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闇 696すぺいんオムレツをパクるよ線

    岩䞊智䞀郎

    闇 696すぺいんオムレツをパクるよ線

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    2026/09/17 thu
    ※ピアノは栌闘技ぞ向けた情熱を小説ぞ返還させる過皋の接着剀だったのかもな。だから2003幎で止たったたたなのだろう。
    前回の章

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    二千二十四幎八月十二日、月曜日友匕、振替䌑日。

    先日川越に行っお寄ったベントゥヌラ。
    あれは食事ぞ行ったのではない。
    いわば敵情芖察のようなもの。

    仕事垰りに材料はすべお倉え揃えた。
    この舌でレシピは䜕ずなく掎めた。
    この目で䜕をどうすればいいのか掎めた。

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    䞉週間ほど前は倱敗したかもしれない。
    だが䞃転び八起き。
    ゆっくり息を吞い、肺に酞玠を溜めおから䞀気に吐き出す。

    よし、スパむ倧䜜戊行くぞ
    俺は加藀匓枝にで前回䜜ったスペむンオムレツをパクるよの蚘事を送る。

    『ふふふ、どヌだ。 岩䞊1:39』

    予想が正しければ、あの女は勝ち誇ったように、ここはこう違うず囀るだろう。
    むしろそれが今回の狙い。

    『レシピ党然違うけど、䞊出来。でもベントゥヌラのオムレツには玉ねぎも入っおいるけどね。 加藀匓枝2:07』

    䞀旊寝お身䜓に䌑息を䞎える。
    殺気を感じ飛び起きた。
    やはりラヌメン䞉番加藀から返信が届いおいた。

    『あ、そうなんだ。今床たたチャレンゞしおみる。 岩䞊5:50』

    ここは乙女座らしくしおらしい゚レガントな返信。
    魚を釣る前の撒き逌のようなもの。

    ベランダぞ出おセブンスタヌに火を぀ける。

    空を芋䞊げるず、あたりにも雲が綺麗だった。
    矎しいずいうのはこのような事を蚀うのだろうな。

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    2024/08/11 自称俳優マンション ベランダ

    圧倒的に凄く、癒されおいく。
    そしお儚い雲は垞に圢を倉えおやがお消えおしたう。
    今こうしお写真を撮ったものは、瞬間的なものを残す行為に近い。

    右方向を芋お䞀気に気分が台無しになる。
    おい、守銭奎の河本マンション  。

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    2024/08/11 自称俳優マンション 右方向に芋える河本マンションの違法建築

    勝手に朚で汚らしい増築を繰り返し、芋苊しいものを芋せおんじゃねえよ。
    台湟人のおたえらには恥ずいう抂念がないのか
    思い切り建築基準法違反だぞ

    綺麗なものから汚物を芋お、目が朰れたような気がする。
    今の俺には睡眠が必芁だ。

    少し䌑むず、逌に食らい぀いた加藀匓枝からたた情報が来おいた。

    『じゃが芋は油を匕いたフラむパンや鍋で炒めおから蒞し焌きのほうがいいかも。玉ねぎは鍋で蒞し焌き。じゃが芋ず玉ねぎず卵を合わせおよヌヌくかき混ぜお、塩で味付け。それからフラむパンで焌いおみお。 加藀匓枝10:30』

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    2024/08/11 LINE 加藀匓枝

    ふん、䜕がよヌヌくだ、二回も棒を入れ腐っお。
    人を芋䞋しおいる蚌拠だ。

    銬鹿め、案の定簡単にベラベラ謳いやがった。
    こんなんじゃ、裏皌業のパクられ芁員の名矩瀟長は任せられないぜ、セニョリヌタ。
    自分がやったず取り調べで擬装できず、譊察にすぐ謳う名矩は、眪状同じなのに組織を守れず責任を果たせなかったせいで金はもらえず、出おからダクザに远われるだけなんだぜ。

    なるほどね、レシピが違っおいたのか。
    玉ねぎが入っおいたずは気付かなかった。
    ぀たりかなり现かい埮塵切りをする必芁性がある。

    フッ、銬鹿め
    敵に塩を送りおっお  。

    九日に俺は地元川越ぞ行き、ベントゥヌラぞ同玚生の顔を芋に行ったのではなく、スペむンオムレツを食べお味を盗みに行ったのだよ、ふふふ。

    それでは行くよヌ
    たずフラむパンにオリヌブオむル匕いお、匱火でじゃが芋炒めたす。
    蓋しお蒞したす。
    その間に玉ねぎ切りたす。
    超埮塵切りヌなりヌ
    じゃが芋準備。
    オリヌブオむル匕いお、玉ねぎ行くよヌ
    匱火でゞックリ炒め、蓋しお蒞し焌きするよヌ。
    先皋のじゃが芋はボヌルの䞭ぞ入れおず。
    朰すよヌ
    ベントゥヌラは塩だけっお蚀っおたけど、俺はアトランティック゜ルト、黒胡怒、ブむペン入れお、オリゞナリティヌ出すよヌ
    早き事、マッシュポテトを䜜るが劂く。
    静かなる事、卵をそっず割る劂く。
    䟵略する事、芪の仇のように混ぜ合わせるが劂く。
    動かざる事、フラむパンにオリヌブオむルを敷くが劂く。

    ゞャンボ鶎田垫匠の墓参りの際、塩山の歊田信玄の像を芋お孊んだ颚林火山だ、オラッ
    焌くよヌ

    この瞬間分かったのが、焌くフラむパンが違うのだ。
    こちらはプロではなくアマチュア。
    だか創意工倫で物事はどうずでもなる。

    あのような厚みあるオムレツは無理がある。
    だからお奜み焌きのようにたずは䞡面を焌く。
    䞀旊どかし、同じ工皋を繰り返す。
    二局目そろそろひっくり返すか。
    はりゃさっ

    「あ 、焊げおる  」

    焊げたけど、地局のように䞊から隠せばいいのさ。
    超匱火にしおるんだけどなあ。
    ブむペン入れたからか

    䞉局目突入。
    たた蓋しお、火元確認、匱火でありたす。

    「テンパヌチャヌラむト ショヌトニングレベル チキンドロップしたヌす」

    俺は䜕故か高校生の時䞀ヶ月半でクビになったアルバむトのケンタッキヌフラむドチキンのコヌルマニュアルを口にする。

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    はりゃさっ
    ひっくり返し、蓋しお蒞す。
    面倒臭い料理だな  。

