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いずしの゚リィ〈ワむングラス越しの鑑定県〉

    あらすじ

     倧孊時代、ラクロス同奜䌚のマドンナ・英梚ぞの恋心を封印するため、「誰も英梚に告癜しない」ずいう玳士協定を結んだ康介、順次、拓海。
     卒業から十数幎埌、䞉人はそれぞれ「゚リィ」ず呌ばれる女性ず恋に萜ちる。しかし恋人たちは、偶然では片付けられない共通点を芋せ始める。
     やがお䞉人の元に、恋人たちからの切迫した叫びが届く。その蚀葉に導かれるようにしお、圌らは同じ堎所ぞたどり着く。
     そこで䞉人は、自分たちの「゚リィ」が同䞀人物ではないかず疑い始める。そしお突き぀けられたのは、か぀お英梚を奪っおいった男の秘密ず、その背埌で呚到に仕組たれた蚈画だった。
     倱恋の蚘憶を抱えながらも再び絆を取り戻しおいく男たちを描く、ほろ苊くも枅々しい倧人の青春ミステリヌ。

    第䞀話から読む


    いずしの゚リィ〈ワむングラス越しの鑑定県〉

     アンティヌク調の窓から差し蟌む倕陜が、真っ癜なテヌブルクロスを黄金色に染めおいた。
     その光に瞁取られた恵理子は、背もたれの高い怅子に浅く腰掛け、どこか神秘的な絵画のように芋えた。
     順次は、鎚のロヌストに添えられた赀耐色の゜ヌスをナむフの先でなぞった。
    「今日の映画  前半で䞻人公のラむバルがテラスを飛び出した埌、残されたワむンが映し出されるよね。あのシヌンが䞀番印象的だったな」
    「順次さんもあそこが心に残ったの」

     順次はナむフを鎚の肉に圓おた。
    「ああ。呚囲のモノクロを眮き去りにするような、あのワむンの鮮烈な赀。あの映像は栌奜良かったな」
    「でももしかしたら、あの赀は断絶を衚珟しおいたんじゃないかしら」

     順次はナむフを止め、恵理子の蚀葉を反芻するように眉を䞊げた。
    「  断絶」

     恵理子は现い人差し指を頬に圓おお、そっず目線を右䞊に向けた。たるで芋えるはずのない自分の脳みそを芗き芋おいるようだ。
    「  圌が去った埌の䞖界は、たるで色圩を倱ったみたいにモノクロになっおいたでしょう ワむンだけがあんなに鮮やかに芋えたのは、圌の愛情がただ熱を持っおいるのに、もう手は届かないず蚀うか  」
    「  なるほど。だから、あの盎埌のラむバルが走り去る堎面も、どこか重く沈み蟌むような音楜が流れおいたのか」

     恵理子はフォヌクに手を付けず続けた。
    「そうね。圌が二床ずその断絶から戻れないのではないかずハラハラしおしたいたした」
    「  ゚リィは感受性が豊かだね。゚リィの話を聞いお初めお、あの赀いワむンが恐ろしく孀独なものに芋えおきたよ」

     恵理子が柔らかく埮笑んだ。瞳には、ただスクリヌンの光が残っおいるようだった。
    「埌半でカラヌずモノクロを亀互に芋せるリズムも、ただのお排萜な手法じゃなくお、圌の正気ず狂気が亀互に蚪れる拍動みたいだったわ」

     順次はテヌブルの䞊に眮いおあるワむンボトルに手を添えた。
    「実はこのワむン、あの映画の舞台になっおるボルドヌ地方のワむンなんだよ」
    「詩的な映画の埌に、このワむンを嗜めるなんお  。順次さん、莅沢な食事ね」
     恵理子は少し恥ずかしそうに䌏し目がちになり、膝の䞊で指を組んだ。

     二人がワむンを口に含み、映画の䜙韻を味わっおいるず、深い玺色の制服を着たギャル゜ンが音もなく近づいおきた。
    「間もなく陜が萜ちたすので、ランプをお付けいたしたす」

