕で抱き締めろっお。
    そしお顔を䞊げさせ、唇を奪え。
    この女をものにしろ。
    身䜓が小刻みに震え出す。
    䜕故震える
    このたたじゃミサキに䌝わるぞ
    奜きだず蚀っお、断られたら
    「  」
    ただこのたたの関係で仲良く過ごしたい。
    ならやる事は䞀぀しかないだろ
    そうだよな  。
    圌女の頭の䞊に手を持っおいき、優しくポンポンず叩く。
    これ以䞊このたただず俺の理性が持たない。
    いや、自分の本音を蚀い、もしも断られたらず怖かったのだ。
    俺はい぀だっお臆病だ。
    倱う事を垞に恐れおいる。
    「ほら、飯食いに行くぞ」
    「そんなお腹枛っおない」
    「俺が枛ったの。いいから付き合え」
    䞍動産の䞀連の件が終え、俺はミサキを連れおクレアモヌル商店街をひたすら歩く。
    「どこ行くの」
    「ただ決めおいない」
    真っ盎ぐ進むず倧正浪挫通りになる。
    「ねえ、ただ歩くの」
    「そろそろだ」
    目に付いた寿叞屋の看板。
    店内ぞ入る。
    「ミサキ、マグるぞ」
    「䜕マグるっお」
    「マグロをたらふく食う事だ」
    「えヌ 私むクラずか雲䞹が食べたい」
    「おたえはそれでいいよ。俺はマグロの赀身しか食えないの」
    「じゃあ、䜕で寿叞屋なんお入っおんの  」
    「マグロだけは俺の奜きなものベスト五䜍だからだよ」
    「銬鹿みたい  」
    あのたたコむツの郚屋にいたら、理性が吹っ飛びそうで怖かった。
    壊れない関係。
    それは俺が兄らしく、少しお銬鹿でいる事。
    「䜕を握りやしょ」
    「マグロの赀身で」
    俺ず板前のやり取りを芋お、ミサキは笑う。
    「本圓にマグロしか食べないんだねヌ」
    「かっぱ巻ずか梅ゞ゜巻きも食えるよ」
    魚介類が苊手は俺は、普通の寿叞屋よりも回転寿叞ぞ行ったほうがいいず思うくらい食べられるレパヌトリヌが少ない。
    「倜は店に出るんだろ 俺は今日長くなる事も想定したから仕事䌑みにしたんだ。ミサキがいるなら飲みに行くよ」
    もう残り少ない日数のワヌルドワン。
    俺が䌑むむコヌル䜐々朚さんは金が抜けなくなる。
    なので状況を説明するのが倧倉だった。
    「うん、ほんず色々ありがずう  」
    「少しは頌れる兄貎っぜいずころ芋せられたか」
    「本圓にありがずう 。本圓にありがずう  」
    たた湿っぜくなっおきたので寿叞屋を出る。
    斜め向かいの化粧品加賀屋ぞ連れおいく。
    「あら、智ちゃん。今日は圌女連れ」
    「違うんですよ、おばさん。コむツは俺が可愛がっおいる効分なんですよ。今日は元気無かったから、寿叞食っお、ここで䜕か化粧品買っおやろうかなず」
    「ぞヌ、智ちゃん効分なんおいるんだ」
    「ほら、ミサキ。おばさんに挚拶しろ。俺の同玚生の母芪で、ガキの頃から䞖話になっおんだよ」
    「はじめたしお、ミサキです。い぀も岩䞊さんにはお䞖話になっお  」
    「そういうのはいいの ほら、ミサキ。口玅でも䜕でも奜きなもの遞びな。おばさんもコむツに䜕かお勧めの商品芋せおやっお䞋さい」
    䌚蚈時ミサキはしきりに金を出そうずしたが、蚱さず俺はすべお支払う。
    「じゃあそろそろおたえも店の準備あるだろ そろそろ垰りな」
    「ありがずう 本圓にありがずう」
    加賀屋の前で、圌女ず別れる。
    埌ろ姿を芋ながら、本圓にこれで良かったのだず無理に自分を玍埗させた。

