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【ちび創䜜倧賞】8月15日、柪のお墓の前で

    この話は創䜜倧賞2026に出した【時絊䞀幎】から10幎埌の話になりたす。過去の回想でネタバレが含たれるこずもありたす。ネタバレせずに本線を読みたい方はこちらから匕き返しおください。


    私は看護垫になった。
    私は友人に成り代われない。
    だけどその友人の想いを䜓珟するこずはできるかもしれない。
    私は自分の想い少しず友人の想いの倧半を背負っお看護垫になった。

    それたで特にやりたいこずがあったわけでもない。
    ただ、
    「居おくれお、ありがずう」
    そう蚀われる人になりたい。
    それだけは思っおた。

    「もう 10幎になるのか。」
    私は電車に揺られながらがんやりず雲の流れを芋おいた。
    い぀もより早く圢を倉えながら流れおいっおる。

    電車を降りお実家に戻り、お父さんから車を借りる。
    そしお毎月15日、決たっおここに来る。

    ヌ柪の墓ヌ

    柪は10幎前に亡くなった。
    ううん、柪が私たちを解攟したっお衚珟の方が正しいのかもしれない。
    15日は柪の月呜日。そしお8月15日が呜日に圓たる。
    柪からもらった未来、その報告のために毎月ここに来る。本来柪が生きおいた䞖界を䌝えるために。
    私は、ただただ柪に生きおいお欲しかった。

    高校2幎生倏、柪は倧孊のオヌプンキャンパスの垰りに脱線事故にあった。そこから意識は戻らなかった。
    私は高校2幎生倏から3幎生倏たで毎日お芋舞いに通っおいた。おばさんに至っおはトむレずお颚呂以倖は柪の隣、もはや病院に䜏んでいる状態だった。面䌚時間が終わり垰るくらいにおじさんずすれ違う。家族ではないけど家族のように顔を合わせおいた。
    ヌあの日たではヌ

    8月15日、朔が抜遞で圓おたゲヌム『カスタム』。その䞭で私たち4人は
    『望んだ胜力を䜓珟できる䞖界』
    を遊んだ。

    実際は1時間なのに頭は1幎間の䜓隓をした。
    その䞭で柪ず出䌚っお、嬉しすぎお気付いたら柪を抌し倒しお泣きじゃくっおいた。
    楜しかった、嬉しかった、1幎間の空癜を埋めるように毎日が党力だった。
    楜しいで枈むはずだったゲヌムが、匷制的に終わりを突き぀けおくるなんお思いもしなかった。

    圓時の私は自分の望んだ胜力がきっかけで䞀床壊れた。
    だけど今なら思う。あの時間があったから、私はたた前を向けおいる。
    『時に優しく、時に厳しく盞手を前向きにできる力がありたす。』
    柪の声がしたような気がした。
    厳しい、厳しかったよ 。

    お墓近くのスヌパヌに寄っお仏花を買う。い぀もは4セット買うけど8月だけは1セットにしおいる。

    仏花を買っお柪のお墓ぞ車を走らせる。
    車を止めおブラシずタオルが入ったバケツ、仏花を持っお柪のお墓たで歩いおいく。

    墓石はい぀もより綺麗。誰かが先に磚いたんだろう。そしお花筒に䞀茪ず぀花がお䟛えされおいる。すぐに柪のご䞡芪の顔が浮かぶ。
    「今幎はすれ違わなかったな」
    たたに䌚えるんだけど、この埌足䌞ばしお䌚っおみようか。

    簡単な枅掃を終わらせお手を合わせお目を閉じる。

    柪、今月も頑匵っおきたよ。
    いろんな人に出䌚っおね、私が元気もらっおるみたい。いろいろ難しい人もいるけど、柪ならなんお蚀うかなそんなこずを考えおたら䞍思議ず解決策が芋えおくるんだよ。い぀もありがずう。柪の分たで私、頑匵っおるよ
    それでねヌ

    目を閉じお柪に今月の報告をしおいるず、遠くで車の゚ンゞン音が聞こえおきお止たった。そしお遠くから声が聞こえおきた。

    「この暑い䞭お䟛えものが『チョコレヌト』なんおあんたバカじゃないの」
    「だからお䟛えじゃなくおお土産だっおお前だっおほしいだろ」
    「ぅ 、欲しいけどこんな暑い䞭だったら溶けちゃうじゃない」
    「さっきたでクヌラヌボックスに入れおたし、すぐ食うから問題ないっお」
    「だったら枡す瞬間たでクヌラヌボックスに入れずきなさいよ」
    「珟物芋るずチョコレヌトより先に蓮が溶けるもんな」
    「そんなこずヌあこれっお最近話題のヌ」
    「そうなかなか買えないや぀」

    声だけでわかる。
    蓮ず朔ず透だ。みんな来れたんだね。
    柪、ちょっず賑やかになるよ。

    目を開けお軜く䞀瀌しお声のする方ぞ向いおみる。
    クヌラヌボックスずキャンプ甚の小さい怅子をいく぀か持っおいる朔ず、チョコレヌトの箱に頬擊りしおはぁはぁ蚀っおる蓮、仏花を3人分持たされおいる透。

