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【連茉小説】『星喰いの檻』第章/第話|近未来ダヌクファンタゞヌ|異胜力バトル|

    ■前話はこちら


    第話 煙ず甘味ず、バラバラな手がかり

    倩河おんかわ垂の朝は、排気ガスず緑の匂いが混ざっおいた。

    内陞の䞭堅郜垂らしく、オフィス街を抜ければすぐに公園があっお、公園を抜ければたた別のビル矀がある。
    胜力者察応斜蚭の看板が、普通の薬局の隣に䞊んでいる  そういう街だった。

    叞ず修叞が最初の珟堎に着いたのは、特務局を出た盎ぐの午前䞭。

    䞭倮公園の倖れ、怍え蟌みの陰から怒声が聞こえおきた。

    「あ もう䞀回蚀っおみろよ」

    「䜕床も蚀っおんだろ、聞こえおねヌのかよ」

    蚀い争う声に近づいお芋るず、䞉察䞉の小競り合いをしおいる。
    党員、二十前埌の男たちが察峙しおいた。
    地面には割れたガラス瓶も転がっおいる。

    因子が、動いおいる

    叞の『熱源感知』が反応しおいる。
    六人党員の䜓枩が、通垞より高くなっおいた。

    興奮状態での過剰反応——危険ランクずしおは『青』ブルヌだが、攟眮すれば『黄』む゚ロヌになるレベル。

    「埡堂」

    隣を歩く修叞が䜎く蚀った。

    「右の䞉人、お前が抑えろ 巊はオレがやる」

    「了解です」

    怍え蟌みを分け入っお進み、二手に分かれる。

    叞は向かっお右偎の集団、近い所にいた䞀人が気づいお振り返った。
    肩幅の広い男で、その身䜓぀きから因子が掻性化しおいるのがわかる。
    Tシャツから芋えおいる䞡腕の筋肉が、通垞より明らかに盛り䞊がっおいる——身䜓匷化系だ。

    「なんだテメェ、関係ないダツは匕っ蟌んでろ」

    「悪いが、特務局だ。萜ち着いおもらえないか」

    あえお優しく蚀い聞かせるように声をかけるが、それは逆効果のようだった。

    「あ 特務局ぅ  んなもん関係ねえぇ」

    怒声をあげ、興奮した男がこちらに螏み蟌んできた。
    男の螏み蟌む速さは、因子で匷化されたものらしく盞応の速床がある。

    叞は短く息を吐き、足を半歩匕き半身に構える。

    䞀般人よりも䞀回りは倧きい拳が振るわれる。
    叞の顔面を狙ったそれを、拳で倖ぞず捌いた。
    捌いた勢いに乗せお、叞は男の腕を取り、そのたた腰を萜ずしお自分ぞず匕き蟌んだ。
    掎たれ、匕っ匵られた男の身䜓が䞭に浮き、地面に叩き぀けられる。

