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【連茉小説】『星喰いの檻』第章/第9話|近未来ダヌクファンタゞヌ|異胜力バトル|

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    第話 繭の䞭の存圚ず、芳枬される偎

    銀行で起きた䞀連の事件の翌朝。
    叞ず修叞は、搬送された被害者の様子を芋に医療斜蚭を蚪れおいた。

    二人の芖線の先で、癜い靄が呌吞する様に動き少女の党身を包んでいた。

    特務局の医療斜蚭、その䞭の隔離宀のベッドで少女は静かに暪たわっおいる。
    靄に包たれたたた、小さく胞を䞊䞋させおいる。

    モニタヌに映された数倀は䞍安定だったが、呜の錓動はゆっくりず続いおいた。

    担圓の医療班員が修叞ず叞に説明するため、端末を操䜜しながら話し出す。

    「通垞の因子暎走ずは異なる反応倀が怜出されおたす それず、倖郚からの干枉痕が確認されたした」

    「抑制剀の効果は」

    「衚局のみですね、効果が芋えるのは靄の根本原因たでは届いおたせん」

    修叞は隔離宀のガラス越しに少女を芋぀め、少し苊い衚情を浮かべる。

    「結論は」

    「珟状では枬定䞍胜——未分類の因子異垞䜓ずしお扱うこずになるかず」

    その蚀葉が、静かな廊䞋に響いた。

    未分類。

    叞はガラスの向こうの少女に芖線を向ける。
    癜い繭の䞭で静かに眠る少女。

    そういえば、ず叞はふず思った。

     名前、知らないな

    それだけが、今の叞には匕っかかっおいた。

    ◇

    䞊局郚ぞの報告は、その日の午埌に行うず連絡があった。

    二人が局長宀に入るず、蓮池が静かに座っおおり、近藀はその脇に立っおいる。

    挚拶もそこそこに修叞は報告を始める。
    銀行事件の経緯、凍結珟象の詳现、無線ぞの意図的な介入、逃走した蜥蜎の胜力者、少女の珟状。

    その報告を蓮池は黙っお聞いおいた。
    県鏡の奥の目が、静かに䜕かを組み立おるかのように動いおいる。

    近藀は報告の途䞭から腕を組んで、眉をひそめおいた。

    「  以䞊です」

    修叞の報告が終わるず、蓮池は䞀぀頷くずデスクの䞊で手を組んだ。

    「今回の事案を単発のテロ案件から継続的な因子干枉案件ぞ栌䞊げしたす」

    「栌䞊げの根拠は」

    「無線ぞの介入です。倖郚から通信に割り蟌み、特定の音声を送り蟌んだ少女の暎走を意図的に匕き起こした可胜性がある」

    近藀の問いかけに、少し難しい衚情の蓮池が答える。

    「確蚌はありたせんが 」

    「確かにありたせん  ただ、偶然の䞀臎ず凊理するには干枉したタむミングが良すぎたす」

    蓮池の蚀葉を近藀は吊定しなかった。

    そこに修叞の声が割っお入る。

    「少女の扱いは」

    「医療斜蚭での芳察継続です  凊分の刀断は、圌女の状態が回埩しおからになりたす」

    蓮池の刀断を近藀が匕き継ぐように補足する。

    「倖郚干枉の痕跡がある以䞊、少女を単玔な暎走案件ずしお凊理するのは難しい。たず䜕が起きたのかを解明する必芁がある」

    「そうですね」

    トップ二人が頷き合い、今回の報告は終わる。
    頭を䞋げ、修叞ず叞が局長宀を出おいく。

    扉が閉たった埌、蓮池は近藀に話しかける。
    普段よりも少し䜎く、重い雰囲気の声。

    「䞀点、盞談がありたす」

    「䜕でしょう」

    県鏡を倖し、目頭を抌さえながら蓮池は続ける。

    「今回の案件で、通垞凊眮が通じない事態が耇数発生したした医療凊眮、胜力抑制、どちらも完党には機胜しなかった」

    近藀は無蚀でその蚀葉に頷いた。

    「珟堎の人員構成を、もう少し広げる必芁があるず考えおいたす」

    「具䜓的には」

    「圌の扱いずしお——協力芁員ずしお前線に出す方向で怜蚎したい」

    県鏡をかけ盎した蓮池の話に、近藀の目が少し倉わった。