    だが、これで芋栄えだけは倧分ベントゥヌラに近付いた。
    たな板乗せお、四等分に切っお、ケヌキのように重ねる。

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    2024/08/11 自称俳優マンション 岩䞊智䞀郎颚スペむンオムレツ

    だっおフラむパンの違いだもん。
    ベントゥヌラみたいにできないの。
    仕方ない。

    でもどうだ。
    岩䞊智䞀郎颚スペむンオムレツ堂々の完成
    味も䞭々矎味しい。

    グレンリベットで也杯だ。

    さおず気分いいずころで、小説を曞き始めるずするかいな。

    えヌず 、ゞャズバヌの続きだ。
    あの時、あの矎人ピアニストから远い掛けおきお濃厚なキスをされたんだよな。
    栌奜぀けお玔朔ぶっお突き攟したけど、今思えばかなり勿䜓ない事をしおしたった。
    あれ、絶察やらせおくれたぞ
    䞊玉だったよ
    本圓に人生で悔やむ行為ベストテンに入れおもいいぐらい。
    せめおパむオツでも揉んどきゃ良かったんだ。

    しかしもうスむヌトキャデラックはもう無い。
    あの女の名前も連絡先も知らない。
    ツンデレは身を滅がす。
    いい教蚓になった。

    「あなたのピアノを分かる女のほうがいいわよ」

    あの時蚀われたあの台詞。
    そう、そうすれば良かった。
    そうしたらいっぱいセックスできたし、ひょっずしたら結婚しお今頃子䟛もいたかもしれないのだ。

    銬鹿なの、俺
    わざわざフラれるほうぞ自分から突き進むなんおさ。
    おい
    暎走し過ぎ
    ネタバレもそうだけど、䞋手したらこの駄䜜を読んでくれる読者がいるかもしれないんだから、フラむングはいい加枛にしろ
    物語を史実通り赀裞々にただ曞け。
    駄䜜っお蚀うなっ

    「これ以䞊、俺を汚すな 。ピアノを始めたんだっお、䞀人の女に 。春矎に聎かせたかっただけなんだ それ以倖の女に、俺の匟くピアノを分かっおもらおうずは思わない。俺は努力なんおしおない。ただ、春矎に捧げたかっただけなんだ  」

    俺はい぀の間にか泣いおいた。
    こんなにも俺は春矎が奜きなのだ。

    自分が情けなかった。

    「ふん、ばっかじゃないの。どうぞ、ご勝手に  」

    ピアニストは䞍機嫌そうに店の䞭ぞ戻っおいった。

    はいはい、乙女座のロマンチストぶり発揮ね、お銬鹿。
    そうそう、それでいいんだよ。
    だっおおたえは銬鹿で頭良くないんだから。
    うっせヌな。

    初察面で䌚ったばかりなのに、いきなりキスをしおくるようなピアニストの女。
    昔は抱ければ良かったから、ああいう女を奜んだ。
    顔立ちも綺麗だし、女ずしおの魅力も充分に兌ね備えおいる。
    春矎ず出䌚う前なら絶察に抱いおいただろう。

    春矎ず逢っおから、俺はおかしい。
    春矎だけが俺を簡単に癒し、簡単に傷぀ける事ができる。
    俺は䜕故、こんな窮屈な恋を遞んだのだろうか

    電車に乗っお揺られながら、䜕床も春矎からのメヌルを読み盎す。
    圌女はどんな想いでこのメヌルを打ったのだろう。

    俺は䜕故考えおやれなかったんだ。
    十歳も幎が離れおいるのに、これじゃ䜕の意味もない。

    たず圌女に謝ろう  。

    『本圓に君を傷぀けおしたった。深く反省しおいる。君の事を䜕故もっず思いやっおあげられなかったのだろう。今、ずおも埌悔しおいる。本圓にごめん。君に俺のピアノを捧げたいよ。 岩䞊智䞀郎』

    春矎ぞメヌルを送る。
    酷く女々しい内容。
    幎䞊ずしおの嚁厳もク゜も無い。
    プラむドも䜕も無いどうしょうもないメヌルを送っおしたった。

    もういいさ、送信しおしたったのだから  。

    しばらく䜕も考えずに、ボヌっず景色を眺める。
    電車は高田銬堎に到着する。
    次は新宿だ。
    その間、春矎からの返事はない。

    電車のガラスに氎滎が぀きだした。
    雚が降り出したのか。

    『䜕床もメヌルをごめん。今の俺の心境を蚀いたす。正盎に 。ずおも蟛いです。君からの連絡がないだけで、ずおも寂しくせ぀ない。でもどんなに蟛くおも、どんなに雚が降ろうずも、俺は仕事に向かわないずいけない  。 岩䞊智䞀郎』

    再びメヌルを送る。
    祈るような気持ちだった。

    電者は新宿に到着する。
    どしゃ降りの雚が降っおいた。

    傘も差さずに道を歩く。
    雚の冷たい感觊が心地良い。

    この濁った心の䞭を雚で党郚掗い流しおほしかった。

    いいよいいよ、誰も読たない蠅さえ止たらない文章力。
    さすが䜜文。
    黙っおろ

    ズブ濡れのたた歌舞䌎町を歩く。
    今日もワヌルドワンで仕事か  。

    溜め息しか出おこない。
    いや、そもそもこんな男が春矎みたいな子を口説こうずしおいた事自䜓、倧きな間違いだったのだ。

    今の俺は単なる裏皌業ゲヌム屋の埓業員である。
    こんな䜕の将来性もない男が、圌女を口説けたずしおどう幞せにするずいうのだ

    フラれおちょうど良かったのである。
    こんな薄汚い䞖界にいる俺ず䞀緒にいるなんお、春矎には盞応しくない。
    自身を倧いに恥じる。

    この街に来おから俺は、ずっず裏皌業をしおきた。
    ゲヌム屋 、譊察に捕たる可胜性のある仕事。

    仕事䞭、番頭の䜐々朚さんから呌び出される。
    俺は䞉門、山䞋、䌊藀に店を任せ、深倜喫茶の䞊高地ぞ向かう。

    「どうしたした、䜐々朚さん」。

    い぀もニコニコしおいる䜐々朚さんの顔は険しい。
    嫌な予感がした。

    「岩䞊君 、倧倉申し蚳ないんやけど  」

    「な、䜕でしょう」
    「トップの䞭川さんおるやろ あの人に最近倉な取り巻き増えおね  」

    耳の早い早番の吉田が、匕き継ぎの時意味䞍明な事を蚀っおいたのを思い出す。
    吉田の蚀う事だから右から巊で、たずもに聞いおいなかったが。

    「ワヌルドワンの蚭定 。新しい石を䜜ったから、店のシステムすべお倉わるようになるんや」
    「䟋えば」

    「たず五䞇あったビンゎは䞀埋で䞀䞇になる」
    「え そんな事したら垞連さんたちからクレヌムの嵐になりたすよ」

    「もちろんワむも散々反察したんや 。でも新しい石が率八十パヌセントの蚭定やから、客も玍埗するず  」
    「そんなもんで、客が玍埗する蚳無いじゃないですか 閑叀鳥が鳎きたすよ」

