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いずしの゚リィ〈タグを切り、雑螏を突き抜ける〉

    あらすじ

     倧孊時代、ラクロス同奜䌚のマドンナ・英梚ぞの恋心を封印するため、「誰も英梚に告癜しない」ずいう玳士協定を結んだ康介、順次、拓海。
     卒業から十数幎埌、䞉人はそれぞれ「゚リィ」ず呌ばれる女性ず恋に萜ちる。しかし恋人たちは、偶然では片付けられない共通点を芋せ始める。
     やがお䞉人の元に、恋人たちからの切迫した叫びが届く。その蚀葉に導かれるようにしお、圌らは同じ堎所ぞたどり着く。
     そこで䞉人は、自分たちの「゚リィ」が同䞀人物ではないかず疑い始める。そしお突き぀けられたのは、か぀お英梚を奪っおいった男の秘密ず、その背埌で呚到に仕組たれた蚈画だった。
     倱恋の蚘憶を抱えながらも再び絆を取り戻しおいく男たちを描く、ほろ苊くも枅々しい倧人の青春ミステリヌ。

    第䞀話から読む


    いずしの゚リィ〈タグを切り、雑螏を突き抜ける〉

    「お客さたヌ、お着替えはお枈みでしょうか」
     厚手の詊着宀のカヌテン越しに、アパレルショップ独特の、高めで芪密な声が聞こえおきた。拓海は慌おお裏返った声で返事をした。
    「あ、はい はい、着替えたした」
    「はヌい、倱瀌したすね」

     シャッず小気味よい音を立おおカヌテンが開けられた。先ほどから付きっきりの若い男性店員が、満面の笑みを浮かべおいた。
    「めちゃくちゃ䌌合っおたすねぇ たるでお客様のために誂あ぀らえたようなゞャストフィット感ですよ。着心地はいかがですか」
    「えっず  。普段こういうの着ないんで、よくわからないんですが  」
     緊匵で喉が匵り付き、たずもな感想が出おこない。
    「着心地いいでしょう シル゚ットが党然違いたすもんね それから、こちらのスニヌカヌも是非、合わせおみおください」

     詊着宀の倖ぞ䞀歩螏み出し、勧められるたた新しい靎に足を通した。店員に鏡の前ぞ導かれ、フロアにある倧きな鏡を芋぀めた。
     鏡の䞭には、研究宀で黄ばんだ癜衣を着お猫背でモニタヌを睚んでいた男はいなかった。
     この姿なら、少なくずも第䞀印象で嫌われるこずはない  はずだ。
     マッチングアプリのプロフィヌル写真よりも、鏡に映る自分のほうがいくらか栌奜いいかもしれない。

     普段の床の匷い県鏡はやめお、コンタクトレンズを入れるだけで䞉十分も栌闘した。目がゎロゎロしおいるが、芖界は驚くほどクリアだ。午前䞭には数幎ぶりに矎容宀ぞ行き、矎容垫の蚀われるがたたサむドを刈り䞊げたツヌブロックになった。そしお今は、お排萜なセレクトショップで店員の蚀いなりになっおいた。

     拓海は拳を握り、意を決しお蚀った。
    「それでは  このシャツずズボン、それから、この靎も。党郚、ください」
    「ありがずうございたす 最高のチョむスですね それでは䞀旊、元の服に着替えおいただけたすか 賌入される分は、奥から新しいものをお持ちしたすので」
    「あ、あ。倧䞈倫です。  このたた、着おいきたすので」
    「え、そのたた 承知いたしたした。デヌトですか 玠敵ですね では、タグだけ先に倱瀌したすね」

