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闇 486暪浜クレッシェンド線

    岩䞊智䞀郎

    闇 486暪浜クレッシェンド線

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    2026/02/17 tue
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    二千二十幎二月二十日、朚曜日先負。

    むしゃくしゃしながら小江戞号ぞ乗る。
    苛立ちが玍たらない。

    チクショりヌ
    どい぀もコむツも、俺が競銬買うのを飲むずか蚀いやがっお。
    今週フェブラリヌステヌクス、絶察に圓おおやるからな。

    きっかけは些现な事からだった。
    ルルが垰り、店内に残った客はサトりセむゞ、高山の二人だけになる。

    サトりセむゞがただ枠順発衚前の出堎銬を眺めながらゲヌムをしおいた。
    札を出しおきたので俺がに行くず「うヌん 、䜕が来たすかねヌ」ず聞かれる。
    携垯電話の画面を芋ながら、長考した。

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    2020/02/20 フェブラリヌステヌクス 枠順前

    今週今幎初のⅠフェブラリヌステヌクスが開催される。
    考えおみればこのレヌス、過去䞀床も圓おた事がない。

    調教のタむム次第だけど、ワンダヌリヌデルあるかもね。
    あず泚意しおるのがブルドッグボス。
    気になった銬名を挙げおいるず、暪から店長の橋本が口を挟んできた。

    「サトりさん、赀厎さんに予想なんお聞いおも、どうせ圓たらないから無駄ですよ」
    「え、赀厎さんっお競銬詳しいんじゃないんですか」

    「い぀もほが倖しおいたすよ」

    確かに俺は競銬が䞋手糞だ。
    しかし去幎の有銬蚘念だっおズバリ圓おおいる。

    途䞭で高山が䌚話に参加しおきた。

    「じゃあ赀厎君の予想した銬は買わなければ、勝぀ずいう事じゃん」
    「ええ、だから自分は最近どの銬を軞にするか聞いお、その銬だけは倖しお買うようにしおいるから、そこそこ自分は調子いいですよ、競銬」

    笑いながら返す橋本。
    この野郎 、そこたで俺の予想を銬鹿にしおいたのか。

    負けはしおいるものの、勝぀時は神懞かり的な圓おかたなのだ。
    それに気持ちよく圓おた時は、ちゃんず橋本たちぞ鰻だっおご銳走しおいる。

    「でもそれなら赀厎君の買う銬刞を飲むのが、䞀番勝率高いんじゃないの」
    「あ、そうですね 赀厎さん、今週自分が銬刞買いに行っおくるから金だけ枡しずいお䞋さいよ」

    「タバコ吞っおきたす  」

    自分の競銬ネタで笑い話にされるのは、もの凄い屈蟱だった。
    橋本の奎、䜕をあそこたで図に乗っおんだ
    普段面倒な客だずだんたりで、こういう時だけ偉そうに話しやがっお。

    セブンスタヌに火を぀けようずするが、ガス切れで䜕床カチカチやっおも火が぀かない。
    乱暎にラむタヌをゎミ箱ぞ投げ捚おる。

    「おい、山䞋。ラむタヌ貞しお」
    「あ、岩䞊さん。予想決たったら、自分が銬刞買いに行っおきたすよ」

    山䞋の台詞にドッず沞く店内。

    このゎミ野郎たで俺を芋䞋しおんのか
    お笑い芞人じゃねえんだから、四十八にもなっお匄られおネタにされ、笑っおるほど人間できおねえんだよ。

    目の前のラむタヌを奪い取り、タバコを吞うず無芖しおちかぞのの返事を打ち出した。

    小江戞号は本川越駅に到着する。
    俺は愚痎をこがしにダスのカガダカフェぞ向かった。

    どうしょうもない男のク゜みたいなルヌティン。


    二千二十幎二月二十二日、土曜日倧安。

    慌ただしいラッキヌハりス。
    今日を乗り切れば明日は暪浜だ。

    サトりセむゞが「赀厎さん、フェブラリヌステヌクス決たりたした」ず笑いながら聞いおくる。

    「ただ予想䞭です」
    「えヌ、教えお䞋さいよヌ」

    「予想䞭です」

    ポヌカヌフェむスに撀し淡々ず業務をこなす。
    倧人しくポヌカヌ黙っお打っおろ、メガネめ。

    䞀服䌑憩でタバコを吞っおいるず、枅原が薄ら笑いを浮かべながら近づいおくる。
    この男がこういう時はだいたい蚀う事が決たっおいるので、気付かないふりをしお携垯電話を眺めた。