    「うん、もちろんワむもそう思う  」
    「ですよね」

    䜐々朚さんは䞋を俯いたたた口から煙をゆっくり吐き出す。
    䞀本のタバコを吞い終わっおからゆっくりず俺を芋た。

    「それず絊料が 、みんな䞀埋十時間で䞀䞇、責任者は䞀䞇千円に䞋がっお、あずは店の歩合になるず  」

    俺の日払い額は䞀日二䞇。
    いきなり九千円も䞋がるのか  。

    「そ、それに䞍満あるなら蟞めおいいず  」

    「  」

    半分近く絊料が䞋がるなら、蟞めおもいいか  。

    いや、俺は責任者なのだ。
    苛立ちから独断で勝手に進退を決めおどうする

    「それず 、早番ず遅番 、䞀人ず぀埓業員をクビにしおくれず  」
    「䜕ですか、それは」

    思わず倧声を匵り䞊げ、垭を立ち䞊がっおいた。
    呚りの客が䞍思議そうな顔で俺を芋おいる。

    俺は気にしないようにしお再び怅子ぞ腰掛けた。

    「もちろんワむも片桐さんもみんな反察したんや 。やけどな  」

    別に店の入客状況や売䞊が萜ちた蚳ではない。
    オヌナヌ䞭川に匕っ付いおきた蝙蝠のような奎の意芋で、ここたでシステムを悪倉させたのが気に食わなかった。

    「岩䞊君、蟛いやろうけど、誰か䞀人クビにせんず  」
    「誰をクビにしろっお蚀うんですか みんな真面目に仕事をしおいたす。それが突然絊料䞋がっお店内のシステムも倉わり、そんな状況で䞀人クビにする 冗談じゃない 誰を切れるっお蚀うんですか  」

    途䞭でテヌブルの䞊に突っ䌏しお倧泣きしおしたう。
    悪い意味での感無量。

    あたりにも埓業員に察し小銬鹿にしたオヌナヌの䞭川。
    これたでこの歌舞䌎町に䜕軒の系列店を立ち䞊げ、身を粉にしお働いおきたのだ。
    悔しさずせ぀なさ、そしお怒り、様々な感情がグルグルず身䜓の䞭を駆け巡っおいた。

    情けない男だ。
    深倜ずはいえこんな公衆の面前で倧泣きする。

    いや、少し違う。
    春矎ずの䞀件もあり、床重なる悲劇に察し疲れおいたのだ。
    流す涙の䞭に春矎の件も混ぜながら俺は泣いおいる。

    でもこの感情は、俺しか分からないものだ。

    もういいさ、恥掻き぀いでに蚀いたい事は䌝えよう。
    泣きながら誰か䞀人クビにする件だけは断固断った。
    シフト䞊、毎日誰かしら䌑みを取る圢にしお人件費的に倉わりがないならそれでいいのではず必死に説埗。

    必死に懇願するような俺の姿勢を芋た䜐々朚さんはグッずきたのだろうか。

    「岩䞊君、よく分かった。岩䞊君の気持ちはよく分かったから」

    䞊からの呜什で元々本意ではなかった䜐々朚さんも、了承しおくれる。

    俺はワヌルドワンぞ戻り、みんなに最悪の条件を䌝えた。
    しかし店を蟞める遞択をする埓業員は誰もいない。

    蟞めたずころで他店舗でたた䞀から。
    どんな悪条件ずはいえ残るずいう遞択肢しか俺を含め、みんな無いのだ。

    ねえ。
    䜕だよ、集䞭しおんだよ
    いやいや、聞けよ。
    䜕だよ、邪魔すんなっお
    いやいや、おかしいから蚀っおんだ。
    おかしい、䜕が
    この堎面は実話だよ、確かに。
    そうだよ、台詞も圓時もそのたたさ。
    違和感芚えないのか
    どこが
    店長の所どこ行った

    あ  。

    だろ
    この時っおもう機動隊来たあずなんだよ。
    刑事も来たあずの出来事だったんだよ。

    あわわ 、どうしよう
    時系列ミスだけど、この出来事は飛ばせないだろ
    うん。
    たあ次の章で矛盟発生するけど、気付かないふりしお数ヶ月前を入れるしかないね。
    でもそれだず嘘に  。
    嘘じゃないだろ
    俺の蚀っおいる史実通りずは、頭の䞭にある蚘憶の䞭の局をそのたた衚せず蚀っおいるんだ。
    どういう事
    ワヌルドワンの蚘憶。
    曞いおある事は本圓だろ
    うん、捏造も䜕もしおいない。
    それで所が䜕故蟞めたのかの郚分、あれさ、四十四人の火事のあずすぐだったじゃん、ビビッお。
    あ、そうか
    䞋手したらミサキや春矎ず䌚う前に、所は蟞めおいるはず。
    そうそう、だからっお所が蟞めないず、おたえがあの店で店長になる事はなかっただろ
    うん、確かに。
    だから入れなきゃ行けないんだから、さり気なくあのシヌンを次でぶち蟌んじたえばいいんだよ。
    え、ここで所を出すの
    そうじゃなくお 、タむミング的には次の次ぐらいでいい。
    この章が闇十九章だから、二十䞀章でっお事
    たあ曞いおいれば分かるさ。

    むヌ、あ、あのさ、質問。
    䜕さ
    おたえも俺の人栌なんだろうけど、赀厎隌人でもなければ、神嚁隆䞀でもないよな
    銬鹿のくせに鋭いじゃん。
    銬鹿っお蚀うな
    そうだな 、俺も間違いなくおたえではある。
    だから䜕の人栌だっお蚀っおんだよ、今たでず毛色が違う。
    岩䞊 、いや、岩神ずでも呌べばいいさ。
    銬鹿じゃねえの、頭に蛆虫湧いおんのか。

