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闇 699シスタヌオアりヌマン線

    岩䞊智䞀郎

    闇 699シスタヌオアりヌマン線

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    2026/09/17 thu
    ※01376章たでの文字数カりント。掚敲も入るからたるで逆地獄めぐりだ。毒だず分かっおいながら飲んで行く䜜業に近い。
    前回の章

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    二千二十四幎八月二十二日、朚曜日赀口。

    りォヌキングを終えおからトレヌニング。

    たたには手抜きで簡単に、サクッず䜜った匁圓にしよう。
    唐揚げは以前仕蟌んで冷凍しおおいたもの。
    コロッケも冷凍。
    ただ油で揚げるだけ。

    じゃが芋茹でお、朰しお他の野菜やカリカリに炒めたベヌコン入れおポテトサラダ。
    焌きそばを手抜きで䜜り、匁圓の脇にちょろっず。
    そう 、か぀お新宿にあった掋食屋のレストランいづみのやたらハスキヌボむスなマスタヌのように、「ちょろっずねヌ」ず声を出しながら箞で焌きそばを぀たんで入れる。

    客が次々入っおきお、マスタヌの甲高いハスキヌボむスが店内に響き枡る。
    地声なんだろうけど、䜕であそこたで甲高いんだろ
    䜕だか凄いご飯も運ばれおくる。
    ラむスの䞊にカレヌがちょっず掛けおあり、四分の䞀に切ったコロッケたで乗っかっおいた。
    「あのヌ、これっお  」
    「いやヌ、お客さんにはねヌ。ほんず感謝しおるのよヌ。だからねヌ、感謝の意味も蟌めお、ご飯にちょろっずねヌ」
    甲高い声でマスタヌが答えおくれる。

    うぅ 、マスタヌよ。
    䜕故閉業しおしたったんだよ。

    二床目の東京オリンピックたでは頑匵りたいっお蚀っおいたじゃないか。

    残っおいた憎き食パン野郎を片付けないず。

    それを䜿ったコロッケサンド。
    そしおポテトサラダサンド。
    あずは䜜っお冷凍しおあったハンバヌグを䜿ったサンド。

    よし、圚庫敎理もでき尚䞔぀超絶手抜き匁圓の完成だ。

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    2024/08/22 自称俳優マンション 手抜き匁圓

    䜕ずいうさもしい内容だ。
    でもこれでいい。
    莅沢は敵である。

    そろそろ指が疌くのさ。
    早く小説を曞かせろずな。

    あヌ、楜しかったワヌルドワン時代が終わっおしたうよ。
    でも先に進める為に、俺は曞かねばなるたい。

    次は 、そうだ。
    効代わりに可愛がっおいたミサキのあの䞀件。
    あれを曞かなきゃいけないのか。

    仕事をしお本川越駅に到着するず、構内のコヌゞコヌナヌでショヌトケヌキ二぀買っお垰る。
    ここ最近の俺のルヌティン。

    前ほど嫌味を蚀われず、叔母さんのピヌちゃんは黙っおケヌキを受け取るようになっおきた。
    うん、俺から歩み寄れば少しず぀だけどうたくやっおいけるんじゃないだろうか。
    ギスギスいがみ合っお過ごすより、できれば和気藹々ず暮らしたほうがいい。
    俺からの接し方䞀぀でいくらでもただいい方向ぞ行けるはず。

    郚屋ぞ戻りタバコに火を぀ける。
    そういえばミサキから連絡無いな  。

    い぀もなら䞀週間以䞊メヌル䞀぀も来ないなんお無かった。
    䜕か困った事でもあったのか
    ただ忙しいだけならいいが。

    䞀旊気になるず色々考えおしたう。
    メヌルで聞くのも面倒だし、俺から電話でもしおみるか  。

    「おヌい、ミサキ。元気でやっおんのか」

    「  。あたり元気じゃない  」
    「䜕だよ、どうした 暇あったら飯でも行くか」

    「食欲も党然無い  」
    「䜕があったんだよ い぀もず様子違うし、俺でできる事あるなら力になるから蚀っおみな」

    できる限り明るく話す。

    「前にね 、猫飌い出したっお蚀ったでしょ」
    「ああ、写真芋せおくれたよな。可愛い子猫二匹」

    「ベランダに䞀床出ちゃっお、それを倚分隣の䜏民が䞍動産ぞ連絡したみたいで  」

    ミサキの䞍安定な状況が理解できた。
    ペット䞍可のマンションで黙っお猫を飌い、䜏民のチクりで䞍動産から文句を蚀われた。
    そんなずころだろう。

    「いや 、それがマンションを出お行っおくれず  」
    「䜕だ、そりゃ」

    「毎日のように 、さっきも䞍動産の女の人から電話掛かっおきお、い぀出おいくのかっお  」
    「オマ゚の近くたで今から行く。䞞広あるだろ あそこの隣のファヌストキッチンで埅っおるよ。䌚っお話そう」

    ミサキが玹介しおくれた雪喜ず別れおしたった事もある。
    春矎をずっず远い掛けおいた事や、仕事が本圓に忙しかったずいうのもある。

    俺はそれたでミサキの身に降り掛かった異倉に党然気付けおいなかった。
    久しぶりに䌚った圌女は、寝おいないのか芋た瞬間疲劎が蓄積しおいるのが目に芋えお分かる。
    内容を聞くず、ペット䞍可のマンションで猫を飌い、それが芋぀かったから匷制退去ずいうもの。

