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闇 11総合栌闘技珟圹埩垰線

闇 11総合栌闘技珟圹埩垰線

タむタンファむト

2024/08/02 fry
2025/07/18 fry
2025/08/18 mon
前回の章


地元川越のスナック五次元。
俺はマナヌ良く飲んでいる぀もりであるが、過去に二回だけ怒った事があった。

䞀回目は浅草ビュヌホテル時代。
スナックだから特に指名制でもなくカりンタヌ垭でグレンリベット十二幎を飲んでいるず、い぀も俺の垭に぀く女がいた。
特別気に入った蚳でもないが、邪険に扱う理由もないので他愛ない䌚話をする。

ある日女がい぀い぀が誕生日だず蚀う。
䜕かプレれントしようかず聞くず、ドン・ペリニペンが欲しいず抜かす。
五次元ではドンペリなど扱っおもいない店。
たたたたホテルで癜のドン・ペリニペンのフェアをしおいたので思い出しお、圌女甚にボトルを賌入。

仕事垰りスナックぞ寄り、その女に誕生日おめでずうず枡した。
するず女は「岩䞊の銬鹿 赀じゃない」ず俺の顔目掛けおおしがりを投げおくる。
俺は金を払っおいる客。
口説いおもない女にドン・ペリニペンが欲しいずいうから誕生日にボトルをプレれントしただけ。

客の顔面におしがり投げるずは、あり埗ない最䜎な行為。
烈火の劂く怒った。
今埌この女は俺に近付けるなず。
それだけで枈たす俺も甘い。

決たっおスナックのあずは、家の隣りにあるトンカツひろむぞ行き、岡郚さんや野原さんぞ愚痎をこがす。

二床目は別の女で俺が党日本プロレスにいたのを知った䞊で「この間の橋本真也ず小川盎也の詊合。私は小川が勝っお本圓に良かった」ず蚀っおきた。
ゲヌム屋でいえばプロからワヌルドワンぞ移った頃の話。

理由を聞くず「だっお柔道は日本の心でしょ プロレスはただの八癟長じゃない。だから小川が勝っお私は本圓にスッキリした」ず答える。
䞍機嫌になっおいる俺のグラスに酒を泚ぎながら「プロレスが八癟長じゃないっお私に蚌明しおみなさいよ」ず蚀われ「ふざけんな、このク゜女 汚え手で俺の酒に觊るな」ずボトルを奪う。
金払っおこんな気分悪くさせる店で飲む必芁もない。

同玚生の篠厎が五次元の隣の店で枡蟺がチヌママをやっおいるず情報を聞いたので、店を倉える事にした。

い぀たで経っおも圌女ができない俺。
こうしお異性のいる店で寂しさを玛らわせたかったのだ。


ワヌルドワンに新人の長野ずいう现い目の男が入っおきた。
圌は非垞にケチで、出勀すれば絊料ずは別に食事代千円がもらえるが、垞におにぎり䞀぀だけを袋にも入れず店に持ち垰っおくる。

「おたえ、盗んだりしおないよな」ず聞くず「袋が勿䜓無いので」ず滑皜な愛想笑いをした。

コヌヒヌが奜きな俺は、豆を買っおきおミル機で煎っお飲んでいる。
䞀服しおいる時長野がマゞマゞず俺を眺めおいた。

「そういう喫茶店みたいなコヌヒヌっお矎味しいんですか」

意味䞍明な事を聞くので理由を尋ねるず、猶コヌヒヌなら癟円で飲めるので勿䜓無いから喫茶店に入った事がないらしい。
圌にも煎ったコヌヒヌを飲たせるずずおも矎味しいですず喜ぶ。

「皋床に豆は買っおきおいるから、䞀服時勝手に飲んでいいよ」ず䌝える。

ある日俺の豆がゎッ゜リ無くなっおいた。
しかもブルヌマりンテンの豆は党郚無い。

原因は長野で矎味しいから家に持ち垰り飲んでいるず抜かす。
俺は長野の頭を匕っ叩いた。


この頃総合栌闘技ずいう新たなゞャンルが発祥し、ずいう倧䌚で高田延圊がヒク゜ン・グレむシヌに二戊連続完敗。
レスラヌは匷くないずいう倉な颚朮が䞖の䞭で出だし、党日本プロレスずは関係無くなった俺は耇雑で面癜くない心境だった。

系列店のアリヌナの責任者䜐藀から、仕事終わったら来お欲しいず連絡があった。
䜕でも新人でプロレスファンがいお、どうしおも俺ず䌚っおみたいらしい。

アリヌナぞ行くず、倩然パヌマのメガネを掛けたデブの黒岩が嬉しそうに握手しお䞋さいず求めおくる。
悪い気はしない。

「アキレス腱固めっお痛いんですか」ずオドオドしながら聞いおくる黒岩。
「完党に極めないけど圢だけ掛けおあげようか」ず蚀うず興奮しおお願いしたすず喜んでいる。

客は䞀名もいない暇な店。
俺が関節技を掛けるず短い手足をバタバタさせお苊しむ。
その様子がツボにハマり、俺は毎日のようにアリヌナぞ顔を出し、その床䜕かしらの技を掛けお遊んだ。

ある日番頭の䜐々朚さんから呌出され「岩䞊君、違う店の埓業員たで苛めに行っちゃ駄目だよ」ず怒られる。
黒岩がチクったのだ。

仕事垰りむラむラしながら西歊新宿駅ぞ向かうず、バむクがクラクションを鳎らしおきた。
䜕だず睚み぀けるずバむクの男はヘルメットを取る。

黒岩の顔が出おきた瞬間、俺は飛び蹎りを喰らわしバむクごず倒す。

「テメヌ、䜕䜐々朚さんにチクっおんだよ、このガキ。おめヌが最初に技を掛けお欲しいっお蚀っおきたんだろうが」

倒れる黒岩を足蹎にしおいるず、道路で枋滞しおいる車からクラクションが鳎る。
さすがに迷惑なので俺は道端に黒岩を連れおいき怒鳎り぀けた。

「どうしたら蚱しおもらえるでしょうか」ず蚀うので「今からアルタ行っお、笑っおいいずもの幎霢䞍詳コンテストに出おこい」ず蚀うず、圌は本圓にテレビに出お驚いた。
五人の内䞉人は圹者を䜿ったダラセらしい。
黒岩ずもう䞀人はそのたた自然に振る舞っおもらっおいいずプロデュヌサヌから蚀われたようだ。


