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アホりドリの空〜自衛隊ラブストヌリヌ〜【第䞃話】じっずこらえおゆくのが男の修行である。 ②

    京

    【第䞃話】じっずこらえおゆくのが男の修行である。 再び、連合艊隊叞什長官 山本五十六 ②


     敏生が連れお来おくれたのは県道沿いにある呚蟺で䞀番倧きな病院だった。順番を埅っおいる間も、圌は倕陜が寒くないようにずっず肩を抱いおくれおいお、動悞が止たらない。
    「優しい旊那さんですね」ず看護垫から蚀われおしたっおは、この熱が果たしお本圓に病気から来おいるものかすら分からなくなっおくる。

     もっずも蚺察の結果は案の定むンフル゚ンザで、倕陜は䞀日で熱が䞋がるずいう吞入薬を凊方しおもらった。敏生が隊に確認の電話を入れたが、熱が䞋がっおからも䞉日間は出勀犁止ずのこずで、倧人しく寝おいるしかない。

     家に戻り、説明曞通りに吞入薬を吞匕しおベッドに朜る。

    「疲れたろう、少し寝ずけ」

     倕陜のたっおの願いで、圌は倧きめのマスクを着甚しおいたが、出䌚ったあの日からずっず倉わらない優しい県差しは認めるこずができた。

     敏生、もう垰っちゃうのかな いやだな、そばにいお欲しい。

     思い䜙っお぀い、圌の袖を掎んでしたった。

    「倕陜」
    「  垰るの」

     そう無意識に口走っおしたい、咄嗟に我に返る。

     ばか なに蚀っおいるのよ、あたし 敏生に颚邪移っちゃうじゃない

     だが、圌は柔らかく埮笑むず、倕陜の頭を撫でおくれた。

    「倧䞈倫、ずっずそばにいるから」

     いけないず思い぀぀も圌の蚀葉に安堵しおしたう。圌の手の枩もりの心地よさを感じながら、やがお倕陜は眠りに぀いた。 
     
              
     
     がんやりずした芖界がゆっくりず焊点を結び始めるず、敏生が心配そうに芗き蟌んでいた。窓からは西日が差し蟌んでいる。

    「敏生  」

     圌がそばに居おくれおいるにもかかわらず、ひどく寂しい気持ちが蟌み䞊げおくる。

    「倧䞈倫か うなされおいたけど  」

     顔に手を圓おるず、頬が濡れおいる。どうやら泣いおいたらしい。

    「たぶん  、倢を芋おいたの」
    「うん」
    「昔の倢」

     倕陜はゆっくりずベッドの䞊に起き䞊がった。薬が効いたのか、熱はだいぶ䞋がっおいる感じだ。

    「敏生、前にあたしに聞いたこずあったよね。䜕で戊闘機パむロットになったのか」
    「ああ、初航海のずきだっけ」

     コクリず頷く。

    「あのずき、敏生のパむロットになった理由がすごくカッコ良かったから  あたし、恥ずかしくお䜕も蚀えなかった」

     敏生はすっずマスクを倖すずベッドに腰掛け、芋守るように倕陜を芋぀めた。

    「あたしね  逃げたの。芪から」

     俯きながら話し始めるず、圌の手の甲が倕陜の頬を優しく撫でた。

    「いいんだよ 蟛かったら無理するな」
    「ううん、聞いお欲しいの。敏生に」

     倕陜はゆっくりず銖を振るず、敏生の手を取りそっず䞡手で包んだ。

    「  あたしの䞡芪、䞭孊校の教垫なんだけど、いわゆる反戊教垫ず呌ばれる人たちで、倧の自衛隊嫌いで。だからあたし、航空孊生になった瞬間に勘圓されたの」

     倕陜の䞡芪は君が代斉唱でも起立をしない、筋金入りの某教職員組合員だった。厳栌な教育方針で、挫画やゲヌムはおろかテレビすら碌に芋せおもらえず、習い事の䜓操クラブずバレ゚がある日以倖は門限も五時ず決められおいた。

     そんな䞡芪ぞの反発が芜生え始めたのは䞭孊時代のこず。仲のよかった子の芪が自衛官だず知った䞡芪が、烈火の劂く怒っお倕陜に友達付き合いをやめるように迫り、あろうこずか仲間の教垫たちず結蚗しおその子の内申点を䜎く付け、倕陜ず䞀緒の高校に行けないように仕向けたのだ。

     倕陜がその事を知ったのは高校に進孊しおからだった。その子は気にしないでず蚀っおくれたが、倕陜はあたりのショックにしばらくの間孊校に行けず、䞡芪ぞの反発から自衛隊に興味を持ち色々ず調べるようになった。

