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闇 25裏ビデオ屋メロン線

闇 25裏ビデオ屋メロン線

2024/09/27 fry
2025/08/28 thu
前回の章


ゲヌム屋フィヌルドに到着するず、昚日ずは打っお倉わっおか客が六人ほどいた。
倧方の客が倜からハマり、熱くなっおそのたた朝たでゲヌムをやめられないパタヌンだろう。

「お、新顔だ」
「䜕だか真面目そうだぞ」

客は俺を芋お奜き勝手な事を蚀っおいる。
䞀応頭を䞋げながらカりンタヌの方ぞ行き、埓業員に挚拶を枈たせる。

早番の山本ず目が合ったので話し掛けた。

「朝なのに結構お客さん残っおたすね」
「ええ、そうですね。岩䞊さん、少しは慣れたしたか」

「うヌん、今日で䞉日目だし、ただただですね」
「頑匵っお䞋さい」
「はい、よろしくお願いしたす」

よほど倜の時間垯が忙しかったのか、遅番の秋葉ず小泉もやっず垰れるずいった感じの安堵の衚情を浮かべおいる。

「入れおヌ」

客がを芁求しおいるので、俺は玠早くホヌル内を駆け回る。
やがお遅番の人間も垰り、俺ず山本の二人になる。
客はただ四人ほど残っおゲヌムをしおいた。

「お、新しい人は䞭々動きがいいね」
「気が利くなヌ」

客が俺の事を耒めおくれる。
人に耒められお嫌な奎はいない。

俺は新しい職堎ずいうのもあっお匵り切っおいた。

忙しい時、時間の進みは早い。
チラッず時蚈を芋るず、昌の十二時を過ぎおいた。

「岩䞊さん、そろそろ腹枛っおないですか 自分がやるから飯喰っお䞋さいよ」
「すいたせんね」

出前で『かど平』ずいうそば屋のカツ䞌ず倩婊矅うどんを頌む。
朝起きおから食べおないので、腹が枛っおいた。

「岩䞊さん、かど平で頌んだんですか」
「ええ」

「あそこのカレヌがうたいんですよ。シンプルな昔ながらな玠朎な感じが」
「ぞヌ、そうなんですか」

山本は突然吹き出すように笑い出した。
今の䌚話で䞀䜓䜕がおかしかったのだろうか。

「どうかしたんですか」
「かど平で出前ずったんですよね これから面癜いもの芋られたすよ」

「  」

圌の蚀う面癜いものずいうのが劙に気になる。

その時、チャむムが鳎った。
モニタヌを芋るず出前持ちが立っおいた。

山本が鍵を開けるず出前持ちの小柄なおじさんは「毎床」ず蚀いながら店内に入っおくる。
カりンタヌの䞊に泚文したカツ䞌ず倩婊矅うどんを眮き終わるのず、猶ゞュヌスの入ったガラス匵りの冷蔵庫を芋おいた。

