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【小説】矅針盀の瀺すその未来(さき)ぞ



    を読む


    「ええ」
     䞉人の口から同時に驚愕の声が䞊がる。
     近くに䜏んでるなにそれ。どういうこず
    「埌芋人を぀けるずきに、曞類を送ったでしょう」
     芪族意芋曞のこずだ。
     配偶者からは返っおきたが、逊子ふたりからは届かなかったず叞法曞士から聞いおいる。
     士業が職暩で調べれば、䜏民祚蚘茉の䜏所はわかる。䜏んでいるかどうかは別ずしお。
     おっきり、父の䜏たいから離れたずころに匕っ越したのかず思っおいた。だっお父は、連絡は取れない、どこに䜏んでいるかもわからないず蚀っおいたから。それなのに  
    「気になったので、叞法曞士さんに聞いおみたんですよ、䜏所。この子がスマホで堎所を芋せおくれお。そうしたら駅から兄の家に行くたでの道の途䞭でね。もう、びっくりしたしたよ」
     それは私も驚きだ。ずいうより気持ち悪い。もしかしたら、駅にむかう父の姿を芋おいたのではないのか。
    「マンションのベランダから、駅たで行く道が芋えるんだよ」
     䞋から芋えるっおこずは䞊からも芋えるでしょう、ず由玀子が付け加える。
     ストヌカヌじみた執着のような、埗䜓のしれなさを感じお、喪服ごしに腕をさする。゚アコンが効きすぎおいるわけじゃない。
     父のそばに䜏んでいるず刀明したのは、叞法曞士に䟝頌しおから。ずはいえ、叔母が自分が匕き受けるしかないず考えるのは、圓然のこずだ。
     䞉十幎前の話も䞍審者の話も知らなかったずはいえ、八十歳になろうずいうひずに、ずんでもない負担をかけおしたった。生掻が䞀倉しお、ストレスで䜓調を厩したずいう。圓然だ。きっず私でもそうなる。
     ほんずうに申し蚳なくお、顔が䞊げられない。
    「こんなこずになったけれど、おかげでいろんなこずを知ったわ。私の遺産が兄の逊子に行くなんおこずも、知らなかったもの」
     ああ、そうか。
     蚀われお思い出す。
     私たち倫婊には子䟛がいない。なので、私になにかあれば私の個人資産は、雅人さんず私の母に盞続暩が発生する。母が亡くなれば兄匟姉効。そこには私たちが知らない間に父が逊子瞁組したあのふたりも含たれる。それを防ぐ方法は遺蚀曞だけだ。
     自分たちのこずはそうず理解しおいたけれど、叔母も同じ。
     䞀床結婚したが、子䟛はいない。䞡芪も亡くなっおいる。
     ぀たり叔母の遺産は、兄たちの子䟛に盞続される。
    「もう手続きしたしたから、そんなこずにはなりたせんけど」
    「そうなんですね」 
     倏垌ず由玀子に残すか、どこかに寄付するか。いずれにしろ遺蚀曞を䜜ったずいうこずだろう。
    「それから、うちのお墓は私のあずを継ぐひずがいないのでね。先に亡くなった長兄も蚀っおいたしたし、兄はうちのお墓には入れない぀もりです。祥子ちゃんたちは、どうしたいずか、なにか垌望があるかしら」
     思いがけない蚀葉だった。
     叔母が介護しおいれば、いずれ父は実家のお墓に入れる。
     い぀だったか、ふずした時にそう思ったこずがあった。
     私たちが匕き取ったらそうはいかない。叔母ずお寺に頌たなければ䞡芪ず同じ墓に埋葬できない。檀家ではない私たちが頌んで叶う話なのだろうかず。
     でも、叔母が蚀うのはもっずもな話だ。
     父を実家のお墓に埋葬したら、いずれ誰かが墓じたいするこずになったずき、たた私たちに連絡がくるだろう。
    「垌望は、特にないです。自分たちのお墓もいらないず思っおいるので」
     子䟛がいない俺たちは、墓を建おおも仕方がない。
     雅人さんはそう蚀っお、矩父ず矩匟を実家近くの寺にある合同墓に埋葬した。
     頌む盞手がいない私たちは、この先、自分たちがどうするのか考えなければならない。
    「叔母さんにお任せしたす」 
     玘䞀ず絢子が頭を䞋げる。
     面倒な介護を任せお倧倉な思いをさせお、遺骚だけ匕きずるずいうのも、身勝手で筋が通らない話だず思った。
     たぶん配偶者も、なにも考えおいないだろう。
    「──そう。わかりたした。叞法曞士さんに盞談したす」
     叔母はため息亀じりに蚀っお、ちらりず壁の時蚈を芋た。
     そろそろ二時間が経぀。
    「あなたたちに、これを枡しおおくわね」
     喪装甚の黒いトヌトバッグから玙袋を取り出し、テヌブルの䞊に眮く。
     ゎトリず重い音がした。
     しわくちゃの手が袋の䞭から䞭身を取り出す。
     スマヌトフォンず手垳。そしお歊骚なデザむンの腕時蚈だった。
    「兄のものです。保護されたずきに身に着けおいたした。私が持っおいおも仕方ないし、どう凊分すればいいのかもわからないから、持っおきたの」
     私たちの方ぞ抌し出されたそれをたじたじず芋぀める。
    「時蚈は、兄にしおは珍しく、若いひずが぀けそうな安物ですけれど」 
     おそるおそる指をのばしお觊れ、手に取る。
     䜿い蟌たれお现かい傷が぀き、汚れたたたのPRO TREKプロトレック。
     父らしい、登山に特化したアりトドア甚の時蚈だった。
    「──ありがずう  ございたす」
     父のものは、なにも手元に残らなかった。
     あるのは、結婚したず報告しおから届いた䜕通かの自筆の手玙ず、チャットアプリでの䌚話のログだけだず思っおいた。
     スマホは攟電しきっおいお、電源が入らない。
     プラむバシヌポリシヌが厳しいず有名なメヌカヌの、䞀代前の機皮。぀けられた透明なケヌスは黄ばんでいお、画面のガラスフィルムもうっすらず汚れおいるけれど、スマホ自䜓は叀くない。
     父ず䌚った時に持っおいたのは、アンドロむドスマホだった。い぀の間に買い替えたのだろう。
     節ばった指で、スムヌズにスマホを操䜜しおいた姿を思い出す。
     その時。
     ドアをノックする音が、静かな宀内に倧きく響いた。
     ゆっくりず開かれた扉のむこうで、係員が頭を䞋げる。
    「準備が敎いたした。どうぞ」



    続く


    最終話ぞ

    ぞ

     
     
    信州圚䜏の物曞き。゚ッセむ、掌線小説など思うたたに綎りたす。創䜜倧賞2025 䞭間遞考通過(フヌド郚門)。 2026幎は小説『矅針盀の瀺すその未来さきぞ』をオヌルカテゎリ郚門に応募。桜や花、航空機、颚景などを䞭心に撮圱も。蚘事䞭の写真は基本、本人撮圱。たたに倫(掲茉了承枈)。

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