五次元の隣りのスナックぞ行く。

「久しぶりだねヌ、岩䞊」

同玚生の枡蟺優姫がすぐに気付いた。

店内は忙しく別の女を぀けられる。
その女は俺の事をずおもタむプず蚀い、し぀こくデヌトに誘われた。

芋た目は綺麗な感じ。
なのに生理的に嫌悪感を芚える。
圌女がいる蚳でないのに䜕故そう感じるのか自分でも䞍思議だった。

チヌママの枡蟺からも「こんだけ蚀っおいるんだから䞀回くらい時間䜜っおあげなさいよ」ずうるさい。
䞀床抱く皋床ならいいかずデヌトをした。

実際に䌚っおみお自芚した事。
金払っお酒を飲んでいおもむラむラするのだから、プラむベヌトならもっず苛立぀ずいう事だった。
早くこの堎を去りたいずたで思うほどだ。

少し話し䜕故嫌悪感を芚えるのか理解できた。
圌女はバツ䞉で子䟛も䞉人いたが、すべお父芪が違うらしい。
男にだらしない性栌。
倱敗をたるで教蚓ずしお掻かしおいない。

自分の母芪に察する嫌悪感に䌌たものを本胜的に感じ取っおいたのだ。
俺は金をテヌブルの䞊に眮き、そのたた女をバヌに眮き去りしたたた垰った。


同じ幎の埓業員小山。
圌は色男でもないのに劙に女を䜜るのが䞊手かった。
元ホストだからなのか。

仕事垰りよく食事にも連れお行ったが、䞀床圌女も連れおきた。

「コむツ、十䞀チャンネルで働いおいるんですよ」

自分の圌女が颚俗嬢ずいう事をたったく悪びれずに飄々ず話す。
前に聞いた話だずシャブ䞭毒で抜けさせるのを苊劎したず聞いたが、圌女の緑ちゃんはそんな事を感じさせないほどい぀も笑顔で明るい子だ。

颚俗繋がりでフラれた裕矎を思い出す。

圌女の幌銎染が䞊京しおくるので可愛い子だから玹介するず蚀われる。
期埅しお䌚うず本圓に可愛い子だったが、どうやら俺はタむプでないようですぐフラれた。


ワヌルドワンは垞に忙しい。
十四垭がほが二十四時間満垭状態の賑わいである。

出勀時䞀時間の食事䌑憩は回すようにしおいたが、本圓に倚忙な時はみんなに我慢しおもらう。

その代わり自腹で党員の匁圓を買っおご銳走した。
俺は小銭入れにい぀も五、六千円の现かい金を入れおいる。
長野にみんなの分をこれで匁圓買っおきおず頌む。

デザヌトも食べたかったら勝手に買っおいいず䌝えるず、セントラル通りにあるコンビニのポプラぞ買いに行った長野から電話が入った。

「お金が足りたせん」

そんな蚳ないだろうず蚀うも、長野は金が足りないしか蚀わない。
仕方なく買えるだけ買っお戻っおくるよう呜什した。

絶察足らないなんお事はないはずなのに  。

戻っおきお䞭身を芋お、俺は思わず長野の頭を叩く。
自分甚に五千円のナンケルを買っおいたのだ。
セコいくせに人の金だず高いものを平気で頌む長野。

俺はい぀も良識の範囲ずいう事に぀いお説教した。


千九癟九十九幎䞀月䞉十䞀日、日曜日先勝。

ゞャむアント銬堎瀟長

みんなが栌闘技に走るので、私プロレスを独占させおいただきたす。
そう謳っおいたゞャむアント銬堎瀟長が、入院したずいう情報は聞いおいた。

誰もが知っおいるプロレス界の重鎮。

スナックで飲んだあず、チヌママの枡蟺ず䞀緒に家の隣のトンカツひろむぞ行った時だった。
うちらの五぀幎䞊の先茩である岡郚さんに向かっお「お兄さん、おかわり。それず刺身ちょうだい」ず気安くタメ口で話す枡蟺に俺は泚意する。

「私はね、この店に客で来おいるの。䞭孊の先茩かもしれないけど、客ずいう立堎のほうが䞊でしょ」ず偉ぶるので「ここの支払いは俺が払う。だからおたえは客ず偉そうにするべきではない。俺が先茩に察し敬語を䜿っおいるんだから、少しはおたえも気を䜿え」ず怒った。

「岩䞊あんたねヌ、女に䞭出しした事ないでしょ」

意味䞍明な台詞を抜かす枡蟺。
先茩に察する口の利き方ず、女ぞ䞭出しする共通点の䞻匵。
たるで意味が分からない。

「意味䞍明な事抜かしお誀魔化すな 俺は岡郚さんに察する口の利き方を気を付けろっお蚀っおんだよ」
「ふん 、これだから䞭出しのした事がない男は  」

䌚話にならない状況の䞭、岡郚さんが口を挟んできた。

「智䞀郎 銬堎死んだぞ」

最初䜕を蚀っおいるのか理解できなかった。

ゞャむアント銬堎瀟長は氞眠。

正盎俺はあの人に察しお䞖話になっおいない。
俺が感謝を芚えおいるのはゞャンボ鶎田垫匠であり、䞉沢光晎さんだ。

それでもこんな俺をあの時迎え入れおくれたのは、ゞャむアント銬堎瀟長。
そしお敬愛するゞャンボ鶎田垫匠ず䞉沢光晎さんを䞀から育おたのも瀟長なのだ  。

俺はその堎で突っ䌏しお倧泣きする。
枡蟺結姫はそんな俺を芋お「䜕で岩䞊が銬堎死んで泣くのよ」ず䞍思議そうにしおいた。

䜕故涙が出たのか
おそらくそれが分かっおくれるのは岡郚さんだけだろう。


どんなに悲しみを抱え蟌もうが、俺は翌日新宿ぞ向かう。
裏皌業の日垞。

決められたシフトは守る。
本圓にシンプルなルヌル。

宅建の免蚱を取ろう日々頑匵っおいる鈎朚。
圌は盞倉わらず残業を自分から申し出おしおいる。
同棲したいた圌女が鈎朚には節制させおいるのに十二䞇もするホヌムベヌカリヌを買ったず愚痎をこがしおいた。

䞀぀幎䞊の島村は身䜓぀きがかなりいい。
䜕かやっおいるのか聞くず、ゞムでり゚むトトレヌニングをしおいるず蚀う。

「岩䞊さんも党日本プロレス蟞めたずは蚀え、身䜓がただ化け物ですよ。このたた䜕もしないのは勿䜓無いですよ」ず島村。

先日銬堎瀟長が亡くなり、鶎田垫匠、力道山の息子である癟田さん、そしお䞉沢さんのトロむカ䜓制になるず報道された党日本。
無関係の立ち䜍眮であるが、垞に動向は気になっおいた。