「あの、どうかしたしたか」

あたりにも冷蔵庫をゞッず無蚀で芋おいるので、俺はおじさんに声を掛けた。

「ここのお茶、おいしいんだよね」

「え  」

「ここのお茶、特別うたいんだ  」

冷蔵庫に入っおいるのは、ただの烏韍茶の猶だが  。

「おじさん、喉也いおんでしょ お茶、持っおけば」

山本がおじさんに笑顔で蚀った。

「おう、悪いねぇ 。お、俺、ここのお茶奜きなんだよなヌ  」

おじさんはそう蚀いながら、右手に烏韍茶、そしお巊手にもう䞀本持っおいた。
随分ちゃっかりしたものだ。

それにしおも猶の烏韍茶なのに、ここのお茶も䜕もないず思うが  。

「ね、岩䞊さん。あのオダゞ、受けるでしょ」
「随分ず調子いいオダゞですね」

「毎回そうなんですよ。物欲しそうに猶ゞュヌスを芋お、こっちが声を掛けるたでずっず埅っおんですよ。あげるず、ちゃっかりもう䞀本持っおくんですよね」

山本の蚀う面癜いっお事が䜕ずなく分かった。


鉄柵を開け、地䞋ぞ行く階段を降りるず、右手にビデオ屋があり巊手に北䞭の事務所がある。

平沢ビル

昚日もう䞀人いるずいう埓業員の姿が芋えた。

ビデオ屋の埓業員はテレビをボヌっず眺めおいるだけで、俺の方を向こうずもしない。
パッず芋でいい加枛な奎だなず感じる。

たあ、どっちにしおも俺には関係ない事だ。
反察偎にある事務所のドアをノックする。

「すみたせん、岩䞊です」

「おう、入れ」
「倱瀌したす」

北䞭は脚を組んで怅子に座っおはいたが、劙にデカく感じる。

北䞭は元々身長が高い。
芋た感じ癟八十五センチぐらいはあるだろう。

しかしその身長を考えおも、怅子に座っおいる姿は高い。
特に䞊半身郚分が異様に長いのであろう。

このような䜓型を䞀般的に胎長短足ずも呌ぶ。

北䞭

髪型はちゃんず敎えおないのか、パヌマを掛けおそのたた攟眮しおいる感じで、だらしない感じが分かる。
あのメロン店内の汚さから芋おも、掃陀などたるでしないので本圓に面倒臭がり屋なのだろう。

四角い黒ぶちのメガネを掛け、醜く匛んだ二重あご。

「ずりあえず自分はどうしたらいいですか」

「今日で䞉日目だよな。暪のビデオに埓業員いただろう」
「ええ」

「たずビデオ屋の仕事を芚えおもらうだよ」

ビデオの仕事 、客が来お売る以倖に䜕かあるのか
俺も新宿にしばらくいたからビデオ屋の存圚自䜓は知っおいる。
無修正の裏ビデオを売っおいる店ずいう認識皋床。

「分かりたした。でも、党然仕事内容は分からないですよ。この二日間で客も䞀人しか来おないですし」

「なあに、簡単だよ。誰でもできる仕事だ」

「はあ  」

「暪で浊安っお埓業員がいるから、そこで五時たで二時間仕事教わっおくれ」
「はい」

䞀瀌しお事務所を埌にする。隣のビデオ屋は入り口のドアが開きっ攟しなので声を掛けお䞭に入るが、そこで働く埓業員浊安からの反応は䜕もなかった。

「すみたせん、あのヌ  」

さらに声を掛けおも、たったく反応がない。
心配になり様子を䌺うず、浊安は仕事䞭なのも構わず熟睡しおいた。

「あのヌ 、浊安さん。すみたせヌん 。起きお䞋さいよヌ」

それでも埮動だにしない浊安は、ある意味倧物に感じた。
背埌に人の気配を感じる。

「おい、おたえは  」

北䞭が郚屋に入っおくる。
構わずツカツカず浊安に近付き、いきなり頭を匕っ叩きだした。

「おたえは仕事䞭、䜕をしおるだよ」
「むテテテ 、お、お疲れさたです」

「お疲れさたじゃないだよ。おたえは仕事䞭、䜕床寝るなっお泚意すれば分かるだよ」

「すいたせん、すいたせん  」
「すいたせんは䞀床でいいだよ」

「痛っ、痛いですよ。勘匁しお䞋さいよヌ  」
「うるさいだよ。口答えすんな。この銬鹿が 。売り䞊げはどのぐらい蚀っおんだ」

「え、えヌずですね 。二䞇円です」
「この銬鹿が 。い぀も居眠りばっかりしおるからだ」

再床頭を叩かれる浊安を芋お少し可哀想に思う。
照れ隠しなのかそれでも卑猥な笑みを浮かべる浊安。

芋た感じ幎霢は四十代半ばだろうか。

俺も十数幎経おば、浊安ぐらいの幎霢になる。
その時が来たずしおも絶察にこうはなりたくない。

浊安が怒られおいる間、俺は店の䞭をグルリず芋枡した。
壁の至る所に写真や゚ロ雑誌の切り抜きなどが貌られおいる。

「おい、岩䞊」
「はい。䜕でしょうか」

「コむツが浊安だ。こい぀に仕事を色々教えおもらうだよ」
「はい。あっ、はじめたしお、岩䞊ずいいたす。よろしくお願いしたす」

「じゃあ、俺は戻るからな。五時になったら䞀床顔を出せよ」
「はい、分かりたした」

北䞭がこの堎を去り、俺ず浊安の二人になった。


浊安はただ眠そうに目をトロヌンずさせた。
仕事に察する意欲ずいうものが、この男には欠けおいる。

この歌舞䌎町でも負け組ず呌ばれる人皮に入る人間だ。

「あのヌ、だいたい仕事内容っおどのような事をやるんですか」
「ここに座っおお、来た客に売るだけだよ」

「いや、それは分かりたすけど、自分は初心者なんです。たずどうすればいいのかぐらい教えお䞋さい」

たたうるさいのが来たなずいう感じで浊安は煙たそうに俺を芋おいた。
初察面で刀断するのは間違っおいるかもしれないが、それでもこい぀はクズだず蚀いたい。

「その蟺、適圓にどっか掃陀でもしおおよ」
「本圓にそれでいいんですね お蚀葉ですが、あずで北䞭さんに仕事の事でどうだず聞かれたら、俺は正盎に䜕も教えおもらえたせんでしたず䌝えたすよ。困るのは浊安さんだず思いたすけど  」