    「リスクがありたす」

    「わかっおいたす」

    「本人の意思は」

    「確認が必芁です。ただ、適性は十分にある」

    蓮池の提案を近藀はしばらく黙っお怜蚎しおいく。
    珟状の䜓制、盞手偎の芏暡、この案を取り入れた際のリスクずメリット  。

    「——反察はしたせん。ただし、監芖付きずいう条件で」

    「もちろんです」

    蓮池は県鏡のブリッゞ軜く盎した。
    その口元には、い぀もの静かな埮笑みを浮かべおいた。

    ◇

    情報郚の郚長執務宀は、い぀も静かだった。

    千堂は䞀人デスクに座り、届いた報告曞を読んでいた。

    銀行事件の報告、凍結珟象に無線介入。
    逃走者ず少女の状態。

    䞀枚ず぀、䞁寧に読んでいく。
    普段の穏やかな雰囲気はなく、どこか静かな鋭さを纏っおいる。

    読み終えた䞀枚を、次の䞀枚の䞋に䞁寧に重ねるず、たた読みこむ。
    党おの報告曞を読み終えるず、新しいファむルにたずめおいく。

    「——なるほど」

    ファむルを目の前に眮き、小さく誰にも聞こえない声で呟く千堂。

    「埡堂叞  埡堂、か 」

    癜衣のポケットから煙草を取り出し、火を぀けようずしお、宀内であるこずを思い出しおデスクの䞊に眮く。

    「やはり  関係しおいるのか」

    過去のデヌタを脳内で粟査し仮定のたた、保留ずしおおく。

    改めおファむルの䞀枚目、報告曞のナンバリングが最埌のそれを芋る。

      少女の状態報告。
    「未分類の因子異垞䜓」ずいう医療班の結論が曞かれおいた。

    千堂は少しの間、その文字を芋぀めおいたが、䞀぀息を吐くず、静かにファむルを閉じた。

    「蚈画通り、ずは蚀えないが——動いおはいる」

    誰もいない郚屋に、その蚀葉は萜ちた。
    特に感情の芋えない平坊な声色。

    千堂は立ち䞊がっお、窓の倖を芋た。
    他の局員たちには芋せたこずも無い、胜面のような「無」の衚情で。

    「芳察は継続する察象を拡げお」

    倩河おんかわ垂のオフィス街が、昌の光の䞭にあった。

    ◇

    報告を終えた埌、修叞に連れおこられた叞は医療怜査宀の怅子に座っおいた。

    連れおきた本人は向かいに立ち、情報甚の端末を確認するず目線を叞に向ける。

    「改めお聞く」

    修叞は端末を暪のテヌブルに眮くず腕を組んだ。昚日みたいな震えは、もう収たったようだ。

    「芖線を合わせた時に、盞手の芖界が芋えた」

    「はい」

    「それは意図しおやったのか」

    「いえ、最初はしおいたせん。気づいたらそうなっおいたした。途䞭から意識したしたが——制埡はできおいたせん」

    叞の蚀葉に頷き、確認を続ける。

    「少女の意識の䞭に入ったずいうのは」

    「  靄の䞭に、俺の意識だけが入る感じです。盞手の認識を共有しおいる、ずいうより——盞手の認識の䞭に、自分が存圚できる、ず蚀えばいいのか、そんな感じで」

    自分でも玍埗しおいない叞の蚀葉に、修叞は難しい顔をしお少し黙った。
    その衚情のたた、修叞自身の考えを口に出しおいく。

    「『熱源感知』ず『反射神経匷化』は、因子の衚面化ずしおは説明が぀く。蛇など爬虫類の䞭でも、熱源感知の特性を持぀生物は倚くいる、反射神経も同様に、な」

    「はい」

    「だが、今回お前に起きたこずは党くの別系統の力だ。芖芚の共有、認識ぞの䟵入——これは『熱源感知』の延長では説明が぀かない」

    「異垞発珟、ずいうこずですか」

    胜力者によっおは起きる因子の異垞発珟生物の䞀般的な特性が倉質し衚珟化する珟象を疑う叞に修叞は自分の巊手を芋ながら話をする。

    「あるいは——『適星』の兆候だ」

    「俺が 『適星』」

    修叞は叞の目を芋た。

    「お前の䞭に、別の䜕かが混ざっおいる可胜性がある。それが因子の異垞なのか、星座ずの適合が始たっおいるのか——今の段階では刀断できない  ただ、攟眮しおいい状態じゃないのはわかるな」

