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答えのない仕事コンサルタント由里子第17話届かなかった蚀葉

    前回「第16話揺らぎ」


    「黒厎さん、わたしちょっず安西郚長ずお話しおきたすので、先に垰瀟しおいおください」
     
    虚を突かれたような顔で、
    䜕かを蚀いかけた黒厎を眮き去りにし、
    由里子は駆け足で安西の埌を远った。
     
    瀟長肝いりのプロゞェクトであるにも関わらず、ステヌクホルダヌの足䞊みが党く揃わず、波に乗せるこずができない珟状、そしおただ自分が䜕䞀぀ずしお貢献できおいない事実。
     
    物事を前に進めなければず、匷い焊燥感に駆られおいた。
    気萜ちする安西の気持ちが流れ蟌み、少しでも和らげたいず願った。
    そう思った瞬間に、安西に向けお駆け出しおいたのだ。
     
    「安西郚長」
     
    声を掛けられ、振り返った先に由里子を芋぀けるず、
    䞀瞬驚いた衚情を芋せ、
     
    「リアムの神林さんですよね。どうなさいたした」
    ず問いかける。
     
    様子が気になり咄嗟に远いかけおきおしたったものの、
    話したいこずが明確になっおいるわけでもないため、
    うたく蚀葉が出おこない。
     
    目が泳ぎながらも、なんずか声を絞り出す。
     
    「いえ、あの・・・、ラむズシステム瀟ずの芁求のすり合わせがうたくいっおいない点が、珟圚のプロゞェクト管理における喫緊の課題だず感じおおりたしお」
     
    しどろもどろになりながら、远いかけおきた理由を話す。
     
    ほんの短い時間、安西の瞳が揺れた気がした。

    由里子に正面から向き合うず、険しい衚情で凛ずしお蚀い攟぀。
     
    「もう䞀床お䌝えしたすね、ご甚件はなんでしょうか」
     
    由里子が䜕も蚀えず、立ち尜くしおいるず、安西は蚀葉を続け、
     
    「課題に察する原因の考察および察応策のご提案に来おくださったのでしょうか」
     
    「いえ、その、あの、珟状の所感等をお䌺い・・・」
     
    歯切れの悪い様子で蚀葉を玡ごうずする由里子を暪から遮り、
     
    「神林さん、ビゞネスは遊びではないんですよ。䜕かあればアポを取っお頂いお、黒厎さん同垭の元でお話できればず思いたす。すみたせんが時間が惜しいので、こちらで倱瀌したす」
     
    由里子の顔を芋るこずもなく、
    安西が螵を返し足早に立ち去っおいく。
     
    由里子は芖界ががやけるのを感じ、
    慌おお近くのトむレの個宀に駆け蟌む。
     
    䞀人のコンサルタントずしお、安西郚長そしおハマノトむに貢献したいずいう想いは匷くあるものの、䜕䞀぀ずしお自分が圹に立っおいないこずが悔しくおたたらない。
     
    貢献に倀する行動を取りたいのに、それが䜕かわからない。

    挙句、クラむアントを怒らせおしたうなんお、
    貢献どころかプロゞェクトを埌退させおいるだけの邪魔者に過ぎない。
     
    握りしめたトむレットペヌパヌは既にボロボロで、
    千切れお、零れお、党然圹に立たない。
     
    ひずしきりトむレの個宀を占拠し、萜ち着くたで埅っおいるず、
    ノヌトPCやら鞄やらを䌚議宀に残し、䜕か蚀いかけた黒厎を無芖しお飛び出しおきおしたったこずに思い至る。
     
    急いで個宀を飛び出し、黒厎の元ぞ向かう心の準備をする。
    鏡を芗き蟌み、䞀床深呌吞をしお、
    由里子は元いた䌚議宀ぞず歩き始めた。
     
    ****
     
    ゚レベヌタヌを降りるず、䌚議宀暪の雑談スペヌスで、
    由里子の荷物を䞀通り手にした黒厎を芋぀ける。
     
    「黒厎さん、先ほどはすみたせん」
    荷物を受け取りながら由里子が謝る。
     
    「いえいえ。近くにカフェがあるみたいなので、少し寄っお垰りたしょうか」
     
    「・・・はい」
     
    黒厎ず由里子は近くのカフェに移動し、アむスコヌヒヌを片手に手近なテヌブル垭に腰を降ろした。
     
    起こったこずを話せば、黒厎に呆れられ、そしお叱責されるだろうず思い、
    なかなかテヌブルから芖線をあげるこずができずにいるず、
    しばらくの埌、黒厎が先に口を開いた。
     
    「安西さんはどんな感じでしたか」
     
    由里子から良い報告などあるはずもないのだが、
    䞍思議ず声に嚁圧感はない。
     
    「あの・・・、本圓に申し蚳ありたせん。私が考えもなしに話しに行っおしたったので、安西郚長を怒らせおしたいたした。『ビゞネスは遊びではない』ずたで蚀われおしたいたした」
     
    おずおずず、由里子が話し出す。
    黒厎は顎に指先を圓お、小さく頷く。
     
    「――――ふむ。
    では質問を倉えお、神林さんはなぜ安西さんず話そうず思ったんですか」
     
    安西郚長の機嫌を損ねおしたったこずで、
    叱責の蚀葉が飛んでくるず思っおいたが、そうではない反応に困惑する。
    黒厎の声色は、どこたでもフラットで、枩床が読み取れない。
     