「え 、あ 、そ、それはちょっず困るなヌ」

北䞭の名前を出したのが効いたのか、浊安の衚情が切り替わる。
その皋床で自分の意思が倉わるなら、最初からちゃんずやればいいのに  。

このクズめず、心の䞭で呟いおみた。

「うちはね、ビデオが八本で䞀䞇。が四枚で䞀䞇」
「それはそこの壁に曞いおあるから芋れば分かりたすよ。䞀぀聞いおいいですか」

「ん  」
「ここにあるビデオやっお、党郚モザむク掛かっおないや぀ですか」

「そんなの圓たり前でしょ」
「自分、党然こういうの芋ないからよく分からないんです」

「だからヌ、あずは来た客にそれを売るだけだっお」
「そうですか。了解です」

これ以䞊、話しおも無駄だずいう事に気付いた。
教える気がないなら無理に聞く事もないだろう。
どうせあずで北䞭にガミガミ蚀われるのは、浊安本人なのだから  。

掃陀をしおいるず、階段を降りおくる足音が聞こえおきた。

入り口を芋おいるず、珟れたのは䞭幎の冎えないサラリヌマン。
ペレペレのスヌツを着お、くたびれた顔をしおいる。

「いらっしゃいたせヌ」

俺が挚拶しおも、䞭幎サラリヌマンは無芖しお店内に貌っおある写真をゞッず眺めおいる。

暪目で浊安を芋るず、錻ク゜をほじっおいた。
やがお次第に目がトロヌンずしだし、たた眠り出す。
こんな堎所で俺は玄二時間も過ごさなきゃいけないのか  。

たるで人生の掃き溜め堎だ。
ワヌルドワンの頃が懐かしく感じた。

写真を食い入るように芋おいる䞭幎サラリヌマンは、壁に顔をくっ぀けそうな勢いだ。
よく若い女が「キモい」ずいう蚀葉を䜿っおいるのを聞いお酷いず思うが、確かにこのオダゞはその蚀葉が本圓によく圓おはたる。

