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#2 見開き2|ナナとユウが、私たちを見ている

    【琥珀の森の、ちいさな味方 ー 制作日記 #2 】

    先週、この連載の初回を投稿しました。

    いいねは、2つでした。

    おふたりとも、僕の知らない方で、それぞれ子育てをされているようでした。つまり、この絵本を届けたかった相手に、2人、届いたということです。

    それに気付いただけで、僕は昨夜、自室のパソコンの目の前で少しだけ嬉しくなりました。

    フォロワーゼロからのスタートです。この連載が、どこまで届くのかはわかりません。でも、今夜も書きます。

    さて。

    前回の最後に書いた通り、この絵本は全17見開きで構成されています。今週は、その2枚目——見開き2を作っていました。

    先に言っておきます。これが、今のところ一番苦労した一枚です。

    見開き2は、この物語の「問い」そのもの

    少しだけ、物語の設定を話させてください。

    見開き2は、主人公のナナとユウが、物語のすべての始まりに出会うシーンです。

    疲れて帰ってきたパパとママが、ソファに座ってスマホを見ている。ふたりの間には、見えないけれど確かに存在する「青白い光の壁」。ナナとユウは、部屋の隅で一冊の古い絵本を開く。中から、一枚の不思議な形をした葉っぱが、パラリと落ちてくる——。

    これ、僕自身の家の、いつかの夜の風景でもあります。

    ソファで並んでスマホを見つめる僕と妻。少し離れた場所で、子供たちだけで遊んでいる後ろ姿。「一緒にいるのに、一緒にいない」あの感じを、絵にしたかった。

    だから、この見開き2は物語の「問い」そのものです。なぜこの絵本を作ろうと思ったのか、その理由が、この一枚に凝縮されています。

    ここを妥協したら、この絵本は嘘になる。

    でも、描けませんでした

    AIに指示を出しました。何度も。何度も。

    でも、出てくる絵はどれも「違う」のです。

    1枚目:長いプロンプトを書いたのに、本物の壁が描かれた

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    長い長いプロンプト
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    NG画像 その1

    最初、僕は張り切って長い長いプロンプトを書きました。「青白い光の壁で、夫婦の間に目に見えない分断が生まれていて……」と、情景を事細かに説明したつもりでした。

    出てきたのがこれです。

    本物の、物理的な青い光の壁が、リビングの真ん中にドーンと立っていました。

    笑ってしまいました。でも、AIは何も悪くない。「青白い光の壁」と書いた僕が悪いのです。僕が書いたのは「比喩」のつもりだった。でもAIは、書かれた言葉をそのまま受け取って、言われた通りに壁を描いてくれた。

    この一枚で、最初の学びがありました。AIは、詩を詩として読まない。書き手が「比喩」と思っているものは、AIにとっては「仕様書」なのです。

    2枚目:真っ白

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    NG画像 その2

    比喩をやめて、もっと具体的に書き直しました。「ソファに並んで座る夫婦、それぞれスマホを見ている」「少し離れた場所で子供たちが絵本を読んでいる」と。

    出てきたのが、これです。

    真っ白な背景。夫婦も子供たちも、表情は柔らかく、どこかにこやか。

    これは、絵としては悪くないのかもしれません。でも、これは僕が描きたかった絵じゃない。

    ここには「距離」がない。「分断」がない。スマホを見ているパパとママは、どこか楽しそうにすら見える。夫婦の間に漂うはずの、あの重たい空気が、きれいさっぱり消えていました。

    「絵本らしい温かさ」を出そうとして、物語の核心が溶けて消えてしまった一枚でした。

    3枚目:メルヘン化

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    NG画像 その3

    気を取り直して、もう一度プロンプトを書き直しました。「夜のリビング」「疲れた夫婦」「子供たちが絵本を開くと、そこから不思議な世界が広がる」と。

    出てきたのが、これです。

    子供たちが開いた絵本から、リスやフクロウや妖精たちがファンタジー全開で飛び出している。そして、パパもママも、その光景を目を丸くして一緒に見ている。

    ……いや、見ないで欲しいのです。

    この見開き2は、「スマホに没頭していて、子供たちの魔法に気づいていない大人」を描きたいシーンなのです。パパとママが魔法に気づいてしまったら、この絵本の後半の物語が成立しなくなる。