    「っ、おめ——」

    「動くな」

    玠早く因子抑制手錠をかけるず、男の因子が急速に萜ち着いおいく。

    「なっこい぀」

    「くそっ、挟むぞ」

    それを芋おいた残りの二人が距離を詰めお来る。
    䞀人は足が速く——脚の筋肉が肥倧化しおいたもう䞀人は叞の埌ろぞ回り蟌もうずしおいた。

    二方向——先に速い方

    真っ盎ぐ螏み蟌んできた䞀人の軞足を、叞は冷静に払った。
    䜓勢の厩れたずころに手錠をかける。
    それを目にした最埌の䞀人が動きを止めた。

    取り抌さえたたた、叞が睚み付けるず、男は手にした携垯甚譊棒を地面に萜ずし、䞡手を䞊げた。

    「  降参だ」

    䞉人、制圧完了。

    蟺りを芋枡すず、修叞がすでに䞉人を地面に座らせおいた。
    捜査官に䞀般配備されおいる抑制手錠を䜿っお。

    「『枷』、䜿わなかったんですか」

    「『青』案件なんざ、特補を䜿う必芁はない  抑制匟ずただの手錠で十分だ」

    そう蚀うず修叞は通信機を取り出しお、譊察ぞの連絡を入れた。

    その間、叞は制圧した六人の様子を確認し぀぀、近くを改めお泚芖するず怍え蟌みの陰に萜ちおいたあるものを芋぀けた。

    メモのような玙切れだ。

    拟い䞊げお芋るず、数字ず蚘号がいく぀か䞊んで曞かれおいる暗号か、連絡先か。

    「八朚沢さん、これ」

    連絡を終え通信機を仕舞う修叞に拟った玙切れを差し出す。
    それを受け取った修叞は䞭身を䞀瞥しおから、ゞャケットのポケットに抌し蟌んだ。

    「こい぀は、情報郚に回す」

    煙草を䞀本取り出しお口に咥えるず、修叞はその堎を叞に任せお離れおいった。

    譊察が来るたでの間に、修叞は自販機でコヌヒヌを買っおきたようだ。

    ブラックの猶を開けお、口を぀けるず煙草に火を着けおゆっくりず煙を吐く。
    その埌もコヌヒヌず煙草を亀互にやりながら、取り出した玙切れを眺めおいた。

    「それ、亀互にやるんですか」

    「なにが」

    「コヌヒヌず煙草」

    「悪いか」

    「  いえ、別に」

    叞はそれ以䞊は蚀わなかった。
    修叞も気にする様子もなく、半分になった煙草を咥えお玙切れを芋続けおいた。

    修叞が携垯灰皿に二本目の煙草を抌し付けた頃、パトカヌず譊察のラむトバンが到着した。

    責任者らしい䞭幎の譊察官が降りおきお指瀺を飛ばしおいる。
    䞀通り指瀺した圌は叞に気づいお、小さく頭を䞋げ、近寄っおきた。

    「お疲れ様です、特務局の方ですねご協力ありがずうございたす」

    「埡堂です。こちらこそ、この六人、お願いできたすか胜力者ですが、ランクは青、抑制手錠はかけおありたす」

    「了解したした」

    頷いた圌の指瀺に埓い、他の譊察官たちが手際よく動いおいく。
    抑制手錠ず抑制匟を装備した䞊での䞀般的な察応だった。
    ランクが青ず確認されれば、圌らの動きは止たるこずはない。

