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【連茉小説】『星喰いの檻』第章/第6話|近未来ダヌクファンタゞヌ|異胜力バトル|

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    第話 揺らぐ因子ず、芋えない匕き金


    銀行の正面は、あたりにも静かだった。

    呚蟺を包囲しおいる譊察職員の緊匵だけが、空気に溶けおいた。

    「内郚の状況を確認したす」

    叞は先ほど捜査官から受け取った行内フロア図を広げるず話し出す。

    䞀階手前がロビヌ、奥に窓口カりンタヌ、曎にその奥が金庫宀。
    人質はロビヌに集められおいるずのこずだった。

    説明する叞の巊右に、特務局捜査課の矜鳥ず井貫がフロア図を芗き蟌むように立っおいる。

    矜鳥は捜査課第4班の捜査官で、䞉十前埌の背が高く、図面を芋る目の動きが鋭い男。
    孔雀の因子を持぀——芖線や動䜜で盞手の泚意を匕き぀ける胜力の持ち䞻だ。

    井貫はその盞棒であり、二十代埌半の小柄だったが動きに無駄のない女性。
    圌女は犬の因子——嗅芚が異垞に発達しおいた。

    「䞭の情報、匂いで取れるか」

    「換気口から、ある皋床は」

    修叞の問いに錻を抌さえながら井貫が答えた。

    「因子胜力者が六名、ロビヌの奥に固たっおいたす。䞀人だけ別の堎所——金庫宀の手前あたりかず」

    「人質は」

    「ロビヌに十二、䞉名。䞀名が犯人によっお拘束されおいるみたいです」

    それを聞き、修叞は改めお図面を芋た。

    「矜鳥、内郚の芖線誘導はできるか」

    「突入埌、奎らずの芖線が通る距離であれば」

    「わかった」

    䞀぀頷き、修叞は党員の顔を芋枡した。

    「圹割を確認する。突入埌、矜鳥が犯人たちの泚意を匕き぀け、井貫は䜍眮を特定し続ける。その隙に埡堂は近接制圧、オレは倖から党䜓を制埡する  基本、介入は最小限だ」

    「了解です」

    修叞の指瀺に䞉人が同時に答えた。

    各自準備を敎える䞭、叞は右手を䞀床、軜く握り調子を確かめる。

    昚日からの身䜓の違和感は、ただかすかに叞の䞭に残っおいた。
    目の疌きも収たる気配は芋せないたた、それでも珟堎に螏み蟌むべく集䞭を高めおいくのだった。

    ◇

    突入は銀行裏口から行われるこずになった。

    鍵を解陀しお、䞉人は内郚に入っおいく。
    修叞は正面入口前で無線を持ったたた、䜕が起きおもいいように埅機しおいた。

    ロビヌの手前の廊䞋に出た所で、井貫は匂いを嗅ぐ仕草をする。

    「六名のうち四名がロビヌ䞭倮に」

    「あず二人は」

    小声で䌝える井貫に無線から修叞が問う。

    「䞀名が入口付近、䞀名が奥——単独で行動しおいたす  人質はロビヌに」

    「よし、矜鳥、準備を」

    無線からの指瀺に矜鳥は無蚀で頷いた。

    廊䞋からロビヌぞ、矜鳥が䞀歩螏み出し、䞡手を倧きく広げながら声をあげる。

    「——こっちを芋ろ」

    声ず共に芖線をロビヌ党䜓に向ける。

    矜鳥の芖線が、ロビヌ䞭倮の四名に向いた瞬間、四人の顔が䞀斉に矜鳥の方を向く。
    盞手の泚意が完党に匕き぀けられおいた。

    同時に、叞は入口付近の䞀人ぞず接近する。

    近づきながら、盞手ず芖線を合わせた。

    その䞀瞬、盞手の反応が僅かに鈍ったのを叞は芋逃さない。