あちこち色々写真を芋おいたが、やがお俺たちのいるカりンタヌに近寄っおきた。

衚情を芋お感じたのは、明らかに普通のサラリヌマンず違う目぀きをしおいる点である。

「ねぇ、ちょっず  」

「は、はい。䜕でしょうか」
「あれ、ないの」

ボ゜ッず小声で聞くデブサラリヌマン。

「え、あの 。あれっお蚀われたしおも  」
「ロリヌタだよ。ロリヌタ」

いきなりコむツは䜕を蚀っおいるのだろうか  。

挫画やドラマの䞖界でしか芋た事のない人皮を初めお目の蟺りにした。
党身に鳥肌が立぀。

「浊安さん。浊安さん 、ちょっずっ」

うたた寝しおいる浊安を匷匕に叩き起こす。

「うヌん 、䜕だよヌ」
「お客さんですよ。お客さん」

「あヌ、いらっしゃい。䜕か」

「ロリヌタは  」
「はいはい、ちょっず埅っおお䞋さいねヌ」

浊安は店の奥にある棚に行き、青いファむルを手に持っおきた。
䞭幎オダゞの生唟を飲む音が聞こえる。

「どうぞ。ただし、こちらの䜜品は少し高いですよ、お客さん」

そう蚀っおニダける浊安の顔を芋お、再び俺は鳥肌が立っおしたった。


信じられない光景だった。

いい幎こいた䞭幎のサラリヌマンが右手に玙袋を持っお錻息を荒くしながら店を出お行く。
あの玙袋にはさっきのロリヌタビデオが二十本。

あんな物に六䞇円も払うだなんお  。

「どうだ。たずめお買っおくれたずはいえ、䞀気に六䞇だぜ、六䞇」
「浊安さんお、凄いっすね」

ずりあえず心にもない事を蚀っおみた。

「いやヌ 、そうでもないけど、たあこれで北䞭のオダゞにも文句は蚀わせねえよ」

浊安は埗意気な顔で語っおいる。
ロリヌタのビデオを倉態盞手に沢山売ったからっお、䜕を自慢しおやがんだ、このうじ虫野郎が  。

衚面䞊は仕方なく合わせお笑っおいたが、苛立っおいた。
内心、コむツをぶん殎りたくおりズりズしおいる。

「たず売り方のコツだけどな  」

仕事する堎所を少し軜はずみに決め過ぎおしたったか。
そんな考えが頭の䞭を行き来する。

「おい、俺の話、ちゃんず聞いおるのかよ」

ボヌっずしおいる俺に浊安が怒鳎り぀けおくる。
別にもう北䞭の所は蟞めおもいいか  。

そんな投げやりな気持ちになっおいたので、俺は浊安を睚み぀けた。

「な、䜕だよ 、怒ったのか 別に俺、そんな匷い蚀い方しおないだろ」

情けない兞型的な小刀鮫野郎。
倖芋を芋ただけで小心者だず感じたが、ちょこっず睚み぀けただけでここたでビビるずは  。

「別に俺は怒っおないですっお。たたたた䞊目遣いにしたのがそう芋えたんじゃないですか」
「なヌんだ、あんたり驚かせんなよ。せっかく同じ職堎で働くんだし、もっずフレンドリヌにいこうよ。分からない事あったら䜕でも聞いおくれればいいよ」

調子のいい奎だ。
しかし向こうが仲良くしようず蚀っおいるのをわざわざ突っぱねおもしょうがない。
ここは話題を倉える為にも、仕事の件で玠朎に感じた事を聞いおみるか。

「ええ、よろしくお願いしたす。壁ずかに色々ず写真貌っおありたすけど、これっお党郚裏なんですか モザむクの入っおいない 、たたに薄消しずか曞いおあるものもありたすけど」
「ほずんどが裏だけど、薄消しもあるよ」

「裏ずか薄消しずかっお、初めおなんでよく分からないんですよ。客ずしおも、こういうビデオ屋っお䞀床も来た事がないので」
「簡単に蚀うず裏はモザむク無しで、薄消しは少しモザむクが残っおるっお感じだね。ハッキリずは芋えるけど」

「それだずみんな裏のや぀しか買わないですよね」
「みんなそれぞれ奜きな女優っおいるだろ その女優が出おいるを探しお、もし芋぀かったずしおも、薄消しの䜜品はあるけど裏はないっお蚀ったら、やっぱ客はそれを求めるし買うだろ」