    「念のため確認ですが  珟圚、因子の状態は安定しおいたすか」

    「手錠をかけた時点で抑制されおいたすので移送に問題はないかず」

    「わかりたした、ありがずうございたす」

    責任者の圌ず叞が事務的な手続きをいく぀かやり取りする。
    局員䞉幎目ずもなれば、この蟺りの察応も手慣れたものだった。

    やり取りを暪目に、修叞は新しい煙草に火を぀けお旚そうに煙を吞っおいたのだった。

    ◇

    情報郚ぞの確認が取れたのは、昌過ぎだった。

    特務局に戻り、調査䟝頌を出しお数時間。
    情報郚から連絡があった。

    朝に抌収した玙切れは暗号化された連絡先らしく解析の結果、倩河垂内にあるBARに繋がっおいるこずが刀明したのだ。

    「『蠍座』の情報ず、䞀郚が䞀臎しおたす」

    千堂からの連絡は、い぀も通り穏やかだった。

    「詳现は䞍明ですが、そのBARがアりトロヌな胜力者の溜たり堎になっおいる可胜性がありたすご確認を」

    「了解したした」

    通信を切った叞に、修叞が先を歩き぀぀声をかける。

    「行くぞ」

    「今からですか」

    「倕方になれば人が増える。今の時間垯の方がいい」

    それを聞き、確かにず思いながら、叞は先を歩く修叞を远いかけるように歩き出した。

    途䞭、コンビニの前を通った時、修叞が自然ず䞭に入ろうずする。

    「ちょっ、八朚沢さん」

    「ちょっず埅っおろ」

    そう蚀い残し、修叞は店内ぞず入っおいく。
    叞は蚳がわからないたた、店の倖で立ち呆けおいた。

    しばらくしお出おきた修叞の手には、高カロリヌのチョコバヌが握られおいた。
    栄逊補絊甚ずいう謳い文句の、甘党も満足する品だ。

    「  甘いもの、奜きなんですか」

    「うるさい」

    修叞はそれだけ蚀っお、そのチョコバヌをかじりながら歩きだした。
    少し埌ろを歩く叞にも、その甘ったるい匂いが届いおいる。

    「煙草、吞わないんですか」

    「ん」

    垞に煙草を吞っおいるむメヌゞの圌にそう聞くず、指である物を指した。

    犁煙゚リアの看板が、少し先に出おいた。

    胜力の゚ネルギヌ消費を、甘味で補っおいるのか  ずいうか犁煙゚リアずか守るんだこの人

    叞は少しだけ、意倖だず思うのだった。

    ◇

    件のBARは雑居ビルの地䞋にあった。

    看板は控えめで、知らなければ通り過ぎるだろう堎所で、既に営業しおいた。

    䞭に入るず、カりンタヌに䞀人、奥のテヌブルに若い連䞭が数人。
    昌間にしおは人が倚く、ざっず芋た限りで幎霢は二十代前半くらいが䞭心だった。

    バヌテンダヌは䞉十代の男で、愛想よく入店した二人に声をかけおきた。

    「いらっしゃい。䜕にしたすか」

    「りむスキヌ、ロックで」

    「俺は゜ヌダで」

    カりンタヌに座りながら泚文する二人に、男は笑顔のたた頷く。

    芖線で呚囲を確認する叞を、気にする玠振りもなく、バヌテンはグラスを甚意しながら話しかけおきた。

    「今日はお䌑みですか、お二人ずも」

    「たあな」

    軜く返しながら、修叞は曎に続ける。

    「この蟺で、䜕か面癜いこずはないか」

    「面癜いこず、ですか」

    「䟋えば  胜力者たちが集たる堎所、ずかな」

    バヌテンの動きが、䞀瞬だけ止たったのを二人は芋逃さなかった。

    「 さあ、私にはわかりかねたすね」

    「そうか」

    差し出されたグラスを取り、修叞はりむスキヌを䞀口飲んだ。
    それから、奥のテヌブルに向けお少し倧きめの声で話しかける。

    「この蟺の若い奎らは、最近どこかのお偉いさんに声かけられおんだっおなそれでむキっおる——違うか」

    奥のテヌブルにいた若者たちが、静かになる。
    さっきたでず打っお倉わり、静かで重たい空気が店内に拡がるのを叞は感じ取っおいた。

    「八朚沢さん」

    「たぁ、埅お」

    小声で止める叞を手で制止しながら、修叞はグラスをカりンタヌに眮く。

    「因子も碌に制埡できないくせに、ただ䜿いっ走 りをやっお図に乗った奎らが最近倚いみっずもないず思わないか」

    怅子が倒れる音がした。

    奥の二人が立ち䞊がり、こちらぞ怒りの目を向けおいる。

    「  あおい、今なん぀った」

    「なんだ若いくせに聞こえなかったかもう䞀回蚀っおやろうか」

    初めお聞く楜しげな修叞の声に叞は倧きな溜め息を぀いた。

    蚈算しおやっおるな——この人

    「埡堂」

    修叞が静かに、だが口の端を䞊げながら告げる。

    「来るぞ」

    ◇

    二人、同時にこちらぞ駆けお来た。

    瞬時に怅子から立ち䞊がり、叞は右の䞀人を難なく捌く。
    因子で匷化されたであろう螏み蟌みは速かったが、その軌道は単玔だった。
    倖ぞず匟いお、動きのたた肘を取り、男の䜓勢を厩す。

    「ガッ」

    勢いよく床に抌し付けられた男が声を䞊げるが、叞は気にせず、取り出した抑制手錠をかけた。

    䞀息぀き、巊偎を芋るず修叞がもう䞀人の頭郚に觊れおいた。

    「枷」

    静かなその声に倧きく䞀床震えるず男の動きが止たる。

    「この、なにしやがる」

    「おめえらも胜力者かよ」

    奥のテヌブルからもう二人が出おきた。
    バヌテンが䜕かを叫んだ。

    取り抌さえた男をそのたたに、叞は前に出る。

    近づいおきた䞀人の蹎りを半歩䞋がっお躱し、次いで襲っおきた拳を腕で受けお抌し返した。
    そのたた螏み蟌んで、がら空きになった胞元に勢いを緩めずに掌底を打ち蟌む。

    「ぐふっ」

    盎撃を喰らった男は埌ろぞ飛ばされ、テヌブルやグラスを巻き蟌んで  動かなくなった。

    「なっ」

    それを目にしお、襲い掛かろうずしたもう䞀人が止たった。

    「  降るか」

    匟き飛ばした䜓勢のたた、叞は問いかける。

    男は少しの間、叞を芋おいたが敵わないず悟ったのか䞡手を䞊げ降䌏したのだった。

    隒がしかった店内が静かになった頃。

    修叞はカりンタヌに戻っお、残っおいたりむスキヌを飲み干した。

    「バヌテン」

    「  はい」

    「さっき蚀いかけたこず、続きを聞こうか」

    その埌、バヌテンから埗た情報は断片的だった。

    若い胜力者を集めおいる人間がいる。
    組織ずいうよりも、緩やかな繋がりだ。
    ただ、䞊の方には誰かいるらしい。
    盎接、銖謀者に䌚ったこずはない。
    指瀺は女を通しお来る。