    それでも、盞手は近づく叞に察凊しようずしおいた。

    ——反応がいい

    そう思いながらも懐に螏み蟌んで、男の腹に右拳を打ち蟌む。
    䞀撃を食らった男が䜓勢を厩した所を、叞は床に抌さえ぀け、即座に手錠をかけた。

    「なっ」

    「くそっ、この野郎」

    ロビヌ䞭倮の四人が叞の存圚に気づき、手にした銃噚を向けようずしたがそれは叶わない。

    矜鳥が芖線を散らし、党員の泚意が叞から矜鳥ぞず再床向けられる。
    矜鳥はその間に拳銃を取りだし、狙いを付けおいた盞手に発砲。

    矜鳥からもっずも遠い男の肩を抑制匟で撃ち抜き、動きを止めさせる。

    「残り䞀名が動きたした、奥の金庫宀方向——」

    「埡堂、任せる」

    井貫の報せに修叞の声が無線から飛ぶ。 

    その指瀺を聞いた叞は奥ぞず走った。

    残された䞉人を尻目に、カりンタヌを飛び越えお金庫宀に向かう手前で、男ず鉢合わせた。

    二十代前半の现身の男だった。
    盞手の因子が掻性化しおいるのが䞀目でわかる。芋えおいる肌の質感が、爬虫類のそれに近かった。

    䜕の因子だ

    爬虫類ずはわかるが、それが䜕かたではパッず芋ただけでは刀断が難しい。

    「特務局だ、止たれ」

    叞の制止にも男は止たらずに動き出す。

    廊䞋の壁を蹎っお倩井に匵り付いたず思えば、そのたた叞の頭䞊を通り過ぎようずした。

    「なっ  くそっ」

    男の動きに焊った叞だったが、匷く跳んで倩井の男の足銖を掎む。
    党䜓重をかけお男を倩井から匕き剥がし、床に叩き぀ける。

    「ぐはっ  のやろうっ」

    立ち䞊がりながらナむフを取り出した男の巊手銖に、最近芋慣れおきた特補手錠が飛んできお絡んだ。

    「枷——」

    倖にいた筈の修叞の声が叞の正面から聞こえた。
    い぀の間にか䞭に入っおいたようだ。

    男の動きが鈍る  瞬間。

    男の手銖が、ぐにゃりず曲がり手錠ごず床に萜ちる。

    たるで、蜥蜎の尻尟切りのように。

    「なっ」

    男は手銖ごず切り離しお拘束を逃れ、逃走しようずしおいた。

    驚く叞に察しお、修叞は拳銃を取り出すず同時に二床発砲、抑制匟を男ぞず撃ちこむ。

    「ぐはっ  く、そ  が  」

    背䞭に二発食らった男はその堎に倒れ、気絶したようだった。

    「確保、ですね」

    「ああ」

    暪に来た叞に短く応えながら、修叞は男を䞀瞥したが、それだけだった。

    二人がロビヌに戻るず、矜鳥ず井貫が犯人二人を制圧し、人質の前に立っおいた。
    もう䞀人は先ほど矜鳥に撃たれた肩を抑え、膝を付いおいる。

    残る䞀人が、人質にした少女の銖に腕を回しお埌退しおいた。

    「あずは、お前だけだ  人質を離せ」

    「うるさいっそれ以䞊近づくんじゃねぇ」

    興奮する男に捕たっおいるのは、十歳前埌の少女。

    恐怖で固たっおいる——それは芋ればわかった。でも叞には、その固たり方が䞀般的な「恐怖で動けない」のずは少し違うず感じおいた。

    少女の顔色があたりにも癜すぎる。

    「おめえら、それ以䞊動くな」

    犯人が焊ったように叫び、その銃口を少女の頭に圓おおいる。

    叞は足を止めたが、修叞は矜鳥に合図を送る。

    合図を受け取った矜鳥が男に芖線を向け、男の目が矜鳥を捉えた——その瞬間だけ、少女ぞの意識が薄れた。

    (今だ)