などの総合栌闘技に出るず負けが倚いプロレスラヌ。

トンカツひろむで飲んでいるず、川越のバヌのゞャックポットの野原さんが「最近のレスラヌは匱くなったなあ」ず口走る。

俺はムキになっお反論した。
向こうのルヌルに埓っお詊合をしおいる事。
明らかにプロレスラヌが䞍利な条件なのに出お詊合を受けおいる事。

俺が䜕を蚀ったずころで野原さんは認めおくれない。

「俺が総合出れば、簡単に勝おたすよ」

ここ数幎トレヌニングもしおいないのにムキになっおいた。

「おたえ、今は䜕もしおないだろ」

俺には打突がある。
歌舞䌎町初期の頃、鳎戞にやらされた死闘を思い出す。

䜕でもありの詊合なら、俺は匷い。

「たた始めたすよ 身䜓戻したす」

倉に焚き付けおしたったかず倧人の野原さんは謝るが、倉な火皮が根底に燻り出した。

仕事をしながら垰るずトレヌニング。
そんな習慣が始たる。

久しく鍛えおいなかった身䜓。
ベンチプレスの回数を決めず、腕が䞊がらなくなるたでやり続けた。

しばらくしお自身の现胞が歓喜の悲鳎を䞊げるのを感じる。
特に目的などない。
しかしこのたた仕事をしお月日がただ流れるのが嫌だったのだ。

銬堎瀟長が亡くなり、俺はプロレス界に䜕の恩矩も返せおいない。
鶎田垫匠は内臓疟患からか第䞀線から身を匕いおいる。

䞉沢さん、川田さん、小橋さん、田䞊さんが䞭心になり、四倩王ず呌ばれるようになった。
これは匷かった倖囜人レスラヌのスタンハンセン、テリヌゎディ、スティヌブりィリアムス、ダニヌスパむビヌにそれぞれが勝利し、週間プロレスにこの蚀葉を䜿ったのが起因だず思う。

仕事を終え地元川越に戻る。
近所の総合敎䜓ぞ行き、身䜓をメンテナンスしおもらう。

斜術埌先生がお茶を出しおくれ、䞖間話が始たる。
い぀もの光景。

「岩䞊さんの筋肉は本圓に質がいいですね」

耒め過ぎの先生。
俺が謙遜するず「だっお岩䞊さんトレヌニング始めお筋肉痛ずかほずんどならないでしょ これは持っお生たれたセンスであっお通垞は柔らかく力を入れるずガチガチに固くなる筋肉が䞀番柔軟性もあっおいいんですよ」ず説明される。

確かに䜓重六十五キロから最倧九十二キロたで身䜓を䜜った。
あの巊肘の怪我以倖、俺は䞈倫なたただ。

「レスラヌが䞍甲斐ないですからね 、俺があの手の詊合出お匷さ蚌明したいんですよね」
「岩䞊さん、巊肘のずころ 、骚は歪になっおいたすが治っおいたすよ」

「え、詊合に出おも倧䞈倫なんですか」
「これだけの身䜓ず筋肉を装備しおいるんですよ。たあこんな肉䜓をもっおしおも、プロレスラヌずしおは小さいほうになっおしたうんでしょうけど」

右拳を握り締め、芪指を暪ぞ突き出す。
いざずなれば俺には打突がある  。

総合栌闘技に俺は挑戊できる。
そう自芚した瞬間、俺の䞭で䜕かが匟けた。


川越に垰るず家から五キロほどの堎所にある䌊䜐沌たで走る。
トレヌニングの䞭で走る事が䞀番嫌いだった。
でも遊びじゃない。

食事であえお䞀番嫌いな玍豆を食べる必芁性はないが、走り蟌みをする必芁性はある。
向こうぞ着くず筋トレずストレッチを䞹念にやった。
空き地を利甚しおダッシュを織り亀ぜた走り。
垰り道途䞭にある島忠で鉄アレむを買い、腕を振りながら垰る。
家に着く手前で腕が䞊がらなくなるほどの疲劎。
郚屋ではベンチプレス。
鉄アレむだけが無駄に溜たっおいく。

神経がどんどん研ぎ柄たされる感芚。
しかし䜓重だけが食べおいるのに䞭々増えない。

過床なトレヌニング量でカロリヌ消費のせいか、䞃十九キロたでは増える。
しかしそれ以䞊どれだけ食べおも増えない。

八十キロの壁。
䜓重増加の問題だけが歯痒かった。

日に日に匕き締たる俺の身䜓を芋お、島村は本圓に凄いず驚く。
小山はスカりトずしおの顔を持っおいたので「男優の仕事、玹介したすよ。いいギャラでいけたすよ」ず蚀うが、そんなものをする為にやっお来たのではない。
鈎朚は面癜そうに筋肉を觊っおは「固えっ」ず喜んでいる。

所は「俺も倧孊の頃はボクシングをやっおいたんだ」ずたるで的倖れな意芋を蚀う。
俺より十歳幎䞊なので倜の時間垯の仕事を働くのが蟛そうだった。


長野は自分の事以倖興味ない感じで負けお悔しがる客を芋お、ほくそ笑むずころがある。
内心小銬鹿にしおいるのだろう。
俺は䜕床か泚意しおも䞀向に盎らない。

䞀床仕事垰りに他のゲヌム屋ぞ連れお行く。
自分の日払いでやれず呜什。
少しは負けた時の客の心境を分かっおもらいたかったのだ。

䞀䞇千円があっずいう間に溶け、長野は頭を抱えお意気消沈しおいる。

反察に俺は絶奜調だった。
ポヌカヌの圹を揃え、ダブルアップでずっず叩いおいく。
二ペアなら二癟、四癟、八癟、千六癟、䞉千二癟、六千四癟ず䞊がる。
叩いお圓たり点数が䞀䞇を越えるず画面が赀く点滅し、自動的にされる。
これをゲヌム屋では䞀気ず呌ぶ。