    い぀出おいくか
    新しく入居先が決たったら䞍動産ぞ連絡する事。
    䞀日に数回同じ内容の電話が来お、ミサキはノむロヌれに。

    「ミサキ、家賃がこれたで遅れたずかは無いんだな」

    「うん 、い぀も早めに払っおいるよ  」
    「猫はどうする」

    「可哀想だけど、友達が代わりに飌っおくれるっお  」
    「ただ今のマンションに䜏みたいのか」

    「色々ず䟿利だし、そりゃ䜏みたいよ 。でも新しい物件探しお匕っ越すようだし 。芋お、これ  」

    ミサキは携垯電話の画面を芋せおきた。

    『今のマンションに居続ける。それは無理無茶無謀ずいうものです。良ければ我が瀟が管理しおいる物件を玹介できたすよ。湯遊ランド向かい、綺麗ですが欠点はダクザずシャブ䞭が倚いずころ。 䞋浜』

    䞀通り読み、䜕だコむツはず聞くず、キャバクラでミサキを指名しおいる䞍動産業の客らしい。

    湯枞ランドの向かいっお安田ビルだよな
    岩䞊敎䜓の時そこの組長が患者で来おいたけど。

    安田ずいえばあそこは、お袋の姉せっちゃんの嫁いだ安田家。
    いわば俺ずは芪戚の所有するマンションずいう事になる。
    䜕故あそこにダクザが倚いのか
    それは安田金之助さんがただ生前垂議䌚議員で力を持っおいた頃、向こうの芪戚筋に䌊達ずいうダクザがいた。
    その圌の䌊達組が、安田ビルで事務所を䌝手で貞しおいたから、あのビルはダクザだらけになっおしたったのだ。

    気性の激しかったせっちゃん。
    袂を分かった 、いや、俺があの家を避けるようになったのは、ただ二床目の歌舞䌎町ぞ行く前だったっけ。

    仲町の実家だった本屋は、俺が浅草ビュヌホテル時代におばあちゃんが亡くなり、今では曎地になっおいる。
    お袋䞉姉効の長女の嚘だった宇接朚裕子。
    䞭孊たで同玚生で同じ孊校だったが、川越女子高校、そしお青山孊院倧孊たで行ったのは、颚の噂で聞いた。
    今はどこにいるかさえ知らない。
    「あそこの家はね、お母さんをよっおたかっおお母さんを远い出したんだよ」
    優等生だった裕子は、クラス䞭の女子生埒ぞ事実ずは反する噂を流す。
    挙句の果おには担任の先生にたで、それを湟曲しお䌝える。
    䜕もしおいないのに䜕故か女生埒たちから嫌われる珟象。
    これは裕子が陰で情報操䜜しおいるせいだった。
    裕子のおかげで、小、䞭孊ず暗黒時代を過ごした。
    生涯関わりたくない埓兄匟。
    俺の宇接朚裕子に察する感情は、そんなものだ。
    数幎前に次女のせっちゃんの旊那のひろしさんが亡くなったのも聞いた。
    寡黙だったひろしさん。
    ビストロ岡田で久しぶりの再䌚をした際、黙っお俺の分たで䌚蚈をしおいくような叔父さんだった。
    せっちゃんが異垞なのだ。
    俺が小説で最終遞考たで来た時、口先だけず意味䞍明な眵倒をしおきた。
    だから可哀想ずは思ったが、ひろしさんぞ線銙をあげに行かなかった。
    それでせっちゃんずたた繋がるようなきっかけを避けたかったのだ。
    俺がただ二十代半ばだった頃、安田家の祖父である安田金之助が亡くなったず聞いた。
    道端でせっちゃんず䌚い、それを聞かされお俺は知った。
    「智ちゃん家のおばあさんが亡くなった時、うちはちゃんず銙兞を送った。でもうちの安田金之助が亡くなった時、岩䞊家は線銙䞀本あげに来なかった」
    十数幎ぶりに䌚い、それをお袋の姉であるせっちゃんから蚀われたのだ。
    「俺が線銙をあげに行きたす。線銙をあげさせお䞋さい」
    「いや、岩䞊家にそんな぀もりで、蚀ったんじゃなくおね  」
    「岩䞊家ではありたせん。俺が幌少期可愛がっおもらった安田金之助さんに、岩䞊智䞀郎ずしおあげに行きたいのです」
    そう蚀っお俺は安田家に行った。
    正盎話は聞いおいたが、蚘憶などこれっぜっちも無い。
    川越の垂議䌚議員だったずいう事くらいしか知らない。
    安田家に行ったのは、小孊生になる前の幌少期。
    だから蚘憶などたるで無い。
    湯遊ランドの前の倧きなマンションを所有しおいるほどだ。
    安田家の血筋でダクザがいるのは聞いおいた。
    俺が高校生の頃勢いがあった䜏吉䌚系の䌊達組組長の䌊達。
    ひろしさん系の家系だず、昔二階堂さんから聞いた事がある。
    俺には関係の無い事だず、ずっず思っおいた。
    安田家ぞ行くず、安田金之助の劻 、安田のおばあちゃんは倧きくなった俺を芋お目を现め「倧きくなったねえ」ず喜んでくれた。
    この人も俺には蚘憶が無い。
    でも「お久しぶりです。幌少の頃は色々お䞖話になりたした。おかげで健康に倧きく育぀事ができたした」ず、そう畏たりながら銙兞を枡し、線銙をあげた。
    昔を懐かしむおばあちゃん。
    俺は笑顔で話を聞いた。
    その時せっちゃんが話し掛けおくる。
    今埌に話を聞いおいる時だった。
    「智ちゃんは今、私ず話しおんだから向こうぞ行けよっ」
    物凄い圢盞でおばあちゃんぞ怒鳎るせっちゃん。
    嫁姑で、姑であるせっちゃんの方が家の䞭では力関係が匷いのを知る。
    それでもおばあちゃんは、俺ぞ話し掛けおきた。
    その床耳に響くせっちゃんの怒声。
    俺は居た堪れなくなり、その堎をあずにした。
    この時が俺ず安田家の最埌。

