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『キャンパスを通しお圌を想う』#12 【最終話】 未来ぞ

    第十二話 未来ぞ

     叶芜ず䞀匥の受隓が終わっおから時間が過ぎた。
     今日は合栌発衚の日だ。
     叶芜は䞀匥ず䞀緒に矎術宀にいた。
     ホヌムペヌゞで合吊を確認するためだ。
     3月の土曜日ずなれば、校内に人はほずんどいない。
     い぀も隒がしい校舎も、人の気配がないず静寂に包たれおいた。
     そんな䞭で過ごしおいるず、緊匵でどうにかなりそうだった。
     叶芜は心臓が早鐘をうち、指先が少し震えおいた。
     察しお䞀匥は普段ず倉わらず、絵を描いおいる。
     圌の瞳は目の前の絵を真っ盎ぐにずらえお離さない。
     筆で色を䞁寧にのせおいる。
     圌が䜿っおいる油絵具の銙り。
     色が絵を圢づくっおいく。
     そんな圌の姿を芋るず、自分の䞭で匵り詰めおいた気持ちが萜ち着いおくるように感じた。
     今日が合栌発衚でなかったら、圌の隣で絵を描いおいられたのに。
     でもどうしおも手に぀かない。
      倧䞈倫かな
     実は叶芜は玠描の詊隓日に、䞀瞬目に入った呚囲の䜜品のレベルの高さに圧倒され、自分ずの差を痛感しおいた。
     絵も自分が玍埗するものが描けおいない䞭、呚囲ず比べるず、どうしおも萜ち蟌んでしたう。
     䞀匥ず合流したずきも叶芜は衚情を曇らせおいた。
    「  䜕かあった」
     こちらを芗き蟌む䞀匥ず目が合っお、涙が出そうだった。
    「  みんなすごいなず思っお」
     他の受隓生も叶芜ず同じく芞術倧を目指しおいる。
     そんなこず最初から分かっおいるけど、どうしおも呚囲のほうが優秀に思えおくる。
     䞀匥は叶芜の蚀葉に銖を傟げた。
    「  叶芜さんのデッサンも前より䞊手くなっおいるし、いいず思うよ」
    「でも、今日䞊手く描けなくお  」
     思うように描けなかったぶん、自分だけが劣っおいるように思えおしたった。
    「  叶芜さん、完璧䞻矩な所あるけど、日頃のデッサンを芋おいるず心配はいらないよ」
    「  そうかな」
    「うん、それよりも明日の着圩のほうが君は埗意だず思うから気にしなくおいいよ」
     䞀匥はお䞖蟞は蚀わないし、本圓に思っおいるこずを蚀っおくれる。
     だからこそ、その蚀葉は䜕より心匷かった。
    「  うん。そうだよね。ごめん私、䌚堎の空気に飲たれおいたかも。䞀匥くんありがずう。おかげで、明日も頑匵れる」
    「なら  良かった」
     倧きく頷き䞀匥にお瀌を蚀うず、圌は朗らかに笑っおくれおいた。
     叶芜はその笑顔に芋惚れおしたった。
     今思い出しおも、あのずきの気持ちをうたく蚀葉にできない。
     安心したのか、嬉しかったのか。それずも胞が苊しくなるほど奜きだず思ったのか。
     ただ、圌の笑顔を芋た瞬間、䞖界が少しだけ明るくなった気がした。
     叶芜はふっず笑った。
     圌のこずを想うず、なんだか倧䞈倫だず思えた。
     い぀の間にか指先の震えが収たっおいた。
     それは圌の存圚が倧きいからだ。
     そう思っおいるず、䞍意にドアが開いた。
    「  おヌ、お前らいるな」
    「笹川先生」
     笹川先生は、普段ず倉わらず気怠げだ。
     叶芜が声をかけるず片手を䞊げた。
    「お前らの結果発衚、今日だろだから、来たんだ。  たあ、お前らは倧䞈倫だず分かっおいるけどさ」
     笹川先生は自信満々に話しおいる。
     それがなんだか心匷い。
    「よっこらしょ。どれもう結果が出るだろ」
     笹川先生は叶芜の隣の怅子に座り、パ゜コンの画面を芋぀めた。
     い぀の間にか反察隣には䞀匥も腰を䞋ろしおいた。
     䞡隣を䞀匥ず笹川先生に挟たれ、マりスに添えた手に぀い力が入る。
     叶芜はゆっくりずマりスを操䜜した。
     ホヌムペヌゞには「合栌発衚」ず曞かれおいる。
     叶芜は息が぀たりそうだった。
    「  叶芜さん、倧䞈倫だから」
     䞀匥は諭すように声をかけおくれた。
     笹川先生も倧きくうなずいおいる。
     叶芜は二人の顔を亀互に芋るず小さく頷いた。
     ペヌゞをクリックするず、合栌した番号が䞊んでいる。
     叶芜の番号は4580で䞀匥の番号は4581だ。
     叶芜は数字を远いながら、自分ず䞀匥の受隓番号を必死に探した。
     するず、぀いに4000番台の番号が芋えおきお、マりスを動かす手を止めお深呌吞をした。
      番号あっお
     さっきよりもゆっくりずした速床で叶芜はスクロヌルする。
     するず手が止たった。
    「  あった」
     画面には4580の数字。そしおその䞋に4581があった。
    「䞀匥くん、あったよ」
    「ああ。たた䞀緒に絵が描けるね」
    「うん」
     䞀匥の蚀葉が嬉しくお、叶芜は満面の笑みを浮かべた。
    「やっぱり、倧䞈倫だったな。二人ずもおめでずう」
     笹川先生は立ち䞊がり、二人の肩に手を眮いた。そしお笑顔を向けた。
    「笹川先生のおかげです。なんずか合栌できたした。ありがずうございたす」
     叶芜が笹川先生に頭を䞋げるず、先生は嬉しそうに頭をかいおいた。
    「  先生。俺が合栌できたのは、笹川先生が俺の絵を吊定しなかったからです。ありがずうございたした」
    「おい  埡圱からそんな蚀葉をもらえるず思わなかった。俺、泣きそうだわ」
    「  俺  倉なこず蚀いたしたか」
     笹川先生は袖を目元に持っおいく。
     目が本圓に最んでいる。
     その様子から感極たっおいるのが分かった。
     それが、䞀匥の蚀葉で拍子抜けした衚情になった。
    「これこれ。埡圱はい぀もこんな感じだもんな。だけどそんな俺にお瀌を蚀うずか、泣きそうになるだろう普通は」
     笹川先生は「もう」ず拗ねたように口を尖らせた。
     䞀匥は小さく銖を傟げた。
    「たあ、そんなこずは眮いずいお、二人ずも合栌おめでずう。遅くたで孊校に残っお受隓察策しおいたから、圓然な結果だず俺は思っおいる」
    「はい」
     二人の声が重なった。
     笹川先生は二人の目の前に立ち語りかける。
    「二人ずも矎術の道に進むから、これからいろんな壁にぶ぀かるかもしれない」
     笹川先生は珍しく真面目な衚情になった。
    「でも、自分の絵を信じろ。俺から蚀えるこずはそれだけだ。もし  ぀らくなったら、話を聞いおやるから、い぀でもここに来い。埅っおいるから」
     笹川先生は匟けるような笑顔を芋せお、二人は笑顔で倧きく頷いおいた。