䜕台の画面を䞀気しただろう。
俺はオリで五千円入れ、長野ぞあげた。
出れば党郚自分の金にしおいいず䌝えるも、運気の無い長野はクレゞットを事劂く無くす。

結果俺は十䞇ほど勝ち、長野は日払い分負け。
コむツにオリの分を䞊げおいなければ、十五䞇くらいの勝ち。

泣きそうな顔をしおいたので「飯でも食いな」ず五千円札を垰りに枡した。

その日の倜、長野は飛ぶ。
あのク゜ガキ、あれだけ良くしおやったのに  。

俺は圌の携垯電話に掛けおも留守番になるので、怒りながら眵詈雑蚀を吹き蟌んだ。


飛んだ長野の代わりに安田ずいう目の小さな幞の薄そうな男が新人で入る。
鈎朚が芋事宅建に受かり、本来の䞍動産業務ぞ戻る為蟞めた。
代わりに石黒ずいう蟹みたいな顔をした男。
二人共ゲヌム屋を未経隓なので、䞀から色々教えおいかなければいけない。

店長の所はこのずころ疲れが溜たっおいるようで、満垭の状態でも奥にある䌑憩宀で寝おいる事が倚い。

石黒はよく小声で所が邪魔でグラスの掗い物もできないず愚痎をこがす。
島村も呆れた衚情でブツブツ蚀っおいるほど、所の劣化は続く。

立堎䞊店長を立お぀぀、店の業務をこなし、尚䞔぀埓業員同士のバランスを保぀。
俺もストレスが溜たり぀぀あった。


そんなある日、携垯電話に着信が入る。
画面を芋るず浅野矎嘉ず衚瀺されおいた。

浅草ビュヌホテル時代の同僚である圌女は俺より先に退職し、海倖ぞ旅に行っおいたはず。

「お久しぶりです、岩䞊さん」
「どうしたの、浅野ちゃん」

ちょうど数幎に枡る旅から日本ぞ戻り、俺に連絡をくれたようだ。

「近い内お時間取れたすか」

俺が入院した時も䞀時間半以䞊掛けおお芋舞いに来おくれ、花やしきのデヌトを寝過ごしおすっぜかしおも四時間以䞊埅っおくれた子だ。

特別な異性ずしお意識しおいた。
その浅野からの誘いを俺が断るはずがない。
できる限り早めに仕事を䌑み、浅野ずの再䌚を心埅ちに過ごす。

新人の安田はずおも真面目な性栌で、俺の指瀺通りテキパキ動く。

奥でタバコを吞っおいるず誰かの携垯電話が鳎る。
誰のか分からないが、光った画面には『けいこ』ず衚瀺が出おいた。
䞀本吞う内だけで着信は䞉回ほど鳎る。

石黒か安田のどちらかだろうず、ホヌルに出お䌝えるず安田の方の携垯電話だった。
倜の十時から朝たでだけで二十回以䞊の着信。

安田は仕事䞭なので電話には出ないが、あたりの頻床に着信音を䞋げるか電源を切るよう蚀う。

「圌女、凄い心配性なんですよ」ず圌は蚀うが、あの頻床で毎日掛かっおくる電話は異垞だ。
「愛されおるんですねヌ」ず島村は笑っおいた。


地元の本川越駅を降りおすぐのずころにゞャズバヌを発芋する
党日本プロレスを駄目になった倧沢史博が暎れた因瞁のある居酒屋぀が八の跡地。

䞭ぞ入っおみるず、カりンタヌメむンのバヌで奥にステヌゞがあった。
バヌテンダヌ時代自分で店をやっおみたかったが、正に自分が理想ずする店造りず雰囲気。
䞀発で気に入り通い出す。

店名はスむヌトキャデラック。
寡黙で口髭を生やしたマスタヌはずおも凝り性で、早い時間行くず倧きなザルに癜い状態のコヌヒヌ豆を乗せ、䞀粒ず぀遞別しおいる。

俺はグレンリベット十二幎のボトルを入れストレヌトで嗜む。
チェむサヌ代わりにアむスコヌヒヌを泚文するず、マスタヌは遞別した豆を炒め、そこからミル機で煎る。
手間ず時間を掛けたアむスコヌヒヌは濃厚で最高の味だった。
これで䞀杯六癟円しか取らないのだから、非垞に良心的な店である。


浅野矎嘉ずの玄束の日がやっおくる。

結局気持ちを䌝えないたた圌女はビュヌホテルを蟞め海倖ぞ行っおしたった。
でもたた連絡来おこれから䌚うのだ。
あの頃の続きを倢芋おもいいよな。

数幎ぶりの再䌚。
浅野は日焌けで耐色の肌になっおおり逞しくなったように芋える。
それでも倧きな目、端正な顔立ちは昔ず倉わらない。

圌女はむンドやタむ、゚ゞプトなど様々な囜を呚り、色々なものを芋おきたようだ。

珟地で買った色々な物のお土産をくれた。
向こうではサむババずいう占い垫が神栌化されおいるようで、人気のあるお守りもくれる。

海倖に䞀床も行った事がないので圌女の話す内容はほずんど分からない。
だけど浅野ず共有する時間はずおも楜しかった。

俺は唯䞀顔が利く、新宿プリンスホテル地䞋䞀階のむタリアンレストラン、アリタリアぞ連れお行きご銳走を振る舞う。
こうしおたた定期的に浅野ずは䌚う事ずなった。


小山がノヌパンしゃぶしゃぶで働く女ず仲良くなったも話しおくる。
䞀時の䞭居やプロ野球ゞャむアンツの束井などが行ったずニュヌスで話題になった店。
時間絊九千円で雇われおいるずいうどうでもいい情報を明るく話す小山。

「凄い矎人なんですけど、Мでこの間酒飲んだあずホテルで四぀ん這いにしおケツ叩いたら、あなたの奎隷ですっお  」
「もういいから、ほら五卓さんだよ」

あののんびりした顔の小山が緑ちゃんのような圌女もいお、他の女ずもうたくやっおいる珟実。

たあいいか、俺には浅野矎嘉ずたた䌚えるのだから。
人は人、自分は自分でしかないのだ。


俺は新宿歌舞䌎町たでい぀も地元川越から西歊新宿線を䜿い通う。
始発の本川越駅から終点の西歊新宿駅たでの距離。

端から端たでの区間を乗っおいるが、特急列車のレッドアロヌ小江戞号ずいうものがある。
電車賃ずは別で片道四癟十円。
急行で玄䞀時間。
小江戞号だず四十分で到着する。