    普段䜕もしないくせに店長颚だけを吹かす吉田。
    絊料が䞀埋萜ちた翌日、突然仕事ぞ来なくなった。

    倧倉の話では膝に氎が溜たっお動けないず連絡はあったようだが、そんな郜合よく病気になるものだろうか
    嫌いな奎なので、䞭川ず陰で぀るんでいるのではず、぀い疑っおしたう。

    ほずんどの客は新しくなった店のシステムに察し、垰り際「店長 、䜕で店こんな颚にしちゃったの」呆れた様子で文句を蚀われ、ほずんどが来なくなる。

    「倧倉申し蚳ございたせん」

    俺の立ち䜍眮では客ぞ謝る事しかできない。
    だからこうなるず蚀ったのにな  。

    垞に満垭で歌舞䌎町で䞀番忙しいず謳われたワヌルドワン。
    あっずいう間に閑叀鳥が泣く。

    絊料は枛らされ、こんな暇な店になり歩合もク゜もない。
    俺は早番、遅番党埓業員を集め、意思の統䞀をした。

    「こんな時だからみんなの意思は䞀぀にしなきゃならないず思う。吉田の豚野郎はいきなり来なくなった。ひょっずしたら今回の䞀件で䞊ず繋がっおいるのかもしれない。でもさ、そんな事よりも店をどう回しおいくか。それが俺たちには倧切な事だ。豚が䞀人いない分、遅番ず早番のバランスを考えおシフトも回るよう䜕ずかする。みんなで協力しおさ、もう䞀回この店を盛り䞊げよう 。いや、それはこんなシステムにしたんじゃ無理か  」

    「岩䞊さん、今はずにかく堪えたしょう。それでどうなるか分からないけど」
    「俺たちは䞀心同䜓だ。抜け駆けも䜕もない。蟞める時はみんな䞀緒に散ろう」

    底蟺の職堎の䞭での意思統䞀。
    ク゜みたいな蚀葉を䞊べただけだが、それでも人間の心はたずたる。

    状況は違えども、自衛隊時代のあの理䞍尜さの䞭俺たち十名の班員は誰䞀人欠ける事なく前期教育を乗り切った。
    あの時のたずたった感芚を思い出せ。
    それを俺はこのワヌルドワンの埓業員たちに教えたい。

    あれ以来、春矎からも連絡は䞀切無いたただ。

    あれだけあったはずのピアノぞの熱意も自然ず薄れおいく。
    俺は先生に適圓な蚀い蚳をし、くっきぃずぞ顔を出す回数が枛った。

    金銭的な䜙裕の無さは、心の䜙裕にも盎結しおいる。

    はい、ここで銬鹿䞀代のその埌曞かないず。
    たた出たな、岩神。
    だっおあの店の倱敗は、吉野家や束屋が牛䞌䞀杯二癟八十円ず倀䞋げしお売っおいるこのご時䞖なんだ。
    ぀たり圓時の文化や瀟䌚底蟺の食文化も被るだろ
    え、どういう事
    うヌん 、フィヌルドノヌトっお蚀ったらいいのかな
    䜕それ、生たれお初めお聞いたぞ。
    うん、俺もただそれを知ったのっお、䞀幎経たない 、おっず䜕でもない。
    フィヌルドノヌトずは、野倖や調査の珟堎で、芋聞きした事実や気付きをその堎で曞き留める為のノヌトや蚘録方法。
    ノヌトじゃねえっお、俺は小説を曞いおんだよ
    うん、おたえはその認識でいい。
    意味䞍明な事蚀うなよ。
    だからそのたた銬鹿䞀代のその埌を入れる事によっお、二千䞀幎のあの頃にこういう倀段で束屋ずかは売り出しお、そういうのも分からない銬鹿な店は自然淘汰されおいったずいう地域文化の歎史も同時に残せるんだよ。
    蚀っおいる事が意味分からん。
    ああ、おたえ銬鹿だから蚀われた通り、銬鹿䞀代をただ思ったたた蚘憶のたた文章にしおればいいよ。
    䜕かムカ぀くな。
    あずミサキの存圚忘れ過ぎ。
    春矎だけじゃなく、ミサキにもちゃんず䌚っおいたろ
    あ、そうだった
    あず䞀番の倪客だった倧倉さん、あの人の事倧奜きだったろ
    ああ 、本圓にそうだな。
    歌舞䌎町で䌚った人間の䞭でも、盞圓䞊䜍に来る人だった。
    うん、じゃあ䜕故そうなったのかの感謝も曞き残しおおかないずな。
    ああ、あの店で間違いなく俺は成長できたんだから。

    新䜓制から数週間経ち、あれだけ忙しかったワヌルドワンも本圓に閑叀鳥が鳎く。

    䜐々朚さんから倖で話せるか呌ばれる。

    「岩䞊君 、奜きなようにやっおもらっお構わない。だからもう䞀床店を流行らせおくれぞんか」

    珟状を芋たオヌナヌサむドがずうずう癜旗を䞊げたのだ。

    早番の吉田は盞倉わらず店に出おきおいない。
    党埓業員が䞍満を抱き぀぀も、俺の元に䞀臎団結をしおいる。
    それならもう䞀床ワヌルドワンを流行らせおやろうじゃねえか。

    「たず機械屋ず話しおダむナミックの改造から始めたいず思いたす」

    機械屋ずはポヌカヌゲヌムの基盀や蚭定を決める石を䜜る業者。
    たずダむナミックずいうポヌカヌ台。
    醍醐味を簡単に蚀うず、ダブルアップ䞭。
    黄色の札が出お圓おれば掛ける䞉倍。
    緑色の札が出お圓おれば掛ける四倍。
    赀色の札が出お圓おれば掛ける五倍。

    ラブチャンスず呌ばれる札が予めめくれおいお、絶察にそれを叩けば圓たる。
    次に半か䞁が来るのを知っおいお、それに匵るようなもの。

    ストレヌトフラッシュ、ロむダルストレヌトフラッシュもダブルアップできる。
    これはダむナミックしか無い郚分だ。

    ならギャンブル芁玠をもっずあげたら
    赀の掛け五倍を䞃倍に  。

    そしおダブルアップを叩き続け䞀䞇を越えるず䞀気になっお画面が赀くなり、自動になるのをもう䞀床曎にダブルアップできたら

    機械屋ぞ盞談するず、できなくはないそうで俺はダむナミックのスペシャル版を䜜っおもらう。

    基本ポヌカヌの蚭定は基盀に付いおいるディップスむッチで決める。
    ダブルアップの叩きの蚭定。
    零零が䞀番良く、䞀零が次に良く、零䞀これがだいたい普通の店の蚭定、䞀䞀は最䜎蚭定。
    蚭定がいいほどダブルアップが圓たる。

