メインコンテンツへスキップ
見出し画像
Photo bynorinity1103

たぶん、自立っていうのは「困ったときに人に頼れる能力」も、含まれているんじゃないかなァと思う。

     高校生のときに読んでいた小説を、二十年振りに読み返している。
     言葉通り、何の誇張もなく二十年振り。
     話の内容を覚えているというよりも、その細部のいくつかが、これまでのわたしを作っている。
     この話、このあと十回くらいすると思うんだけど、「神宮前」っていう地名は、この本で覚えたと確かに記憶している。上京して、「原宿」が、あの「神宮前」だって気づいたときの衝撃たるや……

     バンドの話なんだけど、メンバーのふたりが年齢的に高校生で、同時のわたしと同じくらいで
     残りのふたりが二十代半ばで
     わたしは高校生組と一緒になって、「おとなってスゲェな」と思っていたので
     たぶん、わたしの持っている「大人像」の何割かは、この作品に影響を受けたと言える。

     いやはや、二十年も経ちましたからね!?
     二十代の半ばなんて、小僧ですよ! と、イマは思う。
     無鉄砲と自我とプライドのカタマリ! 触るな危険ですよ。
     ……年齢で人を判断するのはよくないけれども、少なくともわたし自身がそうだったから。
     無理して大人になりたい年頃なんですよ。ハイ、わたしがそうでした。
     年齢なんて、放っておいても勝手に重なっていくからね、何も焦ることはない。とも思うし、年齢が重なっていくからって、自動的に成長とか進化とか、アップデートパッチがあるわけでもないから
     やっぱり、どこまで行っても自分は自分で
     ただアタシはいま、無鉄砲と自我とプライドを、あの頃よりもうちょっとうまく乗りこなしている。ような気がしているだけで。

     ちょっと差別的な発言に思えたり、無鉄砲と自我とプライドのカタマリのお年頃のあなたがここにたどり着いていたらごめんなさい。悪く言うつもりはないのだけれど(自分の若いころを、バカだなァと愛おしく思っているだけで)

     つまり衝撃だったセリフが、坂本一至(十八。居候中)の「自分の部屋ってのはマチガイ」に続く、

     生まれ育った家じゃない別の場所で、もう十八になった男が、自分のねぐらって堂々と言えるのは自分で敷金礼金家賃光熱費、不動産屋まわりから始めて、他人の手助けなしにクリアしてればだと。

    "グラスハート3"ムーンシャイン P146より引用

    ※念のため。このエッセイに、「グラスハート」原作ドラマどちらのネタバレも含まれておりません。二十年のときを経て、坂本一至に物申したいだけです。

     この感覚って、わたしの中にも根強くあって
     就職したことはないけれど、大学を卒業したあとは、自分で稼いだお金でライブもレコーディングもプレスも、その他もろもろ、家賃も光熱費も払っていた。
     家賃三万の家には、敷金も礼金もなくて、それでも部屋は借りられた。
     その部屋は、退去時にクリーニング代をぼったくられた(おちついてまた改めて連絡しますと言ったら、いまならこの値段だけど、正式な見積もりが来たら値段が上がるよと言われて、面倒でその場でお支払いをしてサヨナラした)ことは、いい思い出でも学びでもなくて、「実際にそんなことある?」って、どっちかというとホラーの類だと思うわけだけれど。
     そんなエピソードを持っているのが、勲章でも、大人の証ってワケでもないでしょう。

     だからこそ病気になって、働けなくなって、家賃も光熱費も払えなくて
     それもまあ、こんな四年も患っているなんて思わなかったから、実家に帰るタイミングも逃してしまい、親のスネもかじりつくし、今では借金もあるわけだけれど、「さすがに借金(している人は)は(有り得)ないよね〜」って、何気ない会話の中で友達に言われてしまい、「あはは、そうだね〜」と笑うしかなかったわけで、
     それも今も休職中だなんて、いやはやどーなってンの?と自分でも思うけど

     でも、生きてンの。
     しぶとく。
     アタシ、カッコよくない?
     病気、治ってないし、よくなる保証がないのと同時に、悪くなる保証もないみたいな、有り難くも酷いアリサマで
     ぜんぶから目を背けて、高校時代に読んでた小説をまた読んじゃったり(買っちゃったり)して……生きてンのよ。

     あのね、坂本クン。
     確かに、居候中の住居を自分の部屋ってのはマチガイかもしれないけれど

     百年にも満たない人生の中で、
     生まれ育った家じゃない場所で、
     敷金礼金光熱費も払わずに生活をするっていう経験は、
     もンのすごーーーくッ、レアなのよ!

