
『君と私とIF』第11話「制止」
<3ーC教室>
──昼休み──
(うぇ〜・・・)
武田
「だからよ」
(ああ、うん・・・)
武田
「聞いてんのか? 中藤!」
(聞いてるよ・・・)
俺は今、
机に突っ伏している。
小林
「武田くん」
武田
「お? ・・・ああ」
「わりぃ・・・」
──足音が離れていく
小林
「大丈夫? 勇人」
そのまま、小林に顔を向ける。
勇人
「ああ・・・、さんきゅ・・・」
(どうしたこうなった・・・)
初日、始業式の朝。
──異様な空気
──突き刺さる視線
──意識
何かに突き動かされるように、
必死の形相の武田。
──誰も、何も言わない
言えない・・・?
(なんでこう・・・)
(毎日毎日、グイグイと・・・)
<二日目>
武田
「よお! 中藤!」
「昨日はすまなかったな!」
「そんでよ!」
以下略
<三日目>
武田
「よお! 中藤!」
「お前、もう身体だいぶいいんだろ?」
省略
<四日目>
武田
「よお! 中藤!」
「お前、暗いじゃ──
略
<五日目>
武田
「よお! 中藤!」
「おま──
ry
<今朝>
武田
「──
・・・
<なう>
(その都度、
小林が助けてくれるが・・・)
平然としている小林。
(いつまでも
頼ってる訳にもいかんしな・・・)
平気なわけがない。
周囲のクラスメイトも、
遠巻きに見ているだけだ。
(あいつら・・・)
田中・中条・倉本の3人が
チラッと目に入る。
(そりゃ気まずいわな・・・)
少なくとも、
居心地が良いようには見えない。
他の男子も女子も、
それぞれ何人かずつ集まって、
ヒソヒソと様子をうかがってる。
──正直なところ・・・、
あまり芳しくない 。
あの時の、
少し疲れたような
神谷先生の顔が過ぎる。
(これが4ヶ月・・・)
(そういうことか・・・)
みんな、
悪気がないのは分かる。
(そりゃ、誰も動けんわな・・・)
──それだけに・・・
(そう考えると・・・)
──武田の必死な顔
(すげぇな、あいつ・・・)
是非はともかく。
・・・
(どうしたもんか・・・)
正直、
事故のことはまるで覚えてない。
(あ・・・)
(そういうことか)
──認識がズレてる
(いや、ズレてるのは俺か)
(そりゃそうだわな)
現実感がなく、
浦島太郎の気分だったが。
(みんな、あの日から続いてんだ)
妙にストンと落ちる。
(・・・)
(このままにはしておけんよな)
身体を起こして武田を見る。
少し離れた席に座る、
曇った横顔。
小林
「勇人? 大丈夫?」
目をやると、
少し心配げな顔。
(完全にオカンだな)
頼もしい親友の姿。
(それはそれで新鮮だったが)
(いつまでも甘えてられん)
(しゃーねぇ)
再び、
武田を見やる。
(なるようになるだろ)
勇人
「なあ、武田」
武田
「お?」
武田が振り返る。
勇人
「で、何だっけ?」
小林
「っ、勇人?!」
勇人
「大丈夫、大丈夫」
左手で軽く制す。
少し明るい顔になる武田。
立ち上がり、
武田
「いや、だからよ」
「いつまでもこんな空気じゃ、
よくねぇだろ?」
(食いつき・・・)
「お前も戻ってきたんだし」
「もう、あの事故のことは──」
誰かが、
──小さく息を呑んだ。
(やべ・・・)
武田
「いつまでも引きずってても、
しょうがねぇっていうか──」
勇人
「武田、おま」
小林
「武田くん!」
ほぼ同時だった。
武田
「え・・・?」
ようやく我に返ったのか。
──その時
「武田くん。」──
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