
Opus 5.5に「犬の散歩ゲーム作って」と頼んだら
この記事を読むと、こんなことがわかります。
AIに「ゲームを作って」と頼むと、どこまで形になるのか
1つのAIで終わらせず、別のAIにレビューさせる意味
コードが書けなくても、遊べる試作品まで持っていけること
「この絵みたいにして」と頼んだとき、どこから先が別工程になるのか
そして、見た目以上に大事だった「犬に愛着を持たせる仕組み」
🐕 はじめに|「どうせ企画書だけ出て終わりでしょ」と思っていた
「AIにゲームを作ってもらう」と聞くと、ちょっと身構れます。
「それっぽい企画書が出てきて終わりでしょ」
「コードを書かれても、こっちは動かし方がわからない」
「結局、ゲーム開発ができる人向けなんじゃないの?」
僕も、少し前まではそんなイメージを持っていました。
今回、ClaudeのOpus 5.5に、かなり軽いノリで頼んでみました。
「犬のレースゲームの企画書を作って」
始まりは、本当にこれだけです。
ところが話しているうちに、犬を育てて、躾をして、散歩中のしぐさを見ながら操作するゲームへと変わっていきました。
最後には、ブラウザを開けばそのまま遊べる試作品まで完成。
しかも散歩中、柴犬がこちらを振り向いて笑うんです。
この「振り向き」が、今回いちばん印象に残りました。
この記事は、そんなAIとのゲーム作りの一部始終をまとめたものです。
難しい開発ノウハウというより、
「AIにゲーム作りを頼むと、今はここまでできるんだ」
という体験記として気楽に読んでもらえればと思います。
▼実際のプレイ動画はこちら
サムネ詐欺です。ごめんなさい。
ちなみに以前、別のAIであるCodexを使った3Dアクションゲームの開発記も書いています。
AIとゲーム作りの相性が気になる方は、こちらもどうぞ。
▼Astraでゲーム作ってみる
🏇 最初の一言は「ダビスタみたいな犬のレース」だった
最初の依頼は、かなり大ざっぱでした。
伝えた条件は、ざっくりこのくらいです。
Steam向けのシミュレーションゲーム
日本語と英語に対応
『ダービースタリオン』のように、育成と血統を楽しめる
小型・中型・大型など、いろいろな犬種を選べる
返ってきたのは、タイトル案、育成、配合、施設強化まで入ったゲーム企画書でした。
「育成 → レース → 報酬 → 施設強化」というゲームサイクルまで図になっています。

ここまでは、かなりしっかりしています。
ただ、正直に言えば、まだ「よくできた企画書」の範囲でした。
僕自身も、この時点では
「犬版ダビスタみたいなものかな」
くらいに考えていたんです。
面白くなってきたのは、この次でした。
🦴 「競走」をやめたら、急にそのゲームらしくなった
犬を走らせて順位を競う。
企画としてはわかりやすいのですが、考えれば考えるほど、何かがしっくりきませんでした。
そこで、方向を思い切って変えます。
競走ではなく、「お散歩レース」にする。
追加した条件は、こんな感じです。
調教ではなく「躾」をする。おすわり、まて、芸など
躾が足りないと、おしっこや匂い嗅ぎで時間をロスする
散歩中に座り込んで動かなくなる、といった犬らしい行動も入れる
コースは千葉の住宅街から始め、将来は東京・皇居周辺などにも広げる
操作は左・右・加速くらいまでシンプルにする
すると、Opus 5.5が出してきたコンセプトがこれでした。
「速さを決めるのは脚力じゃない、絆(しつけ)だ。」
この一行で、一気に企画の芯が見えました。
犬を飼ったことがある人なら、散歩中に突然止まったり、匂いを嗅ぎ始めたり、何かを見つけて動かなくなったりするのを知っていると思います。
普通なら「面倒な行動」になりそうな部分を、ゲームではそのままハプニングにする。
これが、すごく犬らしい。
「千葉コースだけで始めるべきか」と聞いたときも、答えはシンプルでした。
最初は千葉だけでいい。
その代わり、時間帯、天気、日替わりイベントなどを変えて、同じ道でも毎回少し違う散歩にする。
コース数を無理に増やすのではなく、1本のコースを遊び込ませる考え方です。