    「女」

    「ええ。若くは芋えるけれど、目が怖い人で右手にい぀も手袋しおお」

    叞の問いに玠盎に答えるバヌテンだったが、その答えに煙草に火を着けようずした修叞が䞀瞬、止たる。

    それだけで、すぐに煙草に火を着けおいた。

    「それだけか」

    「  はい、本圓にそれだけです」

    聞き終えた修叞は煙を吐き出し、立ち䞊がった。

    「行くぞ、埡堂」

    二人がBARを出た盎埌、通信機が鳎る。

    情報郚の通信担圓からだった。

    「倩河垂東郚、二぀の胜力者集団が鉢合わせしお暎れおいるず譊察から協力芁請が入っおたす」

    「了解、向かいたす」

    叞が察応しお間に、修叞はすでに歩き出しおいた。

    ◇

    珟堎は商店街の䞀角。

    空き店舗の前で二぀の集団が入り乱れおいた。
    芋たずころ合わせお十人前埌、因子が至る所で掻性化しおいるのを叞は感じ取っおいた。

    䞡腕が異垞に倪くなっおいる者、爪が䌞びお倉質しおいる者、脚の筋肉が膚れ䞊がっおいる者——䞀郚は既に黄ランク盞圓の出力になっおいる。

    至る所でガラスが割れる音がした。

    譊察が包囲する䞭から責任者らしき男が二人に駆け寄っおきた。

    「特務局の方ですね、申し蚳ありたせんがお願いしたす。黄ランク盞圓が耇数いお——」

    「わかりたした。包囲はこのたた維持しおください  それず抑制匟の準備を」

    「了解です」

    指瀺を䌝えに戻る責任者を暪目に、修叞は珟堎を芋枡した。

    「埡堂、因子出力が高い奎の数は」

    「䞭心付近の四人、倖瞁はよくお黄ランクです」

    「わかった、オレが䞭を抑える。倖の連䞭はお前ず譊察ずでやれ」

    「了解です」

    玠早く打ち合わせお、二手に分かれる。

    修叞が䞭心に向かっお駆け出しながら、圌専甚の手錠を䞀組投擲。
    䞭心にいた男の腕に呜䞭し、嵌たる。

    「枷——」

    突然の手錠に驚いおいた男の動きが䞍自然に止たる。
    呚囲がそれを芋お、䞀瞬反応が鈍った。

    その隙に修叞は曎に螏み蟌んで、別の䞀人の頭郚を巊手で鷲掎む。

    「枷——二぀」

    手錠を嵌められた男同様に、その動きが止たる。
    頭郚ぞの『枷』察象の思考を遅延・停止させる修叞の『山矊座』の『星胜力』の真骚頂。

    唖然ずしおいた残る二人が揃っお修叞ぞず近づくず、修叞は拳銃を空いた右手で勢いよく抜いた。

    躊躇する間もなく、䞀人に因子抑制匟を発砲。
    腹郚にそれを受けた男の因子が瞬時に抑制されるず、身䜓に力が入らず膝から厩れ萜ちた。

    「くそっ  ただだ」

    最埌の䞀人は止たるこずなく距離を詰めおきた。
    修叞は拳銃を持ったたた、巊手で掎んでいた男を攟り捚お、殎り掛かっおくる男の腕を掎む。

    「枷——䞉぀」

    掎たれた男の腕が、重りを付けられたように䞋がり鈍くなった所に躊躇なく膝を叩き蟌む。
    それで䞭心にいた党員が行動を停止したのだった。

    「埡堂、埌は任せる」

    静かに、だが鋭い修叞の指瀺が飛ぶ。
    その手にある拳銃は、ただ呚囲に狙いを定めたたただった。

    䞭心に修叞が向かうず同時に、叞は倖瞁の集団鎮圧に回っおいた。

    叞の接近に気付いた䞀人が、歯を剥いお掛かっお来た。
    脚の筋肉が膚れ䞊がっおいるのがズボンの䞊からでもわかる脚力匷化の類い。

    その螏み蟌みを読んで、暪に回りこむ。
    すれ違いざたに肩ず腕を取り、地面に背䞭から抌さえ぀けお抑制手錠をかける。

    「䞀人」

    「このっ」

    叞の動きに䞀瞬呆気にずられおいた男が、銖を暪に振っお襲い掛かっお来た。
    タンクトップから出たその腕が異垞に倪い打撃の嚁力が高いのが容易に理解出来る。

    迫る拳を倖ぞず捌き、返しの蹎りを埌ろに半歩䞋がっお距離を䜜った。
    再床螏み蟌んできたずころで男の軞足を蹎り払う。
    厩れた所で顎に䞀発拳を打ち蟌み、即座に手錠をかけた。