    「店長、五䞇貞しお䞋さいよヌ」
    「嫌です」

    「䞉䞇でいいから」
    「嫌です。本圓の店長に頌んで䞋さい。俺は店長じゃないですから」

    こんなおぞたしい空間で働くぐらいなら、もっずちゃんず金を貯めお別の仕事を遞べばよかった。
    目の前にいる店内のゎミ集団。
    いや、ルルだけは別だ。
    圌女ず二人で逃避行したい気分だ。

    そう考えるず先立぀ものは金。
    確かにみんなから小銬鹿にされるほど、競銬ぞ金突っ蟌んでいるよな  。

    今幎に入っお䞉十䞀䞇負け。
    二月もただあず䞀週間以䞊あるのに。

    プロレスも駄目。
    ピアノは匟かなくなった。
    敎䜓も蟞めた。
    絵も描かなくなった。
    小説すら曞いおいない。
    総合栌闘技で戊えば負け。
    料理も䜜らなくなった。
    競銬も負け続き  。

    人から借金しおたでやらないだけで、そのぐらいしか利点ないんじゃないのか、俺

    䜕か倢も垌望も、気付けば䜕も持おなくなっおしたったな。

    しょうがない。
    リングの䞊に立ちたいず思っお必死に身䜓を鍛えた。
    でも埅っおいたのは汚い䞖界だった。

    小説を曞き始め、絶察に䞖に出すず誓った。
    文孊賞を取れ、本にしたたでは良かったのだ。

    だが印皎など入らず、裏皌業ぞ生掻苊から戻るきっかけずなっおしたった。
    無駄に幎だけ取り、その間様々な人間から利甚され、隙され、金を倱った。

    今では真面目に働いおいる぀もりが嘲笑の的。
    本圓に人間ずしおの䟡倀など、俺にあるのか

    九州のひろみからメッセヌゞが届く。
    ク゜、こんな時にし぀こいなあ  。

    䞭身を読むず、今日から新宿に来おいる
    䜕だ、あい぀は  。

    少しでいいから䌚いたい
    䌚う蚳ねえだろ

    『もう本圓に終わっおいる。それにおたえは旊那も子䟛もいるだろ。いい加枛自分の生掻をちゃんず振り返ろ。 岩䞊智䞀郎』

    圌女の為だ。
    もう浮぀いた心など今の俺には毛頭ない。

    続いおちかからの。
    俺は少しだけ気分が良くなり、明日暪浜ぞ行く事を䌝えた。

    さお、食事䌑憩の時フェブラリヌステヌクスの買い目を決めないずな。
    地方競銬でも負け続きのケむティブレむブが出おいるが、十六頭立おで十六番人気かよ。
    䞭倮競銬に来れば、か぀お地方の人気銬が最䞋䜍。
    なんかこの銬に自分のこれたでを被せおしたう。


    二千二十幎二月二十䞉日、日曜日赀口、倩皇誕生日。

    俺は暪浜の桜を芋ながら番ケむティブレむブず心䞭する事に決めた。
    いやいや、埅およ。
    石川雅之は咲きそうかもず蚀っおいたが、今日本圓に桜が咲いおいるのか
    ただ䞀応二月だぞ

    桜ずか本圓はどうでもいい。
    この腐った臭いのする新宿から、暪浜の朮の颚を嗅ぎに行くだけだ。

    ケむティブレむブから流すずしお、その堎合やはり人気銬を察抗に抌さえないず駄目だよな。
    䞉連単なんお絶察に無理だ。
    銬連ずワむド銬刞、これを軞から人気銬五頭ず぀買っおず  。

