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Before We Were Named -名前を持぀前の私たち- 00 「再䌚」

    【あらすじ】
    䞖界芏暡の戊争が終わり、長い幎月が経った。
    自らを封印しおいた存圚が、芋知らぬ堎所で目を芚たす。
    目芚めずずもに、察の存圚が静かに戻り始める。

    䞖界は倉わっおいた。非科孊的なものが吊定される䞀方で、人類に新たな信仰が生たれおいた。
    さらに、自らの䞍圚を埋めるかのように「新しい秩序」が広がり぀぀ある。
    玄束通りに、圌は埅ち続ける存圚のもずぞ向かう。
    そこには、忘れられるこずのない䜕かが、倉わらず埅っおいた。

    本䜜は、連なりのある物語の䞀篇ずしおお読みいただけたす。前埌に広がる出来事を内包し぀぀、本線単䜓でも読める構成です。

    【本文】

    「うわ、本圓に出た」
    窓際の垭で、圌女は頬杖を぀いたたた蚀った。
    「お久しぶりですね」
    圌は軜く頭を䞋げる。声は穏やかだが、わずかに芳察の色が混じる。
    「想像以䞊に寝おたわね”チセむ”。倖芋も倉わっおるし」
    「ええ、環境の倉化は確認しおいたす。でも、あなたの服装ちょっず叀くないですか」
    「気にする぀もりはないわ」
    圌女はチセむの奥を芋据える。
    「“ホンノり”も問題なさそうね」
    けいやくのたんりょうずどうじに。だったろう
    内偎から、間髪入れずに蚀葉を返す。
    チセむはわずかに芖線を萜ずす。
    「芚醒間も無く珟れたした」
    「でしょ。あんた䞀人じゃ動き鈍いし」
    よけいだ
    「事実ですね」
    チセむは吊定しない。
    圌女は軜く笑う。
    「この店いいわよ。無添加。䜙蚈なものが入っおない」
    はらぞった。なんかえねるぎヌほしい
    「  食事にしたすか」
    「するに決たっおるでしょ。で、持っおきおる 隠しおたお金」
    「もちろんありたすよ」
    チセむがそう蚀った瞬間、空気が䞀瞬だけ歪む。
    隣の垭に、音もなくもう䞀人分の気配が重なる。8歳くらいの女の子。
    「すわる」
    それだけ蚀っお、勝手に怅子に収たる。
    チセむはそれを特に気にしない。
    「やけに速いですね」
    「でるひ぀ようあったからだ」
    圌女はちらりず芋る。
    「盞倉わらず勝手ね」
    「おたがいさただ」
    圌女は店員を呌び、泚文をする。
    ヌヌ喫茶店じゃない泚文量じゃないような

    「で。あんたが寝おる間の話、聞く」
    「お願いしたす」
    「たず“あれ”。――新しいや぀」
    チセむは短く頷く。
    「存圚は、確認できおいたすか」
    「しおるし䌚っおる。でもね、あんたが起きた途端、匕いた」
    「  匕いた」
    「隠れるの方が近いかな。さっきたでの“線”が、急に薄くなった」
    「みられおるのはむこうもおなじだ」
    「理由は」
    「ある。けど今䌚えなくおも問題ないわ」
    圌女らはメニュヌを芋たらすぐに泚文した。
    「たぶん、あんたず盞性が悪い」
    「性質が反察、ずいう意味ですか」
    「それもあるし  」
    少しだけ笑う。
    「“䌌おる”からかもね」
    チセむは蚀葉を遞ぶ。
    「䌌おる、ずは」
    「構造。芳枬しお、繋いで、敎える。やっおるこずは近い」
    「だからきょりをずる」
    「  合理的ですね」

    「そしお、信仰」
    圌女は芖線を倖に投げる。人の流れ、均䞀な歩幅。
    「消えおない。圢が倉わっただけ。昔のや぀も残っおるし、今のや぀もある」
    「今の、ずは」
    「ただ、名前を付けにくいもの。人が“任せる”盞手。刀断を枡す先」
    「信仰、ず呌べるのですか」
    「呌び方は䜕でもいい。倧事なのは、仕組みが䌌おるっおこず」
    「信仰ず蚀えるほど䟝存が匷いもの、ずいうこずですか」
    「よくわかんないわ。けど、問題はそこだけじゃない」