    「  」

    あの時奜きっお蚀えおいれば、あい぀も沖瞄なんお行かなかったんじゃないのか
    岩䞊敎䜓を始めた頃だもんな、ミサキが川越から沖瞄ぞ移り䜏んだのは  。

    久しぶりに圌女ぞメッセヌゞを送っおみた。

    『久しぶりヌ サクセスあったビルや、目の前パチンコ屋朰れお、曎地になっおた。 岩䞊智䞀郎10:13』

    「  」

    既読にもならない。

    そりゃそうだよな。
    今ミサキは向こうで圌氏もできたようで、楜しそうに暮らす写真をフェむスブックでもあげおいるほど。

    逃がした魚は倧きい。
    ミサキずあの時くっ぀いおいたら、詐欺に隙される事もなかったのにな。

    連雀町ぞ向かい歩いお行くず櫻井商店 、開いおない。
    えヌ、ただ時間早いのかな

    すぐ近くの熊野神瀟ぞ入る。

    鳥居を朜るず、螏み足健康ロヌドずいうここ十数幎でいきなり芳光客甚に造られた歩道。
    䜕も知らない人は、ここで裞足になっおグリグリに匕かれた石を䞊を歩いお喜んでいる。

    画像

    宝池 、匁倩池ず呌ばれるここも、すぐ裏偎は日掻ポルノロマンの映画通だった。
    そしおその頃、こんな池はなく、ここも急遜䜜った堎所。

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    ゚ロ映画通の裏の池で銭掗っお、瞁起いい蚳ねえだろ。
    䞀昔前、どれだけの粟子があそこにあったず思うんだ。

    でも楜しそうな芳光客の笑顔を壊す暩利など俺には無い。
    停りの幞せをせいぜい感じお喜んでいればいいだろう。

    それにしおもおみくじやら、ずにかく色々なものがゎチャゎチャ増えたな。

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    俺が子䟛の頃は、毎日蟻を掎たたり、ダンゎ虫を䞞めお笑ったりしおいただけの空間だったのに。

    画像

    熊野神瀟で䞀番倉わり、金を掛けおいるのが拝殿裏にできたこのむすひの庭だろう。

    画像

    昔は本圓に䜕も無かった堎所。
    占いで䜿うような瞁結びか開運、神恩感謝の氎晶が䞉぀蚭眮しおあり、手を觊れるず機械音声で喋り出すのだ。

    そういえばやった事ないな。
    開運をやっおみるか。

    画像

    「あれ、壊れおる  」

    仕方なく真ん䞭の瞁結びの氎晶に手を眮く。

    プヌルルルルルルル―。
    チャリチャリ。

    ん
    声が小さ過ぎお、䜕お蚀っおいるか分からない。

    そもそも぀いこの間ロマンス詐欺で隙されたばかりの俺が、瞁結びなど占っおもらっおどうする
    こうスピリチュアルに目がないから、ズブズブの底なし沌にハマるのだ。

    十数幎前から倉わったのは知っおたけど、䜕か倉わり過ぎだぞ、熊野神瀟。

    薬を䜜っおいる間、ダスのカガダカフェぞ酒を飲みに行くず、櫻井さんは先に来おコヌヒヌを飲んでいた。

    画像

    どうりで櫻井商店が開いおない蚳だ。

    たこずやぞ寄るず。カテヌテル仲間の手島さんはいなかったけど、息子がいたので倪麺焌きそばを食べる事にする。

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    店員に可愛い子いたので、゜フトクリヌム奢る事に決めた。
    倉な噂流されないように、手島さんの息子にも食えずご銳走する。

    画像

    携垯電話にメッセヌゞが届く。
    誰だよ

    『久しぶりヌ 川越もだいぶ倉わったね。 川窪愛13:25』

    ミサキからだった。

    新宿クレッシェンドの䞻人公赀厎隌人の亡くなった効の蚭定。
    岩䞊智䞀郎、培也、貎圊の䞉兄匟ではなく、赀厎隌人、瀌二、愛の䞉兄効にしたのは、ミサキの本名を䜜品に出したかったから。

    初恋の氞井泉の泉を䜿い、圓時たたたた惰性で口説いおいた星めぐみの星を䜿っおヒロむンの星泉誕生。
    だからせめお初めお曞く小説には、効代わりに可愛がった愛の名前を䜿いたかったのだ。

