
【歩いて旅して:ネパール】「長い…」と思った、その先に(ナル・プーバレートレイル)
マナスルサーキットを終えた私たちが次に向かったのが、「ナル・プーバレートレイル」です。名前も場所もよく知らないまま飛び込んだトレイルでしたが、そこにはマナスルとは全く違う景色が待っていました。ここからは、そんな本当の秘境を歩いた日々を写真と共に振り返ります。
※前回のマナスルサーキット編の記事はこちらです。
常に、今日の目的地にはいつ着くんだろうと思いながら歩いていた。
歩くことに飽きそうになったトレイルは初めてで、でも、終わりと同時に、「次いつ戻ってこよう」と思ったトレイルも初めてだった。

マナスルサーキットを歩き終えたあと、次にナル・プーバレートレイルを歩くことになった。
正直、この名前も、その場所も、全く知らなかった。
マナスルサーキットが終わり、私たちはナル・プーバレートレイルのトレイルヘッドを目指した。
このトレイルに入った途端、道はワイルドになり、ハイカーが消えた。
雲に覆われる時間帯も早くなった。
いよいよプー村を目指す。
氷河、雪山の景色は消え、迫りくる岩の壁。
茶色の世界に変わった。
こんなに美しい谷の景色に、私たち以外誰もいない。

美しいこの谷は、風が強く、長い。
角を曲がる度に、「そろそろ村が見えるのでは」という期待が裏切られる。
ようやく見えた村は、砂の城に見えた。

この村は長い道のりを歩いてしかたどり着けない。
日常がどんなものなのかは分からない。
でも、この道の長さを思うと、簡単な暮らしではないことだけは想像できた。
好奇心よりも疲れが勝り、この日はすぐに寝てしまった。
翌日、今度はナル村へ向かう。
この日も長かった。きつい登りが続き、立ち止まることが多くなる。
青空が少しずつ小さくなって行き、時間が過ぎていくのだけは実感できる。
いつまで経っても終わらない登り坂に、疲労と不満がたまってきたころ、突然、段々畑が現れた。
真っ黒な畑は輝いていて、思わず足が止まった。
収穫の時期も絶対きれいだろうなと、想像できる。

思わず、着いた!と声が出てしまった。
この日のマサラティーは、このトレイルで一番おいしかった。
その日、村に泊まったハイカーは私たちだけだったそうだ。
朝4時に起床。カンラパスを越える日だ。
ガイドと私たち、三人の歩く音しか聞こえない静かな朝。
日がゆっくり登り、山を赤く染めていく。遠くに雲海が見える。
この美しい世界にいるのは三人だけだった。


この道ならどこまでも歩けそうと思ったのも束の間、やっぱりパス越えは甘くない。
長い登りが始まる。
すっかり日は昇り、遠くの山々まで見渡せる。
だが、その絶景に浸れる余裕はない。
道が次第に雪に覆われ、慎重に足場を選びながら進む。
気づくと、目の前はパスの頂上だった。
すでに雲が出てきて、下るころには雪が降ってきた。
余韻にひたる暇もないまま、いそいでスパイクをつけ降り始めた。

ようやく長かったトレイルが終わったのだ。
このトレイルで見た景色や、突如現れる村の風景は、私の想像を軽く超えてきた。
歩いてしかたどり着けない村の暮らしは、きっと簡単なものではない。
それでも、この道が、これ以上変わってしまわないことを願っている。
この記事を読んで「自分もナルプーバレートレイルを歩いてみたい」と興味を持ってくださった方がいれば、以下の記事にベストシーズン、全行程スケジュールなどの【完全ガイド】を詳しくまとめています。ぜひ参考にしてください。
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