䜕故わざわざこの電車に乗るかずいうず、䞀車䞡だけ喫煙車䞡があったのだ。
その為俺は行き垰り垞に小江戞号を利甚した。

西歊新宿駅のずころの売店の暪に厎陜軒がある。
そこでよくシりマむを買い、喫煙車䞡で酒を飲み、タバコを吞いながら垰るのが定番だった。

ある日小江戞号に乗っお新宿ぞ向かっおいる途䞭、携垯電話にメヌルが届く。

『すみたせん。俺、圌女殺したかもしれたせん。 安田』

文面を芋おギョッずしたが、すぐ安田ぞ電話を掛けた。
䜕回コヌルしおも出ない。
䜕床しおも連絡が取れないたた電車は新宿ぞ到着する。

圓然店に安田が来なかった。
俺はメヌルで、『䜕があったか分からないけど、ずりあえず連絡欲しい。 岩䞊』ずだけ返した。

欠員が出たので店を回すのが苊しい。
番頭の䜐々朚さんぞ連絡し、系列のアリヌナから黒岩がヘルプで来おくれる。
途䞭食事䌑憩を䞀時間取らせ、出前でいいなら俺が奢っおやるず䌝えるず黒岩は喜んで店屋物を取った。

ク゜忙しい店内。
汗だくで島村、小山、石黒の面々はホヌルを駆けずり回る。

チラッず時蚈を芋た。
黒岩入れおから䞀時間は過ぎおいるよな。
䞉十分しおも出おこない。

俺は奥の䌑憩宀ぞ行き、あず䜕分くらいで䌑憩が終わるのか尋ねた。

「うヌん、あず五分くらいですかねヌ」

その瞬間頭を叩き「ずっくに過ぎおんだよ、ボケ 他のスタッフの䌑憩が回せないだろ」ず怒鳎った。


倚忙な䞭、日々のトレヌニングは続けおいた。
研ぎ柄たされおいく肉䜓。
䜓重だけが䞊がらない。

総合栌闘技はブヌムにもなり、良い時間枠でテレビ䞭継たでやっおいる。
深倜攟送枠のたたのプロレス。
䞖間の人気は䞀目瞭然の状態だった。

身䜓を鍛えたずころで俺に䜕ができる
垞に自問自答する。

ピンず真暪ぞ䌞ばした右の芪指。
俺にはこの打突が  。

総合栌闘技は真剣勝負でプロレスは八癟長。
䞖間ではそんな颚朮が倚くなった。

真剣勝負
プロレスは盞手の攻撃を避けず、やり合っおいるだけだ。
非垞に歯痒い。

真剣勝負ずいうならプロレス界最底蟺のみそっかすである俺が行く。
成果を出した時初めおリングの䞊で蚀っおやるのだ。

「俺がゞャンボ鶎田垫匠の最埌の䞍肖の匟子だ」ず  。

そう心に堅く誓う。


数日埌あれだけ連絡が぀かなかった安田が突然ワヌルドワンに顔を出した。

事情を聞くず、圌女ず口論䞭出勀時間になり行こうずしたら目の前に立ち邪魔をされる。
䜕を蚀っおも効かない圌女。
匷匕に郚屋を出ようずするず、服にしがみ぀いおきた。
髪の毛を掎み、床ぞ投げ぀けるず頭を打ち、䞡手で頭を抱えたたた倧声で隒ぎ出す。
気が぀けば安田は圌女の銖を絞めおいお、気が付くずグッタリなっおいたのが、あの時送ったメヌルらしい。
結局グッタリしただけで枈み、埌遺症も問題無かったようだ。

「それであの 、たたここで働かせお欲しいのですが  」

五日ほど仕事を無断欠勀し、こちらはその間䜕床も連絡するも返事は無し。

「安田、悪いけど店はどんな状況でも動いおいるんだよ。俺はあの時䜕回も連絡したろ もう求人出したしこの間面接も終えた。悪いけど戻るのは無理だ」

項垂れお垰る安田。
可哀想だが仕方がない。
自業自埗なのである。


浅野矎嘉ずのデヌト。
もうこれで䜕回目になるだろう。

恋人のように䌚い、楜しく食事をする。
しかしそれ以䞊の関係にはなっおいない。
俺から䜕の気持ちを䌝えず、普通に䌚い普通に䌚話をしおいるだけ。

今回もプリンスホテルのアリタリアぞ来おいた。

「岩䞊さん 、今日䜕の日だか分かりたすか」

ビュヌホテルで初めお䌚った日
いや、違うよな  。

いくら考えおも分からなかった。

「実は今日 、私の誕生日なんです  」

恥ずかしそうに小声で蚀う浅野。

「え、早く蚀っおよ 事前にプレれントだっお甚意したのに」
「いえ 、それを䌚う前に蚀うず岩䞊さんなら絶察にそうしお 、い぀も矎味しいものをご銳走になったいるのに、たた䜙蚈なお金を䜿わせちゃうので  」

玠盎にその蚀葉に察し感動した。

垰り道の別れ際、俺はそっず宝物を扱うように優しく抱擁しおから別れる。
少しは距離が瞮んだ気がした。


䞀週間ほど経っお劙にや぀れた衚情の安田が店に顔を出した。

「岩䞊さん、䜕も蚀わず十䞇貞しおもらえたせんか」

状況をずりあえず聞く。
俺は郚䞋に店を任せ、目の前にある焌肉屋ドンドンぞ入る。
䜕故か早番の責任者の吉田たで呌んでもないのに䞀緒に来た。

他の䞀円ゲヌム屋で働いたが、ワヌルドワンほど面倒芋が良くない。
䞍満で店を蟞め、生掻に窮しおいるようだ。

できればここぞ戻りたいず安田は蚀う。
求人で新人は入り、早番ぞ送った代わりに川端が遅番に来た。

金を圌に貞したずころで戻っおくる保蚌も䜕も無い。
安田に察し隣で吉田が偉そうに説教をしおいたが、䞍噚甚な性栌なだけなのだ。
俺は焌肉代をご銳走し、垰りに「これは返さないでいいぞ」ず䞀䞇円札を握らせる。
吉田はちゃっかり「ご銳走様です」ず䞀円も出さず、安田は俺の姿が消えるたで深々ずお蟞儀をしたたただった。


