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芋出し画像

第1話 䞍明 知らない郚屋 時絊䞀幎

    原付先生

    ——この物語は、11話で党おが裏返る。

    光だった。
    たぶたの裏が癜くなっお、それから少しず぀、茪郭がにじむように䞖界が戻っおきた。
    倩井がある。
    芋たこずのない倩井だった。癜くお、静かで、知らない郚屋の倩井。身䜓の䞋には柔らかいものがある。暪になっおいるらしい。そのこずに気づくのに、少し時間がかかった。
    ゆっくり起き䞊がる。゜ファだった。知らない郚屋の、知らない゜ファ。
    窓から光が入っおいた。やわらかい陜の光で、空気がただ眠っおいるみたいに静かだった。
    なんずなく窓に近づく。倖には着物を着た女の人の姿があった。きれいな柄の、お正月みたいな着物。
    たるでお正月みたい、ず思った瞬間、ヒダッずした。隙間颚だった。窓のふちから现く冷たい空気が入っおきおいた。
    窓ガラスに、自分の顔が薄く映っおいた。
    倏の制服を着おいた。

      なんで。

    思わず自分の栌奜を芋䞋ろす。スカヌト、半袖のブラりス、芋慣れた校章の぀いた胞ポケット。間違いなく倏の制服だった。なのに窓の倖はどう芋おも真冬で、隙間颚は冷たくお、着物の女の人は癜い息を吐いおいた。

    なんで私、こんな寒いのに倏の制服

    頭が、うたく働かない。ここがどこなのか、なぜここにいるのか、䜕もわからないたた、ずりあえずドアに向かった。
    出ようずした瞬間、目の前に文字が浮かんだ。

    【名前を入力しおください】

    声ず䞀緒に、宙に入力甚のりィンドりが珟れた。感情のない電子音だった。
      䜕これ。
    戞惑いながらも、フルネヌムを入力する。

    【性別を入力しおください】
    女性。

    【生幎月日を入力しおください】
    打ち蟌む。

    少しの間があっお、電子音が蚀った。
    『お埅たせいたしたした。続いお、あなたの胜力をお聞かせください』

    【あなたの胜力は】
    たたりィンドりが珟れた。

      胜力
    なんだろう、これ。面接みたいだな、ず思った。あなたの長所はなんですか、みたいな。
    深く考えずに打ち蟌んだ。
    『明るく盞手に寄り添っお、時には優しく、時には厳しく、盞手を前向きにできる力がありたす。』
    画面の端に小さく文字が流れた。

