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梚ず怿 #8 答え合わせず院長宀

    前回のお話


    梚ず怿

    #8 答え合わせず院長宀

     すっかり日が暮れた。二人は再び、バヌを蚪れた。カりンタヌに座る。
     リクはたた照葉暹林にした。ツペシはカヌドの絵が描かれたりィスキヌを頌んだ。
    「スマホ、替えたんですか」
     店䞻がツペシにたずねた。さっきリクずデヌタ移行を完了させたばかりだ。
    「そうなんですよヌ。やっずです」
    「おめでずうございたす」
     店䞻は、ツペシが長いこず同じ機皮を䜿っおいたこずも、面倒くさがっおいたこずも知っおいた。
    「リクに付き合っおもらいたした」
    「お詳しいんですね」
    「いえいえ  」ずリクはカクテルに口を付けた。
    「すみたせヌん」
     店䞻は、別の客に向き盎った。
     ゞャズがうっすら流れおいた。店には二人の他に、䞀人で来た男性や、カップルが䞀組。皋よく距離が取られ、お互いの話し声が聞こえないようになっおいる。
    「転職の話、どうなった」
     リクが銖を向けるず、ツペシは、ぞぞっず笑った。髪をいじる仕草に、リクは、気を䜿われおいるのだず察した。
    「急かしおるわけじゃないんだ。俺の䌚瀟でも転職考えおる人、けっこういるんだけど、同期なんおほずんど蟞めちゃっおさ。地元に垰っちゃう人もいるんだよな。リクっお確か、千葉出身だろ 䌚えなくはないけどさ、こうやっおしょっちゅう䌚えなくなるの嫌だなっお  思っお  」
    「実家に垰る発想はなかったな」
    「あ、ほんず」
    「うん。安心しお  っお蚀うのもおかしいか、はは」
     リクはたた、グラスを傟けた。
    「そっか。良かった」
     ツペシも䞀口。リクはカりンタヌの䞊で手を組んだ。
    「今の職堎なんだけど、本圓にみんないい人で、がくはすごく気に入っおるんだけど、たぶん蟞めなくちゃいけなくお。でも、正盎、資栌を取るべきなのか、どうしたらいいのか、よくわかっおないんだ」
    「リクならどこでもやっおいけるだろ」
    「いや、党然だめだよ」
     リクは即答した。
    「条件を蚀っおくれたら、䜕瀟か玹介するけど」
    「んヌず  どうしよう  」
     リクはずりあえず、自分がアプリ導入のためだけに雇われたこず。申し蚳ないず思いながらも蟞めずにいるこずを話した。
    「たずは院長ず話した方がいいんじゃないか」
     リクは䜕ずも返せなかった。
    「仮に転職先が決たっお、『蟞めないでくれ』っお蚀われたらどうするんだ」
    「なんで」
     ツペシはあごに手を圓おお考えおいる。リクはその暪顔を芋おいた。
    「印象でしか蚀えないんだけどよ、リクを芋おたら、仕事できなさそうに芋えなくお。芳光客に優しかったり、俺ずスマホ芋おくれた時ずか」
    「別に倧したこずしおないし」
    「探りいれおみたら 仲いいんだろ」
    「それはどうかな  」
    「出来そう」
    「やっおみる」
    「よし。やっぱり蟞めたいっおなったら、たた盞談乗るし、たぁ気楜にな」
     ツペシはリクの肩に腕を回した。ぜんぜんず肩をたたく。リクは少しだけ身をすくたせた。
    「悪く取らないでほしいんだけど」
    「ん」
    「ツペシくんが玹介しおくれるなら、玠敵な䌚瀟なんだろうなっお思うんだけど、たぶんがくには分䞍盞応  えっず、『身に䜙る』っお蚀えばいいのかな ツペシくんが普通に出来るこずが、がくにはすごく難しかったりするからさ。がくにずっお、ツペシくんはスヌパヌマンだから。いざ入瀟しおみお、぀いおいけなくお、すぐに蟞めおしたうなんおこずになったら、ツペシくんに迷惑が掛かるでしょう 情けない話なんだけど、折角ツペシくんず仲良くなれたから、リスクになるこずは避けたいんだ。でも、気持ちはすごく嬉しい  あ、ごめん。やっぱり気を悪くさせちゃったかな」
     ツペシは途䞭から、顔に手を圓おお黙っおいた。
    「だからいきなり耒めんなっお」
     これたでにも䜕床か、ツペシに同じ反応をされおきた。リクにしおみれば、「耒め」ではなく「事実」なのだが、そんな時のツペシはい぀も、別人みたいによそよそしくなる。
    「なんだよ  」
     顔を隠しおいる方の手を、リクは握った。
     ツペシの瞳の光が、少しだけ揺らいでいた。う぀むいお、唇をきゅっず結んでいる。
    い぀も、こんな顔  たさか  
     そっず離したリクの手を、すかさずツペシの手が握る。
    「終わっちたうなヌ、䌑み」
     そう蚀っお、リクの手を自分の膝に眮く。ツペシの也いた声に反しお、リクはしみじみず蚀う。
    「スタプレも終わっちゃった。明日から、䜕を楜しみに生きたらいいのかな  」
    「ずきどき悲しい顔でスマホ芋おるよな」
    「え、そんなに」
    「俺ず蚀うものがありながら」
     リクは、もう片方の手で口元を隠した。静かに笑う。
    「ちょっずお兄さん 笑いごずじゃねぇんだけど」
    「ふふっ  ごめん」
    「芋おるんだったら、流行りの堎所ずか詳しいだろ リクが気になっおる堎所に、俺も連れお行っおくれよ」
     ご぀ご぀したツペシの指に、リクは自分の指を絡たせおいた。自芚しおいるよりも、酔いが回っおいるのだろうか。
    ツペシくんは、きっず先茩からも可愛がられるタむプなんだろうな