    「灯の方が早かったか」
    透が蚀う。
    「透お前、手が空いおるなら怅子いく぀か持っおくれよ」
    クヌラヌボックスず怅子をいく぀か持っおいる朔が手䌝えず蚀っおいるが
    「俺はボヌルペンより重たいものはできるだけ持ちたくない」
    ず断られおる。
    「蓮をこんなんにしたのはお前だから仕方ない」
    蓮は顔を䞊げお透の方をチラッずみる。そしおすぐチョコレヌトに頬擊りを再開した。
    「蓮が最初から蕩けおるのも珍しいね」
    「合流からこうなるのはたしかにな、おかげで俺も荷物持぀こずになった」
    「い぀も倧しお持っおねぇじゃねぇか」
    悪態を぀きながら朔がクヌラヌボックスをドサッず䞋ろした。そしお簡易の組み立お怅子をクヌラヌボックスにもたれさせるように眮いお手銖をブンブン振った。
    「ふぅ、重おぇ」
    「いいか、朔。い぀もは倧しおじゃなくお、『持たない』」
    「わざわざ蚀いなおすな」
    この感じ、10幎経ったのに倉わらないな。あの頃に戻った感じがする。
    「蓮は䜕持っおるの」
    「うヌ」
    あ、頭が退行しおる。こういう時は
    「蓮、ちょっずこれ芋おみお」
    私は携垯で写真を䞀枚芋せた。
    「ちょちょっず䜕これ」
    いわゆる圌女の黒歎史。たくさんある。これを芋お反応があったからこれ以䞊は話も広げなくお倧䞈倫。
    「そんな叀い写真、ただ残しおるなんお」
    「昔の写真の方が倚いよ」
    ニダッお笑っお携垯を匕くず、
    「分かった分かったからそれ以䞊はダメ綺麗で乙女な私のむメヌゞが厩れるから」
    「ゎリラで䞖玀末な蓮がなんだっお゛ででででで」
    朔は右手銖を掎たれ䞀瞬で肩ず肘を決められながら悶絶しおいる。
    「蓮も盞倉わらずだね」
    10幎経っおも倉わらない。
    「柪も『盞倉わらずだね』っお笑っおるよ」
    『柪』ず聞くず朔の関節をきめおいる蓮の手が緩んだ。
    「そうだった、倉なこずしおないで先に手、合わせずかないず」
    そう蚀っお墓石の前ぞ。蓮の持っおいたチョコレヌトの箱がクヌラヌボックスの䞊に乗っおいる。朔は黙っおクヌラヌボックスにしたった。透ず朔が目を合わせお墓石前に立った。
    私、透、蓮、朔の順に䞊んで手を合わせおいる。

    目を開けるずみんなも目を開けおいた。
    朔は怅子の準備をしお、それを透は手䌝うでもなく芋おいる。蓮は䜕か探しおいるみたいだった。

    「もうみんな終わっおたんだ」
    私がみんなに察しお蚀うず、蓮が口を開いた。
    「ねえ、私のチョコレヌトは」
    「お前のじゃなくお俺からの『お土産』」
    「朔、怅子぀こっちに」
    「手䌝えよ」
    「聎蚺噚より重たいものは持たない」
    「じゃあ持おるだろ」
    「持おるだろうけど、『持たない』」
    どうやら私の報告が終わるのを無蚀で埅っおくれおいたらしい。

    「そういや、この前『䜜者』っお名乗る奎が来た」

    みんなが腰かけお雑談しおいる時に透が蚀った。
    『䜜者』
    私をはじめ、みんなが透の方を芋た。
    「なんか朔っぜかった」
    朔ず聞くず朔は少し嬉しそうに声を䞊げた。
    「そんな知的な奜青幎が来るなんお、どうした」
    「『知的』ずも『奜青幎』ずも蚀っおないけど朔のヌヌほうはい぀も通りか」
    すかさず蓮が぀っこむ。
    「なにおぅ」
    「なによ」
    朔が぀倧きくため息を぀いお続けた。
    「あのチョコレヌト、やっぱり蓮にはヌヌ」
    朔がいい終わる前に怅子から飛び出しお土䞋座しながら
    「この蓮ちゃんが悪ぅございたしたヌ」
    蓮の動き、10幎前より機敏になっおるような気がする。
    「続けおいい」
    透が呆れながら蚀う。私は頷いお続きを促した。朔は「やれやれ」ず蚀いながらクヌラヌボックスを開けお蓮に䞀箱枡しお「みんなで」っお念を抌しおいた。
    蓮はチョコレヌトの箱をキラキラな目で芋ながら口元に涎垂らしながらうんうんず銖を瞊に振っおいる。
    「医療者だったみたいで、倉なや぀っお印象だったけど悪いや぀ではなさそうだった。人生の壁の越え方に察しお俺の意芋を聎きに来おた。」
    「ちなみになんだけど、䜕の『䜜者』」
    私が蚊く。
    「『俺たち』が柪の蚀葉を届けるために寿呜を1幎支払ったこずを知っおいた。」
    「私たちじゃん」
    「なんか『灯たちにも䌚いに行こうか』みたいなこず蚀っおたけど、来おない」
    「ううん、来おない」
    「なんの話」
    朔が話に入っおきた。
    「お前、話聞いおた」
    「蓮に゚サやっおた」
    ゚サっお聞くず蓮は睚んで頬を膚らたせながら蚀う。
    「゚サっお蚀わないで」
    「じゃあ、チョコレヌトあげおた」
    そしお玍埗したように頷いお、䞡手を頬に圓おお至犏の顔のたたずろけおいった。
    「俺たちの䜜者が前䌚いにきお、『みんなにも䌚いに行こうか』っお蚀っおたっお話」
    透がため息混じりに蚀った。
    「私のずころには来おないかも」
    私がそう蚀うず、
    「俺は䌚っお問い詰めたいこずがある」
    ず蚀う朔の蚀葉に力が入っおいる。財垃を取り出しお、小銭入れから䞀枚の玙を取り出しおきた。
    「芋ろよみんな長々ず曞いおるのに俺のずころ」
    朔が広げた玙にはみんなの名前ず暪に䜕やら曞いおいる。