    圌女は指を止める。
    「人の䞖界は、昔よりずっず近くなった。遠くの出来事が、すぐ別の堎所ぞ䌝わる。知らない盞手の怒りも、恐怖も、祈りも、期埅も、同じ波みたいに広がる」
    「たずえば、情報手段によっお人同士の距離感が近くなった。ずいう感じですか」
    「そう。でも、魂に届くのは情報そのものじゃない」
    チセむは目を现める。
    「そもそも情報が魂の元に届くこず自䜓おかしいです」
    圌女は軜く肩をすくめた。
    「それは情報じゃない。刺激」
    「  過床な刺激は、魂の安定を損なう」
    「もう損なっおる」

    短い沈黙が萜ちる。
    チセむが口を開く。
    「過去を思い出したした。そういった魂の盞手をした芚えが」
    「たたお願いね」
    「もちろん」
    チセむは芖線を萜ずし、䞀考した。
    「知らない盞手の感情たで、自分のものみたいに響く。個で持っおたはずの茪郭が、少しず぀曖昧になる」
    「そんなずころじゃないかしら」
    「"個"が矀れの䞭に溶け蟌むような」
    ホンノりが口を開く。
    「むれじゃない。"あみ"だ」
    圌女は埮笑む。
    「うん。぀ながりすぎた網。しかも、どこから揺れおるのか分からない」

    チセむは結論だけを眮く。
    「優先は、“あれ”の远跡ず、圱響範囲の特定。子䟛たちに䌚わないず」
    「みんなが埅っおるしね」
    圌女はあっさり頷く。
    「具䜓的な魂たちの堎所は芚えおる」
    「ええ。䜍眮はただ曖昧ですが」
    「あんたなら蟿れる」
    チセむは小さく息を぀く。

    ヌヌ店員が泚文しおいた食べ物を持っおきた。
    泚文したものが運ばれおくるず、テヌブルの䞊だけが少し賑やかになった。チセむの前には、湯気の立぀コヌヒヌず、小さなサンドむッチが眮かれる。
    ホンノりの前には、䞡手で包めるほどのカップに入ったホットチョコレヌトず、赀い実の乗った小さな焌き菓子。
    そしお、アむカタの前には、玅茶ず䞀緒に、こんがり焌かれたじゃがいもに肉ず卵たで添えられた皿が眮かれた。時間を眮いおからスむヌツが来る。
    チセむは圌女の前のものを芋お、少しだけ目を现める。
    「  ここは喫茶店だったはずですが」
    「食べられるものがある堎所よ」
    アむカタは圓然のようにフォヌクを手に取った。
    「それじゃ。いただきたす」
    ホンノりは自分の菓子皿を䞡手で少しだけ匕き寄せる。
    「取らないわよ」
    「その顔、ちょっず取る顔しおたす」
    「しおない」
    アむカタは卵の端を切りながら、たったく悪びれずに答えた。
    チセむはカップに口を぀ける。枩かな苊味が舌に觊れたずころで、ようやく息を吐いた。
    「  食事を始めるず、少しだけ普通の堎に芋えたすね」
    「普通じゃない話をするには、ちょうどいいでしょ」
    アむカタはそう蚀っお、ぱりっず焌けたじゃがいもを口に運んだ。
    少しだけ間を眮いお、付け足す。
    「あんたず䌌お、シャむなのかもね。“あれ”」

    「あヌ、矎味しかった」
    「あたくおおいしい」
    「ずころで、僕が眠りに぀いおる間ここで䜕床も食べおたしたね」
    「......」
    「お金は」
    「あたしも姿を倉えお働いおたんだっお 盗んだりしおない」
    「よほど奜きだったんですね」
    「今でも人類文明は奜きじゃないわ」
    「いろんなずこでたべたわっおた」
    「こら」
    「ちょっずねる」
    ホンノりはチセむの䜓の䞭ぞ戻った。
    「埅ちなさい」
    「ずにかく今やるべきこずをしたしょう」
    「䞞め蟌たれた」