     そりゃね、レアだからって他人に誇れるものじゃあないかもしれないけれど。
     それも十八という、自分で敷金礼金光熱費も払える年齢になってなお
     誰かの家に部屋を与えてもらえるっていうのは、
     あなたが、お金以外の何かを差し出せているということで
     それは、社会に出て対価にお金をいただくことよりも
     うんと高難度の、奇跡みたいな出来事なのよ。

     少なくとも、わたしはやったことがない。
     数ヶ月、男の家に転がり込んでいたことはあったけれど
     あのときのわたしは家出娘で、自分の部屋があって、そこの家賃光熱費を払っていたので。まあ、男の部屋には無賃乗車していたわけだけど。
     有難いよね。
     屋根をいただけるっていうことは。
     お金を自分で払えたら、ある意味ラクだけれど
     そうじゃないところに、身を寄せるっていうのは、
     なんていうか、なかなか、代え難いことだと、わたしは思う。

     ってゆーか、ごちゃごちゃ言ってないで
     そんなチャンスがあったら飛び込んでおけっ!
     ダサくても、生きる方に舵とプライドを傾けろ!

    「まだ十八だろっ」と言っちゃうのはずるいので、それは心の中にしまっておくけれど。
     三十八にもなれば、逆に「まじで〜? いいの〜?」などと言って、機会があれば他人の部屋に転がり込んでやりたいような気持ちで生きている。
     あ、これはね、病気になったから。どれだけ会社勤めがイヤでも、身体が動けば家賃くらいは稼ぎたいわよ。アタシは。自分のおうちとお部屋が大好きなんだから。でも、生きるのが大事じゃん。あと、他人の部屋に転がり込むチャンスって、人生で何度かしかないから、見つけたら飛び込みたいよね。


     それとね、不動産屋まわりはわたしもひとりでしたことないわよ。
     六回ほど引越し歴があるうえに、不動産関係の仕事(休職中だけど)をしておりますが
     内見は、基本的にひとりじゃ行かない。
     友達の内見も付き添ってる。
    「不安だから一緒に来て」って言われるよ。三十代になってからも。

     わたしも、つい最近まで「他人の手助け」っていうのと、「自立」を遠い位置に置いていたんだけど
     たぶん、自立っていうのは「困ったときに人に頼れる能力」も含まれているんじゃないかなァと思う。
     そりゃさッ、自分でぜんぶ解決して、それがいちばんコスパとかタイパみたいなものもよくて、非日常の業務(引越しとか)をぶん回しながら、日常業務も漏れなくこなせればいいですけど。
     いや、よくないな。
     これ、友達にやられると、すげーーー寂しいな。いや、寂しいのもこっちの勝手なんですけど。

     君が僕に頼ってくれないと、
     僕も君に頼れないんですよ。

     持ちつ持たれつって、あれは比喩じゃなくて、けっこう言葉通りに、「持ったり持ってもらったり」だと思うんだよね。というか、気づいたんだよね。
     いままでは、気合いと根性をぶん回して、いろいろできちゃったんだけど
     わたし、案外仕事もできるし、社会人擬態能力が高いのよ。体力がないだけで。数多ひとりで解決できたから、それこそ「ひとりでできるもん」状態だったわけで、それもまあ自立のひとつと言えるでしょう。

     自分で言っていて不安になったけど、今の「働けない」わたしが自立しているかって、超怪しいワケなんですが
     でもさあ、あのね、「ダサい」とは思わんでしょう。
     ここまで来た諸君なら。
     生きててエライんです。
     どれだけ助けてもらっても。「ひとりでできるもん」を失っても。
     自立って、それより大事なこと? プライドよりも?

