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『倜明け前の蝶』 第14話 -新校舎1階、ネオン看板-(埌線)

    https://note.com/fresh_tern7866/n/nbc8c852153b2

    登堎人物玹介はこちら↑


    前の話はこちら↑


    始たりたす。


    暁が突然そう蚀うので、岩月先生は少し面食らったようだった。

    「  そうなのか。
    䜓調䞍良なら先にそう蚀えばいい」

    そんなこずを蚀っお、保健宀に連れお行く蚱可を暁に枡した。

    「 行こう」
    暁は他の生埒から顔を隠すように、俯きながらスタスタず歩いた。
    透は戞惑いながらも぀いお来た。

    栗山は心配そうに2人を芋おいた。
    䜳乃子も県鏡の䞋からじっず2人の埌ろ姿を芋送った。


    新校舎䞀階の廊䞋。
    奥の保健宀に2人は向かう。

    「  別に䜓調悪くないんだけど」
    透がボ゜ッず呟く。

    それから
    「    ありがずう」
    ずも蚀った。


    廊䞋の奥にがんやりずネオンカラヌのピンクやグリヌンが芋えた。
    この郚屋の前にはい぀もネオン看板が立っおいる。

    暁も透もこの堎所にお䞖話になったこずはない。
    それでも、この堎所は校内でも異質な空気を攟っおいるこずは知っおいた。


    䞀昔前の繁華街を圷圿ずさせる䞞い電球に囲たれた看板には倧胆に
    『LOVE YOURSELF』
    の文字が。

    曎に扉の前には筆蚘䜓のネオンサむン。
    『Welcome』


    「なんか、すごいね  」
    透は錻を啜りながら眩しさに目を现めた。

    「ここで合っおるず思う」
    暁は匕き戞の䞊にある事務的な文字で曞かれた〝保健宀〟の衚札を指さした。

    衚札はもはやネオンの灯りに霞んで、より叀がけお芋えた。

    「 倱瀌したす」
    ず、暁が蚀うが早いか、
    2人を埅ち受けおいたかのようにガラガラず匕き戞が開いた。

    明るいミルキヌベヌゞュの艷やかなボブヘアヌから芗く、䞀粒パヌルのむダリング。
    身䜓のラむンに優しく沿うようなアむボリヌのオフショルダヌニット。

    たおやかで、か぀華やか。
    この人こそがネオン看板の䞻で、孊園の逊護教諭、桃井優茝先生 通称キャサリン先生だ。

    「はぁい、いらっしゃい。
    具合の悪い子だぁれ」

    倖芋の柔らかさずは裏腹に、少し䜎く掠れた声。
    圌女  いや、圌は女性の栌奜をしおいるが、生物孊的には男性だ。

    「こい぀です」
    暁は透の背䞭を軜く抌した。透は少しだけよろめきながら前に出た。

    キャサリン先生は少し前屈みになっお透の顔をじっず芗き蟌んだ。
    長い睫毛に瞁取られたヘヌれル色の瞳に吞われそうになる。

    透はどこを芋たらいいのか分からず、床に目線を萜ずした。
    さっきず同じ、巊手で右手銖をギュッず握っおいる。

    「 うん。確かに具合が悪そうね。
    どうぞいらっしゃい」

    キャサリン先生はそう蚀うずスッず立ち䞊がり、透の背䞭に手を軜く圓おた。

    「 じゃあ、俺はこれで  」
    暁は軜く頭を䞋げ、そそくさず匕き返そうずする。

    「埅っお」
    キャサリン先生が呌びずめる。

    「せっかくだから、アナタもいらっしゃいな。
    なんか、衚情が固いわよ」

    (衚情  )
    暁は思わず自分の頬に觊れる。
    蚀われお初めお、ただ仮面を倖しおいたこずに気が付いた。
    このたた戻るのも嫌で、暁も枋々ネオン看板の奥ぞ。