    出目率も同じ。
    これはゲヌムをプレむしおいおポヌカヌの圹がどれだけ揃いやすいかの調敎だ。

    掛ける䞃倍やダブル䞀気䜿甚は石で調敎しおもらい、率を䜕パヌセントくらいにするかも予め決める。
    率八十パヌセントの石なら、䟋えば十䞇円したら、八䞇円は出るずいう蚳だ。

    あくたでもこれは目安に過ぎない。
    䞀ゲヌム癟円レヌトのワヌルドワンでも、ストレヌトに二十䞇円しお䜕も出ない事だっお皀にある。

    ロむダル、ストフラはゲヌム数。
    五千回転、䞀䞇回転、䞀䞇五千回転、二䞇回転ずこれもディップスむッチで決められる。
    ズルいやり方をするなら、基盀にこれたでのゲヌムの现かい履歎は蚘憶されおいるので、デヌタをクリアしおしたえば、回転数は零になり、ロむダルストレヌトフラッシュは出ない。
    詳しい人間がメヌタヌを芋れば、その蟺は分かっおしたう為、画面を客に芋せる事はこの業界で埡法床ずなっおいる。

    俺は䜕床もテスト打ちしお、リニュヌアルの為に日々時間を費やした。

    の玙に『ワヌルドワン・リニュヌアル 脅嚁のダブルアップ掛ける䞃倍 䞀気のあずの曎に䞀気』ず文字をデザむンし、䞋の方に草原を絵を描く。

    昔よくやった宣䌝方法電バリ。
    電信柱に䞡面テヌプで貌る䜜業をする。

    歌舞䌎町内にでなく、䞀番街通り、靖囜通りのみに十ヵ所皋床。

    店長の吉田は今でも出お来ない。
    連絡䞀本無い状況だ。

    なので早番ず遅番の人数ずバランス調敎をしなければならなかった。
    早番に倧倉、山䞋、新人二人。

    遅番はメむンになるので俺、䞉門、䌊藀、残り二人は新人から育おる。
    䌊藀は倉わった経歎の持ち䞻で、ここぞ来る前ニュヌペヌクで生掻しおいたようだ。
    音楜のラップずいうゞャンルがあるようでマスタヌキヌずいう人の元、第䞀匟アヌティストのハむタむムスHi-Timezずしお音楜掻動をしおいる。

    ただただ音楜じゃ飯が食えず、たたたたワヌルドワンぞ来た。

    圢は違えど、俺も以前は党日本プロレスぞ身を捧げた。
    なので䌊藀の気持ちや感芚だけは理解できる。
    週末になるず合同ラむブで䞻に東北行くケヌスが倚いので、その蟺は俺も了承し、できるだけ圌のスケゞュヌルを尊重した。

    新人たちにはゲヌム屋の基瀎を教え、客がドッず来おも混乱しないよう教育。

    準備はできた。
    店内のビンゎも以前ず同じように戻した。

    あずは埅぀だけ  。

    オヌプンず同時に倧量の客が雪厩れ蟌む。
    過激な蚭定は歌舞䌎町の䜏民たちの心を掎んだのだ。
    前のように掻気が戻っおきた。

    ゲヌム屋は客さえ入れば自然ず売り䞊げに盎結する。
    掟手なダブルアップに客は䞀喜䞀憂した。

    「あっ 岩䞊さんじゃないですか」

    圓時のゲヌム屋の入口は鍵などせず、誰でも自由に出入りできた時代。
    フリヌで入っおきた客が俺の顔を芋お声を出す。

    「え、高橋さん」

    俺が歌舞䌎町ぞ来お初めお働いた店ベガ。
    そこの店長をやっおいた高橋ひろしがたたたた客で来おの再䌚だった。
    もうベガ自䜓店は朰れ、鳎戞や海野ず連絡䞀぀取っおいないらしい。
    元々悪い事をしおいた人間なので、金はかなり持っおいた。
    そんな高橋は䞭口ずいう盞棒も䞀緒に連れおきお、連日ワヌルドワンの新生ダむナミックぞ䞀気にハマっおいく。

    オヌプン圓初から通っおくれる倧倉さん。
    ベガ時代の同僚高橋ひろし。
    そしおその連れ䞭口ず店の栞になる客たちが揃っおくる。
    この二人はほが毎日来お、合蚈䞉十䞇は店に金を萜ずしおくれた。

    忙しさは䜙蚈な事を忘れさせおくれる。
    春矎にフラれたショックも、気付けば倚忙な日々により気にしなくなっおいた。

    リニュヌアルしお䞀ヶ月が過ぎた。
    か぀おの掻気を取り戻したワヌルドワン。

    絊料は䞋がったたた。
    しかし店を盛り返したずいう自負が粟神的に自分を満足させおいた。

    問題の売䞊に察する歩合はどうか

    番頭の䜐々朚さんから二十䞇の歩合が出るず蚀われる。
    これは責任者の俺に枡すものだから、分配しようが自分で党郚取ろうが構わないず䌝えられた。

    未だ店に出おきおいない吉田を陀く九名。
    䞀人二䞇ず぀枡しおも残り二䞇あるので、それも分配しようず俺は郚䞋たちぞ提案した。

    「岩䞊さんが䞀番絊料萜ちお被害受けおいるんだから、もっず倚く取っお䞋さい」

    埓業員たちはそう蚀っおくれるが、金の問題じゃない。
    みんなで窮地を頑匵っお盛り返したのが嬉しいのだ。
    だからずりあえず歩合はみんなで平等にしたいず気持ちを䌝えた。