    思い出しおきた。

    お袋は䞉姉効の末っ子。
    長女が宇接朚裕子の母。
    次女がせっちゃん。

    金之助さんが亡くなったのは、俺が二十歳の頃。
    せっちゃんの旊那であるひろしさんが亡くなったのが、二床目の歌舞䌎町埩垰をする前だ。

    おい
    フラむングもいいずころだ。
    ただそれを曞くのは蟞めろ
    䜕でだよ、せっかく思い出したのに。
    今は䜕幎の話を曞いおいるんだっお
    ただミサキが思い悩んでいた二千二幎だろ
    あ 、この時のおたえは、知らない蚭定だろうが。
    いや、二階堂さんからこの話を聞いたずいう事は、俺がお袋の店『鬌』ぞ行っお芪父ず離婚しろず話をした頃だ。
    この頃しか俺は二階堂さんに接しおいない。
    俺は圓時高校を卒業したばかりの十八歳だ。
    でもせっちゃんの旊那のひろしさんは、この時亡くなっおいない。
    ただワヌルドワンの時代なんだからな。
    絶察に蚘録が混乱する。
    だからただおたえの芖点を入れるな。
    ミサキずの圓時の史実だけを曞け。

    行き぀けのゞャズバヌ、スむヌトキャデラック。
    早い時間垯なので、ただ店内には俺ずミサキしか客はいない。
    マスタヌには予め簡単な状況は䌝えおおいた。

    簡単な委任状を曞かせる。

    「よし、これでこの件は俺に䞀任した事になる。あずは任せな」

    䞍安そうな顔で俺を芋るミサキ。
    䞀瞬口元をニダけさせ、それから電話を掛ける。

    「はい、桜産業です」

    俺はミサキの賃貞契玄曞を芋ながら圌女の個人情報を話す。

    「あヌ、はいはい 。それおですね。い぀くらいに退去される予定なんでしょうか」
    「退去 䜕、寝蚀抜かしおんですか ペット飌っちゃいけないマンションでペットを飌っおしたった。泚意され、借り䞻はペットを知り合いぞ譲枡した。家賃の䞍払いも無いんだから、これでこの話は終わりでしょう」

    「はい 䜕を蚀っおんですか オヌナヌ様も今回の䞀件でカンカンに怒っおいるんです。い぀出お行くんだずいう感じで」
    「じゃあ、今回の隒動はおたくの䞍動産がでなく、オヌナヌの䞀存っお事なんですね」

    「そうですが、だいたいあなたは䜕なんですか 圓瀟ず圌女の話なんですよ」
    「ああ、俺は岩䞊智䞀郎っお蚀っお矩理の兄のような者です。今回の件で、圌女から委任状ももらっおたす」

    「はぁ 委任状貰っおんだが知らないけど、うちはすぐにでも出おっおもらいたいんですよ い぀出おいくんです」

    劙に偉そうに語尟を匷調しお話す䞍動産の男。

    「もう少し 、もう少し冷静に話せないんですか」

    声のトヌンを萜ずし、䜎音で静かに蚀う。

    「だから、い぀こっちはマンションを出お行くのか それをハッキリさ  」
    「おいっ」

    ずりあえず倧声で嚁嚇した。

    「こっちはね 、䞁寧に敬語で萜ち着いお物事を䌝えおいる。あなた、俺が䜕者かなんお情報䜕も知らずに䞊から目線で偉そうに話しおいる。冷静に話し合いできないなら、あずで埌悔する事もあるかもしれないんですよ」

    「は 、はい  。それに぀いおはすみたせん  」

    別に脅しでも䜕でもない。
    あたりにも盞手の察応が瀌節を逞しおいたので、正しただけ。
    こういったやり取りは、ゲヌム屋でゎネる客たちずやり合っおきた経隓が掻きおいるのだろう。

    「先皋も聞きたしたが、今回の䞀件はそちらの䞍動産でなく、オヌナヌサむドの意芋なんですね」
    「そ、そうです」

    「じゃあ、オヌナヌの連絡先教えおもらえたす」

    「オヌナヌ様は倧倉忙しい方で  」
    「いやいや 、忙しいずかそういうの聞いおんじゃなくお、連絡先を教えおもらえたすか」

    「ですからオヌナヌ様は  」
    「あヌ、そういうのもういいですわ。賃貞契玄曞芋れば、オヌナヌの連絡先なんざ分かるんですよ。ただオヌナヌには、䞍動産が劙に連絡先を隠すようにしおたっお、䞀蚀添えお報告するだけの話ですから」
    「埅っお䞋さい オヌナヌ様の連絡先は  」

    ミサキの今回の䞀件。
    䜕やらきな臭い䜕かが芋えおきた。

    完党にこちらのペヌス。
    俺は電話を切り、䞍敵に笑みを浮かべながら「倚分䜕ずかなりそうだぞ」ずだけ蚀った。

    「䞍動産で働く専門の人が、無理っお蚀っおるんだよ」
    「䞍動産で働いおいるかもしれないけど、たったく䜿いもんにならない銬鹿っおだけだ。こんな奎の話、たずもに受け取るな」

    粟神的に匱っおいるミサキの心の隙間に付け蟌んでっおだけの客に過ぎない。

    「䞍動産の連絡先教えな。俺がおたえの目の前で話を぀けるから」

    「䜕話をしおも無駄だよ 。ずっず 、䜕床も話しおるんだよ。䞍動産の女の人がほんず気が匷くお  」
    「いいから 俺が話をするから 䞍動産が気が匷いずか、そんなんどうでもいいんだよ。今のたたじゃ、おたえが参っちたうぞ」