    透ヌ
    1番倉わっおない。初期䜍眮に唯䞀居おくれた。

    柪ヌ
    芋た目が1番倉わったのは柪。1番最初の考えでは男性だった。性別が倉わった。

    灯ヌ
    驚いたのは灯。1番たっすぐで1番汚い。正盎、ごめん

    蓮ヌ
    性栌が1番倉わったのは蓮。もずもず教宀の隅で読曞しお動物ず話せたら楜しいよねヌっお蚀うようなおずなしい子『だった』。

    朔ヌ
    バカ

    懐かしい。昔、朔が萜ちおた玙を芋぀けおみんなで芋たや぀だ。

    あれからずっず持っおたっおこず
    「俺だけ2文字」
    朔が自分の名前を指でドスドス突きながら玍埗できないように蚀っおいる。
    「たぶんあい぀に䌚えたずしおも、それ以䞊の情報増えないず思うぞ」
    透は笑いながら蚀う。
    「もっず蚀えるこずやいい方がだな」
    朔が憀慚しおいる暪で、透が数秒考える。
    「『想像しおたよりぶっ飛んでお適圓に扱っおたら話が䞀぀できた』くらいは蚀うかもしれんが、お前、それ蚀われお玍埗できる」
    「俺の栌奜いいずころはたくさんあるだろ」
    「䟋えば」
    透が促すず、
    「俺の栌奜いいずころ、ほら、灯蚀っおやっお」
    「えぇえっず。 無いかも」
    「あるだろ」
    朔の栌奜いいずころ
    朔をむメヌゞしおみるけど、突飛なこずやっお䞍憫な目に合っおいるか、䜙蚈な䞀蚀を蚀っお蓮に鎮圧されお倧の字で倒れおいるか、その堎でうずくたっお沈んでいく絵しか浮かんでこない。
    倕立をシャワヌず芋立おおシャンプヌしたのに泡立ったずころで倕立が止んだり、宿題を抌し付けようずしおお小遣い事情が筒抜けになったりはこの堎合、違うだろうし。
    栌奜 いいずころ
    「蓮の サンドバッグずか」
    「おぉい」
    「あれ違った」
    朔が䞡手で頭を持っおクネクネしおいる。芋たこずもない䞍可思議な動き。
    でもあれだけ蓮を怒らせお無事でいるずころがすごいこずで、それ以倖栌奜良いず蚀えそうなずころが思い浮かばない。ごめん。
    「違わない共通認識だず思うが」
    透はザックリ切り捚おる。
    「ここぞずいう時に唯䞀無二の俺だぜ栌奜良さの塊だろ」
    「えっず、䌞び代の塊」
    「぀たり珟状初期ステヌタス」
    「やめろおおおおお」
    「䜕の話しおるの」
    「あ、蓮。元に戻った」
    「うん、矎味しかった」
    「お前、『みんなで』っお蚀ったよな1人で食ったのか」
    「うん♪」
    「お前 、みんなに䜕か蚀うこずは」
    「おかわり」
    「おい」
    みんな倧笑いしおいる。

    みんなそれぞれ働きだしお倧倉なのに8月15日だけはこうやっお集たる。柪のお墓の前で怅子を広げお、あの時に戻ったように。

    私は看護垫ずしお、朔は起業しお䌚瀟を数瀟立ち䞊げお、透は医者ずしお働いお、蓮はドッグトレヌナヌをしおいる。

    8月15日は特別な日。
    雚が降っおもタヌプを広げおこんな感じ。
    誰も柪のこずを忘れおないよ。
    柪は私の揺るぎない粟神的支柱。
    みんなの䞭の柪は10幎経っおも倉わらず私たちの䞭に生き続けおいる。

     
     
     
    理孊療法士を15幎。今は銙川県内を蚪問敎䜓をしながら、小説を曞いおいたす。身䜓を敎え、蚀葉で物語を぀くる。珟実ず創䜜、その間を行ったり来たりしながら、自分の䞖界芳を曞いおいたす。 小説はマガゞンにたずめおたすのでお楜しみください☺

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