    楽しそうな絵でした。でも、これは別の絵本の挿絵です。

    本当に難しかったのは、技術じゃなかった

    3枚目を見たとき、僕は気づきました。

    これ、AIの問題じゃない。僕の問題だ。

    僕は、自分の頭の中にある情景を、言葉に変換しきれていないのです。「スマホに夢中な大人」と書くだけでは、AIには、その裏にある「子供たちへの無自覚な無関心」は伝わらない。「ふたりは気づいていない」と書かなければ、AIは親切心で「ふたりも一緒に感動している絵」を描いてくれてしまう。

    絵が描けない父親の弱点は、絵を描けないことだけじゃなかった。自分の頭の中の情景を、他者(AI)に伝わる言葉で記述する力が、決定的に足りなかったのです。

    突破のきっかけは、小さな工夫の積み重ねだった

    それでも、少しずつ突破口が見えてきました。いくつか、気づいたことを書いておきます。同じようにAIで絵を作ろうとしている方の、何かのヒントになれば。

    1. 前の画像を加工して、赤ペンで修正箇所を囲う

    ゼロから新しいプロンプトを書き直すのではなく、惜しかった画像を下敷きにして、変えたい部分だけを赤ペンで囲って「ここをこう変えて」と伝える。これをやるようになってから、AIとの意思疎通が一気にスムーズになりました。

    2. 画像の名前・キャラクターの名前をしっかり伝える

    「男の子」「女の子」ではなく、「ナナ(マスタード色のセーターのお姉ちゃん)」「ユウ(緑のネルシャツの弟)」と、固有名詞とビジュアルをセットで伝える。これをやると、キャラクターのブレが減ります。

    3. 一発で狙わず、叩き台を修正していく

    最初の一枚で完璧を目指さない。「違ってもいい、5割以上合っていれば採用」くらいの気持ちで叩き台を作って、そこから対話で詰めていく。ゼロから作り直すのは、時間とAIクレジットの無駄遣いです。

    4. 日本語の微妙なニュアンスは、AIには伝わらないと思え

    「寂しげな」「どこか疲れた」「重たい空気の」——こういう日本語特有の情緒表現は、AIに通じないことが多い。「目線を合わせていない」「肩が少し下がっている」「表情に笑みがない」と、物理的・客観的な記述に変換する必要があります。

    これ、地味ですが一番効きました。

    完成した一枚は、まだ見せません

    正直に言います。今、見開き2の完成版は、僕の手元にあります。

    でも、この記事では公開しません。

    この絵本は、完成したら全ページnoteで無料公開すると約束しました。そのときに、初めて見てもらいたいのです。

    「どれだけ苦労して、どんな一枚にたどり着いたのか」——その答え合わせは、七夕の夜にさせてください。

    次回予告

    来週は、物語のキャラクターたちについて書こうと思います。

    ナナ、ユウ、そしてコロ。この3人の関係性が、物語の真ん中にあります。特にコロは、ある特徴的なビジュアルを持っています。その話をします。

    今夜も、子供の寝顔を見ながら、この絵本を書き続けます。

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    先週、この記事にいいねをくれた2人の方。もし今夜もこの#2を読んでくれていたら、本当に嬉しいです。来週も、様子を見に来てもらえたら励みになります。

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    #琥珀の森の制作日記 #育児 #共働き #絵本 #AI絵本 #七夕 #創作

     
     
    絵本を作っている、共働きの父親です。一冊目『琥珀の森の、ちいさな味方』をAmazonで出版しました。AIを相棒に、七夕の物語を半年かけて。うまくいかない話も、正直に書いています。子どもには わくわくを、大人には ほっとする時間を。

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