    「赀厎さん、フェブラリヌステヌクス䜕を買うんですか」

    橋本が携垯電話を芗き蟌んでくる。
    咄嗟に手で隠す。

    「芋せたせん」
    「軞銬䜕を買うかだけ教えお䞋さいよ」

    「ケむティブレむブですよ」

    俺の予想に橋本は口を抌さえ、肩を震わせながらホヌルぞ戻る。
    本圓にムカ぀く野郎だ。

    ようやく仕事が終わり、着替え始める。
    ずっずずこんな街出おいこう。

    「岩䞊さん、そんな急いでどこ行くんすか 飲みに行きたしょうよ」
    「おたえずなんか行かねえよ」

    俺は山䞋の尻を蹎飛ばしラッキヌハりスを出た。

    新宿駅ぞ向かう途䞭、スカりト通りを歩いおいるず携垯電話が鳎る。
    芋るずひろみからだった。

    「ふざけんじゃねえよ 䌚わねえっお蚀ったろうが」

    通行人が振り向くほど倧声を出しお電話を切る。
    本圓にし぀こい女だ。

    セブンスタヌに火を぀けながら、ふず品川春矎を思い出す。

    春矎からのメヌルを䜕床も読み返したあず、メヌルを打ち蟌んだ。
    『春矎、心しお返事しおほしい。む゚スかノヌ。俺が聞きたいのはどっちかなんだ。それぐらい真剣に聞いおいる。お茶を濁したような蚀い方はしないでほしい。俺は君の本心が聞きたいんだ。 岩䞊智䞀郎』
    もう䞀床りむスキヌを䞀気飲みしおから俺は、メヌルを返信した。
    目の前ぞある焌鳥をがっ぀きながら食べる。
    するず春矎からの返事が届いた。
    『ごめんなさい。岩䞊さんが私の気持ちを理解せず、そのような事を蚀うのなら、私たちもう逢わないほうがいいみたいですね。䜕かガッカリしたした。 品川春矎』
    携垯を持぀手が震える。
    䜕だ、このメヌルは  。
    䜕故、こうなるんだ
    俺が悪いのか
    違うだろう。
    春矎は䜕故こんな事を蚀っおくるのだろう。
    この間たでうたくやっおきたじゃないか。

    今でも思い出しおしたう、あの若かりし頃。

    俺は十歳幎の離れた春矎に察し、二十歳の誕生を祝った。
    そこたでは本圓に䞊手くいっおいたのだ。

    だが俺の䜙裕の無さがすべおをぶち壊しにしおしたう。

    情けないのを承知で䜕床も春矎ぞ瞋り぀いた。
    それでも俺は十幎以䞊諊められられなかったのだ。

    圌女の為に絵を描いた。
    圌女の為にピアノを匟いた。
    圌女の為に小説を曞いた。

    すべおが空回り。
    残っおいたのは虚しさだけ。

    そうか 、むラむラの根本的なものが理解できた。

    九州のひろみのあの粘着。
    あれはか぀お、俺が春矎にやっおいた事を今自分が同じようにされおいる。

    因果応報。
    倩に唟す。

    䞀方的な感情の抌し付け。
    俺はあの時春矎の気持ちなどたるで考えず、自分の事しか考えられなかった。

    ひろみはどうか
    俺は同じような道を圌女ぞ歩かせおいるんじゃないのか

    旊那も子䟛もいる。
    それなのに未だ心は俺に拘り匕きずっおいる。

    このたたじゃ亡霊になるだけ。
    ただあい぀の小孊生の子䟛たちは、そんな母芪を持っおどうなる
    他人の家庭だから、ぶっちゃけ俺には関係ない。

    だが、そんな亡霊のおかげで取り返しの぀かない事になっおみろ。
    今は亡き俺のお袋。
    小孊校二幎生の冬に俺ら䞉兄匟を捚おお出おいった。

    そんな俺に䜕が残った
    憎悪 、俺はずっず小説を曞くようになった䞉十二歳の時でも憎悪だけが膚らみ、それを反骚真に倉えた。

    因果は嫌な圢で続く。
    憎悪から生み出されたものなど、行き先は地獄しかない。

    駄目だろ、そんな人生を歩たせちゃ。
    ひろみを今䞀床説埗する矩務が俺にはある。
    䜕故なら䞀床は俺も関わっおしたったから。

    異性ずしおの魅力も奜意も䜕䞀぀ない。
    過去の自身のトラりマ。
    おそらくひろみを本圓の意味で説埗する事で、物色できるのではないか

    携垯電話をポケットから取り出し、ひろみぞ電話を掛ける。

    「今から暪浜ぞ行く。おたえも来たかったら、来おいいぞ」

    銬鹿なひろみは、俺の機嫌が盎ったものず勘違いしおはしゃいでいた。
    たあ電話じゃ䌝わないだろう。

    俺は新宿駅斜め向かいにある玀䌊囜屋曞店の地䞋ぞ入る。
    ファヌストキッチンがあったので、そこで埅぀ずメッセヌゞを入れた。


    たばらな店内。
    俺はハンバヌガヌのセットを持ち、入口近くの垭ぞ座る。

    日曜日の新宿の朝。
    歌舞䌎町ず違い、ファヌストキッチンは数名の客しかいない。

    タバコを吞えないのがネックだよな。
    早くひろみも支床しお、ずっずず来いっお。

    真っ赀なスヌツを着た男が入っおくる。
    䜕だ、コむツ
    俺が芋おいるず、その男も芖線が気になったのか振り向く。

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    2020/02/23 カズレヌザヌ ファヌストキッチン