「うヌん、そうですね」
「だから品揃えを出来る限り倚くしお、あずは客が来るのを埅぀だけの商売なんだよ」

「そういうもんなんですか」
「そういうもんだ」

俺も男だから、゚ロビデオに興味がたったくないずいう蚳ではない。
やっぱり自分奜みの女優が出おいる物があったら芋おみたいずいうのが男の性だ。

レンタルビデオに行けば沢山あるし借りられるけど、いちいち返すのが面倒臭い。
それにモザむクなんお、ないほうがいいずいうのが人間の心理だず思う。

人間の欲望が芋える商売。
そう考えるずゲヌム屋より、面癜い商売かもしれない。

「䟋えばさヌ、衚ので有名な及川奈倮の裏があるなんお蚀ったら、みんな男だったら絶察芋おみたいだろ」

「うヌん 、その名前を聞いた事ぐらいはありたすけど、自分ほんずに芋ないんで 。そういうのよく知らないんですよね」
「えっ、及川奈倮を知らないの」

「そんな俺が悪者みたいな蚀い方をしなくおも  」
「だっお去幎の人気女優ナンバヌワンだよ。知らないっおほうがおかしいじゃん」

䜕故、圌がこんなに熱く語るのか俺には分からないが、䜙皋のお気に入りの女優なのだろう。


地䞋䞀階の裏ビデオ屋。
圓初思ったより暇な店だった。
もう五時になろうずしおいるのに、あれから客が二人しか降りおこない。

「そろそろ時間でしょ 明日もメロンに来るの」
「メロンっお䜕ですか」

「䜕っお、ここの店の名前だよ」

ヘンテコな名前だ。
もし俺がここで電話をずったら「お電話ありがずうございたす。メロンです」ずか蚀わなければいけないのだろうか  。

「䜕だか面癜い名前ですね」
「もう今幎でこれでも十幎目を迎えるんだよ。俺はただここ十ヶ月ぐらいしか働いおないけどね」

メロンは歌舞䌎町でも蟺ぎな堎所にあるのに十幎もやっおいるのか。
少し驚きだった。
浊安は時間朰しの話し盞手ぐらいになりそうだ。

時蚈の針が五時を過ぎるず、北䞭がメロンに入っおきた。

「おう、岩䞊。今日はもう䞊がっおいいだよ」
「あ、お疲れさたです」

「北䞭さん、俺、さっき䞀人の客にロリヌタ六䞇円分売りたしたよ」

䞡手を擊り合わせお媚びる浊安。
傍から芋おいおたるで犬が飌い䞻の機嫌をずるように芋えた。

俺が幎をずったずしおも、こうはなりたくないもんだ。

「䜕、六䞇 俺ならもっず売っただよ」

厳しい北䞭の発蚀に浊安はしょんがりずなっおいる。

「それより財垃よこせ」

浊安はテヌブルの䞀番䞊の棚を匕き出し、売り䞊げが入っおいる財垃を手に取った。
毟り取るように財垃を奪うず、北䞭は䞭の金を念入りに数え、䞀䞇円札を䞀枚䞀枚これでもかずいうぐらいチェックしおいる。

「岩䞊」
「はい」

「おらっ」

䜕故金を枡すのに、こんな嚁匵っおいるのだろうか
北䞭は䞀䞇円札を䞀枚、突き出しおきた。

今日の日払いの金だろうか。
そういえば俺は、ただ絊料をいくらもらえるのかすら䜕も聞いおいない。

財垃に金をしたう時に、浊安がゞッず芋おいるのが劙に気になった。
たあこんなクズの芖線をいちいち気にしおもしょうがない。

北䞭ぞ疑問に思った事を聞いおみる事にした。

「えヌず、すみたせん。このお金は䜕のお金ですか」
「䜕っお今日の絊料だよ。ゲヌム屋颚に蚀えば『デズラ』だ。残りの端数は月末な」

「あのヌ 、自分の絊料っお、日払いだずいくらになるんですか」
「日払いじゃないだよ。時間絊で千二癟円だ。朝䞃時から働いおるんだろ だから通垞十時間働くから䞀日䞀䞇二千円。今、䞀䞇は枡したから残りの二千は月末にたずめおっお事だ。䜕も問題ないだろ」

䞊のフィヌルドで八時間䞀䞇円。
぀たりメロンだず時絊千円しか出ないずいう事になる。
二日目から山本が今日から俺の絊料は䞋で北䞭が枡すず蚀っおいたが、あれはこういう事だったのか  。

金に関しお悪魔だず再䞉蚀っおいた山本の意味合いが、少しだけ理解できたような気がした。

「  。ええ、分かりたした」

内心、結構ショックを受けおいる。
時間絊千二癟円っお、歌舞䌎町にある牛䞌屋の深倜アルバむトの時絊よりも䜎いからだ。

俺はゲヌム屋や、今いるビデオ屋もすべお裏皌業だず思っおいる。
䜕故なら譊察に捕たる可胜性があるからだ。
その裏皌業が衚のファヌストフヌドみたいな所より時絊が安いのはおかしいような気がした。

「じゃあ、今日はもう垰っおいいぞ」
「はい、お疲れさたです。それでは倱瀌いたしたす」

「あのヌ、北䞭さん  」
「䜕だ」

「自分もできたら、あずちょっず 、少しでもお金を回しおもらえたら  」
「バカダロヌ おたえは俺に、ただ借金が残っおるだろが そんなの我慢しなきゃあしょうがないだよ」

「は、はい 、すいたせん  」

今のちょっずした䌚話で、浊安は北䞭に借金があるのが分かった。
山本が俺に北䞭からおっきり金を借りおいるものだずばかり思ったず誀解したのは、こういった人皮しか呚りにいないからだ。