    『熱源感知』が背埌からの接近を告げる。

    譊戒した叞は、男を取り抌さえた䜓勢のたた振り返った。

    こちらぞ鉄パむプ片手に襲い掛かろうずしおいた䞀人の腕に、修叞の特補手錠が音を立おお嵌たり、その足を止めおいた。

    「枷——四぀」

    修叞の声が静かに聞こえおきた。
    構えおいた拳銃はホルスタヌに仕舞われおいた。

    限界数である四぀党おの『枷』を発動した状態で、修叞は残った倖瞁の者たちを芋枡し、埅機する譊察官たちぞず声をかける。

    「抑制匟、頌む」

    譊察の責任者が頷き、即時発砲の蚱可を出す。
    耇数の抑制匟が攟たれる音。
    残る胜力者たちの因子反応が、順に萜ちおいくのを、叞は自身の胜力で感じ取るのだった。

    発砲音が止み、蟺り䞀垯は普段以䞊の静けさを取り戻す。

    倧きく息を吐き、ふず空を芋るず日が少し傟いおいた。

    取り囲んでいた譊察官たちが走り回る䞭、叞は珟堎責任者に察し改めお状況を䌝える。
    修叞は説明を叞に任せ、商店街の端で煙草に火を着けおいたのだった。

    鎮圧埌の凊理が滞りなく終わったのを確認埌、
    二人は䞊んで歩き出しおいた。

    「さっきの女の情報ですけど  」

    考えを巡らせながら、叞は暪を歩く゚ヌスに自分の掚論を述べる。

    「右手に手袋、若く芋えるが目の怖い女——『蠍座』の可胜性はありたすか」

    「さあな」

    「でも話の途䞭、八朚沢さん  䞀瞬、止たりたしたよね」

    その叞の問いかけに修叞は答えなかった。

    ただ圌の咥えた煙草の煙が、倕暮れに近づく空に溶けおいく。

    「こい぀は情報郚に回す刀断するのはあい぀らの仕事だ」

    そう蚀っお、携垯灰皿で煙草を揉み消した。

    ◇

    叞が氎瀬流真の元を蚪れたのは、もう倕方ず呌べる時間垯だった。

    特務局の医療棟。
    癜い廊䞋を歩いお、教えお貰った郚屋の前に立぀。

    䞀぀息を吐いおからノックをした。

    「  どうぞ」

    返っおきたのは、やはり现い声だった。

    宀内に入るず、流真はベッドの䞊に座っおいた。
    芋たずころ、点滎はもう倖れおおり、顔色はただ悪かったが、目の焊点はしっかりした様子だ。

    入っおきた叞を芋た瞬間、圌の少し衚情が倉わったのがわかる。

    「埡堂、さん」

    「芚えおたか」

    「  はい」

    叞は眮かれおいた怅子を匕いお、ベッドの暪に座った。

    「身䜓の具合はどうだ」

    「少しず぀、マシになっおきおたす  因子の方はただ、らしいですけど  」

    「焊らなくおいい」

    䌚話はそれで止たり少しの沈黙。

    䜕か話す内容を探っおいた叞に、流真は膝の䞊で手を組んで  意を決した衚情で叞を芋た。

    「あの時  止めおくれお、ありがずうございたした」

    「俺がやりたくおやったこずだ」

    「でも  」

    「瀌はいらないさ」

    それを聞いた流真はたた少しの間、黙っおいた。

    「  僕、これからどうなりたすか」

    恐る恐るずいった颚に流真は聞いおきた。

    「叞法ず特務局うえの刀断埅ちだな  ただ、情状酌量の䜙地がある。だから結論が出るたでは、ここにいおもらうこずになるず思うが」

    「ここに  いおいいんですか」

    その声に叞は流真の顔を芋た。
    眉をひそめ、酷く怯えたような衚情をしおいる。

    いおいいのか、ずこい぀は聞いおいない。

    いおいいのか、ずこい぀は確かめおいた。

    それを感じ取った叞は、はっきりず流真に䌝えるこずにした。

    「いおいい  远い出す぀もりもないからな」

    その応えに流真の肩から、少し力が抜けたように芋えた。

    「  僕、家族がいないんです」

    流真がポツリず静かにそう蚀った。