二千幎五月十䞉日、土曜日先勝。

ゞャンボ鶎田垫匠が亡くなった。

2000幎05月13日ゞャンボ鶎田垫匠死去

マニラで手術倱敗出血死ず報道される。
呆然ずなるしかなかった。

新聞を買い「嘘を぀くんじゃねえよ」ず䞀人で怒声を出す。
クシャクシャになった新聞を広げ、䜕床も芋出しを読んだ。

ゞャンボ鶎田垫匠死去を報じる新聞

嘘のニュヌスだよな
信じたくなかった。

小江戞号に乗っお新宿ぞ向かう。
俺、これから少しは恩返しできるかもっお  。

電車の䞭で倧泣きした。

ワヌルドワンに着く。
目が真っ赀だった俺に、店長の所が「倧䞈倫なのか」ず心配そうに聞く。

その日だけは仕事をするのが無理だった。
コヌルをしようずするず涙声になっおしたい、客がその床䞍思議そうに俺の顔を芋た。

「岩䞊 分かった、今日はもういい。垰っお䌑め」
「今日ず明日だけ 、申し蚳ないですけど䌑んでもいいですか  」

みんなゆっくり䌑んでくれず誰䞀人嫌な顔をせず送り出しおくれる。

圓時知り合ったばかりの小野圭子が暪浜にいたので、䜕故か川越に垰らずそのたた暪浜ぞ行った。
ずにかく泣いた。

䞀晩経っお少しだけ萜ち着く。
暪浜は道路沿いに倧きな芳芧車があるのかず驚いた。

川越ぞ戻る。
テレビでは鶎田垫匠の远悌番組が攟送されおいた。

恩返しするんだろ

俺は倖ぞ飛び出し党力で走った。
我歊者矅に身䜓を動かし、限界たで䜓力を䜿い果たす。
倧きな朚に向かい、玠手で䜕発も打撃を打ち蟌んだ。
拳の皮は擊り剥け血だらけになっおいた。

鶎田垫匠は本圓に凄かったんだ。
俺がそれを蚌明しおやる。

この日䜓重蚈に乗るず、あれだけ八十キロの壁を越えられなかったが八十二キロを指しおいた。
垫匠が俺のケツを叩いおくれたのか。

より䞀局トレヌニングに明け暮れた。


浅野矎嘉から連絡があり、食事をしおいた時に、たた戊うずいう決意衚明をする。
応揎しおくれるものだず思っおいた。

「怪我したらどうするんですか い぀たでも若くないんですよ」

圌女からすれば俺の身䜓を心配した぀もりでの台詞。
鶎田垫匠が亡くなり、俺は前に進むしか考えられず䜙裕など埮塵もなかった。

「俺は匷いんだよ ここたで鍛えおきた。あずは総合栌闘家の連䞭をぶっちめるだけなんだ」

いくら力説しおも圌女には䌝わらない。

「䜕か今日の岩䞊さん怖いです  」
「俺は君が奜きなんだよ」

勢いに任せお長幎の想いを告げた。
抱き寄せようずするず、浅野は顔を背ける。

「䜕で分かっおくれないんだ」

本圓に匷匕過ぎた。
だがこの時は焊りから䜕の䜙裕もなかった俺。

この日より浅野矎嘉からの連絡は䞀切無くなった。
俺はたたフラレた蚳である。

最も敬愛した垫ず、想いを寄せた子、二人の消倱は俺の心を粉々にした。

蚀いようのない喪倱感に包たれ、俺は狂ったように颚俗、飲み屋ぞ行き、惰性で数え切れないくらいの女を抱く。
携垯電話が進化しお、むンタヌネットずいうものができるようになった。
出䌚い系サむトずいうものぞアクセスし、顔も名も知らない女を䌚っおは抱いた。
九州たで行っお抱き、面倒で怖い目に遭った事もある。
䞭にはこんな俺に倢䞭になる女もいた蚳だ。

しかしワザず冷たい態床を芋せ、たくさんの異性を傷぀けた。

日々むラむラしおいる。
仕事ではその苛立ちをできるだけ出さぬよう我慢した。


ある日島村が雑誌を持っおくる。
栌闘技通信ずいう本。

「岩䞊さん、元系の山本や安生がマりント状態で玠手で殎っおもいいルヌルでトヌナメント開催したすよ」

詳しく内容を芋おみる。
出堎者募集䞭。
うん、総合栌闘技の初陣はここでいい。

早速電話を掛けた。
栌闘技経歎はず聞かれ、党日本プロレスの名前を出す蚳にもいかず、喧嘩癟段ず答えたら切られる。

再床かけ盎し「本圓に今は関係ない。だけど党日本プロレスにいた者だ」ず䌝えるず少し埅たされ、奥で䜕やら話し合っおいるようだ。

党日本プロレスの名前を公蚀しない。
その玄束をした䞊で、俺の出堎が決たる。
ただベヌスずなる栌闘技を掲茉するよう蚀われたので、お袋がただ家に匷制的に通わされた八぀の習い事の䞀぀である合気道にした。

地元の総合敎䜓の先生に報告するず、䞡手攟しで喜んでくれる。
䞹念に俺の身䜓をメンテナンスしおくれた。

家の隣のトンカツひろむぞ行く。
先茩の岡郚さん、客でゞャックポットの野原さんもいたので同じく報告するず「怪我するからやめろ」ず止めおくる。

「俺は匷いんすよ 蚌明しおきたすから」

もう誰にもこの勢いを止められなかった。
クリンチ状態たで持っおけば、俺には打突がある。

セカンドを最䜎䞀人぀けなければいけないず説明された。
䞀人しか思い぀かない。
俺は先茩の坊䞻さんに連絡を入れる。

「智 、俺は䜕もできないよ  」
「䞀緒にいおくれるだけでいいんおす。俺、匷いすから」

誰の前でも誇匵し匷がりを蚀う。
そうする事で背氎の陣を匕きたかったのだ。

店の系列の番頭である䜐々朚さんにも報告。

「怪我しお仕事できなくなったらどうするの」

俺よりも身長が倧きく元ダクザ者の䜐々朚さんは、手銖足銖たで入れ墚が入っおいる。
「男は角刈りかパンチや」ず口癖のように蚀う䜐々朚さんは、誰がどう芋おもコテコテのダクザにしか芋えない。

より立堎が䞊の片桐。
い぀も野球垜を被っお偉そうにしいる。

「おい、岩䞊 うちの系列で頑匵っおいたら出しおやるからな」

蚀い方は悪いが、たかが裏皌業の人間がテレビ局も噛んでいるあんな倧手にツテがあるずは思えなかった。
圓時話半分で聞いおいたが、俺が今回総合栌闘技に埩垰する旚を報告するず「いやヌ、若いっおいいなヌ」ずだけで、やはり䜕のツテすら持っおいない。

別に今さら䜕かしおもらおうなんお思いもなかった。
俺は自分の力で進むだけ。


ワヌルドワンは日本人以倖の客をすべお断っおいた。

昔からタチが悪いず蚀われるのは䞭囜人や韓囜人。
プロ時代店に来おいた客の䞀人が、ゲヌムにハマった䞭囜人の䞀人から「この台食いしん坊。お金返しお」ず無茶を蚀うので断るず、それだけでアむスピックを䜿い胞を刺されたらしい。
シャツをめくり、穎の空いた皮膚を芋せられた事もある。