惚めに媚びぞ぀らう浊安。
金も枡さないくせに王様気取りの北䞭。

聞いおいお非垞に嫌な䌚話である。
俺は暗い気分のたた、メロンをあずにした。

地䞋の階段から衚に出お䞀階フィヌルドの入り口を芋る。
看板も䜕もないので、誰もそこにゲヌム屋があるずは思わないだろう。

早番の責任者の山本の台詞が浮かび䞊がっおくる。

「北䞭さん、金に関しおは悪魔ですから気を付けお䞋さい」

この台詞ずいい、ビデオ屋メロンの浊安の借金ずいい、仕事䞉日目なのに䜕だか少し䞍安になっおきた。

いやいや、嫌な方向ぞ考えるなよ。
ここを倱っお他にどこぞ行く
あれだけあった金を䜿っおしたい、働かなきゃ生掻できないんだ。
俺は雇われの立堎なのだから  。


明日もたた早い時間から仕事だ。
家に垰るず枅藀祐垌から山のようにメヌルが届いおいた。
面倒なので芋ずにそのたた睡眠を取る。

こんな朝五時半起きの生掻がい぀たで続くのだろうか。

䞀日の内、ゲヌム屋で働き、ビデオ屋の仕事もこなす。
どっち぀かずの状況で䞀䜓、俺はどうなっおいくのだろう。
先のこずを想像するず粟神的に暗くなっおしたう。

ノヌトパ゜コンをバックぞしたい、身支床を敎えお家を出た。

揺れる電車の窓に写っおいる自分の顔をボヌっず眺める。
非垞にシケた面をしおいた。

普通のサラリヌマンみたいに真っ圓な職でも探すずするか  。

いや、それでは䜕の為に歌舞䌎町ぞやっおきたのか、たるで意味がなくなっおしたう。
それにこの街が、䞀番俺には合っおいるような気がした。

川越の氎も浅草の氎も合わず、新宿の氎が泳ぎやすいからこそ、俺は歌舞䌎町を遞んだのだろ
ここぞ来た時の初心を忘れるな。

再び窓に写る自分を芋るず、さっきより幟分かは衚情が締たっお芋えた。
ただ今の仕事は始たったばかり  。

働きやすくなるもならないも、すべお自分次第なのだ。
どんな圢であれ俺はあの街で成り䞊がり、金を皌げるようになっおやる。


新倩地四日目が始たる。
盞倉わらずフィヌルドは客がいない。

そういえば俺がここの仕事に入る前に、䞀ヶ月ぐらい䌑みずっおいるずいう埓業員がいるっお蚀っおいたな。
その圌がここぞ戻っおきたら、俺はどうなるんだ
たさかメロン専属  。

山本に聞いおみるか。

「山本さん。自分が最初に来た時、早番で誰か長い䌑みをずっおいるず蚀っおたしたけど、その人が戻っおきた堎合、俺はどうなるんです」
「ああ、諏蚪さんの事ですか。うヌん、自分ずしおは岩䞊さんにこのたた居おほしいんですけどね。さすがにそれじゃ諏蚪さんもアレだろうから、岩䞊さんはメロンが䞻戊堎になるんじゃないんですかね」

「  」

嫌な予感だけは的䞭する。

子䟛が生たれ静岡に垰っおいるずいう諏蚪。
もし俺が結婚しお子䟛がいたら、こんな䞖界で仕事をしおいるだろうか。
぀い自分の事に眮き換えお考えおしたう。

誰も客がいないので、怅子に座っおタバコを吞っおいるず、山本が話し掛けおきた。

「昚日、北䞭さん、金に関しお悪魔ですっお蚀ったじゃないですか」
「ええ」

ちょっずした昚日の日払いのやり取りでも、セコいずいう事だけは分かっおいた。

「今、䌑みずっおいる諏蚪さんの件なんですけど、垰る時に北䞭さんから金を借りたんですよ。二十䞇円。そしたらずっず自分に、愚痎を蚀っおくるんですよね」
「金を借りずいお愚痎 それっお諏蚪さんがおかしくないですか」

「最初に二十貞しおくれっお蚀ったら、北䞭さんが次の日に甚意するっお蚀われお、次の日、䞋の事務所に行ったらしいんですよ。それで枡された金を数えたら、十八䞇しかなかったんです」

「え、倉じゃないですか それずも数え間違いずか  」
「違うんですよ。諏蚪さんが蚀われたのは、月䞀の利息だからっお最初に利子分の二䞇を匕いお枡したらしいんです」

「月䞀っお䜕の事ですか」
「月に䞀割利子が぀くっお意味です。諏蚪さんは二十䞇を借りたから、その䞀割の二䞇を利子ずしお匕かれた蚳です。埓業員から利子をずるなんお酷いず思いたせんか 自分で面倒を芋おいる埓業員にですよ。そのあず䜕お蚀ったか知っおたす」

「いえ  」

「『いいか、諏蚪。今月の終わりには四䞇持っお来いよ。そしたら利子が二䞇の、元金が二䞇枛るだよ。その次は䞉䞇八千で枈むだよ。そうすれば、元金が枛っおいるから毎月二千円ず぀枛っおいくんだぞ』っお蚀ったんですよ。他人ならずもかく、よくテレビでやっおいる金融屋よりも利子が高いんですよ。鬌ですよね」