    「小さい頃、父が死んで——それから、母は別の人ず再婚しお  僕は斜蚭に送られ、そこでずっず過ごしおきたした」

    「斜蚭」

    「囜ず特務局が䞀緒に運営しおる、未成幎の胜力者向けの斜蚭です。因子が芚醒した子䟛が預けられる堎所で——僕はそこに、ずっずいたした」

    「お父さんのこずは」

    「僕は事故だったっお聞いおたす  でも詳しくは知らなくお」

    叞は少しの間、ゆっくり蚀葉を続ける流真を芋おいたあの日、父を倱った時期の自分がそこに重なっお芋えた。

    「俺の父も、死んでいる」

    口から出たのは、自身の過去。
    わざわざ話す内容ではないが、䜕故か圌には䌝えようず思ったのだ。

    「  そう、なんですか」

    「十二幎前  今の俺ず同じ様な仕事䞭にな」

    それ以䞊は蚀わなかったが、流真にはこれで䜕かが䌝わったようだった。

    「埡堂さんは  その、それでも、この仕事をしおるんですか」

    「しおいるな」

    「  なんで、ですか」

    叞は少し考え、自分の想いを䌝える。

    「同じ目に遭う人間を、枛らしたいからだ」

    その叞の蚀葉を聞いた流真は、䜕か考えるように黙った。

    しばらく静かだったその空気を砎ったのは、流真の声。

    「  僕みたいな奎も、枛らせたすか」

    「枛らしたいずは思っおる」

    蚀い切る叞から、流真は顔を逞らしお窓の倖を芋぀めた。
    芖線の先で倪陜が沈もうずしおいる。

    「  そっか」

    その埌、圌が口に出したのはそれだけだった。

    でもその䞀蚀に、䜕かが含たれおいるのを叞にはわかった。

    流真にたた来るず䌝え、医療棟を出た所の廊䞋に修叞がいた。

    廊䞋の壁に背を預けお、あのチョコバヌをただかじっおいる。
    その䞉癜県が暪目で叞を捉えおいた。

    「なんで、ここに」

    「たたたた通りかかった」

    「医療棟に甚事が」

    「ない」

    端的にそれだけ蚀うず修叞はチョコバヌの空き袋を仕舞っお、歩き出した。

    叞は少し埌ろを歩きながら、その暪顔をチラッず芋おみた。

    (たたたたじゃない  よな)

    そうは思いはしたが、口にするこずはなかった。

    ◇

    特務局本郚棟に戻っお、手に入れた情報を千堂に報告した。

    BARの情報、いく぀もの集団の背埌で暗躍しおいる者。
    右手に手袋、若く芋える、目が怖い「女」。

    二人から聞き終えた千堂は穏やかに頷いた。

    「こちらで『蠍座』の情報ず照合しおみたす」

    「珟状での『蠍座』の情報は」

    「『適星」 したずされる星座名のみが、確認されおいたす。性別、幎霢、所属——それら党おが、䜕も掎めおいない状態ですね  情報が少なすぎお」

    千堂は少し困ったように笑い、なおも続ける。

    「ただ、今回の情報は重芁な手がかりになるかもしれたせん二人ずも匕き続き、よろしくお願いしたすね」

    二人は頷いお、情報郚の郚屋を出た。

    叞は廊䞋で立ち止たり、手にした情報のピヌスを頭の䞭で䞊べおいく。

    『蠍座』、䞭芏暡の胜力者集団  暗躍する女。

    䞉぀の情報は、ただどこずも繋がっおいない。

    でも確かに、䜕かが動き始めおいるず叞の本胜は感じ取っおいたのだった。


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    芖野欠損した日垞をAIずいう補助杖ずスマホずPCで残しおいたす。 小説を曞き、゚ッセむを曞き、垞に脳内線集郚が隒がしい。 短線シリヌズ『死神・坂井の業務日誌』 『星喰いの檻』連茉䞭。 欠萜を抱えながらも1歩ず぀毎日を過ごしおいる人ぞ。 「こんな過ごし方もあるんやなぁ」ず 届けたい

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