
不登校を強みに―固定観念を塗り替えた母の記録 第8章:眠り姫の時間
眠り姫の夏休み
夏休みに入り、「少しでも気力や体力が回復すれば」と願っていました。
けれど実際には、娘の起きる時間はさらに遅くなっていきました。
用事がない日は、つい起こすタイミングを逃してしまいます。
気持ちよさそうに眠っている娘を無理に起こすのは、なぜかこちらまで苦しくなるのです。罪悪感さえ覚えることもありました。
いろいろな情報をみると、起こさないいほうが良いというものも見かけ、迷いがあるのも一因かもしれません。
さらに、「起立性調節障害の子どもには無理に起こさないほうがよい」という情報も見かけるようになり、迷いが深まりました。
本当にどうしてあげるのが正解なのか、分からなくなっていたのです。
そうして過ごすうちに、娘の起床時間は午後3時ごろになってしまいました。
夜は毎日10時には布団に入っています。
部屋は暗く、スマホやタブレット、パソコンをいじっている様子もありません。
それでも、眠りの中に閉じこもっているように見える日々が続きました。
夏の旅、わずかな覚醒
そんな夏のある日、小学生の弟が「USJに行きたい」と言い出しました。
久しぶりの旅行です。娘が朝起きられるか少し心配でしたが、意外とこういった特別な予定のある日は、なんとか起きられることが多く、思い切って大阪旅行に出かけることにしました。
当日は、予想どおり起きて支度することができました。
けれど――夏のUSJ。
強い日差しと長い行列が重なり、娘も弟もバテてしまい、予定よりも早めに切り上げることになってしまいました。
無事に行けたことはひとつの成果だったのかもしれません。
でも、「動けたのはほんの一瞬の奇跡だったのかもしれない」とも感じました。
眠りの正体を探して
旅行のあとは、また午後3時起床の生活へ逆戻り。
元気に動ける時間はごくわずかで、元気になってまもなく、布団に入る時間になってしまいます。
この長い眠りの時間を、どう捉えればよいのか。「今はきっと、充電期間なのだ」と自分に言い聞かせながらも、心のどこかでは、焦りと不安が日に日に募っていきました。
午後3時に起き、数時間の活動のあと、また深い眠りへと戻っていく娘。
その姿に、私たちは無力さを感じながらも、「今の娘にできることは何か」を模索し続けていました。
そんなある日、睡眠の質を“見える化”するため、睡眠記録ができるスマートウォッチ(Fitbit)を使い始めました。
それは、娘の“本当の状態”を教えてくれる道具となり、やがて――次のステップへの扉を開くきっかけになっていったのです。
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