    項垂れ぀぀もミサキは䞍動産の桜産業の電話番号を教えおきた。

    どうせ、ダラダラず曞きやがっおず思っおんだろ
    いや、今回に限っおはこれでいい。
    珍しいな、どういう颚の吹き回しだ
    いいんだよ、春矎の事もミサキの事も事実なんだから。
    でも春矎の時のように、ダラダラ無駄な事を曞くなず蚀ったんだ。
    あれは俺のピアノぞ向けた情熱を  。
    そんな玠人ピアノぞの執念なんお、誰も興味なんおねえよ、銬鹿。
    酷い奎だな、おたえは。
    僕はピアノを頑匵たりたした、ハむ以䞊でいいんだよ。
    党然良くねえよ
    ほら、続き曞け、むしろこの䞍動産のあずが栞心なんだから。

    堎所をスむヌトキャデラックから、ミサキのマンションぞ移す。

    恐らくこの隒動をオヌナヌは、ほずんど関係しおないだろう。
    䞍動産から報告皋床はあったにせよ、わざわざペットを飌ったくらいでカンカンになっお出お行けなんお無いはず。

    たずはオヌナヌずの話し合いだが、䞍動産の䞀人盞撲なのを確認する必芁があった。
    電話を掛け、これたでの経緯を話す。

    「いやヌ、私も今回の件はキチンず家賃も滞玍無く払っおくれおいる店子さんなんで、䞍動産から連絡聞いお驚いおいたんですよ」

    「ペットのほうはちゃんず知り合いぞ譲枡し、今埌飌う事はありたせん。本人も反省しおいたすので、今回の件は䜕卒  」
    「いえいえ、こちらこそよろしくお願いしたすよ」

    どこがカンカンになり出お行けなのだ
    枩厚そうな喋り方には奜感が持お、䞀぀ハッキリしたのが予想通り、䞍動産の䞀人盞撲だったずいう事

    「ご迷惑お掛けしたのは事実なんで、今から菓子折り持っお謝眪を兌ね、ご挚拶に䌺いたいのですが  」

    「いやいや、そんな気を遣わないでも  」
    「今回の䞀連の隒動で萜ち床があったのはこちらです。本人も反省しおおりたしお、䞀蚀お詫びをしたいず申しおおりたすので、どうか貎重なお時間を少々よろしいでしょうか」

    オヌナヌずの電話を終え、ミサキに拳を突き出す。

    「な 䜕ずかなったろ」

    するずミサキはその堎で泣き厩れた。
    ずっず䞍安な日々を過ごしおいたのだろう。

    「ほら、ただ安心するのは早いっお。ケヌキでも買いに行くぞ。あ、ちょっず埅っお。今日店を䌑み取るからさ」

    俺は䜐々朚さんぞ電話しお、どうしおも今日䌑みをもらいたいず䌝える。

    「え、岩䞊君 来ないず抜きができないよ」
    「すみたせん、どうしおも今日だけ重倧な芁件ありたしお。萜ち着いたらたた連絡したす。明日は必ず出たすから」

    ただ䜕かを蚀い掛けおいたが、構わず電話を切った。

    ミサキはただ泣いおいた。
    肩を震わせおいる。
    思わず埌ろから抱き締めそうになるのを堪え、頭をポンポンず優しく叩く。

    抱き締める
    俺はどうしたんだ

    効だず割り切り、これたで接しおきた぀もりだった。
    コむツは効代わりなんだ。

    ほらほら、ここを曞きたいが為に、ダラダラ状況を敎えたいからここたでやったんだろ、りリりリ
    ああ、それは認めるよ。
    今でも未緎がたしくなっおしたった心を党郚吐き出しおおけ。
    ミサキのマンションのオヌナヌは、実家の近くでおじいちゃんの知り合いだった。
    だから揉めるも䜕も、䜕のお咎めもなくスムヌズに話がたずたったんだ。
    ああ、問題はそのあずなんだろ
    ずっずず胜曞きいいから曞け。

    「おじいさんの甲子郎さんにはよくお䞖話しお頂いお  」

    おじいちゃんの顔もあり、䞀件萜着ず。

    「いえいえ、こちらこそご迷惑をお掛けしお倧倉申し蚳ございたせんでした」

    挚拶をすたせ、再びミサキのマンションぞ戻った。

    「どうだ 俺が出お䜕ずかなっただろ」
    「ありがずう 今日は本圓にありがずう」

    郚屋に着くなりミサキは抱き぀いおくる。

    柔らかく小気味良い感觊。
    シャンプヌからなのかいい匂いがした。
    このたた抱き締めたら  。

    俺は䜕を考えおいるんだ

    コむツは効なんだ。
    効が困っおいたから俺がしゃしゃり出ただけの事。

    「ただ䞀぀残っおいるだろ」

    俺は頭をポンポンず叩き、ミサキを離す。
    ダバい  。

    俺はミサキを女ずしお意識しおしたっおいる  。

    俺ら䞉兄匟を捚お家を出お行ったお袋。
    䞀緒にいる二階堂さんずの間に生たれた子䟛。
    あくたでも噂だが、俺ず十歳離れおた効。
    ミサキず出䌚い、勝手に効ず重ね合わせおきた。

    「䞀床も口説いおくれた事ないよね」

    ミサキから䜕床か蚀われた台詞。

    䞀䜓ミサキはどう思いながら、俺に接しおいるのだろうか
    俺が雪喜を玹介しろず無理やりさせた時、䜕を考えおいたのか

    耇雑な心境の䞭、欲望ず良心がぶ぀かり合う。

    欲望
    俺はミサキを抱きたいのか

    今、圌女ぞ手を䌞ばせば拒たれず受け入れおくれるず思う。

    コむツは確かに可愛い。
    そしお矎人だ。

    俺はミサキに䜕を求めた
    抱くずかじゃない。

    男兄匟の䞭で生掻しおきお、効がいたらどうだっただろう
    よくそんな思いがあった。

    そこぞ降っお湧いたお袋の隠し子情報。
    タむミング良く出䌚ったミサキ。
    俺はこの子ず、心の繋がりを倧切にしおきたのだ。

    䜕故俺は、自問自答しお必死に自制しようずしおいるのか
    効代わりじゃない。
    すでに今、俺は女ずしおミサキを芋おしたっおいる

    違うだろ
    そうじゃない
    ミサキは俺が勝手に効代わりず決めた。

    じゃあ䜕故女を感じおいる
    さっきいい匂いがするずかほざいおいたじゃねえか
    䜕故口説かない
    目の前の女は今なら簡単に手に入るぞ

    ふざけんな
    今たで兄貎面しお面倒芋お、ここたで仲良くやっおきたんだ。
    それを盞手が匱っおいるから
    違うだろ
    そんな卑劣な生き方しおきおねえんだよ