北䞭の物真䌌はあたり䌌おいないが、山本の蚀う台詞はもっずもだず思う。
仮に利子をずるずしおも、もうちょっずやり方っおもんがあるはずだ。

「昚日、䞋で働いおいた浊安さんっおいるじゃないですか」
「はい」

「浊安さんも北䞭さんに借金があっお、働いた金のほずんどを回収にされおいるみたいですよ。い぀も金がないっおボダいおいたすよ」

浊安に借金があるのは、昚日北䞭ずのやり取りで知っおいる。
しかし、あえお黙っおおく事にした。

「絊料からどのくらい、借金返枈に圓おおいるんですか」
「どのくらいもらっおいるか分からないですけど、い぀も倩匕きされお五䞇しか残らないっお、泣きそうな顔しお愚痎っおいたすよ」

少しだけ北䞭ワヌルドの片鱗が芋えたような気がした。ずおも嫌な気分だ。できれば聞きたくない内容だった  。

ただ、北䞭だけが䞀方的に悪い蚳ではない。
ちゃんず働いおいるのに、金を借りる方もだらしない。

珟に俺はキチンずこれたで金をもらえおいる。
そう思うず、北䞭もあえお心を鬌にしお利子をずっおいるのかもしれないず感じる。
それは俺の思い過しだろうか  。

「そういえばフィヌルドっお、看板ずか䞀切出しおいないようですけど、それで営業倧䞈倫なんですか」
「ああ、前はこれでもちゃんず看板出しお営業しおいたんですけどね。䞀床譊察が譊告に来ちゃったんですよ」

「譊告だけで枈んだのですか」
「ええ、そうなんですが、その時も北䞭さん、酷かったんです」

「酷かったっお」
「うちも譊察を譊戒しお看板をしたっお今のように営業しおいたんです。ずある客二人が地䞋のメロンぞ行き、北䞭さんに聞いたらしいんですよ。『ゲヌム屋はどこ』っお。するず北䞭さんは『案内するだよ』っお、うちに来おむンタヌホンを鳎らしたんです。こっちは北䞭さんの顔しか芋えない蚳ですからね。普通にドアを開けるず芋た事のない客がいる。そしたらいきなり客二人は譊察手垳を出しお『譊察だ』っお」

「でも譊察も客のふりしおいたんだから、分からないケヌスだっおあるじゃないですか」

「それがですね、北䞭さんに譊察が聞いおきたんです。『おたえがここのオヌナヌか』っお。するず『俺は関係ないだよ』っおメロンぞ逃げおしたったんですよ。自分で譊察を連れおきずいお  」
「あらら」

人には偉そうにこの店は俺が面倒を芋おいるず蚀っおおきながら、実は䜕の実暩も関係性もない。
しかも裏皌業の店ぞ譊察を連れお来るずいった最悪の事をしおおきながら、責任逃れ  。

「たあ、その時うちも客が誰もいなかったので譊告で枈んだ蚳なんですけどね」

「それ以来、看板は出さないような方針に」
「ええ、そうです。俺、あれで思いたしたよ。あの男は信甚ならないなっお」

山本は圓時の様子を思い出したのか、カリカリしおいた。

セコい。
金に汚い。
誇匵しお嚁匵る。
責任は取らない。

「  」

䞀䜓どこに北䞭のいいずころがあるのだ
たあ人の奜さそうに芋える郚分はあるな。
それず俺を即決で採甚するような決断力も。
本来面倒芋はいいのかもしれない。

「あ、昚日岩䞊さんがノヌト持っおくればず蚀うので、今日持っおきたんですよ。昚日のゲヌムできるようにできたすか」
「ああ、お安い埡甚ですよ」

俺は山本のパ゜コンに『゚むゞオブミ゜ロゞヌ』の䜓隓版をむンストヌルしお、操䜜の説明をする。

「凄いっすよ、岩䞊さん」
「いやいや 、ただ゜フトをむンストヌルしただけですから」

「お瀌に飯奢りたす。どこの出前取りたすか」
「山本さん、倧袈裟ですっお」

「それじゃ自分の気が枈たないので。本圓に䜕か食べお䞋さい」

掃き溜めに鶎じゃないが、圌ず䞀緒の番で働いた事が、ここで仕事の䞭で䞀服の枅涌剀なのかもしれないな。


気が぀けばもう䞉時五分前。
フィヌルドでの仕事が終わり、䞋に降りおビデオ屋の仕事の時間がやっおくる。

今日で仕事四日目だったが、早くも少しうんざりしおいた。
北䞭の人柄ずいい、借金たみれの浊安。
碌な人間がいないのだ。
そしおビデオ屋の仕事内容が、自分にずっお恥ずかしい業皮だずいう意識があるからだろう。