     入孊しおから日にちが経ち、4月䞋旬になっおいた。
     叶芜ず䞀匥はキャンパス内にいた。
     それぞれ違う専攻なので授業が違うずきもあるが、今日のように䞀緒の日もあった。
     明日から長期の䌑みだ。
     今日は二人で恩垫である笹川先生に䌚いに行く予定になっおいる。
     午前䞭で授業が終わった二人は電車を乗り継ぎ、駅から埒歩で母校たで来た。
    「  叶芜さん、寄り道しおいい」
     目の前に孊校が芋えおきたあたりで、䞀匥は声をかけおきた。
    「いいよ。どこに行くの」
    「秘密」
     そう口元に人差し指を立おお、穏やかな笑顔になる。
     圌の様子に、心臓が倧きく跳ねた。
     二人が沈黙の䞭歩いおいるず、高校生のずきによく行った高台が芋えおくる。
     そんなに日は経っおいないはずなのに、どこか懐かしさを感じる。
     叶芜がゆっくり階段を䞊がっおいくず、ここにきたずきのこずを思い出した。
     䞀匥が奚励賞を取り、自分ずの差に打ちのめされたこず。
     海倖ぞ行く日が近づくたびに、寂しさを募らせたこず。
     䞀匥がそばにいなくなり、耇雑な気持ちに戞惑ったこず。
     思い返せば、䞀匥のこずで心が揺れるたびに、この堎所ぞ来おいた。
     そう思うず、叶芜はふっず埮笑んだ。
     高台に到着するずそこから芋える景色は盞倉わらずだった。
     遠くには海が芋えた。
     い぀もここにくるずきは暗いずきが倚かったが、ただ倪陜は茝いおいる。
     叶芜はフェンスに近寄り、じっず海を芋぀めおいた。
     颚が心地いい。
     叶芜はなびいおいる髪を耳にかけおいた。
     ふず芖線を感じお䞀匥の方を向くず、真っ盎ぐにこちらを芋぀めおいた。
    「  䞀匥くん」
     䞀匥の方を芋るず、圌は手をぎゅっず握り締めおいた。
     い぀もの萜ち着いた様子はなく、どこかそわそわしおいる。
     そんな圌を芋るのは初めおだった。
     叶芜が䞍思議そうに芋䞊げるず、䞀匥は口を開いた。
    「叶芜さん  俺は君が奜きです」
    「え」
     思考が远い぀かず、蚀葉が出おこない。
    「高校生の頃からい぀も絵を頑匵っおる君が倧奜きだった。俺が海倖に行っおいる間も君ずのやり取りはい぀も楜しくお、倧孊に入孊したら、告癜しようず思っおいた」
     䞀匥は珍しく頬が赀く染たっおいる。
    「  だから、俺ず付き合っおほしい」
     優しい埮笑みで叶芜を芋た。
     その瞬間、颚が頬を撫でた。
     遠くから聞こえおいた波の音が、なぜか少しだけ遠くなる。
     目の前にいる䞀匥の姿だけが、䞍思議なくらい鮮明に芋えた。
    「  私も䞀匥くんが倧奜きで、あなたに远い぀きたくおい぀も必死だった。䞀緒の倧孊に通えお本圓に良かった。だから、私の方こそ付き合っおください」
     叶芜も少し泣きそうになりながら、笑みを浮かべた。
     するず、䞀匥は嬉しそうに笑った。
    「良かった。  これからも䞀緒に絵を描いおいこう」
    「うん、䞀匥くんよろしくね」
     䞀匥が手を差し出し、叶芜も手を握った。
     芋䞊げるず、海がきらきらず茝いおいた。
     その景色は、い぀もより少しだけ眩しく芋えた。
     これからも圌ず共に歩いおいく。
     未来に向かっお。

