
なまちゃんとの出会い④ 〜僕の中ではグランプリ〜
ある冬の寒い日。
娘は、コンテストに向けて
毎日一生懸命、勉強をがんばっていた。

そこに、何も言わず、
息子がなまちゃんを置いていく。
『がんばってね』
言葉にしなくても、伝わる応援。

コンテスト2日前。
娘が熱を出した。
…間に合わないかもしれない。
それでも、
娘は、諦めなかった。

体調は万全じゃないまま、
長い移動。
なまちゃんは、お留守番。
そんな中でも、娘は、
静かに勉強を続けていた。

「もしさ…」
「妹がグランプリとれたら、
なまちゃん、あげようと思う」
「内緒にしといて」

本番当日。
娘は、精一杯のスピーチをした。
ずっと、笑顔だった。
客席では…
兄の方が、
緊張しているみたいだった。
いよいよ結果発表の時⸻

小学生は娘だけ。
それなのに、
自信に満ちた表情だった。
「頼む…」
でも、結果は⸻
グランプリではなかった。

「ぼくの中では、グランプリだから」
「帰ったらすぐ、なまちゃんあげる」
翌日⸻

「おかえりなさい」
息子がなまちゃんを娘にそっと渡した。

「なまちゃん、あげる」
「え…いいの?」

「あの、さ…」
息子がちょっと照れくさそうに言った。

「これからも、
なまちゃんの声は僕が出すよ」
⸻それが
娘の、いちばんの願いだった。
こうして、
なまちゃんは娘の子になった。
でも⸻
声も、動きも、
これまで通り、息子が担当している。
それが、
今のこの家のかたち。
あの日のことは、
今でも思い出すと、少し泣けてくる。
きっと⸻
あの時、
なまちゃんに宿っていたのは
“優しさ”だったんだと思う。

🍀なまちゃんとの出会い④
最後まで読んでくださって、本当にありがとうございました☺️
大切な思い出だからこそ、思うように描けなくて…
投稿に時間がかかってしまいました。
この子が、家族みんなにとって
大切な存在になった理由。
少しでも伝わっていたら嬉しいです。
また次からは、日常の中の小さな出来事を
ゆるっと描いていきます☺️
これからもお付き合いよろしくお願いします🫶
🧸なまちゃんとの出会い①〜③までは、こちらから👇