🔍 1つのAIで終わらせず、別のAIにダメ出しさせてみた
ここで、ダブルチェックをしました。
Claudeが作った企画書を、そのままChatGPTに読ませてレビューさせたんです。
すると、けっこう痛いところを突いてきました。
「ダビスタ風」を打ち出すなら、繁殖・血統要素が後回しだと期待とズレる
血統で受け継ぐのは能力値だけでなく、「猫好き」「食いしん坊」などの性格も面白い
数字のゲージを見るゲームより、「犬のしぐさを見るゲーム」にした方がこの企画らしい
「20〜30時間遊べる」と書くには、今の段階では根拠が弱い
なるほど、と思ったので、そのレビューを今度はClaude側へ戻しました。
面白かったのは、すべてをそのまま採用しなかったことです。
特に強く採用されたのは、
「性格も遺伝する」
「数字ではなく、犬を見るゲームにする」
という2点。
この2つは、むしろ企画の中心へ格上げされました。
一方、「ゲームエンジンはUnityが第一候補」という提案については、そのまま決め打ちせず、UnityとGodotを最初の技術検証で比較してから決める方針になりました。
さらに、レビューに書かれていなかった問題も拾ってきました。
たとえば、
「犬の耳や尻尾を見せるならカメラを近づけたい。けれど、5頭で歩く位置関係を見るならカメラを引きたい」
という矛盾です。
これは言われるまで、僕も気づいていませんでした。
こういう実装前の「あとで困りそうなこと」を企画段階で洗い出せるのは、かなり助かります。
今回やってみて感じたのは、
1つのAIに全部任せるより、別のAIに一度ツッコませた方が企画は強くなる。
ということでした。
AI同士を競わせるというより、
編集者と企画担当を分ける感覚
に近いかもしれません。
🎮 「先に触ってみます」で、900mの散歩道が出てきた
企画を詰めていくと、Opus 5.5からこんな提案がありました。
「Claude Codeで本格的に作る前に、ブラウザ版を先に触ってみますか?」
僕の返事は、
「先にブラウザ版で触ってみます」
だけ。
さらに、夕方の住宅街を柴犬と歩くイメージ画像を1枚渡しました。

すると、ブラウザで開けばすぐ遊べる試作品が出てきました。
こちらでコードを書く必要はありません。
中身は、こんな感じです。
約900mの住宅街コース
CPUの犬4頭+自分の犬で、5頭立てのお散歩レース
←→で左右移動
スペースキーでダッシュ
「おいで」「まて」「つけ」の3つの指示
うんちを拾うとマナーポイントが入る
ここで一番面白かったのが、「予兆」の仕組みでした。
柴犬の頭の上に、
「匂いに反応しそう…」
のような吹き出しが出ます。
これは、ハプニングが起きる少し前のサインです。
ゲージがなくなる前に正しい指示を出せば、時間ロスを防げます。
たとえば、
鼻が下がる → 匂いを嗅ぎそう → 「つけ」
耳がピンと立つ → 猫を追いそう → 「まて」
腰が落ちる → 座り込みそう → 「おいで」
くるくる回る → うんち → これは待って拾う
という感じです。
レースが終わると週が進み、躾の練習ができます。
そして、躾が進むほど予兆が長く見えるようになります。
最初は0.5秒しかなかった猶予が、最大1.5秒まで伸びる設計です。
たった1秒の差ですが、実際に操作するとかなり違います。
「躾が上手くなった」ことを、数字ではなく、プレイヤーの反応できる余裕として感じられる。
ここは、かなり上手いと思いました。