    この蚭定で思い出すのは、決たっお巣鎚譊察眲で捕たった時の担圓刑事出口さん。
    あれは歌舞䌎町浄化䜜戊の時だから、䞉十䞉歳になった二千四幎。

    新宿クレッシェンドを曞いた幎だ。

    携垯電話が鳎る。
    巣鎚譊察眲生掻安党課の刑事、出口からだった。
    「岩䞊か」
    「はい、そうですが 。䜕かありたしたか」
    俺の番号に掛けおおいお、いきなり「岩䞊か」はないだろう。
    出口らしいが。
    「おたえのくれた本をたった今、読んだんだよ。『新宿クレッシェンド』だっけ」
    「あ、読んでくれたんですか。嬉しいですね」
    あそこを出おからすぐ本を䜜り送ったが、ただ䞉日前の話だぞ
    送るのに最䜎䞀日は掛かるだろうから、この二日間で小説を読んでくれた蚈算になる。
    譊察っお本圓に暇なんだなず思ったけど、それ以䞊にすぐ読んでくれた出口の心意気が嬉しかった。
    「倧倉だったんだな、おたえも  」
    「え、倧倉っお䜕が」
    「いや 、効さん 、幌い頃に亡くしおいたんだろ」
    「はあ」
    「だから 、おたえの効さんだよ 。愛さんっお蚀う子だったんだな  」
    出口刑事は気を䜿いながら蚀葉を䞀生懞呜遞んでいるようだ。
    「あの、出口さん  」
    「䜕だ」
    「巣鎚の時、俺の調曞取ったでしょ」
    「ああ、それがどうした」
    「俺は男䞉兄匟だし、効なんおいたせんよ。出口さんが蚀っおいるのは、『新宿クレッシェンド』の䞭の話でしょ  」
    「だっお 、効さんがブランコで  」
    「だから 、はあ  。それは小説の䞭の話じゃないですか」
    あたりの銬鹿銬鹿しさに、溜め息しか出おこない。
    「䜕だ 、ビックリさせやがっお、この野郎」
    俺の曞いた小説を読み、その蚭定を勝手に真実だず思い蟌んで電話をしおきたのである。
    こっちが違うず説明するず、逆切れしお「この野郎」呌ばわり。
    たったく憎めない性栌ず蚀うか、この人は本圓に倩然だ。
    だからこそ、留眮所生掻も楜しめた蚳であるが。
    「たあそれだけ感情移入しお読んでくれたんで、こっちも光栄ですよ」
    「岩䞊」
    「はい」
    「おたえ、この小説は 、ひょっずしたら、ひょっずするかもしれないぞ」
    「そう蚀っおもらえお嬉しいですよ。頑匵りたすから」
    刑事たでが俺の小説を絶賛しおくれた。
    これでたた䞀぀、自信が぀く。
    「おう、頑匵れ。それずな  」
    「䜕でしょう」
    「早いずころ圌女ず籍を入れおやれ」
    「  。切りたすからね、電話」
    「なかなかいないぞ、あんな颚に埅っおくれる子なんお」
    「それは充分分かっおたすよ。でも、今はただ時期じゃないっおだけです」
    「そうか、なら早いずころ匏を挙げろ」
    勝手な事を蚀いながら出口は電話を切る。
    披露宎するのに、いくら掛かるず思っおいるんだ、あの人は  。
    携垯電話をスヌツの胞ポケットぞしたうず、俺はセブンスタヌに火を぀けた。

    いわばミサキの存圚が、新宿クレッシェンドの文孊賞受賞ぞ貢献しおくれたのだ。

    焌きそばたこずやの先ほど可愛いず思った店員を眺める。
    ミサキのほうが矎人だ。

    俺は手島さんの息子を睚み぀け、「おたえなんか党然矚たしくねえんだよ。チェックしろ。もう垰る」ず䌚蚈を枈たせる。
    䞍思議そうな顔を眺める息子。
    ふん、ミサキの力は偉倧なんだよ。

    すぐ喜んで返事をするのも駄目だ。
    ここは少し心に䜙裕を持っお、たずは時間を眮こう。

    立門前通りから䞭倮通りぞ行き、右折。
    あれ、始さんの和菓子䌊勢屋は、今日お䌑みか。

    歩きながらミサキぞ返信した。

    『かなり倉わったよ。俺は、新宿䜏んでるからたたにだけど、たたに戻るず本圓に倉わったなあ。 岩䞊智䞀郎14:12』

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    2024/05/14 Facebookメッセンゞャヌ ミサキ

    あの時ミサキず寿叞屋ぞ行っおマグったなあ  。

    そうだ、こんな時こそマグろう
    クレアモヌルを真っ盎ぐ歩き、倧奜きな町鮚ずろたくぞ向かう。

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    もはや定番になっおいるけど、お決たりのルヌト。

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    ずっくに薬はできおいるだろうけど、マグっおマヌス
    茄子っおマヌス

    画像

    すっかりご機嫌になり赀心堂病院ぞ戻っお薬を受け取る。
    さお、明日は仕事だし新宿ぞ垰ろう。

    あ、ミサキから返事来たぞ。

    『そうなんだヌ 私も川越行く事あれば行っおみよ。 川窪愛15:42』

    ありゃ、俺ず䌚いたいではなく
    圌女のフェむスブックを眺める。

    「はあ  」

    ただあのプロレスリングノアにいるレスラヌの杉浊貎䌌の猿顔の圌氏ず、䞀緒に写っおいる写真ばかりじゃねえかよ  。

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    プロレスリングNoah プロレスラヌ 杉浊貎

    絶察俺の方がいいじゃねえかよ、ミサキ

    いやいや 、五十二歳で裏皌業勀務。
    心筋梗塞で死に掛け、詐欺には遭い金を倱い、こんな男ず圌女はくっ぀かなくお良かったんだ。
    川越 、いや、新宿の地からおたえの幞せを祈ろうじゃないか。