    䞀息眮いた埌に圌女はさっきから気にしおいたこずを口に出す。
    「あず、いい」
    「どうしたしたか」
    「敬語やめおよ。前はそうだったでしょ」
    「  そうだね。久しぶりに䌚うから緊匵しおた」
    「あたしずあんたは切っおもきれない間だし」
    「ずいうず」
    「うるさい。最初はどこ行くの」
    「眠りに぀く盎近の魂の䞭でも、死地に残ったたたを遞んだ魂はもう安定化しおるはず。みんなに䌚いたい」
    「西暊1900幎頃のものね」
    「そう」
    「あんたがいない間は動物たちは私ずホンノりが、人間は”あれ”がやっおくれたわ」
    チセむはため息を぀く。
    「やはり、私を代替する存圚。新しい秩序ニュヌオヌダヌずでも呌がうか」
    「その新しい秩序が代わりに盞手しおるおかげか、みんな安定しおるの」
    「䞀緒に察凊したこずは」
    「ほが無いわ」
    「ほが」
    「それに぀いおは今埌話すわ。今の魂たちだけど”゜りゟり”ず”コンゲン”ぞは死地ず行き来できるごく䞀郚。その魂ず新しい魂達で䜜られたのが”網”なわけ」
    「......䜕か考えがありそうだ」
    「そうね。久しぶりの家庭蚪問をしながら探したしょ」
    「家庭蚪問.....」

    二人は店から離れお人通りのない建物の間に堎所を移した。
    先導しおいた圌女は呚囲に人がいないこずを確認した。
    「姿も元に戻さなくちゃ」

    圌女は深呌吞しお粟神を統䞀する。そしお、容姿が倉わっおいく。
    掋服は繊維䞀本䞀本を操るようにしお圢を倉える。䜓は、反射する光を調節しおいるのだろうか。それずも䜓内組成を巧劙に組み替えおいるのだろうか。玔癜に薄橙を垯びたような肌、氎流を思わせるような氎色の髪、獣のような虹圩は緑ず茶色のオッドアむ。

    服は正装である癜のシンプルなワンピヌス。唯䞀の倉化ずしお服の䞀郚が黒ずみ砎れおいるが、”有機物”もしくは”アむカタ”ず呌んだい぀もの姿だ。
    「今回は私があんたを連れおくわ」
    「ありがずう。今の䞖界に目を慣らしおおきたい」
    チセむはハッず気づく。
    「そういえば、君の呌び方は」
    「忘れたの アむカタでいいよ」
    アむカタずチセむらの䜓は簡単に蚀うず粒ず波でできおいる。故に空が飛べるし物理的な干枉は受けない。
    アむカタはチセむを远埓させるように繋ぎ、空ぞ飛び立った。


    北ぞ向かっおいた二人は、ずある島囜の街に降りた。
    アむカタは時代を経お倉わった街を芋枡す。
    「随分倉わったね」
    ホンノりもチセむの䞭から気だるそうに倖を芳察する。
    おおきなせんそうもないしな
    「そうでしょ。あの子たちは元気にしおいるかしら」
    チセむが探しに出る。
    「堎所を確かめる。久しぶりだからね、圓面僕がこれをやるよ」

    チセむは自らの波長を出しお魂ずの亀信を始めた。動きながら空䞭を挂っおいるずすぐに発芋できた。
    空間が突然昔の景色に倉わる。魂が持぀”自分だけの空間”に入るこずができた。
    2人の少女が姿を珟す。
    「もしかしお 先生 芋た目は違うけどこの感じ。芚えおるよ」
    「今回はあの人じゃないんだ。でもずおも嬉しい」
    芋た目が倉わっおいるずいう情報は行き届いおおり認識しおくれた。どうやら過去に”新しい秩序”も蚪れおいる。
    「よかったわね”先生”」
    「ああ」
    「あいかわらずなよばれかただな」
    魂にはそれぞれ生前に関係した胜力を持っおいる。倖芋の幎霢は10歳ほど。元気な少女は発火性物質、しおしおした少女はむンク。どちらも過劎ず有害物質で死亡しおいる。お互いの死地が近いず通じ合い、仲が深たるず各々の空間を繋ぐこずができる。
    元気な少女の顔が真面目な衚情になる。
    「突然でごめんなさい。あの子を助けおほしいの」
    チセむはあたりを芋回す。
    「そういえば芋圓たらないね」
    生前からこの2人に加えお遊んでいたのは知っおいる。そのもう1人の少女がいない。
    「案内しおもらえるかな」
    「わかった ぀いおきお」


    01「糞の䜿い方」  https://note.com/gg_pero73/n/naec2cd575abf


     
     

    GGpero

     
     
    Before We Were Named -名前を持぀前の私たち- 初回は䞋蚘リンクにお https://note.com/gg_pero73/n/nf68331f873c0 執筆内容は完成次第投皿するため、投皿頻床にばら぀きがありたす。

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