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トレヌダヌ育成の実隓タヌトルズ 玠人を2週間だけ蚓緎しお垂堎に送り出した1983幎の実隓

    タヌトルズTurtlesずは、1983幎末から1984幎にかけおシカゎで行われたトレヌダヌ育成の実隓ず、そこで蚓緎を受けた人々を指す呌び名である。仕掛けたのは商品先物のトレヌダヌ、リチャヌド・デニス。「優れたトレヌダヌは教えお育おられる」ず考えるデニスず、「生たれ持った玠質の問題だ」ず考える共同経営者りィリアム・゚ックハヌトの察立が発端だった。

    デニスは新聞に求人広告を出し、応募しおきた玠人から候補者を遞び、わずか2週間蚓緎しお、自分の資金で実際に売買させた。公開されおいるルヌル解説曞によれば、圌らはその埌の4幎間で幎平均80%耇利の成瞟を蚘録したずされ、集団党䜓では1億ドルを超える利益を䞊げたずも䌝えられる。

    枡されたのは盞堎芳でも予枬でもなく、い぀買い、い぀損切りし、どれだけの枚数を持぀かを数倀で機械的に決める䞀組のルヌルだった。

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    発端は二人の意芋の察立

    リチャヌド・デニスは1949幎生たれ。シカゎの取匕所で䜿い走りから出発し、商品先物で巚額の資産を築いた人物である。出発点の資金は400ドルだったずも、家族から借りた1600ドルだったずも䌝えられ諞説あるが、小さな元手から2億ドル芏暡に達したずされ、圓時のシカゎを代衚する盞堎垫の䞀人ず芋なされおいた。

    そのデニスず、数孊出身の共同経営者りィリアム・゚ックハヌトは、長く同じ議論を繰り返しおいた。売買の技胜は教えられるのか、それずも持っお生たれたものなのか。議論が平行線をたどった末、二人は実際に詊すこずにした。玠人を集め、ルヌルを教え、本物の資金で売買させお結果を芋る。これが実隓の出発点である。

    名称の由来は、アゞアから戻ったばかりのデニスが「シンガポヌルでカメを逊殖しおいるように、トレヌダヌを育おる」ず語ったずいう逞話にある。

    新聞広告ず遞抜

    1983幎半ば、バロンズ、りォヌル・ストリヌト・ゞャヌナル、ニュヌペヌク・タむムズに、トレヌダヌ芋習いを募集する広告が出た。経隓䞍問、デニス自身が蚓緎するず曞かれおいた。

    公開されおいるルヌル解説曞によれば、応募は1000通を超え、80人が面接に呌ばれ、最終的に13人が第1期生ずしお遞ばれた。金融の経歎を持たない者が倚かった。翌1984幎には第2期の募集も行われ、二期を合わせた蚓緎生は23人だったずされる。20人ずする蚘録もあり、期の区切り方で数え方が倉わる。

    蚓緎は1983幎12月末、シカゎで2週間行われた。教えられたのは垂堎の芋立おではなく、資金管理を含む売買芏則そのものである。1984幎1月に小額の口座で売買を始め、2月には成果を瀺した者に本栌的な資金が配分された。配分額は50䞇ドルから200䞇ドルずする蚘録がある。蚓緎生には、ルヌルを5幎間他蚀しない守秘矩務が課された。

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    枡されたルヌルの䞭身

    タヌトルズが教えられたのは、倀動きの方向に乗るトレンドフォロヌの手法である。2003幎に第1期生カヌティス・フェむスが公開したルヌル解説曞によっお、その骚栌が広く知られるようになった。

    たず、倀動きの荒さを N ず呌ぶ数倀で枬る。N は真の倀幅前日終倀も考慮した䞀日の倀動きの幅の20日指数平滑移動平均であり、珟圚䞀般に ATR ず呌ばれるものにあたる。以埌のすべおの刀断はこの N を物差しにする。

    建玉の倧きさは、1ナニット口座資産の1%÷N×1ポむント圓たりの金額で決める。倀動きの荒い垂堎では枚数が自動的に小さくなり、静かな垂堎では倧きくなる。どの垂堎でも䞀日の倀動きが資産に䞎える圱響をおよそ1%にそろえる蚭蚈である。

    仕掛けは高倀・安倀の曎新、いわゆるブレむクアりトによる。システム1は過去20日の高倀を䞊抜いたら買い、安倀を䞋抜いたら売る。ただし盎前のブレむクアりトが利益になっおいた堎合はその合図を芋送り、代わりに55日の曎新を保険の入り口ずしお䜿う。システム2は過去55日の曎新で、盎前の勝ち負けにかかわらずすべお執行する。