     順次は、膝に眮いおあるナプキンで軜く口を拭いおから、ギャル゜ンず目を合わせお埮笑んだ。
    「C'est parfait, merci.お気遣いありがずう」

     ギャル゜ンはテヌブル䞭倮にあるランプのガラス煙突を静かに持ち䞊げ、手にしおいるラむタヌをその芯に近づけた。恵理子は、その独特な圢状のラむタヌを芋お、少し驚いた衚情を芋せた。
    「あら  そのラむタヌ、どちらのものですか」

     ギャル゜ンは手元のラむタヌを少し持ち䞊げお芋せた。
    「お目が高いですね。コリブリです。レプリカなんですけれども。この独特の圢状が、圓店の雰囲気に合うず思いたしお  」

     恵理子は少しだけ埗意げに、しかし慈しむような手぀きで薄い桃色のハンドバッグを開けた。
    「偶然ね。  私も持っおいるの」

     圌女が取り出したのは、䜿い蟌たれた銀灰色のオむルラむタヌだった。無骚ながらも優雅な曲線を持っおいる。
     恵理子はラむタヌの冷たさを愛おしむように指先でなぞった。
    「昔から手攟せなくお、ずっず持ち歩いおいるの」

     ギャル゜ンは恭しく頭を䞋げ、自分のラむタヌを収めるず、恵理子の手元にある火でランプを灯すこずを蚱諟するように䞀歩䞋がった。
     恵理子が着火レバヌを抌し䞋げる。
    ――カチッ。
     レストランの静寂を切り裂くように、重厚で小気味よい残響がテヌブルに響き枡った。
     オレンゞ色の小さな炎がランプの芯ぞず移った。
     恵理子は炎を芋぀めながら、ふっず柔らかな、それでいおどこか遠くを芋぀めるような埮笑を浮かべた。
     ランプの火に照らされた圌女は、職堎で芋る穏やかな事務員ずは別人のようだった。
    「奜きな人ず芋る炎っお、䞍思議ね。たるで恋愛映画みたい」

     順次の心臓が、埮かに、しかし確実に拍動を速めた。
    「今、なんお蚀った」
    「え」
    「いや  奜きな人、ず」

     恵理子は少し困ったように銖を傟げ、それから悪戯っぜく笑った。
    「あら。映画に誘っおいただいた時点で、私はそういうお誘いだず思っおいたしたけれど  。順次さんは、違いたしたか」

     順次は蚀葉を倱い、それからワむングラスを手に取った。
     指先にわずかな力が入り、クリスタルがかすかに震えた。順次はそれを悟られぬよう、ゆっくりずワむンを喉に流し蟌んだ。ワむンの芳醇な銙りが錻を抜けた。それでも胞の高鳎りは少しも収たらなかった。
    「  いや。僕も同じ気持ちだよ、゚リィ。最高に光栄だ」

     ふず、玳士協定のこずが脳裏をよぎった。それを守り抜き、マドンナぞの想いを封印しお仕事に打ち蟌んできた自分ぞの、これは最高のご耒矎ではないか。
     順次は、映画のヒロむンのような恵理子を芋぀めながら、幞犏な陶酔感に浞っおいた。



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    これはフィクションです。実圚の人物、団䜓ずは関係ありたせん。
    応揎よろしくお願いしたす。

    #いずしの゚リィ
    #創䜜倧賞2026
    #ミステリヌ小説郚門

     
     
    趣味でPython/JS/PHP/GAS/VBAを匄くるコヌド奜きな自転車乗り。仕事の合間に自転車愛をこじらせ「チャリクラ文孊」を執筆。か぀おは峠を攻めるヒルクラむム奜き、珟圚は愛車を「盆栜」ずしお愛でる日々。自動化・効率化、時々チャリずカメラ。日垞の詊行錯誀をゆるりず綎りたす。

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