
#3 会いに来てくれた、3人のこと
【琥珀の森の、ちいさな味方 ー 制作日記 #3 】
先週、#2を投稿しました。
いいねは、また2つでした。
おひとりは、#1にもいいねをくれた方からのリピート。もうひとりは、フォローまでしてくださった新しい方。
数字だけ見れば、先週と同じ2人です。でも、1人の方が2週続けて読んでくれたということ、新しく1人が来てくれたということ。僕にとっては、これは前進です。
今夜も、書きます。
今週は、物語のキャラクターの話をさせてください。
この絵本には、3人の主人公がいます。ナナ、ユウ、そしてコロ。
この3人は、僕の頭の中から出てきた、というより、ある日、僕のところに会いに来てくれた、という感覚に近いのです。今日は、その3人のことを、ひとりずつ紹介させてください。
ナナ

まずは、ナナから。
マスタード色のケーブルニットに、ブルーのオーバーオール。三つ編みと、赤いブーツが目印のお姉ちゃんです。
ナナは、物語の中で、弟のユウの手をいつも握っている子です。お姉ちゃんらしくしっかり者で、弟を守ろうとする。でも、本当はまだ自分だって子供で、ときどき不安そうにそっと耳の後ろを触ったりする——そんな女の子です。
僕がナナに込めたのは、「弟がいる、全てのお姉ちゃん」への想いです。大人は、お姉ちゃんに「お姉ちゃんだから」と、つい求めすぎてしまう。でも、お姉ちゃんだって、まだ7歳や8歳の子供なのです。
この絵本の中で、ナナは強いです。でも、その強さは「お姉ちゃんだから強い」のではなく、「弟を守りたいから、強くなろうとしている」ものです。
ユウ

次に、ユウ。
ブラウンのニット帽、緑のネルシャツ、ズボンの膝には、大事に繕った継ぎ当て。
ユウは、ナナの弟です。年下で、怖がりで、すぐに涙をためる。
でも、ユウにはどんな賢い大人にもない力があります。それは、目の前の小さな命に、無条件で手を差し伸べる力です。
物語の中で、ユウはあるシーンで、ひとりぼっちで震えている小さな存在を見つけます。そのとき、ユウは怖がりません。泣き虫のユウが、そのときだけは、迷わず手を伸ばすのです。
僕がユウに託したのは、大人が忘れてしまった、素朴でまっすぐな優しさです。子供の頃は誰もが持っていた、「困っている子がいたら、助ける」というあの単純さ。大人になると、いろいろな計算や言い訳が先に立ってしまう。でもユウの中には、それがそのまま残っています。
コロ

そして、コロ。
琥珀色のひび割れた殻に包まれた、小さな梶の葉です。
コロは、物語の中で、自分の殻に閉じこもってしまった存在として描かれます。周りの子たちが次々と綿毛になって空へ飛び立っていくのに、コロだけは飛べなかった。さみしくて、心を閉ざして、カチカチに固くなってしまった。
このコロを作るとき、僕はいろんな子供たちのことを思い浮かべていました。
みんなが綿毛になって飛んでいく中で、自分だけは、飛び方がわからないと感じている子のこと。
周りの大人が決めた「正しい形」に合わせようとして、自分の本当の色を、そっと奥にしまってしまう子のこと。
家の空気を読みすぎて、笑顔の奥に、自分でも気づかない疲れを溜めている子のこと。
どの子も、最初からそうだったわけじゃない。本当は、みんな、もっと自由に光りたいはずなのに。

でも、コロには、もう一つの姿があります。
葉に優しく包まれて、穏やかに微笑む、本来のコロ。
殻のコロも、こちらのコロも、同じコロです。殻は、コロを覆っていた「孤独」という、ただの外側でした。中身のコロは、最初から、こんなにも柔らかくて、優しい存在だったのです。
この絵本は、コロが、自分の本当の姿に出会っていく物語です。
コロには、僕自身の想いが、一番多く詰まっています。
普段、子供たちに面と向かってはなかなか言えない言葉。 でも、心の奥では、毎晩寝顔を見ながら思っている言葉。
それを、僕はコロというキャラクターに託しました。
具体的にどんな言葉かは、書きません。読んでくださるあなたの中に、きっとあなた自身の子供に向けた言葉があるはずだから。その言葉を、コロに重ねてください。
3人が出会う意味
ナナ、ユウ、コロ。
この3人が森の奥で出会うことが、この物語のすべての始まりです。
弟のためにしっかり者であろうとするお姉ちゃんと、まっすぐな弟と、殻に閉じこもった小さな梶の葉。この組み合わせの中にしか起きない「何か」を描きたくて、僕はこの絵本を作っています。
タイトルの『琥珀の森の、ちいさな味方』——「ちいさな味方」が誰のことなのかは、実は、この絵本を読んでくれた一人一人の中で、違う答えが見つかるように作っています。
「ちいさな味方」はコロかもしれない。ナナかもしれない。ユウかもしれない。 あるいは、絵本を読み終わったあと、あなたのすぐそばで眠っている、あの子のこと、かもしれません。
そして、何度も何度も読み返してくれたなら、そのたびに違う「ちいさな味方」に気づけるように作っています。
次回予告
来週は、物語の背景にある「七夕」そのものについて書こうと思います。
七夕の短冊のルーツである「梶の葉」。 願いを枕の下に敷いて眠るという古い風習。 そして、星に願いを運ぶ「星の郵便屋さん」の伝説。
この絵本の設定は、僕が作ったわけではなく、千年以上前から日本で受け継がれてきた風習が元になっています。調べていくうちに、僕自身が驚いたことがたくさんありました。その話をします。
今夜も、子供の寝顔を見ながら、この絵本を書き続けます。
先週いいねをくれた方、今週もいいねをくれた方。そして、フォローしてくださった方。
2週間で、3人の応援者ができました。
僕にとっては、ナナ、ユウ、コロ以外の、もう3人の味方です。ありがとうございます。
来週も、様子を見に来てもらえたら嬉しいです。
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