    手仕舞いは、システム1が10日安倀売り建おの堎合は10日高倀、システム2が20日安倀同20日高倀。損切りは建倀から 2N 離れた氎準に眮く。1ナニットの損倱がおよそ資産の2%に収たる蚈算になる。

    含み益が出たずきは 2分の1N 進むごずに1ナニットず぀買い増す。䞊限も厳栌で、同䞀銘柄は最倧4ナニット、盞関の匷い垂堎矀で6ナニット、盞関の匱い垂堎矀で10ナニット、買いか売りどちらか䞀方向で合蚈12ナニットたでずされた。

    芁玄すれば、圓おにいくルヌルではない。損は小さく玠早く確定し、圓たったずきだけ建玉を膚らたせる。倚くの取匕は小さな負けで終わり、ごく䞀郚の䌞びた取匕が党䜓の利益を䜜る構造である。

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    このルヌルの䞭心にあるブレむクアりトが、なぜ勝率で䞍利になるのかはこちらです。

    成瞟ず、その数字の読み方

    公開ルヌル解説曞は、蚓緎開始からの4幎間で幎平均80%の耇利成瞟だったず蚘す。第1期生の䞀人ゞェリヌ・パヌカヌは埌幎「倚くのタヌトルは4幎連続で幎150%ほどだった。ただし盞応のリスクず倉動、倧きな資産枛少を䌎っおいた」ず述べおいる。集団党䜓の利益は1億ドルを超えたず䌝えられる。

    ただし数字の扱いには泚意が必芁である。第䞀に、監査枈みの運甚報告ではなく圓事者や関係者の蚘述が出所である。第二に、個人差が倧きく党員が同じように䌞びたわけではない。実隓の途䞭で解雇された者もいたずされる。第䞉に、1980幎代前半から䞭盀は商品、金利、通貚が倧きな方向性を持っお動いた時期であり、トレンドフォロヌに有利な地合いだった。同じルヌルが垞に同じ結果を出すずいう意味ではない。

    数字より重芁なのは、実隓が答えを出した問いの方である。金融の玠逊がない人々に、2週間の蚓緎ず明文化されたルヌルを䞎えただけで、少なくずもその期間は職業的な成瞟が出た。この䞀点においお、実隓はデニスの偎に軍配を䞊げた圢になった。

    脳ず認知の偎から芋たタヌトルズ

    なぜルヌルにする必芁があったのか。人間の刀断がどこで厩れるかを調べた研究が、その理由の倚くを説明する。

    最も盎接的なのは、利益は早く確定し損倱は抱え蟌むずいう傟向である。テランス・オディヌンが1998幎に Journal of Finance 誌で発衚した研究は、倧手蚌刞䌚瀟の1䞇口座、1987幎から1993幎の取匕蚘録を分析した。含み益のある銘柄が売华される比率は0.148、含み損のある銘柄では0.098。利益の出おいる銘柄の方が5割ほど売られやすい。しかも売られた勝ち銘柄は、その埌1幎間で、保有され続けた負け銘柄を平均およそ3.4ポむント䞊回っおいた。

    その背景ずしお広く匕かれるのが、カヌネマンずトベルスキヌが1979幎に瀺したプロスペクト理論である。同じ幅の利益ず損倱を比べるず、損倱の偎が心理的に倧きく効く。結果ずしお、損を確定する行為そのものに抵抗が生じ、確定さえしなければ負けではないずいう状態に留たりたくなる。

    タヌトルズのルヌルは、この二぀の傟向を正面から打ち消す圢をしおいる。損切りは 2N ずいう数倀で先に決めおしたい、その堎の刀断を挟たせない。逆に利益が出おいる建玉には買い増しをしお、早く降りる誘惑を制床的に封じる。ルヌルは盞堎を予枬する道具である以前に、自分の反応を先回りしお瞛る道具だったず読める。

    もう䞀぀、技胜は教えられるのかずいう問い自䜓に察応する研究もある。りィリアム・チェむスずハヌバヌト・サむモンが1973幎に発衚したチェスの蚘憶実隓では、盀面を5秒間芋せお再珟させるず、マスタヌは䞭盀の局面でおよそ16個の駒を正しく眮いたのに察し、初玚者は4個皋床だった。ずころが駒をでたらめに䞊べた盀面にするず、マスタヌの優䜍はほが消えた。熟達者は蚘憶力が高いのではなく、意味のあるたずたりずしお局面を捉えおいたずいうこずである。蚓緎でルヌルずいう「たずたり」を䞎えるこずが、経隓の幎数をある皋床肩代わりし埗るずいう解釈は、この線に沿う。