    あれ、䜕かテレビで芋た事ある奎だな。
    確か挫才垫の奎だよな
    寺柀歊䞀のコブラの真䌌をしおいる奎。
    二千十四幎に終わった長寿番組『笑っおいいずも』のスタゞオがあったアルタ。
    あそこっお、ただ䜕かのテレビ番組のロケでもやっおんのか
    たあどうでもいいか。

    そういえばタモリの幎霢䞍詳コンテストに、ワンオン系列時代にあった『アリヌナ』の黒岩を出させた事もあったっけ。

    系列店のアリヌナの責任者䜐藀から、仕事終わったら来お欲しいず連絡があった。
    䜕でも新人でプロレスファンがいお、どうしおも俺ず䌚っおみたいらしい。
    アリヌナぞ行くず、倩然パヌマのメガネを掛けたデブの黒岩が嬉しそうに握手しお䞋さいず求めおくる。
    悪い気はしない。
    「アキレス腱固めっお痛いんですか」ずオドオドしながら聞いおくる黒岩。
    「完党に極めないけど圢だけ掛けおあげようか」ず蚀うず興奮しおお願いしたすず喜んでいる。
    客は䞀名もいない暇な店。
    俺が関節技を掛けるず短い手足をバタバタさせお苊しむ。
    その様子がツボにハマり、俺は毎日のようにアリヌナぞ顔を出し、その床䜕かしらの技を掛けお遊んだ。
    ある日番頭の䜐々朚さんから呌出され「岩䞊君、違う店の埓業員たで苛めに行っちゃ駄目だよ」ず怒られる。
    黒岩がチクったのだ。
    仕事垰りむラむラしながら西歊新宿駅ぞ向かうず、バむクがクラクションを鳎らしおきた。
    䜕だず睚み぀けるずバむクの男はヘルメットを取る。
    黒岩の顔が出おきた瞬間、俺は飛び蹎りを喰らわしバむクごず倒す。
    「テメヌ、䜕䜐々朚さんにチクっおんだよ、このガキ。おめヌが最初に技を掛けお欲しいっお蚀っおきたんだろうが」
    倒れる黒岩を足蹎にしおいるず、道路で枋滞しおいる車からクラクションが鳎る。
    さすがに迷惑なので俺は道端に黒岩を連れおいき怒鳎り぀けた。
    「どうしたら蚱しおもらえるでしょうか」ず蚀うので「今からアルタ行っお、笑っおいいずもの幎霢䞍詳コンテストに出おこい」ず蚀うず、圌は本圓にテレビに出お驚いた。
    五人の内䞉人は圹者を䜿ったダラセらしい。
    黒岩ずもう䞀人はそのたた自然に振る舞っおもらっおいいずプロデュヌサヌから蚀われたようだ。

    あの頃の俺はワヌルドワンの時だから、本圓にむケむケだったなあ  。

    番組のビデオテヌプを持っお俺のずころぞ来たから蚱したが、あのビデオどこぞやったっけ
    たああんな黒岩のようなデブ、関わりもないしどうでもいいか。

    そんな事を考えおいるず、赀いスヌツの挫才垫が持ち垰りのハンバヌガヌを受け取り出おいく。
    芞人もプラむベヌトで垞にあんな栌奜しながらファヌストフヌド来なきゃいけないなんお、因果な商売だよな  。

    時蚈を芋る。
    䞉十分経っおいるぞ。
    遅いよ、あい぀。

    もう䞀人でこのたた暪浜ぞ行くか。
    垭を立ち䞊がり片づけをしようずするず、ようやくひろみの姿が芋えた。


    関内駅からタクシヌで倧通り公園ぞ向かう。
    行き先は䞀぀。
    たずは倧奜きなスヌプカレヌの店『アルペンゞロヌ』。

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    2020/02/23 暪浜倧通り公園 アルペンゞロヌ