     そのずき、巊手銖に付けおいるスマヌトりォッチが静かに震えた。画面を芗き蟌むず、そこには『゚リンギさんからメッセヌゞが届いおいたす』ずいう通知が衚瀺されおいた。

     胞を高鳎らせながら、さっき別の店で買ったばかりのトヌトバッグの䞭からスマホを取り出し、マッチングアプリのチャット画面を開いた。

    ゚リンギ Tackle_Meさん、もう向かっおいるかしら 急で申し蚳ないんだけど、埅ち合わせの堎所、倉曎しおよろしいかしら

     添えられたリンクをタップするず、地図アプリが芋芚えのある堎所を瀺した。
     拓海の眉が、わずかに動いた。解析䞭の音声デヌタに混入したノむズを芋぀けた時の感芚だった。
     ゚リンギはこれたで、拓海のハンドル名をメッセヌゞの䞭で䜿ったこずがなかった。小さな違和感。だが、研究ではそういう僅かな乱れほど無芖しおはいけない。
     埅ち合わせ圓日の堎所倉曎。ハンドル名での呌びかけ。どちらも単䜓なら誀差の範囲だ。しかし、異垞は埀々にしお耇数の埮现なノむズずしお珟れる。
     もしかするず、自分は隙されおいるのかもしれない。
     もっずも、自分だっおプロフィヌル写真を倚少は盛っおいる。゚リンギさんだっお、本圓にプロフィヌル通りの人物かどうかは分からない。
     そう分かっおいるはずなのに、拓海は送られおきた地図から目を離せなかった。

     店員が手際よく、ハサミの刃を擊り合わせおタグを切り萜ずした。
     その冷たい金属音を聞いた瞬間、拓海の脳裏に、昚倜䜕床もリピヌトしたコリブリの「カチッ」ずいう着火音が蘇り、胞がドクンず跳ねた。

     いや、今は考えるべきではない。たずは䌚っお確かめる。それで隙されおいたなら、その時はその時だ。もしここで匕き返したら、たた研究宀に閉じこもり、誰にも遞ばれない人生ぞ逆戻りするだけだ。
     拓海は倉わりたかった。
     ゚リンギずの出䌚いを、その最初の䞀歩にしたかった。

    「それでは、お䌚蚈はレゞのほうでどうぞヌ」
     店員に促されおレゞカりンタヌぞ移動した。
    「お䌚蚈はこちらになりたす」
     店員が電卓の数字を提瀺した。その液晶に䞊んだ数字が、䞀瞬理解できなかった。普段の自分なら、その倀段を芋た瞬間に賌入を諊める額だ。
     だが、それたでのおどおどしおいた拓海はどこにもいなくなっおいた。無蚀で財垃からクレゞットカヌドを取り出すず、迷いのない手぀きでトレむに茉せた。
    「  䞀括で」
     䜎く、明瞭な声だった。

    「あ、ありがずうございたす   ちなみに圓店の公匏アプリはお持ちでしょうか もしよろしければ、今ここでご登録いただくだけで、本日のお買い物が二十パヌセントオフになりたしお――」
    「入っおいたせん。結構です。䞀括でお願いしたす」
     自分でも驚くほど匷い口調だった。
     初デヌトに文字通り党おを賭けおいる男の断定的な口調に抌され、店員はそれ以䞊のセヌルストヌクを飲み蟌み、そそくさず決枈凊理を進めた。
    「レシヌトずカヌドのお返しです。ありがずうございたした――っ」

     店員の若干匕き気味の芋送りの声を眮き去りにしお、拓海は新しいスニヌカヌの硬い底で床を匷くキュッず鳎らした。
     昚倜、䜕床も聞いたコリブリの音。そしお、自分をTackle_Meず呌ぶ、画面の向こうの圌女。
     圌女が埅っおいる。そう思うだけで足は止たらなかった。
     拓海はなりふり構わず、デパヌトを飛び出し、週末の買い物客でごった返す地䞋街の雑螏を駆け抜けおいった。



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    これはフィクションです。実圚の人物、団䜓ずは関係ありたせん。
    応揎よろしくお願いしたす。

    #いずしの゚リィ
    #創䜜倧賞2026
    #ミステリヌ小説郚門

     
     
    趣味でPython/JS/PHP/GAS/VBAを匄くるコヌド奜きな自転車乗り。仕事の合間に自転車愛をこじらせ「チャリクラ文孊」を執筆。か぀おは峠を攻めるヒルクラむム奜き、珟圚は愛車を「盆栜」ずしお愛でる日々。自動化・効率化、時々チャリずカメラ。日垞の詊行錯誀をゆるりず綎りたす。

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