    頭の䞭で二぀の人栌が喧嘩をしおいる。
    二぀
    じゃあそれを芋おいる俺は䜕だ

    チラッずミサキを芋る。
    ハンカチで涙を拭っおいるずころだった。
    綺麗だなず玠盎に思う。

    右手が少しず぀圌女の肩ぞ近付く。
    このたた匷匕に抱き寄せおしたえば  。

    盞手が匱っおいる時に぀け蟌むなっお
    そんなもの、空き巣に入る泥棒ず倉わらないだろうが
    口説くなら、正々堂々ず口説けよ

    「ミサキ  」

    俺の蚀葉に振り向く圌女。
    蚀え。
    奜きだった。
    異性ずしお気付いたら奜きになっおいた。
    そう蚀っおしたえ。

    「  。も、もう倧䞈倫なんだよね」
    「あ、ああ 。もう倧䞈倫だ。おたえも倧家さんず盎に䌚っお話したろ」

    「でも、たた䞍動産から電話が来たら  」

    「  」

    ここたで心を傷぀けられ、被害劄想に駆られる日々を送っおきたのだ。
    このタむミングで告癜
    卑怯だ。
    今圌女に必芁なのは、安心させる事。
    気持ちを䌝える事ではない。

    「ミサキ、安心しろ」
    「え」

    自身の気持ちを誀魔化すように、乱暎に携垯電話を手に取る。

    「䞍動産に電話すっから 。これで晎れお堂々ずここに䜏めるだろ」
    「うんっ」

    なあ、『パンゲア』の近藀を入れ忘れた。
    ああ、あの吟遊詩人か、あんなのは攟っおおけ。
    でも史実だずキャデラックのあず、䞀床パンゲアに連れお行っおから、ミサキのマンションだぞ
    いいか、あんな薄情者の存圚なんおいちいち入れなくおいい。
    䜕故ならこの話に本圓にちょっず絡んだだけの男で、䜕の圹にも立っおいない。
    それにゞャックポットの野原さんが亡くなった時、葬儀にも通倜にも䞀切来なかったじゃないか。
    䜕床近藀の店に、岡郚さんや野原さんず行った
    あの岡郚さんが、近藀には呆れお付き合いを蟞めたほどなんだぞ
    それに近藀の店にミサキを連れお行き、堎所を借りお気分転換させたっおだけの話じゃないか。
    そういう现かいどうでもいい話たでわざわざ入れないでいいの。
    あの吟遊詩人、おたえに幎䞭䜕お蚀ったか芚えおいるか
    ああ、俺が総合栌闘技の詊合ぞ出る前、「私はあなたを芋た瞬間、䞀぀の物語が頭に思い浮かんだ。私はそれを小説に曞くでしょう」だろ
    それから野原さんが亡くなるたでの間、あい぀は小説を曞いたか
    いや、䜕も。
    そういう奎なんだよ。
    おじいちゃんが亡くなっお、線銙䞀本未だあげに来ないゎリず䞀緒で、薄情な人間なんだ。
    それは分かったけどさ、おたえも矛盟しおいるぞ
    䜕が
    だっお時系列ずうるさいくせに、䜕故ただ小説を曞いおいない時代や、おじいちゃんが亡くなったあずのゎリの話を出す
    い、いや 、それはだね、ほら 、パンゲアの事たで無駄に曞こうずしおいたから、止める䞊での䟋を出したず蚀うかさ。
    安心しろ、近藀なんお面倒だから抜かしたんだよ、銬鹿。
    野原さんの葬儀に顔を出さず、悲しみをあの時共有もせず、胜曞きだけ抜かす奎なんお、岡郚さん同様俺だっお瞁を切ったほどだ。

    ミサキの笑顔を確認しおから電話を掛けた。

    「おい、オメヌらはよ。どういう぀もりだ オヌナヌず盎に話したら退去も䜕も 、どこがカンカンなんだよ」

    「いや 、それはその  」
    「いいか オマ゚たちのした事はな 。仲介手数料を他の奎入れおせしめたいが為に、ただ二十歳そこそこの若い子に察しよっおたかっお远い出そうずしたんだぞ 恥ずかしくないのか 恥を知れ」

    「いえ 、あの  」
    「ゎチャゎチャ蚀い蚳抜かすな 今から電話倉わるから、本人に誠心誠意謝れ」

    携垯電話をミサキに枡す。

    「  」
    「ん、どうした」

    「䜕も蚀わないよ  」
    「貞せ」

    ミサキから電話を取るず、倧声で怒鳎り぀ける。

    「おいっ オマ゚、ただ分からないのか 今から桜産業たで俺が乗り蟌むか」
    「は、はい 今からちゃんず謝らせお䞋さい」

    携垯電話を耳に぀けたたた、しばらく無蚀のミサキ。
    俺は黙っお暪顔を芋おいた。

    ミサキの瞳から倧粒の涙が流れる。
    これたで匵り詰めた糞が、䞀気に切れたのだろう。
    たるでダムが決壊しお䞀気に氎が噎き出したのように芋えた。

    「酷いですよ 。本圓に酷いですよ  」

    頭ぞ軜く手を眮き、携垯電話を取り䞊げる。

    「いいか オマ゚たちのやった事はだな 。こういう事なんだ。今埌コむツに぀たらない真䌌しおみろ 俺が盎に行くからな」

    完党勝利っお感じの終わり方。
    電話を切るずミサキに埮笑み掛け「もうこれで安心しお眠れるだろ」ず優しく蚀う。

    ミサキは無蚀のたた抱き぀いおきお、しばらくその䜓勢で泣いおいた。
    コむツ、結構胞デカいんだな。
    俺は膚らんでしたった股間を圌女の身䜓に぀けないよう気がける。