    萜ち着いた店で食事をしながら圌女をゆっくり話しながら説埗しよう。

    「あ、ちょっず埅っお。䌚瀟から電話入った。電話しおくるね」

    離れた距離で電話をするひろみを攟っおおき、向かいの倧通り公園を芋る。
    するず䞀本だけ桜が咲いおいた。

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    2020/02/23 暪浜倧通り公園 アルペンゞロヌ前の桜

    以前この近くに䜏んでいた俺を歓迎でもしおくれおいるのかよ。
    緑に芆われた䞭の䞀本だけ開花した桜を芋お、そんな颚に思う。
    戻っおきたんじゃなく、䞀瞬だけ遊びに来ただけだ。
    返答のない桜ぞ向かっお心の䞭で話し掛ける。

    日替わりカレヌを泚文するず、チキンカレヌのようだが、以前俺が頌んだものよりも肉がカットされおいお、時代の流れを感じた。
    昔は鶏䞀枚䞞ごず䜿っおいたのにな。

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    2020/02/23 アルペンゞロヌ キチンカレヌ

    「これ、本圓に矎味しいねヌ」

    圓たり前だ。
    この近蟺で䞀番お気に入りのカレヌ屋なのだから。

    俺ずの関係が戻ったず勘違いしながらハむテンションのひろみ。

    もう心も䜕も無い。
    おたえには旊那も子䟛もいる。
    だから俺の事は忘れろ。

    圓たり前の事を淡々ず䌝えた。

    旊那には醒めおいる。
    子䟛たちの事はもちろん倧事にしおいるが、俺を忘れられないずいう圌女。

    「いいか おたえがすべおを捚おおきおも、子䟛を捚おた俺の母芪ず同じずいう事で、俺はおたえを軜蔑する。仮に子䟛ず䞀緒に来おも、俺が生んだ子䟛ではない。だから四十八になっおそんな重荷を抱えるのは嫌だ。それにおたえを異性ずしお奜きになる事はない。だから本圓に諊めろ」

    厳しい蚀い方だが、誠意は蟌めた。

    「でも、今は智チンず䞀緒でデヌトだっちゃ」

    「  」

    この女は本圓に銬鹿だ。
    頭が悪過ぎる。
    もしくは無理に明るく振る舞っおいるだけか
    たあいい。
    今日の暪浜だけだ。
    それで終わり。

    昚日の倕方から眮きっ攟しで新宿で働き、暪浜ぞ来お昌過ぎ。
    さすがに睡魔が襲っおくる。

    アルペンゞロヌを出るず、俺は暪浜時代よく行ったタむ匏マッサヌゞぞ行っお眠るから垰れず䌝えた。
    甚件は枈んだのだ。
    もう必芁以䞊に䞀緒にいおも仕方ない。

    「こんな知らん土地に䞀人残されおも困るっちゃ」

    考えおみれば確かに俺が犏岡ぞ行き、いきなり宮厎県たで連れお行かれ食事しおあずは勝手に垰れじゃ困るよな  。

    「じゃあ䌊勢䜐朚モヌルっお長い商店街を玹介するから、そこで時間朰しおいろ。俺は猛烈に眠いからマッサヌゞしお寝るから」

    ブツブツ蚀うひろみを䌊勢䜐朚モヌルぞ眮き去りにしお、タむマッサヌゞ『花』ぞ向かう。
    俺は二時間コヌスを頌み、そのたた睡魔の波の飲み蟌たれた。

    身䜓を揺さぶられ起こされる。
    珍しく店は客埅ち状態で、郚屋が空いおないようだ。

    時刻は䞉時過ぎ。
    マッサヌゞのママに寝おしたった非瀌を詫び、店を出る。

    ひろみぞ電話しお、俺は暪浜駅根岞道路沿いにあるパチンコキコヌナぞ行く。
    俺がこの土地に来た時ゲンのいいパチンコ屋。
    フェブラリヌステヌクス発走たで、ここで時間を朰そう。
    もちろん遞んだ台はシンフォギア。

    ちかからが届く。
    暪浜で楜しんでいる内容ずアルペンゞロヌのカレヌの写真を送った。
    もちろん面倒なので、ひろみが䞀緒にいる事は䌏せる。
    本圓ならちかず䞀緒に来たかったよず、最埌に添えおおく。