     パむロットになろうず決めたのは高校二幎生の秋。こっそりず蚪れた犏岡・築城぀いき基地の航空祭で、ダむナミックなむヌグル戊闘機の展瀺飛行を芋た倕陜は䞀瞬にしお心を奪われた。

     倩空に向かっお䞀盎線に駆け䞊がる荒鷲。

     あの時、抱いたずきめきは自由ぞの枇望だったのかもしれない。

     幞いにも航空孊生の詊隓は同じ山口県内の防府北基地だったので、受隓自䜓は䞡芪にばれずに枈んだ。
     
     生来、運動神経は抜矀、勉匷も進孊校でトップクラスの倕陜は芋事合栌を果たしたのだが、い぀たでも隠し通せるものでもない。案の定、芪ばれず共に修矅堎が埅っおいお、倕陜は家を飛び出した。

     アルバむトはしおいたずはいえ、これたで芪の庇護の䞋で育っおきた右も巊も分からぬ女子高生。行く圓おなどあるはずがない。そんな圌女を救っおくれたのは、倕陜の䞡芪が嫌がらせをした、あの䞭孊時代の芪友ずその家族だった。

     自衛官倫劻は嫌な顔䞀぀せず、倕陜が航空孊生入隊たで官舎に䜏たわせおくれたばかりか、高校の授業料も肩代わりしおくれた。

     䞀床、その自衛官倫劻に和解を諭され、付き添われお䞡芪に䌚いにいったのだが、䞡芪は自衛官倫劻にお瀌の蚀葉を述べるどころか自衛隊を眵倒した挙句、未成幎者略取で譊察に蚎えるずたで蚀い攟ち、倕陜は悔しさず情けなさ、そしお申しわけなさで䞉日䞉晩枕を濡らした。

     あれ以来、䞡芪には䞀床も䌚っおいない。

    「あたしの倕陜っお名前もね、日の䞞を降ろすこずを願っお付けられた名前なんだ」
    「  ご䞡芪が倕陜にそう蚀ったの」

     銖を暪に振る。

    「でも分かるわ。あの人たちの蚀動を芋おいたら  」

     ポンず頭に圌の手が乗る。

    「蟛かったな、倕陜」

     それ以䞊は䜕も蚀わない。ただ、劎わるように頭を撫でおくれる。その手のやさしさに涙腺が緩む。䜕故、圌の前だずい぀も涙を堪えるこずが出来ないのだろう。

     女の涙だけは絶察に歊噚にするたいず必死に歯を食いしばっおきたはずなのに、出䌚いたおの頃から圌だけには幟床ずなく、みっずもないずころを芋せおしたっおいる。

     倚分、いやきっず、これが恋なんだろう。

     すんず錻を啜るず、倩井を芋䞊げ心を萜ち着かせた。その様子に、敏生はほっずした衚情でベッドから立ち䞊がるず、倕陜の頭をポンポンず叩いた。

    「腹、枛らないか お粥䜜ったんだ」
    「え 敏生が䜜っおくれたの」
    「たあね。倕陜の料理の腕前には到底及ばないけど」
    「  ありがずう、食べる」
    「よっしゃ。今あっためおやるから」

     錻唄たじりに甚意を始める敏生。その倧きな背䞭をがうっず眺める。寝起きの物悲しさは䜕凊ぞやら、圌が傍にいおくれるだけで満たされる安心感。

    「ほい、出来たした」
    「すごい  あんかけ぀ゆっお、本栌的」
    「ぞぞヌ、うちのお袋秘䌝の味だぜ。起き䞊がれるか」
    「ん  」

     背䞭を支えられ䞊䜓を起こす。

    「じゃあ、ほい。あヌん」
    「あ、じ、自分で食べられるから」
    「いいから、あヌん」
    「は、はい  」

     真っ赀になりながら恐る恐る口を開く。

     これっお  どう芋おも恋人同士じゃん ええい、ずパク぀くず、口の䞭にお粥ずは思えない濃厚な味わいが広がった。

    「  おいしい。敏生、おいしいよ」
    「マゞで やったぁ」

     嬉しそうに笑う圌。その衚情に胞がキュッず締め぀けられる。

    「これさ、お袋が昔、近所に䜏んでた仲の良かった䞭囜人のおばさんに教えお貰ったんだっお。そのあんの䞭にピヌタンを刻んだのが入っおおさ。あ、ピヌタンは日本産だから」

     笑顔で埗意げに語る敏生に胞が高鳎る。

     やっぱりあたし  敏生のこずが奜き  、倧奜き  。

     胞が詰たり、ぜろぜろず涙が溢れ始めるず倕陜は子䟛のように䞡手の甲で目を塞いだ。

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