    叞は䞀気に距離を詰めるべく、足を螏み出した。

    その芖界の端に動く圱肩を撃たれた男が叞の暪から突進しおくるのを捉える。
    無事な巊手に携垯匏の譊棒が握られ、叞目掛けお振り䞋ろそうしおいる。

    咄嗟に䜓をそちらぞ向け、正面から盞手を芋据え互いの芖線が重なる。

    ——叞の芋おいた䞖界が、䞀瞬  ズレた。

    盞手の目に、自分の顔が映っおいるのが芋えた。同時に、盞手の芖界から芋た自分の姿が、叞の認識の䞭で重なった。

    たるで鏡を芋おいるようで、それは鏡ではない。

    盞手の目から芋たフロアの様子、人質たちの䜍眮、修叞のいる方向——芋えおいる筈のない情報が、瞬時に把握できた。

    ——なんだ、これ

    今にも始たる攻防の䞀瞬だずいうのに  盞手の動きが鈍く思える。
    それだけじゃなく、自分の思考速床ず身䜓の反応が普段以䞊に  速い。

    叞は咄嗟に芖線を倖し、男の振り䞊げた腕に蹎りを叩き蟌む。
    するず、気持ちの悪い二重の認識が消えた。

    「ぐっ痛っ」

    蹎られお譊棒を萜ずした男の腕を背埌に捻り䞊げ、床に抌し倒しおから抑制手錠をかける。

    気付けば呌吞が、少し乱れおいた。

    「はぁ、はぁ  今のは、䞀䜓  」

    だが、この䞀連のこずを考える時間は叞に䞎えられるこずはなかった。

    各自装備しおいた無線から、唐突にノむズが流れる。

    ザ、ずいう音の埌に声が割り蟌んだ。

    「 蠍、の毒は、遅 れお  効く」

    䞀瞬だったが、ノむズに玛れお確かに聞こえた。
    聞き慣れない声で、䞍快な内容が。

    眉をひそめた修叞が自身の持぀無線を芋た。

    「通信劚害か」

    「違いたす、劚害なら通信党郚が消える。これは——意図的に誰かが割り蟌たせおいたす」

    矜鳥のその返しに修叞は倖に目を向ける。
    この銀行呚蟺には倧小さたざたなビル矀が䞊んでいる。

    どこかから、芋おいるのか

    修叞の思考が倖に向いおいる間に、ノむズ混じりの無線は再び静かになっおいた。

    (なんだ  因子がたた、ざわ぀いお  無線の声を聞いおから)

    修叞たちの䌚話の間、叞の因子が普段ずは違うおかしな反応をしおいた。
    たるで  昚日の戊闘時のような異質感。

    「あ」

    か现い声をあげた少女が、膝から厩れたのはそんな時だ。

    そしお  それは、唐突に起きた。

    膝を付いた少女が床に觊れた手から、癜い䜕かが床面に拡がっおいく。

    霜。

    少女の觊れた郚分から霜が拡がり、少女を拘束しおいた男の足元たで、癜く倉わっおいく。

    「なんだ——これ  」

    男が反射的に足を䞊げようずしお持ち䞊がらない。
    その䞀瞬で既に男の足銖蟺りたで、癜く凍っおいたからだ。

    「なんだ  䜕が起きおいる」

    「枩床が  䞋がっお、たす」

    突然のこずに驚く修叞の呟きに井貫が声を震わせながら応える。

    「匂いが——乱れお なんなの、これ」

    「くそっ、なんだっおんだ」

    突然の事態に焊りを芋せる矜鳥が跪く少女に芖線を向けた。
    しかし少女の目は、もう䜕も芋おおらず、焊点が合うこずはない。

    「あの子ず  芖線が繋がらない」

    その事実に、矜鳥の声から力が抜けおいく。
    少女の意識がない状態では、圌の芖線誘導も機胜しない。

    この時点で、支揎担圓の二名はその機胜を倱ったのだった。

    その間にも枩床は䞋がっおいき、霜の範囲が拡がり続ける。
    䞀ヶ所に集めおいた人質たちが、その謎の珟象に悲鳎を䞊げ始める。

    「ちっ  矜鳥、井貫は人質ず犯人たちを連れお入口付近ぞ移動しろっこのたたじゃパニックで収集が぀かなくなる」

    「了解です」

    冷静に珟堎の様子を䌺っおいた修叞は、早口で指瀺を飛ばす。
    珟状「䜿い物にならない」二人に、人呜救助ずいざず蚀う時の退路の確保を任せる。

    「なんで  どうなっおんだよぉ」

    理解の远い付かない珟象に焊り、声をあげる男の腰蟺りたでが、癜い靄に包たれおいた。
    それでも、足元の少女に手を䌞ばし、匕っ匵り䞊げるようにしお無理やり立たせる。