    䜕床もひろみから電話が掛かっおきお、その床䞀旊パチンコを䞭止しお倖ぞ出お話す。
    あの店内の隒音の䞭での䌚話は無理だった。

    「だから俺の居堎所は䌝えただろ 䜕床も電話しおくんじゃねえよ。分からないなら関内駅から䞀人で垰れ」

    恋人でも䜕でもないのだ。
    俺は暪浜ぞ遊びに来ただけ。
    ひろみぞそこたで芪切に接する意味合いはない。

    それにしおも回らなくなったシンフォギア。
    金が枛っおいく䞀方だ。
    もうこれで垰ろうかな  。

    あ、フェブラリヌステヌクスそろそろ終わり、結果が出おいるだろ。
    俺は携垯電話でレヌスの結果を確認した。

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    2020/02/23 フェブラリヌステヌクス 結果

    あれ、圓たっおいる
    六䞇五千六癟円賭けお、十四䞇二千八癟䞃十円になっおいるぞ。

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    2020/02/23 フェブラリヌステヌクス 買い目

    ヌの銬連ずワむドが䞉癟円ず぀圓たっただけで、十四䞇になったのか

    ケむティブレむブ、頑匵っお二着に来たのかよ
    番のサンラむズノノァも、単勝䞉番人気なんだから、䞉着に来るなら買っおおけばよかった。
    たあ埌の祭りか。

    俺の買い目は、䞀着二着四着。
    たあいいか。
    ズバリたではいかないが、取ったぜフェブラリヌステヌクス
    芋たか、ラッキヌハりスの銬鹿共め。

    しかし最終オッズで芋おみるず、四着ハナ差で負けた番ワンダヌリヌデルが、もし䞉着に来おいたら、䞉連単オッズで、癟円の銬刞が五千二癟䞃十九䞇。
    俺は各䞉癟円買っおいたから  。

    䞀億五千䞇取れおたのになあ

    この事を悔しくおフェむスブックぞ投皿するず、すかさず䜐藀バンさんがコメントをしおくる。

    『䞃十六䞇。千九癟五十掛ける䞉だよ。 䜐藀 盎暹』

    桁が䞉぀も違うじゃん。
    俺、銬鹿な事曞いおしたったなあ。
    考えおみれば、最䞋䜍人気のケむティブレむブが絡んだから䞇銬刞になっただけで、あずは䞀番人気のモズアスコットず䞃番人気のワンダヌリヌデルだもんな。
    いくら䞉連単ずはいえ、五千䞇䜕お配圓぀く蚳がないのだ。
    それにそもそもこの組み合わせは来おいないし  。

    高揚感ず萜胆二぀の波に揺られながら䞀喜䞀憂しおいるず、背埌から肩を叩かれる。
    振り向くずひろみだった。


    暪浜橋商店街を歩く俺。
    あずから぀いおくるひろみ。

    蚀いたい事は、アルペンゞロヌの時点ですべお圌女ぞ䌝えた぀もりだ。
    今日だけお気楜モヌドなのかどうかは知らない。
    あずはひろみ自身の問題なのだから。

    競銬で勝った䞊機嫌な気分が埐々に枛っおくる。

    「なあ、駅たでは送るから、もう垰りなよ」
    「嫌だ」

    「あっそ  」

    俺は商店街の䞭にあるパチンコ屋スキップぞ入る。
    他の堎所を回りたいずいうひろみを無芖しお、シンフォギアぞ座った。

    最初の五癟円でいきなり圓たる。
    どんどん連荘しお継続し、俺はすっかり䞊機嫌になった。

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    2020/02/23 暪浜橋商店街SKIP シンフォギア

    「オタクっお蚳じゃないのに、䜕でこんなアニメの女の子でそんな喜んでいるの」
    「うるせヌ 俺はこの緑の切歌が䞀番奜きなの。デスデスデヌス ほら、たた来たよ」

    「このアニメが奜きなの」
    「アニメなんお芳ねえよ。パチンコでしか芋た事ない」

    「はあ 、智チンの頭の䞭さっぱり分からんわ  」

    気が付けば䞀䞇発オヌバヌ。
    郜内ず違い暪浜は等䟡亀換だから四䞇五千円になった。

    パチンコどころかギャンブルを䞀切した事がないずいうひろみぞ、換金所で換えさせに行かせおみる。
    四䞇円を受け取り、五千円はチップ代わりにあげた。

    今日っおひょっずしお䜕だか凄い日
    たるで去幎の十二月にパチンコ買っお、地方競銬買っお、けいこず䌚っお、有銬蚘念圓たったような怒涛の快進撃が䞀気に来おいる感じだ。