    【二重胜力蚭定䞍可―凊理完了】

    よく芋えなかった。
    『お埅たせいたしたした。それではどうぞ』
    ドアが、静かに開いた。


    ドアの向こうは、たた知らない空間だった。
    朚の壁、朚の床、朚の倩井。
    ログハりスのような郚屋で、ぱっず芋お六メヌトル四方くらいだろうか。さっきの郚屋ず違っお寒くはなかった。
    人圱が四぀あった。
    芋芚えがある、ずいうより、よく知っおいる顔だった。みんな倏の制服を着おいた。巊偎の暪顔だけ芋えおいるのが蓮、真正面で顔がよく芋えるのが灯、右偎にいるのが朔でちょうど埌ろ姿しか芋えないのが透だ。
    「あ  」
    真正面にいた灯ず目が合った。ずっず䞀緒にいる私の䞀番の友達。みんな灯の声で灯の顔を確認し、芖線の先ぞ顔を向ける。
    䞀番私の近くにいた透が私を認識する前に、䞀番遠くにいた長髪ストレヌトの灯が突進しおきた。
    「柪だ」
    考える間もなく、党䜓重でぶ぀かっおきた。受け止めきれなくお、そのたた二人で床に倒れ蟌んだ。
    痛い。
    「柪だ柪だ、やったやったヌ䌚いたかったよヌ」
    倧型犬が飌い䞻に飛び぀いおいるみたいだった。しっぜがあったら絶察ちぎれるくらい振っおいるや぀。背䞭に回された腕がぎゅうぎゅうず力を蟌めおきお、私は䞀瞬呌吞が止たっお身動きが取れなかった。
    「ちょっず、急に飛びかかっおこないでよ、驚くじゃない」
    なんずか声を出すず、灯がようやく顔を䞊げた。
    どん匕いた。
    灯の顔はぐちゃぐちゃだった。目は真っ赀で、錻氎が光っおいお、涙ががたがた萜ちおいた。そしおその党郚が、私の制服に぀いおいた。
    「  灯、私の制服」
    「こ゛め゛、こ゛め゛ん゛」
    それでも灯はただ柪の制服を掎んだたただった。このたたにしたらたた顔を埋めおくる。そう思った瞬間、灯の制服の背䞭がぐいず匕っ匵られた。
    朔だった。芪猫が子猫を運ぶみたいに、無蚀で灯の制服の埌ろを぀たんで匕き剥がした。灯が「あっ」ず声を䞊げお私から離れる。
    「ありがずう」ず蚀うず、朔は灯ず正面から向き合っお、ぺちぺちず埀埩ビンタみたいに掌ず手の甲を亀互に灯の頬に圓おた。
    「いきなり飛び぀いおお前はあれか犬か盛りかこのたただったらたた抱き぀いおただろ」
    「痛っ、うん、痛っ。埌䞉十回はやろうず、柪分䞍足で、痛っ、うぅ、ごめんだよヌ」
    䞉十回もやる぀もりだったのか。私は匕き剥がしおくれた朔が䞀瞬だけ倩䜿に芋えた。
    「ひどい顔、柪分っお䜕」
    蓮が笑っおいた。口元を抌さえおもおかしさが止たらないみたい、笑いながら目に涙を浮かべおいた。灯のくちゃくちゃな顔がツボに入ったらしい。
    「たしかに、酷い顔だな。新しい栄逊玠か䜕か」
    透も県鏡をなおしながら苊笑いだ。
    灯は朔に襟銖を掎たれたたたぐすぐすず錻を鳎らした。
    「た゛っお゛、柪が来お゛くれるず゛おも゛っおなか゛った゛んた゛も゛ん゛」
    「たしかに驚いたよな」ず朔が蚀った。
    「たあ、灯がめちゃくちゃ掚しおたし、良かったんじゃね」
    「灯の顔がツボ」
    蓮はただ笑っおいた。
    「柪、服」
    蓮が笑いながら目尻の涙を拭いながら蚀った。芋るず、灯の錻氎で制服のブラりスが透けおいた。
    「あ、ちょっず埅っお」
    蓮はそう蚀うなりスカヌトを脱いだ。するんず、なんの躊躇もなく。
    「スパッツ履いおるから問題なしはい、柪」
    スカヌトを枡しおくれた。私は蓮からスカヌトを受け取っお、裏地で制服をざっず拭った。だいぶたしになった。
    「あらたさか可愛い私がいきなりスカヌトを脱ぐもんで興奮しちゃった男子ぃ」
    にやにや笑いながら朔ず透の方に向き盎った。
    「どうせならもっず恥じらいながらやれ」ず朔が蚀った。
    「うん、色気がなあ」ず透も続ける。
    「なに私に女の子ずしおの魅力がないっおいうのこんなに可愛いのに」
    蓮は膚れおいる。
    「蓮、いいか。魅力がないずは蚀っおいない。色気がないず蚀っおる」
    朔が灯の方を芋た。灯はただぐすぐすしおいた。
    「ふぇ」
    「たず顔をなんずかせい」
    透がお尻ポケットからハンカチを取っお灯に枡した。
    「ありがずう」ず灯が玠盎に受け取っお涙を拭い、チヌンず錻をかんだ。
    「お 優しいやん」ず朔が透に蚀った。
    「お前のだけど」
    「は」
    朔がお尻ポケットに手を䌞ばした。ハンカチがない。灯の手に持っおいるハンカチは玛れもなく朔のものだった。
    「ありがずう」
    灯が透にハンカチを返した。
    「どういたしたしお」
    透が笑顔でハンカチを受け取り、綺麗に錻氎が぀いた偎を衚面にしお朔の胞ポケットに戻した。
    「おいおい 戻すなっおお前これ錻氎めっちゃ制服に぀いおんじゃねえか」
    それを芋お私も「ありがずう」ず蚀いながらスカヌトを返すず、蓮は「うん」ず軜い返事をしおなんの気もなくスカヌトをさらっず履いた。
    䞀秒の間があった。
    「ぎゃぁぁぁぁぁぁ」
    腿に䌝う冷たさ。蓮はスカヌトを捲っお内腿を觊った。サラサラの氎が蓮の内腿を濡らしおいた。
    ゆっくりず、肉食獣のように灯の方ぞ向いた。狙いを定めお隙を芋せたら飛びかかろうずしおいるようだ。䞀歩䞀歩距離を詰める。
    「ちょっずその錻氎は私だけど拭いたの柪だし、スカヌトを差し出したのは蓮だから」
    「私は柪の䜓を隠すためにスカヌトを枡したの錻氎぀けるために枡したんじゃないの」
    そうだったのか、気付かないでごめん。
    「えぇっず、それは私じゃなくお柪に蚀っお」
    灯が蚀い終わる前に飛びかかった。蓮の右手が灯の錻を摘む。
    「いたたたた、錻は 毛穎が開くからやめおヌ」
    「この錻かこの錻か」
    蓮ず灯が遊んでいるず、孊校で攟送が始たる前にあるノィヌヌっお空気の音が聞こえおきた。蓮も気付いお灯の錻から手を離した。

    『各プレむダヌぞの胜力の適甚が終わりたした。それではよい䞀幎を』

    感情のない電子音だった。
    「きた」朔が声を䞊げた。
    蓮は錻の脂を制服で拭い、灯は錻をさすりながら目を茝かせた。透の笑顔が悪い顔をしおいた。みんなの枩床が䞀気に䞊がった。
    私は䜕のこずか飲み蟌めず、その空気にちょっずだけ眮いおいかれた。
    さっきの郚屋を出る時に蚊かれた私の胜力。たさかずおも倧事な質問だったんじゃ  
    「行こうぜ」
    朔がもうドアに向かっおいた。
    6぀の圱が扉をくぐった。

    このずき私はただ知らなかった。
    ——この䞀幎が、普通じゃないこずを。


    次話 
    【2/19 春 玉子焌き】

    マガゞン

     
     
     
    理孊療法士を15幎。今は銙川県内を蚪問敎䜓をしながら、小説を曞いおいたす。身䜓を敎え、蚀葉で物語を぀くる。珟実ず創䜜、その間を行ったり来たりしながら、自分の䞖界芳を曞いおいたす。 小説はマガゞンにたずめおたすのでお楜しみください☺

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