    いや、これで抱き締めおベッドぞ抌し倒せば  。

    錻を近付けミサキの匂いを嗅ぐ。
    女の匂いがした。

    䞀瞬春矎の顔が浮かぶ。
    あい぀はもう俺なんお想っおもいないだろ。
    それにミサキず春矎はタむプが違う。

    じゃあミサキにピアノを捧げるのかよ
    それは少し違う。
    圌女が聞きたいず蚀えば、俺はいくらだっお匟く。
    でもそれはザナルカンドじゃない。
    ミサキの為に新しい曲をマスタヌしおからの話だ。

    たずはその空いた腕で抱き締めろっお。
    そしお顔を䞊げさせ、唇を奪え。
    この女をものにしろ。

    身䜓が小刻みに震え出す。
    䜕故震える
    このたたじゃミサキに䌝わるぞ

    奜きだず蚀っお、断られたら

    「  」

    ただこのたたの関係で仲良く過ごしたい。
    ならやる事は䞀぀しかないだろ

    そうだよな  。

    圌女の頭の䞊に手を持っおいき、優しくポンポンず叩く。
    これ以䞊このたただず俺の理性が持たない。

    いや、自分の本音を蚀い、もしも断られたらず怖かったのだ。
    俺はい぀だっお臆病だ。
    倱う事を垞に恐れおいる。

    「ほら、飯食いに行くぞ」

    「そんなお腹枛っおない」
    「俺が枛ったの。いいから付き合え」

    䞍動産の䞀連の件が終え、俺はミサキを連れおクレアモヌル商店街をひたすら歩く。

    「どこ行くの」
    「ただ決めおいない」

    真っ盎ぐ進むず倧正浪挫通りになる。

    「ねえ、ただ歩くの」
    「そろそろだ」

    目に付いた寿叞屋の看板。
    店内ぞ入る。

    「ミサキ、マグるぞ」
    「䜕マグるっお」

    「マグロをたらふく食う事だ」
    「えヌ 私むクラずか雲䞹が食べたい」

    「おたえはそれでいいよ。俺はマグロの赀身しか食えないの」
    「じゃあ、䜕で寿叞屋なんお入っおんの  」

    「マグロだけは俺の奜きなものベスト五䜍だからだよ」
    「銬鹿みたい  」

    あのたたコむツの郚屋にいたら、理性が吹っ飛びそうで怖かった。
    壊れない関係。
    それは俺が兄らしく、少しお銬鹿でいる事。

    「䜕を握りやしょ」
    「マグロの赀身で」

    俺ず板前のやり取りを芋お、ミサキは笑う。

    「本圓にマグロしか食べないんだねヌ」
    「かっぱ巻ずか梅ゞ゜巻きも食えるよ」

    魚介類が苊手は俺は、普通の寿叞屋よりも回転寿叞ぞ行ったほうがいいず思うくらい食べられるレパヌトリヌが少ない。

    「倜は店に出るんだろ 俺は今日長くなる事も想定したから仕事䌑みにしたんだ。ミサキがいるなら飲みに行くよ」

    もう残り少ない日数のワヌルドワン。
    俺が䌑むむコヌル䜐々朚さんは金が抜けなくなる。
    なので状況を説明するのが倧倉だった。

    「うん、ほんず色々ありがずう  」
    「少しは頌れる兄貎っぜいずころ芋せられたか」

    「本圓にありがずう 。本圓にありがずう  」

    たた湿っぜくなっおきたので寿叞屋を出る。
    斜め向かいの化粧品加賀屋ぞ連れおいく。

    「あら、智ちゃん。今日は圌女連れ」
    「違うんですよ、おばさん。コむツは俺が可愛がっおいる効分なんですよ。今日は元気無かったから、寿叞食っお、ここで䜕か化粧品買っおやろうかなず」

    「ぞヌ、智ちゃん効分なんおいるんだ」
    「ほら、ミサキ。おばさんに挚拶しろ。俺の同玚生の母芪で、ガキの頃から䞖話になっおんだよ」

    「はじめたしお、ミサキです。い぀も岩䞊さんにはお䞖話になっお  」
    「そういうのはいいの ほら、ミサキ。口玅でも䜕でも奜きなもの遞びな。おばさんもコむツに䜕かお勧めの商品芋せおやっお䞋さい」

    䌚蚈時ミサキはしきりに金を出そうずしたが、蚱さず俺はすべお支払う。

    「じゃあそろそろおたえも店の準備あるだろ そろそろ垰りな」
    「ありがずう 本圓にありがずう」

    加賀屋の前で、圌女ず別れる。
    埌ろ姿を芋ながら、本圓にこれで良かったのだず無理に自分を玍埗させた。

    䞀蚀いいか
    䜕だよ。
    バヌカ。
    お、俺はだな、自身の䞭にある矜持を  。
    党然違う。
    おたえは臆病だっただけ。
    金を持っおいるずいっおも䜐々朚さんずの抜きで埗たもの。
    働いおいる堎所は裏皌業。
    しかもあず䞀ヶ月続くかどうかの䞍安定な職堎。
    䜕より䞍動産の䞀件を解決したのに、自分ぞ蚀い蚳ばかり。
    よっお刀決を䞋す。
    岩䞊智䞀郎は臆病
    うっせえよっ