    たあこういう時は近くにいる人間には幞せのお裟分けをしないず眰が圓たっおしたう。
    前回はそれでうな重を萜ずしおしたい、倱敗したけどね。
    䞀応競銬取ったし、シンフォギアも勝ったし、ちょいず莅沢すっか。

    「せっかく暪浜ぞ来たんだ。矎味いものご銳走しおやるよ」

    タクシヌを捕たえトンカツ屋の長八ぞ向かう。

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    2020/02/23 トンカツ長八 鰺䞞ごず䞀匹フラむ

    鰺䞞ごず䞀匹フラむを぀たみに酒を飲む。

    そうだ。
    野毛の近くたで来たのである。
    俺は久しぶりにフレンチワむズぞ電話を掛けた。

    「お久しぶりです、新宿の岩䞊です。よろしければこれから二名で䌺っおもいいですか」
    「ええ、どうぞどうぞ。お埅ちしおおりたす」

    俺はひろみを連れ、久しぶりのフレンチワむズぞ向かう。
    ワむンをテむスティングし、フルコヌスを堪胜した。

    たずは前菜であるチヌズ、鶏、牡蠣の䞉皮類の燻補。

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    2020/02/23 フレンチY’s 䞉皮類の燻補チヌズ、鶏、牡蠣

    「ひろみ、おたえこれ食えよ」

    そう蚀いながら俺は苊手な牡蠣を枡す。

    ゚ゟシカず癜レバヌのテリヌヌ。
    本来レバヌも苊手で食べられないが、䞍思議ず加藀シェフの䜜る料理だず䜕ずか食べられる俺。

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    2020/02/23 フレンチY’s ゚ゟシカず癜レバヌのテリヌヌ

    セロリのポタヌゞュ。
    野菜の䞭でも嫌いな郚類のセロリ。
    だが、あの苊いむメヌゞもシェフに掛かればこの通り普通に飲めおしたう。

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    2020/02/23 フレンチY’s セロリのポタヌゞュ

    さわらのポワレ。
    皮たでパリパリに焌けた䞊品なトマト゜ヌスを䞋に匕いた魚料理。
    食べる事にここたで感謝を芚える事も、䞭々ない。

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    2020/02/23 フレンチY’s さわらのポワレ

    メむンディッシュの鎚のテリヌヌ。
    俺にずっお最高玚のレストランワむズ。
    やはり突然であるが来る決断をしお良かった。
    心からそう思う。

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    2020/02/23 フレンチY’s 鎚のテリヌヌ

    食埌のデザヌトであるチョコレヌトケヌキ。
    これはひろみぞあげよう。

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    2020/02/23 フレンチY’s チョコレヌトケヌキ

    ぀い時間を空けおしたう非瀌を詫びるず、加藀シェフ倫劻は笑顔で来店しおくれた事を玠盎に喜んでくれる。

    䜕床でも蚀いたい。
    ここは最高のレストランだ。

    時刻は倕方䞃時。
    ここたで来るず、目ず錻の先にある犏富町の平田の店も寄りたくなった。
    今日は岩䞊智䞀郎ずいうりィナヌが暪浜ぞ凱旋しおいるのだから。

    今幎元旊にもあった元同僚平田の店『皀』。
    そしお暪浜ぞ来る床高確率で寄っおしたう激安居酒屋『楜』。

    これでむンタヌコンチや石川雅之たで加われば、俺にずっおのザ・暪浜になるなあ。
    现かい事を蚀えば、むタリヌノやトゥルヌビル、第䞀亭など掋食屋も挙げればキリがなくなるが、さすがに腹がいっぱいだ。
    麊草の癟合は元気でやっおいるだろうか

    終電に間に合わなくなるので関内駅ぞ向かう。
    これだけ散財しおただプラス。
    䜕だかたた䞀぀暪浜ずいう土地に救われおしたった。

    たた明日から新宿のい぀もの䞀週間か。
    俺がケむティブレむブを軞ずいうの知っおいるから、出勀したらラッキヌハりスの銬鹿共どんな顔をするのだろう。

    湘南ラむンで新宿ぞ垰る時、昔を思い出す。

    䜓重六十五キロの時点でレスラヌになるず宣蚀した時、癟人䞭癟人ずも倧笑いされた。
    だが䞀幎二幎ず身䜓を鍛錬し積み䞊げ、プロテストに受かった時は誰䞀人笑わなくなった。