い぀も来る床远い返す䞭囜人がいた。
髪の毛は薄くメガネを掛けモサッずした感じの圌は、「これは人皮差別です。私は䞭囜の新聞蚘者で垰ったらこの事を新聞に曞きたす」
䜕床もこの蚀葉を䜿う。

「勝手に曞けよ。もう来ちゃ駄目だよ」

い぀もそう远い返すだけだった。

俺が食事䌑憩から店に戻るず、島村が困った顔で近寄っお来る。

「岩䞊さん、川端が間違っお入れおしたったんですけど  」

十四卓の台に䞀人の䞭囜人が座っおいた。
䜕床蚀いに行くもゲヌムをやめる様子がない。

「いいよ、俺が行っおくる」
「岩䞊さん気を付けお䞋さい。アむツ、確か蛇頭の䞀味ですよ」

蛇頭っおチャむニヌズマフィアだったよな。
気にせず垭ぞ向かう。

「お客さん 申し蚳ないけど、圓店は日本人しか入れないお店なんですよ」

俺の声を無芖したたた、ゲヌムを続ける䞭囜人。
䜕床声を掛けおも無芖をするので、俺はボタンを抌し匷制的にクレゞットをにした。

クレゞット分のお金を枡し「これ持っおお垰り䞋さい」ず䌝えるず、もの凄い圢盞で睚みを利かせ凄んできた。

「オマ゚、歌舞䌎町䜕幎いる」
「そんなの関係ないですよね 日本人だけの店なので垰っお䞋さい」

䞭囜人は黙ったたた入口ぞ向かうがその先にトむレがあり、そっちぞ入る。
出おきおたた垭に行こうずしたので、身䜓を匵っお行かせない。

「おしがり」

蚀われるたた掚しりォヌマヌから取り出しお枡す。
するずいきなり俺の顔面目掛けお投げおきた。

「おい おたえ䜕をしおんだよ」

手でキャッチしたものの、その行為に感情的になる。
䞭囜人は早足で出口ぞ行き、急いで階段を䞊がった。
あずを远い掛けお肩を掎む。

「歌舞䌎町䜕幎いる」

気付けば䞭囜人らしき集団に囲たれおいた。
十人はいる。

「オマ゚歌舞䌎町䜕幎いる」

仲間が来たからか男はむダらしい笑みを浮かべ、䜕床も同じ蚀葉を蚀っおきた。
俺を囲む党員がニダニダしながら片手をポケットに入れる。
歊噚も持っおいるぞずいうゞェスチャヌ。

正盎怖かった。
この人数で襲われたら絶察に勝おない。

「オマ゚歌舞䌎町䜕幎いる」

䟋の男はたた同じ質問をしおくる。

総合栌闘技の詊合たであず䞀週間。
䜕で俺は匷さを目指しおきた
ここでぞこたれたら、今たでの事がすべお意味無くなる。

「そうっすよね、垫匠  」

俺はそう呟いおから揉めた男だけ芋お蚀った。

「やるならやれよ ただな 、おたえの顔面だけは俺の拳で絶察に砕いおやる」

この男䞀人やれるなら、あずはどうなっおもいい。

捚お身の芚悟。
これからプロレス界を少しはマシな方向ぞ持っおいくんだろ
それなら絶察に匕くな。
匕くくらいなら朔く死ね。

鶎田垫匠に恥をかかせられない。
これたでの情念を目に蟌め、拳を握り近づく。

気付けば集団は男の呜什で目の前から去っおいく。

姿が芋えなくなるず、俺は䞀番街通りの道路で力無く座り蟌む。
これが腰が砕けるずいうや぀か  。

島村が心配で駆け寄っおくるたで、俺は起き䞊がれなかった。

生きおる  。

店の階段を降りる時、党身に震えが走る。
歊者震いずいうや぀か。
俺はビビりながらも無事助かったのだ。

店に戻るず間違っお䞭囜人を入れおしたった川端が平謝りしおくる。

「次から気を付けおくれればいいよ」

萜ち着きを取り戻せおいたので笑顔で冷静に蚀えた。
短髪メガネを掛けた真面目な川端は、それでも申し蚳なさそうに䜕床も頭を䞋げる。

鳎戞の䞀件以来の修矅堎だった。

䜕かの䞀線を越えられた気がする。


二千幎九月二十八日、朚曜日先負。

明日はいよいよ埩掻の日。

コンディションは䞇党。
仕事も数日䌑みを取り、あずは寝お詊合に備えるだけ。
早めに寝る事にする。

眠そうになった頃だった。

郚屋のドアのノックが鳎る。
䜕だ、こんな倜䞭に

ドアを開けるず廊䞋には俺が幌少時代生理的に受け付けなかった女、加藀皐月が立っおいた。

高校生の頃パヌトの緑さんら䞉人で家に抌し掛けおきた人劻の䞀人。
䞀番我が匷く傍若無人。
䜕床か芪父を家の倖でストヌカヌするように、車で埅っおいたのを芋掛けた。
芪父ずの仲は盞倉わらず良くない。
しかし芪父が加藀を避けおいるのも颚の噂で知っおいた。

「䜕ですか こんな倜䞭に人の家に  」

泣きべそをかきながら加藀はキンキン声で口を開く。

「あのね、あなたのお父さんが 、これから埌玉医倧のあなたず同じ幎の看護婊連れお、コむツず結婚するっお 。私、捚おられちゃう。どうしよう  」
「いい加枛にしろっ 俺は明日詊合なんだよ 人様の家に深倜勝手に䞊がり蟌んで、ふざんけんじゃねえ」

乱暎にドアを閉めた。

廊䞋越しに加藀のキンキン声が響く。
本圓に芪父がこんな時間垯に別の女を連れお来たようだ。
寝たいのにうるさ過ぎお寝れない。

加藀ず女のやり取りが聞こえる。
自分の敵ずなる女に容赊のない眵声を济びせおいた。

盞手も芚悟を持っお家に来たはずなのに、加藀の前では䞀分もたず心が折れおいる。

「私 、もう 、垰りたす  」

女の啜り泣く声。

「ええ、垰りなさい 䞀人で垰れるでしょ」

加藀のキンキン声。

䞉階から匟の培也ず貎圊が降りおきお、芪父を責める隒ぎが始たる。
本圓にうるせえな 、眠れないじゃないかよ  。

垃団を頭から被っおも隒々しい。
䞍意にドアが開く。
匟の培也だった。

「兄貎っ 兄貎からも芪父に䜕か蚀っおやれよ」

くだらない事に巻き蟌たれ、完党に目が芚めた。

俺は廊䞋に出るず芪父を睚み付け「明日俺が詊合あるのに、こんなク゜隒ぎしやがったな 祭りが近いから今はただ生かしずいおやる 。終わったら殺しおやるからな」ず静かに蚀う。

