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【連茉小説】『星喰いの檻』第章/第8話|近未来ダヌクファンタゞヌ|異胜力バトル|

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    第話 収束ず、残された異質


    癜い䟵食は、止たっおいた。
    誰かの唟を飲む音がやけに倧きく耳に届く。

    呚蟺状況を確認するように、芖線を動かす局員たち。

    ロビヌの凍結は拡倧を止めおおり、壁の霜は溶け出す銀行内の枩床が、少しず぀戻り始めおいた。

    少女の状態も、その銖元で癜い靄が動きを止めおいる。
    それは凍っおいるのではなく、癜い靄が党身に纏わり぀いおいるたるで圌女を守る繭のようにも、蛹のようにも芋える状態だった。

    その意識は衰匱しおいたが、小さな錓動は感じ取れた。
    それは冬眠しおいるような、かすかな生呜の熱。

    芳察を続けおいた叞の『熱源感知』が、圌女の珟状を叞に䌝えおきおいる。

    ——生きおいる

    その情報だけが、今の叞を支えおいた。

    唐突に修叞が、その堎に膝を぀く。
    掟手な倒れ方ではなかったが、響いた音には重さがあった。

    よく芋るず圌の䞡腕が異垞に震えおいお、その呌吞も荒い。
    『枷』の党力解攟——四぀の重ね掛けが匷制解陀され、その反動が修叞の党身に倧きなダメヌゞずしお返っお来おいたのだ。

    「八朚沢さんっ」

    「倧䞈倫ですかっ」

    その光景を芋おいた矜鳥ず井貫が駆け寄ろうずするのを、震える腕で止める修叞。

    「——問題ない」

    修叞の声は掠れおいたが、匷い意思の宿るその目は珟状把握のために、忙しなく動いおいた。

    「来るな、珟堎の凊理が終わっおいない」

    修叞の蚀葉に二人は頷き、䜕が起きおもいいように呚蟺の譊戒を続ける。

    そのやりずりを聞きながらも、叞は少女から芖線を倖さずに察凊を続けおいた。
    少女の纏う靄は今も揺れおおり、進行は停止したが解陀もされおいない。

    人質の避難を終えた医療班員たちが、銀行内に戻っお来るず修叞に声をかける。

    「もう䞀床、抑制剀詊みたす」

    修叞が頷いたこずを確認した担圓者が因子抑制剀の噎霧を始めた。

    倉化が目に芋えおわかる靄の端から明らかに薄くなっおいく。
    完党に消えはしないが、効果は出おいる。

    「効いおる でも、なんで」

    「——倖郚からの干枉が匱たったからだろう」

    井貫の呟いた声に、修叞は壁に背を預けながら答える。
    呌吞は荒いたただったが、その声はしっかりしおいた。

    「介入しおいたモノが途切れた  だから抑制剀が郚分的にだが機胜しおいる」

    「぀たり、今ならずいうこずですか」

    「ああ」

    䌚話を終え、医療班は即座に動く。
    少女の呚囲に抑制剀を䞁寧に噎霧し、濃く芆っおいる靄を少しず぀薄くしおいく。

    しかし完党には消しきれない。

    党身を包む癜い靄は、抑制剀に反発するように蠢き぀぀も次第に薄たるが残り続けた。

    「これ以䞊は——」

    「  わかった」

    苊々しく報告する担圓者に修叞が指瀺を出す。

    「その状態維持を最優先搬送の準備をしろ」

    䟵食する靄の進行は完党に止たった。
    少女は生存しおいるが意識は埮匱で、圌女の因子の異垞は残存。
    埮かに胞が䞊䞋する動きに合わせお、靄も震えるような動きはするが  。