    䞉十歳を過ぎおから䞀人の女の為にピアノを匟くず蚀った時も笑われた。
    だが川越垂民䌚通でドビュッシヌ䜜曲月の光を匟き終えた俺に察し、笑う人間は誰もいなかった。

    䞉十二歳で初めお小説を曞き出した俺を軜蔑するような目で銬鹿にする人間はいた。
    だがそんな新宿クレッシェンドが賞を取り本になった時、面ず向かっお笑う人間は誰もいなくなった。

    珟状を振り返れば成功などしおいない。
    もうすべお倱ったただの過去。

    しかし俺は圓時それだけに集䞭し、誰よりも努力したからこそ結果が぀いおきたのだ。
    今回趣は違うものの、地方競銬で萜ちぶれ぀぀あったケむティブレむブを自身に重ねた。

    本圓に良かったよ、二着ずはいえ、しっかり来おくれお  。

    すっかりご機嫌なひろみは暪で䜕か話し掛けおいるが、どうでもよかった。
    圌女は俺が暪浜ぞ行く予定だった時に、たたたた割り蟌んできたノむズに過ぎないのだから。

    「ねえ、今日連れお行っおくれた店。智チンの倧事な店ばかりだったんじゃないの」

    「  」

    考えおみればその通りだ。
    アルペンゞロヌのスヌプカレヌ。
    か぀お二幎䜏んだ思い出の暪浜橋商店街。
    トンカツの長八。
    最高のフレンチワむズ。
    平田の皀。
    楜のマスタヌ。

    䞖話になった䞋陰さんなど元気で暮らしおいるのだろうか
    俺は様々な人たちによっお生かされおきたのだ。

    あ、肝心の倧岡川の桜を芋るの忘れた  。

    新宿駅ぞ到着し、ひろみぞ自分のホテルぞ垰れず蚀っおも぀いおくる。
    ちょうど西歊新宿線の最終は行っおしたった。

    「智チンだっおもう川越に垰れないんでしょ だったら私のホテルぞ泊たればいいのに」

    䜕床断っおもし぀こいひろみ。
    睡魔ず酔いで面倒臭くなり、圌女の宿泊するホテルぞ向かう。

    か぀お俺が奜んで通った今は亡きレストランいづみの方向ぞ歩き、奥にあるシティヌホテルぞ着く。
    近くにあったピザ屋で二枚焌いおもらい、コンビニ゚ンスストアでダングマガゞンの衚玙を芋るず、朚倚康昭の挫画『喧嘩皌業』だったので賌入。

    たたコむツも真面目にようやく描き始めたのか。

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    2020/02/23 ダングマガゞン 喧嘩皌業

    この挫画、かなり奜きなのに肝心の䜜者の朚倚が怠け者だからなあ  。

    確かに面癜い挫画を描くのは認める。
    だがただ党然トップレベルに食い蟌んでいないくせに、蚀い蚳をしおは䌑茉ばかりの朚倚。
    同じ䜜品を䜜る者ずしお、軜蔑をしおいた。

    いや、それを蚀ったら俺など二千十䞀幎から小説を曞いおいないじゃないかよ。
    人の事蚀えるのか

    蚀える
    俺にファンなどいない。
    だが、朚倚にはいる。
    俺を始めずしお数倚くのファンが。

    ぀たり䜕が蚀いたいのか

    始めは小説家にしおも挫画家にしおも、䞖に出たい、自分の䜜品を芋おほしいずいう抂念は同じなはず。

    才胜の無い俺ず違い、朚倚は奜きな挫画で食えおいるのだ。
    それを少し人気出た皋床で、䜕を勘違いしおいるのだろうず蚀いたい。

    期埅する読者ぞ、䜕故䌑茉が倚いのか。
    その説明をする矩務が䜜り手にはあるず思う。

    ギャグで私には隕石萜䞋ずいう切り札があるずお茶らけるのもいいが、本道はそこではない。
    描きたいから描き、䜜品にしお売れた堎合、䜜り手には責任が発生するのだ。

    正盎朚倚を矚たしく思う自分がいる。
    だからこそ䜙蚈に腹立たしいのだ。

    い぀たでもファンは埅っおいないぞ
    無くしたものをあずになり埌悔したずころで、二床ずそれは戻っおこれないんだぞ

    たあ、ようやく連茉開始したのだ。
    俺は読者ずしお出されたおかずを黙っお食べればいいか。

    ひろみのホテルぞ入る。
    倧はしゃぎの圌女を芋お、遞択を間違えたなあず思いながら歩いた。


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