     なんてね!
     むかし(と言っても、ここ数年のあいだで)母親がね、レジのお姉さんに「ありがとう」って言うのが、すごいカッコよくて。
     いいババアだなあ、って思ったワケ。
     その「ありがとう」が、敬語じゃないのにキレイでさァ。
     こりゃあ言い過ぎかもしれないけれど、「紅の豚」のジーナみたいで。
     だって、ジーナが誰かの手を(それこそ物理的に)借りたときに、「ありがとうございます」って言ったら、ちょっと台無しでしょ?
    「ありがとう」ってスマートに言うのが、憧れのジーナなわけで
     そういうのを、おとなになる。って、思いたくて

     ……ジーナを例に出したら、一気にハードルが上がっちゃったんだけど
     きっとジーナも、しどろもどろに「ありがとうございます」って言っていた頃があったでしょう。
     それがね、「ありがとう」になるみたいな、年齢の重ねかたはスマートで素敵なんだけど
     これをね、母親とかアタシに当てはめると、なんていうか「ズ太く」なんだよね。大変にズ太い。ジーナも、オソノさん(魔女の宅急便)も飛び越えて、ドーラなんですよ! ラピュタの、ママ!


     そんなことを坂本クンに言っても、「うへえ」って顔をすると思うので、ご本人には伝えませんが。
     いいよねえ、ドーラ。

     まあ、わたしもまだまだ小僧の延長戦なので、エラそうなことは言いませんが(今日は、言いたいことを言っただけ)
     おとなっていうのが何なのかわからないまま、ただただ「学生料金」を使えなくなった人間の成れの果てではありますが、
     おとなっていうのが、「"足りないもの"を楽しめる能力が強くなる」ってことだったらいいなァと思いました。ここまで三七〇〇文字、好き勝手語って、いま、たどり着いた答えです。

     だって、あの子が持っているものを、わたしは持っていなくて
     でも、わたしが持っているものを、そっちの子は持っていなくて
     それが二者間じゃなくて、誰と比べても足りなくて、自分の中でもさ、持っていたものを失くしたりもするからさ
     そういうのを、「おもろい」って言えるのがおとなだといいなと思っています。
     ドーラなら、「おもろい」とは言わないかもだけど、「小さいことをウジウジ気にするんじゃない!」って、言うと思わない?




    ▼で、坂本くんが言っていたのはこの本。
    (個人的にはめちゃくちゃオススメなんだけど、思い出補正もある。あと、わたしが高校生のころ読んでいたので、年代的にはわたしよりもうちょっと上の世代な感じだと思う。わたしは中学生の頃から携帯を持っていたけど、この物語では留守電にメッセージ入れたりしているので。それが読みづらいわけじゃないとは思うんだけど、びっくりしないでね。
     で、もし読みたいなら1巻からがオススメです。
     あと、ネトフリのドラマ版を見た方は、ちょっとびっくりしちゃうかも……。違う部分もね、ケッコーある。それでも好きになってくれたら、アタシは嬉しいけど、好みもあると思うので。あんまり遅くならないうちに、違いのこととかまた記事に書くよ。
     ただ確かに「原作を超大事にしたドラマ化」だとアタシは思っている)

     今日のわたしのエッセイと、昨日のエッセイが面白いな!って思ってくれた人がいたらオススメだな。文章のBPMを寄せてる。憧れて書いてる。誰が何と言おうと、このBPMが好きだなァと思って。

    ▼昨日のエッセイ

    ▼そうそう! このときに悩んでね、品切れになって悔しくて、探し回って買ったのがこの本です。


    ▼タロット占いやってます。わたしが励まされたいタイプの人間だから、たくさん励ますわ。良い未来に繋いでいけるよう、アドバイスするね。
    ▼気になったあなたは、サンプルと感想を見てね

    ▼タロット占いの申し込みはこちらから

    ▼わたしのこと「いいな!」って思ってくれたら、ご支援嬉しいです。
    内緒話、本音をリアルタイムで語るメンバーシップやっています。加入・脱退お気軽に! 1ヶ月だけでも◎

    ▼本を読むことと、感想文を書くことが好きです! 感想文を書きたい本たくさんあるので、ご支援いただけると嬉しいです。感想文を書いて欲しい著者さまからのご相談もお待ちしております。
    (書いた感想文はコチラから)

    ▼お問い合わせはコチラから。その他、DMやメッセージ、コメントなどもぜんぶ読んでいます。


    ▼now playing



     
     
    今日も眠ってしまったあなたの味方|エッセイ、ピアノ、タロット占い|サンクチュアリ出版 第2期正直レビュアー|毎日更新されるので、フォローもリフォローも気兼ねなくどうぞ|執筆のご依頼受け付けています

    あなたへのおすすめ