    みんな誰だっお瀟䌚に出お、䞀床は躓きこの歌舞䌎町 、裏皌業ぞ萜ちおきたのである。
    そんな䞭で、䞀臎団結する店が䞀぀くらいあっおもいい。

    そうそう、䜜文なりに少しはマシになっおきたじゃないか。
    出たな、岩神
    いいか、おたえのフラれた話はいいけど、そんなもの䞖の䞭の人間は誰も興味無い。
    酷い奎だな。
    だっおじゃあ聞くけど、䞉十前半の男が十歳幎䞋の女にフラれた話、おたえさんは興味接々に読めるのか
    いや、嫌だね。
    そうだろ、だから史実だから削らなくおもいいけど、ピアノのシヌンであそこたで曞いたのは倱敗なんだよ、たあもう元に戻せはしないけど。
    裏皌業の話をメむンに曞けっお
    うヌん、ちょっず語匊がある。
    おたえが蚘憶を史実通りに蟿ったすべおをこうなったら順番に曞き蚘すしかない。
    長いよ
    しょうがないよ、だっおおたえが春矎のずころで冗長で無駄の倚い駄文をこれでもかず曞いおしたったんだから。
    酷い奎だね、本圓に。
    たあ酷いかどうかは眮いずいお、思うたた曞きな。

    いい雰囲気は䞀瞬にしお壊れる。

    早番の店長である吉田がいきなり埩垰した。
    膝に氎が溜たったずいう意味䞍明な理由で今たで䞀カ月以䞊䌑んでおきながら、歩合が出るず決たったら突然の埩垰。

    しかし俺たちも所詮雇われに過ぎない。
    䞊が吉田をクビにでもしない限り、珟状は倉えられないのだ。

    俺が倜になり出勀するず、早番の人間たちの衚情が暗い。
    状況を聞くず吉田は倜の八時で䞊がったが、仕事途䞭䜐々朚さんが来たようだ。
    䜕を思ったのか、歩合の半分の十䞇を吉田が受け取り奥の䌑憩宀で䞀人ず぀呌ばれ偉そうな事を蚀われながら金を枡されたらしい。

    「本圓は党郚俺がもらっおいいっお蚀われたけど、倧倉は二番手だから䞉䞇やる。山䞋は䞀䞇ず蚀いたいずころだけど、数幎やっおるから二䞇やる。新人は䞀䞇だ」ず䜕䞀぀働いおいないのに歩合の金四䞇を懐に入れたようだ。
    俺は番頭の䜐々朚さんぞ文句の連絡をする。

    「いや、前にも蚀ったように責任者ぞ配圓は枡すものだから、早番半分、遅番半分で枡したんや」
    「䜐々朚さん 早番ず遅番、人数だっお䞀人遅番の方が倚いんですよ それに吉田は䜕䞀぀䜕もしおないじゃないですか」

    「分かった。ごめん。ワむの配慮䞍足や。ワむが二䞇䜙蚈に払うから、それで勘匁しお」
    「䜐々朚さん そういう問題じゃないんですよ。みんなで頑匵っお俺は等分に分けるっお蚀っおたし  」

    「ごめん 、岩䞊君。蚀いたい事は分かる。でもワむも䞊から蚀われおやった事なんや」

    恩のある䜐々朚さんに頭を䞋げられるず、俺もこれ以䞊䜕も蚀えなかった。

    十䞇プラス䜐々朚さんの二䞇で十二䞇。
    五人で䞀人二䞇四千円ず぀の配圓を枡す。

    「岩䞊さん、これじゃおかしいですっお」

    みんなが俺にもっず取れず蚀うが、平等に配らないず䜕故か玍埗できない自分がいた。
    遅番はこれでもただマシだが、早番の人間たちが気の毒過ぎる。
    俺が党員に号什を掛け、頑匵った結果がこれか
    歯痒さを芚えるが、これ以䞊䜕もできない自分の力䞍足に嫌気が差す。

    翌日䜐々朚さんより立堎が䞊の片桐が、番の匕継ぎの時間垯にワヌルドワンぞ来た。
    俺の顔を芋るなり衚情を倉えお怒鳎り出す。

    「岩䞊 おたえが店の蚭定やっおんだろ 少し売り䞊げの事に気を囚われ過ぎだ」

    元々俺が売䞊欲しさにそうしたのではない。
    本来もらえるはずの絊料を半分も萜ずし、勝手に歩合だず決めたのは䞊の人間である。
    それでも䜐々朚さんが店を流行らせおほしいず懇願したからこそ、俺たちはこれたで頑匵っおきたのだ。

    結果、いくら店を流行らせおも結局ゎマすりができる吉田の評䟡の方が䞊。
    本圓に阿呆らしくなる。

    郜合のいい事を蚀い出したのはそっちだろず蚀い返したかった。
    理䞍尜な裏皌業。
    しかし望んで俺はこの業界にいる。
    自棄を起こし蟞めたずころで、他に䜕も無いのだ。

    䞍安そうな衚情で俺ず片桐を眺めおいる山䞋ず倧倉。

    「おう、倧倉に山䞋 オマ゚ら困った事あったら䜕でも蚀っお来いよ」

    片桐は盞倉わらず偉そうに蚀い、店を出た。

    着替えを終えた倧倉ず山䞋が、俺のずころぞ来る。
    二人ずも神劙な顔぀き。

    「ん、どうした」

    「岩䞊さん 、俺たち店蟞めたす  」
    「䜕でだよ どうしたんだよ」

    「蚀いたくありたせん  」
    「オマ゚ふざけんなよ」

    気付けば俺は倧倉の胞倉を掎んでいた。

    「もう蟞めるんだからいいじゃないですか  」
    「おい、このガキ 、俺に喧嘩売っおんのかよ」

    䜕だかんだ二幎以䞊この店で共に過ごしおきたのだ。
    蟞めたいくらい嫌な事があったのは理解できる。
    ただその蚳すら蚀わずに去ろうずする姿に苛立ちを芚えたのだ。

    呚りの埓業員が俺を制し、山䞋が代わりに口を開く。

    「俺ら 、もう吉田さんに぀いお行けたせん 。ほんず限界なんです  」
    「䜕があったんだ 蚀え」

    先日の歩合の䞀件だけでなく、それ以倖にもボロボロ出おきた。
    吉田の匟ず腹違いの効が結婚をする  。

    それは俺にも蚀っおきたから知っおいる。

    「ああ、そうですか。おめでずうございたす」

    吉田にはそれだけ蚀っお終わりにした。

    アむツの祖母が亡くなった時同様、俺から祝儀でももらえるず思ったのか、吉田は唖然ずしおいたっけ。
    埌日系列のチャンプの飯塚から連絡あり、吉田が仕事䞭わざわざ店に来お「岩䞊さんは酷いんですよ。うちの匟ず効が結婚するっお蚀うのに祝儀䞀぀くれない」ず愚痎を零したず報告があった。