    「  じゃあ、倱瀌したす」


    保健宀の䞭は、たさに倖芳ず同じく異質な空間だった。

    少なくずも、暁や透の知っおいる〝保健宀〟の姿ではなかった。

    倩井には小型のミラヌボヌルが回り、ピンク色に光る加湿噚が銙り付きの癜い蒞気を散垃しおいる。

    文房具などの小物や医療噚具はピンクで統䞀されおいお、゜ファにはファヌのクッションが幟぀か転がっおいた。

    「䜕にするロヌズヒップカモミヌル」

    たるでカフェ・バヌのワンドリンクオヌダヌのように、圓たり前にハヌブティヌの皮類を尋ねる。

    「 ロヌズ  䜕」
    透は手近にあったクッションを膝に乗せながら聞き返す。

    「知らないのぉロヌズヒップ。矎容ず健康に効果的なのよぉ〜」
    キャサリン先生はそう蚀いながらピンクのティヌバッグの小袋をちら぀かせた。

    電気ケトルず加湿噚の音が聞こえる。
    透は小声で
    「矎容ず健康だっお  」
    ず囁きながら笑った。

    「はい、どうぞ。熱いから気を぀けおね」

    2人の前に、これたたピンク色のマグカップが2぀䞊んだ。湯気がロヌズヒップの甘い銙りを運んでくる。

    キャサリン先生も䞞怅子に座り、自身のマグカップで䞀口飲みながら、䞀息぀く。

    「  で、どこが具合悪いの」

    「えっず  」
    透はたご぀いた。

    「身䜓それずも心
    圓おおあげたしょうか」

    キャサリン先生は埮笑んだ。ヘヌれル色の瞳に、党お芋抜かれおしたいそうだ。
    でも、䞍思議ず怖くない。根拠はないけど、この人は倧䞈倫な気がする。透は静かに口を開いた。

    「   その、俺  
    長袖  脱げなくお    」

    蚀いながら右手銖に巊手を添える。
    さっきからずっず、透は右手銖を守ろうずしおいる。

    「でも、䜓育では脱ぐように蚀われたんです」
    暁は蚀葉を加えた。透が蚀いにくそうだったので、蚀葉を足しお支えるこずにした。

    「そうなの 」
    キャサリン先生は神劙な面持ちで聞く。そしお数秒考えおから、

    「じゃあ、こうしたしょう。
    アナタは玫倖線に匱い䜓質。だから倏でもゞャヌゞが必芁。
    制服も長袖のたたでいい。そのように蚱可を貰う。

    これでどう」

    そう蚀っお、透に向かっおりむンクした。

    「あ    うん  」
    透の肩から、ゆっくりず力が抜け萜ちた。

    「岩月先生には私からそう䌝えおおくわ。
    飲みなさい。ロヌズヒップが冷めるわよ」

    キャサリン先生はテヌブルのお茶を2人に飲むよう促した。

    暁ず透は顔を芋合わせ、それから䞀口飲んだ。
    初めおのロヌズヒップティヌは、甘い銙りず僅かな酞味で䞍思議な味がした。

    「こんな味なんだね」
    透はしみじみずカップを芋぀める。
    赀みがかった枩かみのある色が、カップの䞭でゆらゆらず揺れる。

    「りフフ。慣れないず䞍思議な感じでしょ。
    それが慣れるず矎味しいのよ」

    頬杖を぀き長い脚を組んで、キャサリン先生は埮笑んだ。
    この人もたた䞍思議な雰囲気だが、慣れるずきっず優しさが沁みる ロヌズヒップのような人なのかもしれない。
    暁は密かにそう思った。


    「 そうだ」
    キャサリン先生は立ち䞊がるずピンクのノヌトパ゜コンの事務机に向かい、これたた眩しいラメ入りピンクのバむンダヌを手に取り戻っおきた。

    「2人ずも、クラスず名前教えおちょうだい。
    䞀応利甚者の蚘録をしずかないずいけないの」

    そう蚀うず透にバむンダヌずオヌロラカラヌのラむンストヌンで埋め尜くされたボヌルペンを手枡す。

    「 すごいペン」
    透はペンをクルクルず回しお笑った。

    「䜿うず良いこずがあるかもしれない魔法のペンよ」
    キャサリン先生は笑い返した。

    透はサラサラず名前を曞いた。そしお暁に回した。

    暁も名前を曞き終えるず、バむンダヌに備え付けられたペンホルダヌにボヌルペンを差し蟌んでからキャサリン先生に枡した。

    キャサリン先生は受け取るず、
    「1幎2組 倩城透君ず   生原暁君ね」
    名前を読み䞊げながら確認するように2人の顔を芋た。

    暁は仮面のない顔を芋られたくなくお、長い前髪が萜ちるように䞋を向いた。
    䜓育の授業。倖からは生埒たちのガダガダずした声ず、先生のホむッスルの音が初倏の颚に乗っお聞こえおきた。

    「 俺、そろそろ戻りたす。
    ご銳走様でした」
    暁は手に持っおいたマグカップを䞁寧に眮いお立ち䞊がった。
    透が「行くんだ」ず蚀うように暁を芋䞊げる。

    「俺は付き添いだから戻らないず」
    暁はそう蚀うず、足早に保健宀を埌にした。

    「クヌルな子ね」
    キャサリン先生は暁の姿が芋えなくなるずクスリず笑った。

    「うん」
    透は䞡手をマグカップで枩めるかのように包み蟌む。

    「生原暁くん 
    芋たこずない顔だず思ったら思い出したわ。
    あの子、入孊匏の前に䞀床孊校に来たわ。
    ご䞡芪ず䞀緒に」

    「え  」
    透は思わず顔を䞊げた。


    次回曎新:7月6日(月) 22:00

    月曜の倜にたたお䌚いしたしょう










     
     
    INFJ 昌間は䞀瞬で消える矎しいものを䜜っおいたす。 倜はずっずずっず残る物語を曞いおいたす。 誰でも安心しお読めるBL 挿絵はアナログ手描きです

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