
答えのない仕事|コンサルタント由里子|第25話:交錯する思惑
前回:「第24話:問うべきは」
ハマノトイ本社ビル、情報システム部のフロアの自席にて、真鍋はひっきりなしに受信する膨大なメールを処理しながら、遅めの昼食を取っていた。
「真鍋部長、今日出社したら情報システム部のエリアだけ電気がつけっぱなしでしたよ。昨夜帰り際にちゃんと消灯するように言ってから帰ったんですがね」
苦々しい顔をした警備員の男性から声をかけられる。
「それは申し訳ない。わたしからも注意しますね。ちなみに誰でしたか?」
「若手の田中くんですよ!あと、見かけない顔の女性もいましたね。黒髪ストレートの若い方ですよ。まさか彼女を連れ込んだりとかじゃないと思いますが、ルールですからちゃんと言っておいてください」
警備員が帰宅するのは午後十一時、そんな遅くに田中がいることもおかしいが、恐らく一緒にいたのはリアムの神林だというのも引っかかる。
田中がランチ休憩から席に戻ったのを見て話しかける。
「田中くん、最近の残業時間はどうですか?」
突然話しかけられ、田中が驚きわずかに怯えた表情をする。
「真鍋部長、おつかれさまです。
ほとんど残業はしていないので問題ありません」
「それはよかったです、もし、
36協定を超えて残業が発生しそうであれば、すぐに教えてくださいね」
「はい、ありがとうございます」
自席に戻り、明らかに挙動不審となった田中の様子を横目に思案する。
二人で何を調べていたのか。
まあ、何を調べていたとしても、会社PCを見たところで何もない。
とはいえ、リアムが何か社長に進言しようとしているならば、
その内容を掴んでいて損はない。
少々面倒だが、
少し飴玉をしゃぶらせる必要も出てきたかもしれない。
携帯を取り出し、ライズの坂上に電話をかける。
「坂上さん、リアムが何か調べまわってるみたいで。余計なことをされても困るので、一旦会食をセットしますね。詳しくはそのときに」
電話を切り、リアム宛にメールを送信すると、
真鍋はまた膨大なメール処理に戻った。
次回:「第26話:新たなピース」