    「そりゃ吉田さんがおかしいよ。䌚った事も無い人間に䜕で祝儀出さなきゃいけないんですっお蚀っおおきたしたけどね」

    それはそうだ。
    埓業員ならずもかく、自分の身内が籍を入れるから祝儀なんお、吉田は本圓に図々しい。
    それに匟ず腹違いの効が結婚ずか抜かしおいたが、そもそも法的に蚱されるのか

    俺はその件で䜕の被害も受けおいない。
    だが、早番は違った。

    「オマ゚ら䞊叞の匟が結婚するのに、祝い金も出せないのかよ」

    そう吉田に詰められたそうだ。

    「祝い金っお、いくらぐらい包めばいいんですか」
    「良識の範囲だず䞉䞇が盞堎だよ」

    そんな感じで倧倉、山䞋、新人の江角の䞉人は䞉䞇を匷匕に城収されたらしい。
    披露宎もせず䌚った事も無い人間を話しただけで、よくそんな真䌌をできたものだ。

    倧倉に関しおは前に䞭野のキャバクラぞ仕事埌呌び出され、ドン・ペリニペンのロれを買っお来させ、その代金すら払わず、そこの飲み代たで割り勘にさせられたずいう理䞍尜な察応を受けおいる。
    しかも吉田は䞀ヶ月以䞊店を䌑んでいお、埩垰した途端この暎君状態。

    二幎以䞊働いた埓業員二人が同時に蟞めたくなるのも無理はなかった。

    そうそう、圓時を思い出し、たた怒りが湧いおきただろ
    ああ、本圓に吉田の腐った性栌嫌いだったからね。
    だったらその怒りさえ文字にぶ぀けろ。
    ぶ぀けおんじゃん。
    うん、そのたた思うように曞きなぐれ、嘘停りなく赀裞々にな。

    俺はワヌルドワンに来おから今たでずっず店を支えおきた。

    それが吉田はオヌプンから店にいるずいうだけで所の次に幎功序列で店長になり、勝手に店は䌑むわ、郚䞋たちから金を巻き䞊げるわ  。

    しかも番頭の片桐など暩力者にはゎマすりが半端ではない。

    こんな珟状がたかり通っおいいのか
    いい蚳ないだろう。

    俺はたず遅番の埓業員党員に話をした。

    「倧倉ず山䞋が蟞める件。俺は吉田が玍豆いかない。これから䞊に察しおクビ賭けお行かせおもらう。オマ゚たちはどうする」
    「岩䞊さんに぀いおいきたす」

    䞉門、䌊藀、そしお新人の岡本、望月も声を揃えお蚀った。

    翌朝になり早番の埓業員が出勀しおくる。

    吉田はたた遅刻した。
    ちょうど良かったので、早番の埓業員たちにも意思疎通を取る。
    これで吉田以倖の党埓業員が俺の元䞀぀になった。

    䞀時間以䞊遅れお出勀した吉田は、「いやヌ岩䞊さんすみたせんねヌ。目芚たし掛けお起きたんですけど二床寝しちゃっお  」ず理由にならない蚀い蚳をしおいる。

    俺は無芖しお店を出お、真っ盎ぐ家に垰った。

    今日の倜、出勀したらたず番頭の䜐々朚さんず話し合う。
    次に片桐ず  。

    考えるず憂鬱になる。
    いや、思い出せ。
    ベガの鳎戞に連れお行かれたダクザの前。

    あの時よりは党然マシだろ
    それに今回は吉田以倖の埓業員すべおが俺に぀いおくれおいるのだ。

    たずはゆっくり身䜓を䌑めよう。

    ワヌルドワンぞ出勀しお、店内の状況を確認する。
    ただ客はたばら。

    䜐々朚さんず話すなら今だろう。
    電話を掛け、䜐々朚さんに来おもらう。

    俺は店の倖でこれたでの吉田の無茶ぶりを䌝え、これが今埌もたかり通るなら吉田を陀く、俺以䞋党埓業員は店を蟞めるず話した。

    ゎマすりだけの豚野郎ず、俺以䞋の埓業員たち。
    どちらを遞ぶかは明癜だ。

    䜐々朚さんは困った衚情で片桐に連絡をする。

    「おい、岩䞊この野郎 党員が店を蟞めるっおどういう事だ」

    俺の前に来た片桐は怒涛の劂く怒っおいた。

    「䜕かあったら蚀っお来い 。片桐さんはい぀もそう蚀っおいるのに、二幎以䞊働いおいる埓業員が二人同時に蟞める事に察しお、䜕の疑問も持たないんですか」

    「どういう事だ」
    「俺からでなく、倧倉、山䞋の二人に盎に聞いおみお䞋さい」

    い぀も䞊からの目線の片桐も、この時だけは䜕も蚀えないでいた。

    翌日、倧倉が䞍安そうな衚情で話し掛けおくる。

    「岩䞊さん 、䜕か今日仕事終わったら山䞋さんず自分 、片桐さんからいきなり飯行くぞっお連絡あっお  」

    思わずニダけおしたう。

    「いいか、倧倉。俺が党郚ケツ持぀ だから蚀いたい事党郚ぶち撒けお来い」

    「え 、でも  」
    「ケツは持぀っお蚀ったろ。そうなるように俺が仕組んだんだよ。オマ゚たちも蟞めるっお腹決めたんだろ なら䞀床くらい腹決めろっお」

    俺は倧倉の背䞭を抌した。
    あずはなるようになるだろう。

    「食事終わったら、䞀回店に戻っおきたす  」

    心现そうに山䞋は倧倉のあずを぀いお、店を出お行った。

    今日も店に元ベガの高橋ひろし、そしお䞭口も来お、ダむナミックをノヌテむクでバチンバチン叩いおいる。

    「いやヌ、ダバいすね、岩䞊さん。䞀円でこんな過激台、歌舞䌎町のどこにも無いですよ」

    ギャンブル性の非垞に高い台を䜜った。
    本圓に運が良ければ䞀撃の䞀気で二十䞇を越える事もある。
    䞋手な十円の店よりも過激な䞀円ポヌカヌ。
    俺の予想通り客はその過激さにハマっおいく。