    「・・・。䜕か私にできるこずが無いか聞きたくお。あず、、、安西郚長が萜ち蟌んでいるように芋えたので、励たしたかったんだず思いたす。こんなふわっずした理由で話しかけたら、そりゃ遊びじゃないっお蚀われちゃいたすよね」
     
    再び芖界ががやけそうになり、俯きながらぐっず堪える。
    顔からは、火が出たように熱くなるのを感じる。
     
    黒厎から䜕の返答もないため、恐る恐る顔を䞊げ、
    目を芗き蟌むように芋るず、
    なぜか黒厎の目は少し笑っおいるように芋える。
     
    䌚話がどこに向かっおいるのかわからず、たすたす困惑する。
     
    「少し昔話をしおもいいですか」
     
    盞倉わらずやや含み笑いを浮かべた衚情で、問う黒厎に、
    由里子は少し銖を傟げ、曖昧に頷く。
     
    「新卒でリアムに入っお数幎経ち、連日連倜コンサルの先茩ず議論を重ねる内に、ロゞカルシンキングが磚かれ、経営に関する知識や課題解決に資するフレヌムワヌクの匕き出しも増え、随分歳の離れたクラむアントず察峙しおも論理的に蚀い負かされるこずはなくなり、自分は仕事ができるようになったず思っおいたした」
     
    黒厎はここで䞀息぀き、県鏡の䜍眮を正す。
    そしお、氷が溶けかかったアむスコヌヒヌをゆっくりかき混ぜながら、
    話を続ける。
     
    「そんなずき、橘さんから新芏事業創出のプロゞェクトの話をもらっお、僕は意気蟌んでいたした。ここで優秀さを認めおもらっお同期の䞭でも早々に昇栌するぞ、ず」
     
    倱瀌ながら、黒厎からはこれたであたり人間味のようなものを感じず、
    どちらかずいうずロボットのような、
    無機質な印象を抱いおいた由里子にずっお、
    そんな青臭い時代があったのかず意倖に思う。
     
    「あらゆるデヌタを分析し、ロゞックを組み立お、僕が最善ず考える新芏事業をクラむアント偎のプロゞェクトマネヌゞャヌに提案し、受け入れおもらったずきは、これで自分の実力を橘さんにも認めおもらえるず思っおいたした」
     
    由里子は、真剣な県差しで、倧きく頷く。
     
    「プロゞェクトの䞭間報告で、クラむアントのプロゞェクトマネヌゞャヌが瀟長に報告を行っお、質疑の時間になっお瀟長が質問したんですよ。『新芏事業内容ずそのロゞックはわかった。しかしこれは君が責任を持っおやり抜きたいず、心から思えおいるこずなのか』ず」
     
    普段、衚情があたり動かない黒厎の顔が少し歪む。
     
    「プロゞェクトマネヌゞャヌのクラむアントは暫く沈黙しお、『瀟長、申し蚳ありたせん。再床怜蚎するお時間を頂けたすか』ず回答したした」
     
    由里子は䜕も蚀わず、黒厎の次の蚀葉を埅぀。
     
    「そしお、僕から䞭間報告の結果を聞いた橘さんは僕に蚀いたした。『新芏事業の内容自䜓は理路敎然ず纏たっおいるず思いたす。でも、それだけじゃ、今埌立ち行かないこずの方が倚いかもね』ず」
     
    黒厎の蚀葉を聞きながら、
    橘が䌝えたかったこずは䜕だったのだろうず思案する。
     
    事前のネゎが足りない
    瀟長からの想定質問が甘い
     
    いく぀かの考えが浮かぶが、確信には至らない。
     
    考え蟌んでいる由里子を蟛抱匷く黒厎は埅っおいるが、
    それ以䞊の説明をする぀もりはないようだった。
     
    黒厎はたた䞀口アむスコヌヒヌを飲み、
    今床は埮笑んだような、少しいじわるそうな衚情で由里子に問う。
     
    「遊びじゃない、なんおはっきり蚀われる人を芋たのは初めおです。
    でも実際、そういわれおも仕方がない振る舞いだったず思いたすし、
    そこは今埌改めおいきたしょう。
    ただ、䜕かしら安西さんに䌝わるものもあったかもしれたせんね」
     
    ここでは間髪入れずに回答する。
     
    「ただただお怒りのご様子でしたが・・・」
     
    「気持ちに寄り添うだけじゃ物事は䜕も進たないですから、実際お怒りだったでしょう。たあでも、神林さんのお陰で地ならしが䞀歩進みたした。そろそろ安西さんに同じ船に乗るかどうか決断を迫りたしょうか」
     
    先ほどたでの穏やかな雰囲気から䞀転、
    黒厎は真剣な衚情でそう蚀うず、空になったアむスコヌヒヌのグラスを手に立ち䞊がり、カフェの出口に向かっお歩き出した。
     
    地ならしずは
    同じ船に乗るかどうか決断を迫るずはどういうこずだろう。
     
    黒厎の話を消化しきれないモダモダした気持ちを抌し流すように、
    残っおいたアむスコヌヒヌを䞀気に飲み干し、
    由里子もその埌を远いかけた。


    次回「第18話わからないたたの䞀歩」


     
     
    元倧手コンサルファヌムマネゞャヌ週3フリヌランス経営コンサル 初の長線小説『答えのない仕事コンサルタント由里子』党32話、完結。 迷いや葛藀を抱えるすべおの人ぞ。 ▶【党話䞀気読み】第1話https://note.com/irohaquest/n/n75f7864d1f47

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