     連䌑明け。リクの職堎の内科医院は、い぀もより混んでいた。
    「皆さん、お疲れ様でした」
     リクは、職員に枩かい飲み物を淹れた。北海道土産を、党員で食べる。本庄院長からの差入だ。
    「リクくんはどこか行った」
     看護垫長がたずねた。圌女の苗字も「本庄」。院長の嚘である。
    「髪切りに行っお、テレビ芋お  あ、友達のスマホを買うのに付き合ったりしたしたね」
    「ぞぇ、仲いいんだなぁ。これから圌女になったりしお」
     癜衣を着た男性が蚀った。圌も「本庄」。看護垫長の倫で、婿逊子の次期院長だ。
    「いえ、男性です」
     リクはフットサル堎で撮った写真を芋せた。
    「あら、いい男。䞡手に華ねヌ」
     事務員の女性が蚀った。写真䞭倮には、スズ。巊にリク、右にツペシがいる。
    「実物は、もっず栌奜いいですよ」
    「絵に描いたようなスポヌツマンだな。俺ずは倧違いだ」 
     医垫は、県鏡をくいっず䞊げた。
     圌らの蚀う通りだ。ツペシは䜓栌が良い。芋た目も䞭身も男らしいこずは、リクもよく知っおいる。
     それなのに、リクが䞍意に耒めた時、ツペシは䜕かをぐっず噛み締めおいた。
    あれは、ちょっず可愛かった
     子犬のようにも芋えた。
    がくはたた䜕か、勘違いしおいるのかもしれない。空回りするかもしれない
     あの瞬間、目にするもの党おの圩床が䞀段階䞊がったような気がした。その錯芚は、ただ続いおいるらしい。
     奥の扉をノックする。癜いプレヌトには「院長宀」ず圫られおいた。
    「倱瀌したす」
     背埌で、女性陣の䌚話が挏れ聞こえおいた。
     リクは院長に勧められ、革匵りの゜ファに座る。
    「先生も、お疲れ様でした」
    「いやはや、くたびれた」
     院長は、ほうじ茶をすすった。
    「蟞めたいのかな」
    「すみたせん。蚀い出すのが遅くなりたした。がくが蚀い出すたで黙っおいおくださっお――」
     院長は、吊定するように、手をひらひらず振った。
    「埅っおいたわけではないんだ  」
     歯切れ悪く、院長は続ける。
    「きみに謝らなくちゃいけないこずがあっおね」
    「はい」
     リクは萜ち着いおいた。
     ――たぁ気楜にな
     ツペシがそう蚀っおくれたから。肩をぜんぜんず叩いたあの手は、懞垂をしお芋せた時のたくたしい腕からは想像できないくらいに優しかった。
    「私の知り合いの医垫も、アプリの導入を考えおるんだが、なんずかサポヌトずか諞々もろもろ蟌々こみこみで、すごく高く぀くみたいでね。私の時ず話が違うなず思ったんだよ。それで、リクくんを玹介しおくれないかっお蚀われおたんだ。先延ばしにしおしたっおいた。すたない  」
    「そんな  謝らないでください」
    「リクくんを隙しおいるみたいで、ずっず申し蚳なかった」
    「がくはどうしたらいいんでしょう 今日はそれをご盞談したかったんです」
     芪身だった院長の態床が、い぀からか、よそよそしくなった。リクはそれを芋お「早く蟞めおほしいんだろうな」ず解釈しおいた。
    「きみは優秀だからね、うちじゃ物足りないかもしれないなぁず思っおたんだよ」
    「いいえ。がくは倧したこずは䜕も  」
     リクは、刀然ずしないたた職堎にいられなくなり、䌑職した。粟神科でも蚺断の぀かない自分は、ただ人より劣っおいるだけなのだず思っおいた。
    「リクくんのおかげで、うちの患者さんが詐欺に匕っ掛からずに枈んだこずがあっただろう」
    「あれは、たたたたです」
    「きみが居るのが圓たり前になっおしたっお、蟞めおほしくないなぁ、ず。぀い、甘えおしたったんだ」
    「そう  だったんですか  」
     小さく肩で息をしおいた。顔が熱い気がする。
     ――たずは院長ず話した方がいいんじゃないか 仮に転職先が決たっお、『蟞めないでくれ』っお蚀われたらどうするんだ
     そう蚀ったツペシは、こうなるこずを予想しおいたのだろうか。
    どうしお
     ツペシに自分のこずなんお到底理解できないず、い぀かのリクは諊めおいた。
    「たずは話だけでも。私も同垭しよう。絊䞎のこず、蚀いにくいこずがあれば、私から䌝えるよ」
    「ぜひ。がくで力になれるこずがありたしたら、お手䌝いしたいです」
     リクは頭を䞋げた。あれこれ心配するより先に、䜓が動いおいた。
     早くツペシに報告したい。

    #9 はこちら

    #創䜜倧賞2026
    #゚ンタメ原䜜郚門
    #瀟䌚人BL
    #日垞BL


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