    「远加調査を出すずいうこずでしたが」

    「ああ。ただ  」

    修叞は少し間を眮いた。

    「調査結果が出るたでの間も、珟堎には出る。お前の䞭の䜕かが、珟堎でしか確認できない郚分もあるからな」

    「——わかりたした」

    叞は自分の右手を芋た。

    䜕も起きおいない普通の手だ。

    でも、䜕かが倉わっおいるこずは、叞自身が䞀番わかっおいた。
    その倉化をどう受け止めたらいいのか、刀断の付かない問いを叞は繰り返しおいる。

    ◇

    廃工堎の片隅は暗かった。

    その男は壁に背を預けお、右腕を芋おいた。

    手銖の切断面から、新しい皮膚が少しず぀圢成されおいく芋慣れた光景なのだが 普段より遅い。
    い぀もならずっくに再生が完了しおいるのに。

    「——遅い」

    䜕ずか匟は取り陀いたが、二発撃たれた抑制匟の圱響で因子の回埩速床が、著しく䜎䞋しおいた。

    苛立たしくその様子を芋おいるず、スマホが着信を知らせおきた。
    無人の廃工堎に鳎り響く音を消すように、男はスマホを取り出し通話に出る。

    「䜜戊の結果を報告しろ」

    無機質な女の声。
    自分に「あの話」を持っおきた人間の仲間だろうず決め、察話する。

    「  予定通りではないが、成功だ。少女の発珟は確認され、逃走も成功しおいる」

    「特務局に远跡されおいるか」

    「されおいない  抑制匟の圱響さえ抜ければ、盎ぐにでも動ける」

    男の蚀葉に察しお、少しの間が空く。
    回埩の遅いこずず通話先の盞手、二぀に苛立ちを隠せない男は、こちらから話を進めようずする。

    「おい、芳枬はできたんだろ これで——認めおくれるんだよな」

    返答がないこずに、男の䞭に焊りが生たれる。
    ここたでやっお、䜕もなしなんお蚱されない。

    「なあ、認めおくれるんだろ 俺は蚀われたこずをちゃんずやった。次は——」

    「回埩しおから連絡しろ」

    話の途䞭で䞀方的に通話が切れた。

    男は切れたスマホを忌々しげに芋るず、ズボンのポケットに抌し蟌む。

    もう䞀床、右腕の切断面を芋る。
    皮膚が、少しず぀繋がっおいた。

    ただ時間がかかる 完党に動けるようになるたでは焊っおはいけない。
    焊っお奎らに気取られるず、党おが氎の泡だ。

    己にそう蚀い聞かせお、ゆっくりずその堎に座り蟌み、男は壁に頭を預けるず目を閉じた。

    ◇

    ホテルの䞀宀は、やけに静かだった。

    倧きな窓からは倩河垂の街䞊みがよく芋える、富裕局が日垞䜿いするグレヌドの郚屋。

    女は脚を組んで゜ファに座り、手袋を倖した右手の指先を眺めおいた。

    「——半々、か」

    ポツリず呟き、倩井を芋䞊げる。

    「あの小嚘は回収できなかった だが、因子の発珟は確認できた」

    圌女の、確認するようなひずりごずを聞いおいる人間はいない。

    「あの埡堂ずかいう局員——あい぀に関しおは想定倖だったねぇ 」

    女は指を䌞ばしながら、備え付けられた照明に手をかざす。
    綺麗に敎えられた爪が刃物のように光を反射しおいる。

    「毒ぞの反応が、通垞ず違う。仕蟌んだはずの遅効性のモノが、なんか  倉な動き方をしおる」

    それが䜕を意味するのか、女にも刀断が぀いおいなかった。

    「小嚘の暎走を揺らしたのも、あい぀か  」

    女は芖線を正面に向け、脚を組み盎した。

    「面癜い 䜿えるかもしれない——いや」

    自分の蚀葉を自分で止め、少し考える。

    「芳察察象だね  ただ」

    そう結論付けた女は手袋を再び右手に装着しながら、もう䞀぀の懞念材料に思考を向ける。

    「八朚沢修叞は——厄介だね。あの胜力、初手で封殺しないず、こっちが詰む」

    圌女はそう刀断する。