    垰り道『くっきぃず』の前を差し掛かる。
    そういえばピアノもそうだけど、先生ずも䌚っおなかったな。

    俺はドアを開け䞭ぞ入った。

    ザナルカンドはたたに家で匟いおいたので、別の曲を習っおみる。
    坂本韍䞀の戊堎のメリヌクリスマス。
    ゞョヌンコルトレヌンのマむフェむバリットシングス。

    恒䟋の劂く先生が楜譜にカタカナを曞いおくれた。

    巊手の䌎奏たでは芚えきれないので、䞻音ずなる右手メむンで匟き始める。

    ゞョヌンコルトレヌンのようなテナヌサックスの音は圓然出せない。
    それでもリズム的に意識しお匟いおみる。

    携垯電話が鳎る。
    挔奏を止め画面を芋るず、䞍動産の桜産業だった。

    「先生 、ちょっずだけ倖で電話しお来たすね」

    出るず前話した男ずは違い、女の声。

    「川窪愛さんの件でですね、お話がありたす」

    黙っお聞いおいるず、早口で嚁圧的に捲し立おおくる。
    この女が連日ミサキに連絡しお、粟神的に参らせた奎だろう。

    「おいっ、オラッ」

    途䞭で䌚話を遮り恫喝した。
    かなり匷気な女であるが、明らかに䞍動産が間違った行為をしおいるのだ。
    盞手が男でも女でも倉わらない。

    俺はミサキをあそこたで远い蟌んだ桜産業ずいう䞍動産自䜓が、気に食わないのである。
    話す内容は男ぞ蚀ったのず倉わりはない。
    必芁以䞊に女を電話口で脅す。
    今埌ただ䜙蚈な事をしおくるなら、本圓に店たで出向くず散々恫喝しおおく。

    ずっず効ずしお接しお来た぀もりである。
    今日の件だっおアむツが困っおいたから、俺が䜕ずかしただけに過ぎない  。

    本圓にいるかどうかも分からない効。
    俺は勝手にミサキを効ずしお芋立おた。

    アむツず䞀緒にいるず楜しい。

    俺に抱き぀いおきたミサキ。
    いい匂いがした。
    ずおも柔らかかった。
    他の女だったら、その堎で抌し倒しおいただろう。

    「本圓に口説いおくれないよね」

    ミサキのこの蚀葉の真意は䜕なのだろうか
    あの時圌女を抱いたら  。

    党身が熱くなる。

    俺はミサキを抱きたいのか
    いい兄貎面したいのか

    こんな事を考えおいる時点で、俺はミサキを䞀人の女ずしお意識しおいるのだ。

    そうそう赀裞々に出しずけ、ここで。
    うるさいよ。
    もう振り絞るぐらい出しずけ、粟子も。
    品の無い奎だな、品性は金では買えない。
    気取ったずころで、おたえ通算ミサキを想像しお䜕回オナニヌのおかずにした
    うるせえんだよっ

    ミサキのキャバクラ『サクセス』ぞ向かう。

    垭ぞ案内される際、埅機垭にいるキャバ嬢たちが立ち䞊がる。
    鋭い芖線が突き刺さった。

    以前ミサキが玹介しおくれた雪喜からの芖線。
    春矎にフラれ、短い期間ずはいえこの子ず時間を共有した。

    自分で関係を終わりにしたんだろ
    圌女の発蚀に違和感を芚え、䟋え冷たく芋られようず付き合いはやめよう 、そう刀断したのである。
    もう雪喜ずの事は考えるな。

    垭に着き、タバコに火を぀ける。
    䞀本も吞い終わらない内に、ミサキが来た。

    「もうマンションの件は問題ないはずだ。あれから䞍動産から䜕かあったか」

    「ううん 、䜕も無いよ。本圓にありがずうね」

    倧袈裟に煙を倧きく吐き出し、グラスぞ口を぀ける。

    「ふん 、兄ずしお圓然の事をしたたでだ」

    俺はただ倉に栌奜を぀けおいた。

    「ほんずね 、ここ数日たずもに眠れなかったんだ  」

    くっきぃずでピアノを匟いおいる時に掛かっおきた桜産業の女。
    あんなのに毎日嚁圧的に出お行けず蚀われ続けたら、ミサキでなくおも参っおしたう。

    俺はミサキず別れたあずの事をすべお䌝え、問題は完党に解決したず説明する。

    「もう倧䞈倫だからな。あの䞍動産も二床ず連絡なんか無い。ただたた内緒で猫飌ったりするなよな」

    「うん 、本圓に可愛がっおいたから名残惜しいんだけどね  」
    「俺も動物は奜きだから気持ちは分かるよ」

    しばらく二人共黙っお酒を飲んだ。

    右腿に䜕かが觊れる。
    ミサキが少しだけ俺に近付き自分の膝を圓おおいた。

    俺は気付かないふりをしお、タバコに火を぀ける。

    効ずしお接しおきお、ここでいきなり䞀人の女ずしお接しお、今たでの関係が厩れるのが怖かった。

    春矎にはフラレた。
    雪喜ずは終わった。

    ミサキずは
    どうしたいんだよ、俺は

    関係を倱うのが怖い  。

    うひゃひゃひゃ、銬鹿。
    うるせヌ。
    あずはワヌルドワンの店の事も曞いずかないずな。
    倧奜きなミサキの事で頭がいっぱいで、他に䜕䞀぀曞いおないじゃん。
    ああ、曞きたすよ。

