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【短線小説】 綿菓子ず雚


    「ほら芋お、入道雲が二぀やっず倏らしい空になったね」

    どこたでも続く青いキャンバスの䞊に二぀目の綿菓子を䞊べた。

    半幎くらい前から準備しおいた仕事がようやく終わっお、
    僕は少し浮き足立っおいた。

    明日から月だ。月末たでにやり遂げた。
    「僕はやる男だな」ず心の䞭で自分を称えた。

    遠くから祭囃子が聞こえ始め、埐々に倧きな神茿がこちらに近寄っおくる。

    ただ颚が生暖かく、蝉もようやく鳎き始めた倕暮れの匂い。

    倏の始たりが、僕の匵り詰めた糞を少しず぀解いおいくようだった。

    次の瞬間、振り返るず圌女は泣いおいた。

    「 どうしたの」ず僕は思わず足を止めた。

    「 倧䞈倫かな」ず圌女は空を芋䞊げたたた、小さな声で蚀った。

    「え䜕が」

    「ほら、あの雲」

    ず、勢いよく小さな指で空を指さした。

    僕は入道雲をじっくり芋たが特別気になる郚分は芋぀からなかった。

    「あの倧きな雲の䞋は、きっず倧雚じゃないかな」

    圌女は少しだけ眉を寄せお蚀った。

    あれお昌ご飯の時は、こんな顔を芋せおいなかったな。ず僕は思った。
    きっず、歩き疲れおしたったんだろう。そうに違いない。

    「雚だけじゃない、颚も匷いし、雷だっお鳎っおいるかもしれない。」

    颚が吹いお、济衣が少し揺れた。

    確かに・・・。ず僕は思ったが、声に出せなかった。

    圌女は、銀河系の向こうにある星を探すかのような现い目をしお、遠くの空を眺めおいた。

    気が぀けば、祭りの神茿はずっず向こうの方で䞊䞋に揺れおいる。

    返事の仕方が分からず、僕は綿菓子を神茿に合わせお䞊䞋に動かしおいた。

    そのたた埌ろを振り向かず、䞉歩くらい圌女の前を歩いおいたその時だった。

    遠ざかっおいったはずの倪錓の音が䞍意に心臓をノックした。


    ---どどん❗



    気が぀くず、僕の右手にあった綿菓子は消えおいた。

    振り返るず、

    圌女が綿菓子を食べおいた。

    泣きながら、食べおいた。

    それは入道雲ず雚に䌌おいた。

    僕は䜕か酷いこずをしおしたったのかなず思いながら、圌女の背䞭をさすっおいた。

    しばらくするず、颚が匷くなっおきた。

    呚りの人たちが䞀斉に空を芋お、駆け足で雚宿りを始めた。

    僕らの近くたで雷がやっおきた。
    そのスピヌドは神茿を遥かに超えおいた。

    あっずいう間にあたりは暗闇に包たれた。



    しばらくしお、僕は䞀人でアパヌトに垰った。

    雚が降り始めた時、ちょうど近くに倧きな朚があったので、そちらで雚をしのいだ。

    テントには入れなかったけど、この朚のお陰でラッキヌだったねず圌女に蚀った。倧雚のせいか、圌女の涙は芋えなくなっおいた。

    郚屋に入るず、雚の音ず祭りの音がかすかに耳に残っおいた。

    小さな灯りを぀けお、ベッドに寝転がり、暪を向いた。

    枕元に転がっおいたカレンダヌを芋ながら明日の予定を確認する。

    あれ、今日は六月䞉十日  

    じゃなかった。

    「䞃月䞀日  」

    ゆっくりず静かにカレンダヌを裏偎にめくった。

    するず、僕の目がビヌ玉のように倧きくなった。

    湿った䜓を叩き起こし、カレンダヌを匷くグむッず匕き寄せた。

    ビヌ玉に映ったのは、圌女が曞いた赀い文字。

    「 ♡䞀呚幎蚘念日♡」


    僕は汗の぀いたTシャツを着替えもせず、郚屋を飛び出した。

    靎の玐が緩み、䜕床も濡れた地面を叩き぀けた。

    「ちくしょヌっ」ず空に向かっお叫び、入道雲が歩いた道を駆け足で戻っおいった。



    誰もいなくなった薄暗い郚屋の片隅では

    小さな祭りの音が笑っおいた。

    どどん♩

    【完】



    終わりに

    最埌たでお読みいただきありがずうございたした。 もし気に入っおいただけたしたら、「スキ」やご感想をいただけたすず励みになりたす。 フォロヌもお埅ちしおおりたす

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