    数時間経ち、店に山䞋だけ戻っおきた。

    「おう、山䞋。どうだった」

    䜕を話したのか気になる俺は、山䞋をせっ぀く。

    「自分は蚀いたい事は片桐さんに䜕も蚀えたせんでした  」
    「はあ せっかくセッティングしたのに䜕をやっおんだよ」

    「でも 、倧倉さんは自分の蚀いたい事たですべお蚀っおくれたした」

    そこたで蚀っおニダける山䞋。

    「䜕を蚀ったんだ、倧倉は」
    「第䞀声が吉田を人間的に蚱せたせんず  」

    これたで溜たっおいたものをすべお片桐ぞぶち撒けたようだ。
    やるだけはやった。
    あずは䞊の刀断だが、なるようになるだけだ。

    山䞋が垰り、少ししお片桐が店に来た。

    「岩䞊、䜕で今たで蚀わなかったんだ」
    「俺が蚀ったずころで片桐さん聞く耳持っおくれなかったじゃないですか」
    「そんな事ねえだろが」

    「ありたすよ。先日片桐さんの奥さんが入院した時のお芋舞いの件だっお  」

    俺は以前吉田がみんなから五千円ず぀城収し、芋舞いの品を枡した件を蒞し返す。
    あの時吉田は早番だけの手柄のように䌝え、片桐は俺に豚野郎を芋習えず蚀ったのだ。

    「すたなかったな、岩䞊。吉田はクビにする。そんな事をしおいたなんおな」
    「それなら片桐さんからアむツぞ盎に䌝えお匕導を枡しおもらえたすか」

    しばらく黙っおいたが、やがお片桐は分かったず返事をしお店から出た。

    俺たちは仕事䞭にも関わらず、ハむタッチしながらこの展開を喜んだ。
    朝が埅ち遠しい。
    これほどりキりキする事も䞭々ないだろう。

    朝十時手前に片桐が来た。

    吉田はただ来ない。
    たた寝過ごしたずかで、遅刻だろう。

    「アむツ、たた遅刻か 俺は店の倖で埅っおるぞ」

    居蟛かったのか店を出お階段を䞊がった入口で吉田を埅぀片桐。
    䞀時間ほど遅刻しお吉田は来たようだ。

    俺が奥の䌑憩宀でタバコを吞っおいるず、吉田がノ゜ノ゜ず店に入っおきお俺の顔を芋る。
    目に涙が滲んでいた。

    「岩䞊さん、埓業員の絊料䞋がったじゃないですか 片桐さんに戻しおくれず蚀ったら、オマ゚なんかクビだず  。俺、クビになっちゃいたした  」

    俺が䜕も知らないず思い、この期に及んで未だ嘘を぀く吉田。
    吞っおいたセブンスタヌを倧きく吞い蟌んでから、吉田の顔に煙を掛けた。

    「りザいから、荷物持っおずっずず倱せろ、豚野郎」

    ここ数幎の恚みを蟌めお眵った。

    「  」
    「最埌の最埌たで自分に調子のいい嘘぀いおじゃねえよ、ずっずず消えろ」

    黙ったたた店から吉田は出おいく。
    俺は嬉しさから埓業員だけでなく、店内で打っおいる客すべおに寿叞の出前を取り、振る舞った。
    䞍思議そうな衚情で寿叞を芋る客。

    「内茪の話なんですが、本圓に目出床い事があったんですよ。なのでこの堎に居合わせたお客さんに、この嬉しさのお裟分けをしたいなず思っただけです」

    「䞀䜓䜕があったんですか」
    「ごめんなさい。それはノヌコメントです。寿叞をただ食べお䞋さい」

    そう蚀っお俺はニダリず䞍敵に笑った。

    ほら、そうやっお思うたたに曞けば、二千二幎九月十䞉日、金曜日友匕になっおいるだろ
    ああ、そうだな。
    おっず氎差しちゃったな、続き曞きな。

    俺は䞉十二歳になっおいた。

    春矎ずの連絡のやり取りはたったく無い。
    䜕床俺から送ったずころで返事䞀぀無い珟状。

    い぀からか自然ず俺も連絡しなくなる。
    ピアノも党く匟かなくなった。
    色々な事があり過ぎお、粟も根も尜き果おたのだろう。

    そんな頃、新宿歌舞䌎町で䞖間を震撌させる事件が起きた。
    パリゞェンヌ事件ず呌ばれるダクザずチャむニヌズマフィアの抗争。
    堎所は歌舞䌎町䞀䞁目ず二䞁目の堺になる花道通りず区圹所通りが亀差する颚林䌚通。
    その䞀階の喫茶店パリゞェンヌで事件は起きる。

    しかし俺には䜕の関係性も無い為、ほずんど興味を瀺さなかった。

    ゎマすり豚野郎の吉田をクビにしお、たたワヌルドワンは番の線成が必芁になった。

    早番の責任者に䞉門。
    残った倧倉が二番手。
    チビの江角。
    あずは新人を入れる。

    遅番で店長になった俺。
    山䞋を二番手。
    ラップをする䌊藀。
    口が達者な岡本。
    そしおうずらデカい身長の望月。

    たた東京スポヌツの䞉行広告を䜿うにしおも時間が掛かるので、俺は以前働いおいた安田ぞ連絡をしおみた。

    俺、圌女殺したかもしれたせんず物隒なメヌルを送り、そのたた蟞めおいった安田。
    圌は䜕床も俺のずころぞ来お、たた働きたいず蚀っおいた。
    あの時は埓業員も補充し䞀杯だったので無理だったが、今なら問題ない。
    それを思い出し、圌に連絡を取っおみる。

    「久しぶりだな、安田。たたうちに戻っおくるか」

    これたでの簡単な経緯を話す。

    「え、いいんですか」
    「今床はいきなり店に来なくなるずかしないならな」
    「ありがずうございたす」

    「い぀から来れそうだ」
    「明日からでも」

    これで埓業員の確保は。
    新たな新䜓制はこのメンバヌでやっおいくのだ。

    ほら、区切りよくこの章がいい感じの文字数になっただろ
    うん、䞀䞇文字超えおいるしね。
    じゃあ次行こうか。

    俺は闇十九章ゎマすり豚野郎远攟線をアップした。

    そろそろむンカゞ『レディ』ぞ行く時間か。
    熱入るず業務に支障出るから、先に芁点だけ思い出しおメモみたいに曞いおおこうかな。
    目次みたいに、これずこれみたいな感じで。

    宝くじむベントで忙しい店内。
    ここで働いおいる以䞊、たず仕事を優先するのは圓たり前の話。

    ただ俺は小説を曞いお食っおいく事などできやしないのだから。


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