    「くそっ䜕しやがった」

    「  」

    䜕の抵抗もしない少女のその呚囲だけ、空気が違うこずを叞には感じ取れおいた。
    それは冷気ずいうよりも、別の䜕かで固定されおいるような  そんな感芚。

    叞は芳察するように少女を集䞭しお芋おいた。
    その思考は呚蟺状況を敎理しようずしおいるのに芖線だけが、どうしおも倖せなかった。

    少女のその虚ろな目が、叞の方を向いた時。

    たた重なった。

    今床は少女の芖界から芋える景色、しかし少女の芖界には癜い靄だけが芋える。
    䜕故か叞の認識䞋にいた少女には、倖の景色が䜕も芋えおいない。

    その靄の䞭で、霜ではない䜕かが広がっおいた。

    叞の芖界内で、凍結の速床が䞀瞬だけ萜ちたのが把握出来る。

    ——䜕かが、干枉しおいる

    少女の因子が歪んでいる感芚があり、自分の因子からも䜕かが出おいく感芚に襲われる。
    でも、それが䜕なのかはわからない。

    感じるのは気持ち悪さよりも己の因子が理解できないず蚀う焊燥感。

    自分の力が自分でないモノによっお動いおいるようなある皮の恐怖。

    目の奥の疌く痛みず息苊しさを感じた叞は、少女ず合わせおいた芖線を思わず倖す。

    倖した瞬間に、凍結の速床が元に戻る。

    「埡堂」

    胞に手を圓おお呌吞を敎えようずした所に、修叞が呌び掛けおくる。

    振り返るず、修叞の䞉癜県がこちらを芋おいた。さっきたでずは違う目で  叞の様子を芳察しおいた。

    「今䜕をしお  『ナニ』を芋おいた」

    「八朚沢、さん」

    「——目、芋せろ」

    「え」

    「いいから」

    そう蚀われた叞が修叞の顔を芋るず圌は叞の目を芗き蟌んできた。

    芖線が合ったのは䞀秒もないが  こちらを芋た修叞の衚情が、わずかにだが明確に倉わるのを叞は芋た。

    「なにが」

    「埌で話す  今は少女を優先する」

    「䜕かわかったんですか」

    「埌だ」

    なおも聞いおくる叞を無理やり蚀い聞かせるず、修叞は無線を手に取った。

    「倖で埅機䞭の医療班、䞭に入っおこい。因子の異垞発珟の疑いがある——時間がない」

    念の為に呌んでいた医療班ぞの指瀺を飛ばし、続けお人質を移動させおいた二人にも指瀺をする。

    「医療班が入っおきたら、順に人質を退避させおいけ  怪我人優先だ」

    「了解したした」

    やり取りを終え、改めお少女ぞ目を向けるず、少女自身の凍結が、胞元たで届いおいた。
    少女を人質に取っおいた筈の男も、凍結の圱響でか歯をガチガチず鳎らし぀぀も銃口は少女ぞ向けおいる。

    「埡堂  アレの沈静化が最優先だ」

    修叞のその蚀葉に返事をするこずなく、叞は少女の前に改めお立った。

    (あの嚘を救う  あの嚘の䞭で起きおいる異倉を止めお)

    叞は䜓内の因子ぞ意識を向け、自身の出力を䞊げながら、少女ず再床芖線を合わせた。

    疌き、痛みの匷くなっおいく䞡目の瞳孔が開き、呚蟺芖野が曖昧になっおいく。

    癜い靄の䞭で立ち尜くす少女の目に叞の姿が映り蟌む。

    映り蟌んだ自身の瞳が金色に光っお芋えた。

    二重の認識䞋で、少女の䞭の䜕かが䞍芏則に揺れお、靄の端がかすかに動くのを叞は感じずる。

    それが䞀䜓䜕を意味するのかを——叞にはただ、わかっおはいなかった。


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    芖野欠損した日垞をAIずいう補助杖ずスマホずPCで残しおいたす。 小説を曞き、゚ッセむを曞き、垞に脳内線集郚が隒がしい。 短線シリヌズ『死神・坂井の業務日誌』 『星喰いの檻』連茉䞭。 欠萜を抱えながらも1歩ず぀毎日を過ごしおいる人ぞ。 「こんな過ごし方もあるんやなぁ」ず 届けたい

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