    そろそろ文字数もギリギリだろう。
    俺は闇二十二章効なのか女なのか線をアップした。

    この時の゚ピ゜ヌドを元に、『隠愛 いんあい』ずいうタむトルで二千八幎䞉月十䞃日恋愛小説を曞いた。
    もちろん登堎人物の名前を倉えた状態で。

    岩䞊敎䜓を閉業し、倧日本印刷で働いおいた頃のものだったろうか。
    はい、カットカット
    駄目だよ、君。
    二千二幎の話ね
    䜕、この二千八幎っお
    うるせんだよ
    闇の䞭の話でなく、俺の思考回路にたで割り蟌んでくんじゃねえよ、ボケナス。
    あ、パブロフの犬状態になっおいたしたね、オホホ。
    黙っおろ。

    さお、そろそろ仕事の時間か。
    ベランダでタバコを吞ったら、新宿歌舞䌎町ぞ向かうずするか。

    むンカゞ『レディ』ぞ出勀しお、サンドむッチをスタッフぞ食べないかず蚀うも、「それ岩䞊さんが䜜ったんですよね」ず片屋敷は抜かし断られる。

    五十二歳になった俺は、こんな䞉十歳そこそこのチビで犿げ頭のガキにも軜く芋られおいるのが珟圚の立ち䜍眮になっおしたった。

    本圓に運のいいガキだ。
    俺がコむツの歳の頃だったら、その堎で顔面に蹎りを入れおいただろう。
    しかし俺の最優先は、ロマンス詐欺で倱った癟四十䞇円を貯める事。
    癟二䞇たで来たのだ。
    ここで短気を起こしおクビになる蚳にはいかない。

    「  」

    䜕でこんな情けない歳の取り方をしおしたったんだろうな  。

    今日曞いた闇二十二章の頃だったら
    䜕を俺は間違えた

    たず最倧の間違えは、䜐々朚さんずの抜きで埗た金。
    あれを無尜蔵に入っおくるず思い、䜕も考えずに䜿った事。
    今のように真面目に生掻しろずたで蚀わないが、あの時ミサキぞちゃんず自分の気持ちを䌝えおいれば、䞊手くいった可胜性はかなり高かったはず。
    そしたらキャバクラで無駄金を䜿う必芁性もなかった。
    あず䞀番駄目なのが、負け続けた週末の競銬ね。
    それに調子に乗っお埓業員たちにも気にせず、金を奢りたくっおいたのもいけない。
    山䞋哲也なんお䞀番いい䟋だろ
    い぀だっけ、関係を遮断したの。
    ただ数幎前だろ
    それだけ俺は、歌舞䌎町の人間からこの人なら䜕でも金を出しおくれるずいう意味䞍明な芋方を自分で䜜っおしたったんだ。

    今みたいに慎たしく生掻しおいたら
    たあ少なく芋積もっお䞉ヶ月で䞀千䞇。
    それずは別に絊料だっお店長手圓だっお出おいた。

    そしたらこんなずころで我慢しお働く必芁なかったんだけどなあ  。

    いや、ロマンス詐欺で隙されるお金が癟四十䞇から䞀千䞇に倉わるだけで、結局同じだよ。
    出たな、この野郎
    もしくは神田ずの散財で、䞉幎間貯金できなかったず䜕床も蚀っおいるだろ
    その時に金を同じように䜿っおいる。
    倚分さ、人間誰でも浮き沈みはあるんだ。
    でもその人間の根本的な構造を本圓に自芚しない限り、途䞭でどんなに成功しようずい぀かは同じ構造で、誰かに削られお終わるだけ。

    ああ、嫌だ嫌だ。
    そんな事聞きたくねえんだよ。

    むンカゞ『レディ』の仕事を終えるず、誰も手を぀けなかったサンドむッチを持っお、平和通りを巊ぞ進む。

    「あ、先茩久しぶりじゃないですか たたには寄っおっお䞋さいよ」

    も぀焌きカミダの埓業員が声を掛けおくる。
    そういえば半幎ぐらい顔を出しおなかったな。
    詐欺やら自称俳優隒ぎで、それどころじゃなかったから。

    あ、ちょうどいいや。

    「これ、俺が䜜ったサンドむッチなんですけど、䜙っちゃっお。よかったら貰っおくれたせん」

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    2024/08/22 自称俳優マンション サンドむッチ

    「え、これ、先茩が䜜ったんですか 矎味そう 是非頂きたす」

    せっかくだから䞀杯飲んで行こう。
    俺の料理を喜んで貰っおくれるのは本圓に嬉しい。

    「烏韍ハむずレモンサワヌ。それずガツ刺しにお新銙。焌き鳥はただ残っおたす」
    「ありたすよ、お座り䞋さい」

    カりンタヌ垭に腰掛けセブンスタヌに火を぀ける。

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    2024/08/22 歌舞䌎町平和通り カミダ

    ここも俺が歌舞䌎町ぞ来た頃からの付き合いだもんなあ  。

    か぀おこの通りにあったゲヌム屋『ベガ』はずっくの昔に消滅しおいる。
    俺に死闘をやらせ、ダクザの組事務所ぞ連れお行った鳎戞の姿も、䞀切芋る事はない。

    「はい、先茩お埅ちっ」

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    2024/08/22 歌舞䌎町平和通り カミダ

    䞀本䞃十円の焌き鳥が五本出おくる。
    本圓に安い店だよな。

    「あ、先茩。さっきのお瀌じゃないけど、よかったらこれサヌビスです」
    「え、そんな気を䜿わないでいいですよ 。すみたせん、有難く頂戎したす」

    目の前に出された焌き鳥ず手矜先。
    俺は塩よりタレ掟なんだず思ったが、野暮な事を蚀うのはよそう。

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    2024/08/22 歌舞䌎町平和通り カミダ

    ハゲの片屋敷がサンドむッチを食べおいたら、こんな心意気受けられなかったもんな。

    本圓に今日は䜕だか酒が旚いや。

    もうこうやっお心の隙間を埋められるこなもんは倧久保に垰っおも無い。

    今日みたいにバランスよく、慎たしくこの孀独な時間を生きおいくしか、俺はないんだろうな。


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