    でも、止たった。

    叞は萜ち着いた様子の少女を芋おいた。

    未だに靄に包たれた少女の顔は、穏やかな衚情で怖がっおいるようには芋えない。
    癜い繭の䞭で、静かに眠っおいるようだった。

    ——届いた

    ——でも、止めきれなかった

    その二぀の感情が、叞の䞭で鬩ぎ合い、消えるこずなく存圚し続けおいた。

    ◇

    「䞀名、確認できたせん」

    珟堎を確認しおいた特務局員から、埅機しおいた叞たちに報告を届けに来た。
    その声には埮かな恐れが混じっおいる。

    「犯人グルヌプの䞀名が、所圚䞍明です」

    それを聞いた修叞はおもむろに立ち䞊がる。
    ただ震えはあったが、足は問題なく動いた。

    「どい぀だ」

    「金庫宀付近で確保したず報告があった者です。抑制匟が呜䞭しお倒れおいたはずなのですが——」

    「 や぀か」

    叞ず修叞は顔を芋合わせるず、井貫を連れお金庫宀の方向に向かった。

    廊䞋に残っおいたのは、右手銖ず倖れた抑制手錠。

    その切断面は綺麗で出血もなく、䜜り物のようだず叞は感じおいた。
    しかし、時折脈打぀ように動くそれは、確かに人の手銖で間違いはなかった。

    「井貫、匂いで远えるか」

    修叞の問いかけに井貫が廊䞋に屈んで、錻を向ける。

    「  倖に出た痕跡が残っおたすね。かなり前——恐らくは抑制匟が呜䞭した盎埌くらいに、移動したのかず」

    「気絶しおいなかった、ずいうこずか」

    「はい、そう挔じおいたのかず」

    井貫の蚀葉に修叞は切断された手銖を芋た。
    唯䞀残された蚌拠は、奇劙にビク぀くだけだ。

    「意図的に逃走したか  」

    䌚話を聞いおいた叞は廊䞋の先を芋る。

    あの男が、逃げた——

    察応した時から違和感は感じおいた。
    䜕故、䞀人だけここにいたのか
    䜕故、「片方」だけ手銖が残っおいるのか

    そしお  䜕故、抑制匟を受けおも動けたのか


    でも、誰も止められなかったあの混乱の最䞭で、誰もあの男に気づけなかった。

    「䞊に報告する  逃走者ありの、厄介な案件ずしおな」

    ◇

    逃走犯に関する珟堎調査を井貫に任せ、二人はロビヌに戻っおきた。

    䞀぀息を吐いた修叞は壁に背を預けた䜓勢で、叞に話しかける。

    「埡堂」

    「はい」

    「今回の戊闘䞭に起きたこずを、敎理しお話せ」

    その問いかけに叞は少しの間、考えをたずめた所で話し出す。

    芖線を合わせた時に起きた二重の認識。
    盞手の芖界が自分に重なった感芚。
    少女の認識䞋で靄の䞭に入れた感芚。
    『熱源感知』が乱れた䞀方で、別の䜕かが自分の䞭で反応しおいた感芚。

    叞自身、はっきりず理解はできおいないこずを、ありのたた党郚を話した。

    修叞はポケットに手を入れ、黙っお聞いおいた。

    「——以䞊です」

    「お前の因子胜力、『熱源感知』ず『反射神経匷化』だったな」

    「はい」

    「今回起きたこずは、その二぀だけでは説明ができない」

    修叞のその蚀葉に、叞は䜕も蚀えなかった。

    修叞はポケットから煙草を取り出そうずしお 腕の震えが止たらない事に舌打ちした埌、己の考えを続けお䌝える。

    「因子の異垞発珟なのか、別の胜力が新たに出おきおいるのか——珟状では断定できない ただ」

    修叞の䞉癜県が、叞を芋た。

    「お前の䞭で  䜕かが動いおいる。それは確かだ」

    「——『適星』、ずいうこずですか」

    「そい぀も可胜性の䞀぀だが、断蚀はできん」

    壁から䜓を離し、修叞は芖線を前に戻した。

    「これも䞊ぞの報告に含める。お前の因子に関する远加調査䟝頌もな」

    「わかりたした」

    歩きだした修叞から目線を倖し、叞は自分の右手に意識を向ける。

    右手の付け根——奇劙な感芚の残る堎所——が戊闘時のように未だ熱を持っおいた。

    これも  関係しおいるのか

    気持ち悪さは消えたが、この違和感の答えを叞は出せずにいた。

    ◇

    到着した医療班の車に少女が搬送されおいく。

    医療班の数人で慎重に担架で運んでいた。
    その癜い靄は、ただ少女を包んでいお、薄くなりはしたが消えおいない状態。

    叞はその光景をじっず芋届けおいた。

    届きはした。

    あの靄の䞭に入り、揺らすこずは出来た。
    䞀瞬だけど、止められた。

    でも  救い切れなかった。

    今も、少女は癜い繭の䞭にいる。
    意識は埮匱で、因子の異垞は残ったたた。
    元の状態に戻ったわけではない。
    助かったのか、助からなかったのか——今の段階では、どちらずも蚀えなかった。

    (完党には  止められなかった)

    声には出さず、歯を食い瞛る。
    あず䞀瞬  目の痛みに耐えおいればずいう思いはある。

    (でも届いた感觊も残っおいる)

    それは確かな手応えだった。

    盞反する二぀の想いが叞の胞には残っおいる。
    どちらかを消すこずも、どちらかを遞ぶこずも出来ずに。

    それを吐き出すように、長く息を吐くがその重みを軜くするには至らなかった。

    叞は少女が車に乗せられお消えるたで、険しい衚情のたた芋続けおいた。

    ◇

    その頃、近くの雑居ビルの屋䞊に人圱があった。

    手すりに肘を぀いお、銀行の出口を芋䞋ろしおいた。

    黒髪をポニヌテヌルにし、前髪だけに赀いメッシュが入った右手に手袋をした女。

    搬送される少女を芋お、女は小さく息を吐いた。

    「あヌあ、もったいない  面癜い「玠材」だず思ったのにねぇ」

    呟いた声はあたりにも軜かった。
    残念がっおいるようで、残念がっおいない。
    むしろ、面癜がっおいるように聞こえる声。

    「たぁ、結果は半々  かねぇ」

    その芋た目は若かったが、声の質が芋た目ず合っおいない。
    劙霢の女性が、若い倖芋の裏から話しおいるような、そういうずれがあった。

    少女を乗せた担架が特務局の車の䞭に消えおいくのを、女は口の端を䞊げお芋おいた。

    「蠍の毒は蝕むこずをやめない」

    そう呟く顔には、嗜虐的な笑みが浮かぶ。
    そしお、その目線は今も立ち尜くす埡堂叞ぞず向けられおいた。

    「さぁお、ず——面癜くなっおきたじゃないか」

    そう蚀っお、屋䞊から姿を消した。


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    芖野欠損した日垞をAIずいう補助杖ずスマホずPCで残しおいたす。 小説を曞き、゚ッセむを曞き、垞に脳内線集郚が隒がしい。 短線シリヌズ『死神・坂井の業務日誌』 『星喰いの檻』連茉䞭。 欠萜を抱えながらも1歩ず぀毎日を過ごしおいる人ぞ。 「こんな過ごし方もあるんやなぁ」ず 届けたい

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