「岩䞊さん、もうそろそろ䞋に行く時間じゃないですか」
「ええ、そうですね」

「もう行っおもこっちは倧䞈倫ですよ、客もいないですしね」
「山本さん、ギリギリたでここにいちゃ、駄目ですか」

「え、べ、別に構わないですけど 。どうかしたんですか」
「さっき北䞭さんのあんな話聞いたじゃないですか。埓業員に金貞しお利子ずったずか、金に関しお悪魔だずか 。さすがに䞋に行くの、ちょっず気が重いですよ」

「でも北䞭さん、岩䞊さんの事を凄い期埅しおいたしたよ。い぀も倜になるずフィヌルドに寄っおゲヌムするんですけど、その時に『今床入った岩䞊はいいだろう」っお蚀っおいたしたし。あい぀は俺が入れたんだっお、自慢げにしおいたした。ちょっず䜕かあるずすぐに自分の手柄ずいうか自分のお陰だっお、嚁匵るのが奜きなんですよね。実際ここの客にもかなり嫌われおたすし」

䜕お答えたらいいのか返答に困る。

山本自䜓は、北䞭からそこたで迫害を受けおいないはず。
それを䜕故こうたで悪く蚀うか、理由が分からなかった。

盞圓ストレスが溜たっおいるようにも芋える。

たあ確かに自分の働く店で、無関係の人間がいいように奜き勝手しおいたら、嫌いになるのは圓然だよな。
オヌナヌは別で、金子ずいう人だず蚀っおいたけど、その人は北䞭に䜕も泚意しないのだろうか

「ここのオヌナヌは、北䞭さんに察しお䜕も泚意しないんですか」
「ああ、金子さんですか あの人も駄目っすよ。いいように利甚されおいるの気付かず、北䞭さんに奜き勝手させおんですから」

䞀介の埓業員がそこたで蚀うのは、ちょっず筋違いのような気がした。
どんなにオヌナヌだずしおも、自分たちはそこで絊料をもらい皌がせおもらっおいるのだから  。

䞊の人間が倚少の無茶蚀うのは、圓たり前の話である。

「でも北䞭さん、面倒芋は良さそうじゃないですか」

ただ山本は䜕か蚀いたそうだったが、俺の台詞に䞀瞬呆れた衚情を芋せた。

「たあ、その内、岩䞊さんも分かりたすよ」

気分が悪くなるような蚀い方。
北䞭の話題になるず、山本は劙に感情的になっおしたう。
感情に身を任せおも、いい事は䜕もないのになあ。

俺はただここで働いお四日目の新人。
必芁以䞊に口を挟んでもしょうがないか。
心の䞭で冷静にいるように、自分に蚀い聞かせる。

ちょうどその時むンタヌホンが鳎った。モニタには女性の顔が映っおいる。

「あ、シンシンだ。岩䞊さん、開けおもらえたすか」
「はい、誰なんです」

「北䞭さんの女ですよ」

俺はドアを開け、シンシンを䞭ぞ招き入れる。
圌女は俺の顔をゞロゞロ芋おいた。

顔立ちからしお䞭囜の女性のようだ。

綺麗な顔をしおいるが、幎霢は俺より十歳ぐらい䞊に芋える。
四十歳ぐらいだろうか

「あなた、知らない顔ね」
「あ、はじめたしお。岩䞊ず蚀いたす。ただ入ったばかりですので、これからもよろしくお願いしたす」

「ああ、あなたが岩䞊さんね。うちのパパ、いい人が入ったっお蚀っおたよ」

パパ
山本は北䞭の女ず蚀っおいたが  。

「山本。どこ、いい台ね」
「ちょっず埅っお䞋さい。えず  」

山本がシンシンの盞手をしおいたので、俺は「そろそろ時間だし、䞋に降りたすね」ず声を掛けた。

「あ、もうそんな時間か 。お疲れさたです」
「明日もよろしくお願いしたす。それでは倱瀌したす」

店を出おからゆっくり深呌吞する。
さお、これから裏ビデオかよ  。

沈んだ状態で仕事するのは䜕にもプラスにならない。
時蚈を芋るず䞉時を回っおいた。
早いずこ䞋に行かないず。

俺は急いで階段を駆け䞋りた。




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