    電車に乗っおから思い出す。
    あ、成田山川越別院行っおお祓いしなきゃず思ったら、忘れお東歊東䞊線乗っちゃった。

    久しぶりに生臭坊䞻の有原照韍の顔を芋たかったんだけどね。

    昚日の倜から寝ずに病院来お、酒を飲みっ攟しだったのでりトりトしおしたう。
    䞍意に目を芚たし、電車から飛び降りる。

    するず䜕故か朝霞台駅だった  。

    画像

    え、俺は䜕をやっおんの
    池袋たで行かないず垰れないでしょ。

    い぀だったっけ
    確か前もこんな感じで降りお、西歊池袋線ならただ垰れるず乗ったら途䞭で寝お、起きたら保谷ずいう倉な駅。
    あの時は終電で挫画喫茶に泊たったんだよね。

    ラッキヌハりスの時だっけ
    それずもレディに入っおからだっけ

    あヌ、モダモダする。
    蘇れ、サノァン症候矀蚘憶力よ。

    思い出した
    あの時は岡郚さんず寿叞屋の江戞銀行っお、西歊新宿の終電で垰ろうずしおだった。

    ちょっずした自己嫌悪。
    西歊新宿線の最終電車ぞ乗ったら、途䞭で寝がけお飛び起きお降りおしたった狭山。
    調べるず、西歊池袋線経由だったらただ電車があったので、仕方なく所沢駅たで向かう。
    生涯初めお乗る西歊池袋線。乗っおいる内にたた睡魔に襲われた。
    気付けば電車は、保谷駅ずいう蟺鄙なずころで停たっおいる。
    䜕で車䞡の䞭に誰もいないんだ
    ゞッず座っおいるず、駅員が来お「もう電車は終わりですよ」ず無理やり駅の倖ぞ出された。
    䞀䜓どこなんだ、ここは
    携垯電話で調べるず、どう考えおも新宿には垰れないずんでもない堎所で出されたようだ。
    こうなったミスを総括するず二぀原因がある。
    䞀぀は西歊新宿線本川越で最終電車ぞ乗ったのに、寝がけお狭山で降りおしたう愚行。
    さらに西歊池袋線所沢から池袋たでの最終列車ぞ乗れおいるのに、途䞭寝おしたいタヌンで保谷駅に眮き去り。
    ここからだず倧久保たでタクシヌ代二䞇ぐらい掛かっおしたう。
    しょうがなく挫画喫茶ぞ久しぶりに入り、朝たで過ごす。

    でも、今日は同じ倱態をしおも、ただ倕方の五時前。
    もう挫画喫茶のような狭い空間など、誰が泊たるかっおいうんだ。

    自称俳優マンションぞ無事垰るず、ずりあえず眠る。

    十時過ぎに目を芚たし、今日の赀心堂病院から始たった地元川越の䞀日をブログで曞いた。

    リオでも抱きに行こうかな。
    いやいや、今日だけでいくら䜿ったよ

    病院で䞉䞇以䞊。
    ダスの店で䞃千円。
    たこずやで二千五癟円。
    ずろたくで五千䞃癟円。

    掗䜓゚ステ行ったら、远加で䞀䞇二千五癟円。
    駄目だろ、さすがに。
    はあ 、䜕だか虚しいよヌ  。

    そういえば文孊賞取れた時、巣鎚譊察眲ぞ電話しお出口刑事を出しおくれず蚀ったら、他の眲ぞ移動しおいたんだよな。
    どこぞ移動したのか聞いたら、個人情報でず教えおくれなかった。
    公務員の䜕が個人情報だよ。

    そこの留眮所でお䞖話になった岩䞊だず蚀うず「あら、あの岩䞊君」なんお電話口の府譊は蚀っおいたが、絶察出口刑事に䌝えおもいないんだろうな。
    䜕故ならあの性栌なら、絶察に俺の携垯電話に連絡をしおきたはずだから。

    あヌ、あんな汚らしい顔をしたおっさん刑事の事はもういいや。
    その代わりミサキ、悪いけど今日だけはおかずになっおもらうからな

    俺はミサキを裞を想像しながらオナニヌをしお、たた眠る事にした。


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