「ちょっず智ちゃん、萜ち着いお」

気持ち悪い加藀の猫撫で声。

「オメヌもだよ 勝手に家に䞊がっおんじゃねえよ、ボケッ」

乱暎に突き飛ばし、俺は家から出た。

二十九歳になっおすぐ、しかも詊合圓日に䜕故俺はこんな理䞍尜な仕打ちを受け続けるのだろう
怒りが治たらない。
明日詊合なんだぞ

俺は隣のトンカツひろむぞ入る。
衚情を芋お、ひろむのおばさんが「䜕かあったの」ず声を掛けおきた。
簡単な状況を説明しおいる内に、情けなくお俺は泣き厩れる。

岡郚さんがグレンリベットを出しおきた。

「いいから飲め そんな心境じゃ詊合もク゜もないだろ」

俺は酒を飲み干し、そのたたひろむで朝たで飲んだ。
途䞭野原さんも来るず「おたえの芪父さんは盞倉わらずだなヌ」ず笑いながら䞀緒に酒を付き合っおくれた。


二千幎九月二十九日、金曜日仏滅。

詊合䌚堎は代々朚䜓育通。

先茩の坊䞻さんをセコンドに䌚堎入りする。
奥さんの裕子さんもただ生たれお䞀歳の怜くんを抱っこしながら連れおきた。

昚倜の䞀件で培倜のたた来た俺。
粟神的にもコンディションも最悪。

坊䞻さんは「だから智は早くあの家出ろっお蚀っおいるのに」ず蚀う。
昔から家の状況をリアルに知る坊䞻さんは、環境が悪過ぎるから家から出お䞀人暮らししたほうがいいずよくアドバむスされおいた。

芪父の効であるおばさんからの執拗な嫌がらせ。
女遊びのツケを家たで持ち蟌む芪父。

だからこそおじいちゃんが心配だったのだ。

どちらにせよこの最悪なコンディションのたた、詊合に臚たねばならない。

控宀に通される。
十数名詰め蟌んだ䞭。

ワンナむトのトヌナメントず謳っおいるのに、くじの抜遞も䜕もせずに勝手にトヌナメント衚が匵り出され、俺の名前も茉っおいる。

「あ、あのヌ 、今日はよろしくお願いしたす」

オドオドしながら話し掛けおくる奎がいた。
どうやら俺の察戊盞手らしい。

山本の䞻催するゞムの門䞋生だけ別の控宀。
俺らは察戊盞手も䞀緒くた。
真剣勝負、䜕でもありなんお謳っおはいるが、本圓に䜕でもありでこういう真䌌を平気でしおくるのか。

坊䞻さんは俺にアップするよう蚀っおくる。
どんな状況䞋であろうずも俺はやるしかないのだ。

2000幎09月29日タむタンファむト詊合前

詊合が始たる。

シュヌト二䜍ずいう觊れ蟌みの小池はいきなりタックルをしおきた。
俺はステップバックし勢い止め、䞊から芆い被さる。
暪腹に䞀発パンチを济びせた。

盞手の胎ぞ䞡腕を回し、パワヌボムで持ち䞊げようにも必死で亀になる盞手。
俺はゞリゞリ身䜓をずらし、ゞャヌマンスヌプレックスで投げおやろうず思ったが、足のフックがズレお瞬間宙に舞う。

たたパワヌボムを狙うも盞手は亀の状態で必死にガヌドをしたいるだけ。
この状態なら䞊から肘か膝を萜ずせば終わる。

だがそれじゃ぀たらない。
俺は䜓勢を解き、盞手を自由にした。

すぐさた掛かっおくるので䞡脚を銖に巻き付け、䞉角絞めを極める。

それも解き、立ち䞊がった。

䞀発くらい殎らせおやろう。
プロレスは盞手にも芋せ堎を䜜らないずいけない。
劙な䜙裕があった。

殎られ、これからずいう時にレフリヌが間に入り盞手の腕を䞊げる。

「䜕だ、そりゃ」

ダりンもグラ぀きもしおいない。
䞍可解な裁定に俺はマりスピヌスを取り叩き぀ける。

解説垭には新日本プロレスの長州力ずやっお有名になった安生の姿が芋えた。

「おたえ、掛かっおこい 食い足りねえんだよ」

こちらを芋るだけで䜕も始たらない。

「けっ 、プロレスのほうが党然゚グいじゃねえかよ」

捚お台詞を蚀い残し、俺は坊䞻さんを連れ、リングを降りた。

控宀たでの通路を歩いおいお、䞻催偎のゞム生たちがいたので「どけよ、オラッ」ず乱暎にどかす。

完党な䞍完党燃焌。
こんな぀たらない事をする為に身䜓をたた鍛えおきたのか

スヌツに着替えおいるず芖線を感じる。
先皋乱暎にどかしたゞム生らが入口を取り囲み睚んでいた。

巊の小指から血が出おいる。
芋るず爪が半分剥がれ掛け、そこから出血しおいた。

俺は爪を噛むずそのたた噛み千切る。
荷物を振り回しながら「どけよ、オラッ」ず向かう。

俺を避けるゞム生たち。

「今から栌闘技やめろ、おたえら」

それだけ蚀い残し、䌚堎をあずにした。

坊䞻さんからは「癟パヌセント勝っおた詊合なのに」ず惜しがられる。
裕子さんは息子の怜君が興奮しお呌吞が䞀瞬止たったんだからず蚀っおきた。

この人たちのおかげで俺は枩和に生かされおいる。
坊䞻さん倫婊は俺に食事をご銳走しおくれ、他愛ない話をしお別れ、川越に戻った。


俺ず察戊した小池は、むンタヌバル十五分皋床でシヌドだった運営偎の遞手ず詊合し敗れ、結局そい぀がトヌナメントを優勝したようだ。
俺が圓たっおいればなあず、タラレバではあるが未緎がたしい事を考える。

翌週の栌闘技通信では、トヌナメントも茉せおいない。
党䜓的に撮った写真でも、俺は䞀切映っおいなかった。

気持ち悪い業界だなずいう感想を抱き、たた俺は自分の居堎所新宿歌舞䌎町ぞ戻る。

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