🖼️ 「この絵に近づける?」と聞いたら、そこは簡単ではなかった
ここで、少し欲が出ました。

最初に渡したイメージ画像をもう一度見せて、
「このグラフィックに近づけるには、Claude Codeだけでは難しい?」
と聞いてみました。
答えは、かなり現実的でした。
高品質な3Dの犬、毛並み、歩く・嗅ぐ・座るといったアニメーション、作り込んだ街並み。
こうした部分は、コードだけで完成するものではありません。
Claude Codeはコード生成やファイル編集、開発作業の自動化には強い一方、ゲームで使う高品質な3Dモデルやアニメーションまで、それ単体で一気に用意してくれるわけではありません。
つまり、
「ゲームが動く」ことと、「製品版らしい見た目になる」ことは別。
ここは分けて考える必要があります。
そのうえで出てきた現実的な案が、2.5Dでした。
背景は3Dで作る。
犬はイラスト調のキャラクターを板状に立てて表現する。
いわば、「立体の街+絵のキャラクター」という折衷案です。
これなら、本格3Dより素材制作の負担を抑えながら、世界観を作りやすい。
何でも「できます」と言い切らず、難しい部分は難しいと分けてくれたのは、むしろ好印象でした。
AIを使った開発では、
できることより、どこから先に別の道具や素材が必要になるかを知ること
もかなり大事だと思います。
💛 最後に効いたのは、グラフィックより「振り向き」だった
実は最初にClaudeがプロトタイプとして出してきたキャラクターたちは、味気ない四角いポリゴンだらけのキャラクターたちでした。
そこで、こんな注文をしました。
「Nintendogsの愛着 × マリオカート的な楽しさを感じる方向にしてみて」
ここで欲しかったのは、既存ゲームのキャラクターやデザインをそのまま使うことではありません。
「犬に愛着が湧く感じ」と、
「走っているだけで楽しい明るさや勢い」。
その2つです。
すると、ゲーム全体がかなりポップな方向へ変わりました。
青空と雲
パステルカラーの家並み
赤白の縁石
ダッシュ中の集中線
足元に舞う土ぼこり
1着でゴールすると紙吹雪
ただ、僕が一番いいと思ったのは、見た目ではありません。
散歩中、柴犬がときどきこちらを振り向いて笑うようになったんです。
指示がうまくいくと、振り向いてハートが飛ぶ。
準備画面では、柴犬の顔をクリックすると目を細めて喜ぶ。
なでると「なかよし度」が上がります。
ここまでは、かわいい演出です。
でも、その先がありました。
なかよし度が上がると、ハプニングの予兆が少しずつ長くなる。
つまり、
かわいがる
↓
なかよし度が上がる
↓
犬の変化に早く気づけるようになる
↓
散歩レースで有利になる
というつながりです。
ただハートが増えるだけではありません。
「かわいがること」が、ちゃんとゲームの強さにつながっている。
これは大きい。
躾は技術。
なかよし度は絆。
最初に出てきた、
「速さを決めるのは、脚力じゃなくて絆」
というコンセプトが、ここでようやくゲームの仕組みとしてつながりました。
見た目を派手にするだけなら、AIでも比較的わかりやすい仕事です。
でも、
「愛着がほしい」
という曖昧な注文を、
「犬が振り向く」
「なでる」
「なかよし度が上がる」
「予兆が長くなる」
というルールにまで落とし込む。
今回いちばん面白かったのは、ここでした。
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✍️ まとめ|最初から「ゲーム開発」をしなくてもいい
今回やったことを振り返ると、最初から難しい開発作業をしたわけではありません。
やったことは、ほぼこの4つです。
ざっくりした企画をAIに投げる
自分の「こっちの方が面白そう」を足す
別のAIにも読ませて、弱いところを指摘してもらう
「実際に触ってみたい」と頼む
これだけで、少なくとも「このゲームは面白くなりそうか」を触って確かめられるところまで来ました。
もちろん、今回のブラウザ版は試作品です。
Steamで販売できる品質にするなら、
3Dモデル、アニメーション、UI、音、バランス調整、テスト、最適化。
まだやることはたくさんあります。

それでも、
企画書を書いて何週間も考えてから作り始めるのではなく、最初の日に触って確かめられる。
これはかなり大きな変化だと思います。
ゲームを作ったことがない人ほど、最初からUnityやGodotの勉強を始めなくてもいいのかもしれません。
まず、
「こんなゲームを作りたい」
とAIに話してみる。
そこで出てきたものを見て、
「ここは違う」
「もっとこうしたい」
「実際に遊んでみたい」
と返していく。
今のAIとのゲーム作りは、そのくらいの始め方でも十分でした。
もし、頭の中にずっと眠っているゲーム案があるなら、
最初の一言は難しく考えなくていいと思います。
「〇〇のゲーム、作ってみたい」
僕の場合は、その一言から始まって、
最後には柴犬がこちらを振り向いていました。
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