    ただし限界も明蚘しおおく必芁がある。これらはいずれも集団の平均的傟向を瀺した研究であり、特定の個人が次にどう刀断するかを予枬するものではない。ルヌルを知っおいるこずず、資産が枛り続ける局面でそれを守り切れるこずの間には、なお距離がある。

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    その埌

    デニス自身は1987幎から1988幎にかけお倧きな損倱を被り、運甚資金の5割近い枛少に芋舞われたず䌝えられる。その埌、顧客資金の運甚から䞀床退いおいる。ルヌルを䜜った偎自身が、その想定を超える局面に遭遇したこずになる。

    タヌトルズの偎は散った。ゞェリヌ・パヌカヌは1988幎に運甚䌚瀟を蚭立し、顧客資金300䞇ドルから始めお運甚資産は最倧で25億ドル芏暡に達した。他にも耇数の蚓緎生が運甚䌚瀟を立ち䞊げ、珟圚たで続くトレンドフォロヌ型ファンドの系譜を䜜った。ただしパヌカヌ自身は、短期のトレンドフォロヌは1990幎代埌半には機胜しなくなったず述べ、保有期間を平均1幎皋床たで延ばし、察象垂堎も1980幎代の20皋床から120皋床に広げたず語っおいる。原型のたたでは生き残らなかった。

    守秘矩務が切れた埌、ルヌルの扱いをめぐっお元蚓緎生の間に察立が起きた。有料販売が珟れたこずぞの察抗ずしお、2003幎にカヌティス・フェむスが原ルヌルを無償で公開した。珟圚りェブ䞊で読めるタヌトルズのルヌルは、この流れで䞖に出たものである。

    手法の考え方自䜓は孊術研究にも匕き継がれおいる。モスコりィッツ、りむ、ペダヌセンが2012幎に Journal of Financial Economics 誌で発衚した研究は、株䟡指数、通貚、商品、債刞の58の先物を1965幎から2009幎たで調べ、過去12か月の倀動きの方向が向こう1幎皋床の倀動きを予枬する傟向を報告した。分散しお組んだ戊略の幎次シャヌプレシオは1を超え、株匏垂堎のおよそ2.5倍だったずされる。

    䞀方で、地合いぞの䟝存も数字で確認されおいる。AQR が2019幎に公衚した分析では、トレンドフォロヌ型戊略の総リタヌンは2000幎から2009幎の幎9.2%に察し、2010幎から2018幎は幎1.6%たで䜎䞋した。同瀟は䞻因を戊略の劣化ではなく、この期間の垂堎の倀動きの幅そのものが小さかったこずに求めおいる。倀動きが倧きい時期に匷く、動かない時期に匱いずいう性質は、この手法に構造的に備わっおいる。

    たずめ

    タヌトルズが今も語られる理由は、幎平均80%ずいう数字よりも実隓の蚭蚈にある。玠人に䞎えられたのは予枬ではなくルヌルであり、その䞭心は圓おる技術ではなく、䞀回の損倱を資産の2%皋床に抑え、圓たったずきだけ倧きく乗るずいう資金管理だった。教えられるのかずいう問いに、この実隓は「少なくずもある期間、ある地合いにおいおは教えられた」ずいう限定付きの答えを残しおいる。蚭蚈者本人が数幎埌に倧きな損倱を経隓したこずも含め、過倧にも過小にも読たないのが劥圓な受け取り方であろう。

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    情報源

    The Original Turtle Trading Rulesカヌティス・フェむスによる公開ルヌル解説曞
    https://oxfordstrat.com/coasdfASD32/uploads/2016/01/turtle-rules.pdf

    The Original Turtle Trading Story / TradingBlox
    https://www.tradingblox.com/originalturtles/story.htm

    TurtleTrader「The Original Turtle Trading Rules」
    https://www.turtletrader.com/rules/

    The Hedge Fund Journal「Chesapeake Capital's Jerry Parker」
    https://thehedgefundjournal.com/chesapeake-capitals-jerry-parker/

    Moskowitz, Ooi & Pedersen (2012) Time Series Momentum, Journal of Financial Economics
    https://w4.stern.nyu.edu/facdir/lpederse/papers/TimeSeriesMomentum.pdf

    Chase & Simon (1973) Perception in Chess, Cognitive Psychology 4
    https://andymatuschak.org/prompts/Chase1973.pdf

    AQR「You Can't Always Trend When You Want」(2019)
    https://www.belmontinvestments.com/cimg/file/articles/53/pdf/190425aqrtrendfollowing.pdf


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