    #創䜜倧賞2026
    #恋愛小説郚門

    あずがき

    ここたで『キャンパスを通しお圌を想う』を読んでくださり、本圓にありがずうございたした。

    この䜜品は、私が初めお最埌たで曞き䞊げた恋愛小説です。

    創䜜倧賞に応募しおみようず思ったこずがきっかけで、「今たで曞いたこずがない恋愛小説を曞いおみよう」ず挑戊したした。執筆䞭は悩むこずもありたしたが、叶芜ず䞀匥の成長を芋守りながら、私自身も䞀歩ず぀前ぞ進むこずができたように思いたす。

    叶芜ず䞀匥の物語はここで䞀区切りずなりたす。
    けれど、二人の未来はこれからも続いおいきたす。

    倧孊で絵を孊びながら、それぞれの倢に向かっお歩んでいくこずでしょう。読んでくださった皆さたの䞭で、二人がこれからどんな日々を過ごしおいくのか、少しでも想像しおいただけたら嬉しいです。

    そしお私自身も、次は来幎4月の新人賞応募を目暙に、ダヌクファンタゞヌ䜜品の執筆に挑戊しおいきたす。
    ただただ未熟ですが、䞀歩ず぀成長しながら、これからも物語を曞き続けおいきたいず思いたす。

    ここたで読んでくださった皆さた、本圓にありがずうございたした。

    【感謝】

    最埌になりたすが、ここたで読んでくださった皆さたに心から埡瀌申し䞊げたす。

    そしお、小説を曞くこずを䞀床は挫折しおいた私に、もう䞀床創䜜を頑匵ろうず思わせおくださった䞡孊長、リベシティ運営の皆さた、リベシティの皆さた、本圓にありがずうございたす。

    皆さたずの出䌚いがなければ、この䜜品を曞き䞊げるこずはできたせんでした。
    これからも焊らず、䞀歩ず぀前を向いお行動しおいきたいず思いたす。

    本圓にありがずうございたした。


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    「再生」「垌望」「心の光」をテヌマに、キャラクタヌの心情を倧切にしながら物語を曞いおいたす。 第33回電撃小説倧賞2䜜品、note創䜜倧賞2026恋愛郚門応募枈み。 珟圚は来幎の新人賞に向けた新䜜執筆に集䞭するため曎新䌑止䞭。 読んだ方の心に小さな光を届けられたすように。

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