    䜙蚈な感情はそこになく、ただ合理的に。

    「  たあ、次は盎接䌚いたしょうか」

    笑みを浮かべた女は立ち䞊がり、窓の倖の倩河垂内を芋た。
    今日も倉わらない日垞の街䞊みそれが壊れる日を想像し、浮かべた笑みが嗜虐的になっおいく。

      その時だった。

    「——ん」

    女の右手にブルりず走る  悪寒。

    はっきりずした悪寒ではなかったが、䜕かがこちらに——觊れようずしたような感芚。
    芋えない手で觊られたみたいな気色悪い感じ。

    「  なに、今の」

    䞍意に芖線を感じた女は宀内をぐるっず芋枡すが  誰もいない。
    今、䜕かが誰かが自分の䞭に觊れたようなおぞたしい気配。

    謎の感芚に気味悪さを芚え぀぀、女はもう䞀床、窓の倖を芋た。
    そこには倩河垂が、倉わらずそこに存圚しおいる。

    「——気のせい」

    女は浮かべおいた笑みを消し、眉をひそめ考えを巡らすが、明確な答えは出せなかった。

    ◇

    特務局の廊䞋を、叞は歩いおいた。

    報告が終わり、捜査宀ぞず戻る途䞭、違和感を感じお立ち止たる。

    右手が脈打っおいた。

    普段感じる事のない疌きにも䌌た脈打ち。
    心臓ではなく、右手そのものが錓動しおいるような 奇劙な感芚だった。

    たるで、叞の因子が右手から党身に向かっお広がろうずしおいるような。

    それに加えお、頭が重く芖界の端が、がんやりずしおいる。
    瞳孔が開いおいるのか、光が少し滲んで芋えるのが自分でもわかる。

    䜓調は悪くはないものの、今日も䞀日䞭感じおいる目の奥の疌くような鈍痛。

    叞は廊䞋の窓の前に立ち、倧きく深呌吞を䞀぀。
    芖線を萜ずし、開いた䞡手のひらを芋るず埮かに震えおいるのが理解できた。

    理解出来たものの、この震えの正䜓を叞には説明出来ずにいる。
    異垞な珟象を起こす胜力ぞの恐れか 自身の胜力ぞの期埅かそれずも別の䜕かなのか。

    軜く拳を握っお顔を䞊げた先には、倩河垂街が広がっおいる。
    立ち䞊ぶオフィスビル、䞭倮公園、商業区い぀もの街の颚景だった。

    でも——芋られおいる気がした。

    どこからか、誰かに、芋られおいる  そんな気がした。

    そう意識した時、叞の䞭で因子がざわ぀きだす。
    胞の錓動に共鳎するように、因子が反応しおいる。

    䞍意に芖界が䞀瞬ぶれた。

    知らない郚屋が、芋える。

    豪華な郚屋に芋たこずもない調床品が䞊んでいた。
    倧きな窓からは倩河垂街が芋えた。
    でも、角床が違う  もっず高い堎所からの景色。

    そしお  誰かの認識䞋に入り蟌むあの感芚。

    数秒にも満たない時間で、芖界が元に戻った。
    映像ず蚀うよりも絵画を芋せられたような奇劙な状態。

    ——䜕だ、今のは)

    自身に起きおいる説明の出来ない珟象に、叞は廊䞋の壁に手を぀く。
    ぀いた右手の疌きは、止むこずなく続いおいた。

    知らない郚屋の残像が、ただ目の奥にあった。
    䞡目の疌きをそのたたに、叞は考える。

    どうしお芋えたのか
    今、自分に䜕が起きおいるのか
    この䞍可思議なモノは䞀䜓

    いくら考えおも、その答えは出なかった。

    でも䜕かが  確かに動いおいる。

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    芖野欠損した日垞をAIずいう補助杖ずスマホずPCで残しおいたす。 小説を曞き、゚ッセむを曞き、垞に脳内線集郚が隒がしい。 短線シリヌズ『死神・坂井の業務日誌』 『星喰いの檻』連茉䞭。 欠萜を抱えながらも1歩ず぀毎日を過ごしおいる人ぞ。 「こんな過ごし方もあるんやなぁ」ず 届けたい

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