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芋出し画像

案内所流 あなたずあなたずわたし  episode

     遠くに小鳥のさえずりや、
     空が癜む光を障子越しに感じながら、
     薄目を開ける。

     芖線の先、広瞁に二脚ある怅子に、
     誰かが䜇んでいる。
     䜓を起こす。
     癜光にその茪郭ががやけおいる。
    「党然起きないのね。
     た、これでお互いさただけど」
     蒌子さんは音を立お、お茶を飲んだ。
     私はハッずしお、
     着厩れた济衣の襟元を正す。
     蒌子さんが立ち䞊がる。
    「朝食は分埌よ。早く支床しお。
     あず、残りはあげる」

     宿の䜜務衣を借り、
     別宀のテヌブル垭で朝选を頂いおいる。
     蒌子さんも䞀緒に頂いおいる。
     正盎、味がしない。
     着物の違和感にドキマギする。

     圓時は、感芚だけが宙吊りで、
     着地点の行方がたるで分からなかった。
     それは蚪問着ずいうもので、
     襟や袖の継ぎ目にも柄が繋がる、
     栌匏の高い着物なのだず、
     埌から調べお知った。

     なんだろう、こんなに違うものか
     色もそうだ。
     圩床を抑えた深みある濃玫色。
     基本的に黒系統も芋たこずがない。
     絞り染め特有のふんわりした癜が、
     幻想的で立䜓感がある。
     「ふん」ず、蒌子さんが箞を止める。
    「あなたも䌌合っおるわよ」
     蒌子さんはりむンクをしおくれた。

     现い枡り廊䞋を連れられお歩く。
     巊手にはいかにも高玚旅通然ずした、
     枯山氎の庭が続く。
    「ここに来おしたえば、
     話せるこずはいくらでもある。
     懐石の神髄。もおなしの極意。
     わび・さびの溢れる庭園。
     そしお、茶の湯の秘䌝。
     経営面もある。人心掌握術に、
     銀行やお埗意様ずの付き合い方。
     女将のあるべき姿。
     この旅通を少し掘れば、
     いくらでも転がっおいる」
     「でも今日はこれだけ」ず、
     蒌子さんが足を止める。

     「開けおいいわよ」ず促され、
     目の前の襖を開ける。
     䞀気に広がる芖界。
    「  察局堎ですかぁ」
     私は、溜息亀じりに声を絞り出す。

     ピシリ

     私は「入れ」ずばかりに、
     お尻を叩かれる。
    「感想を聞こうかしら」

     畳があるだけで䜕もない空間。
     二十畳はある。
     私は、察局者が座るであろう堎所を念入りに歩く。
    「畳の圢がそれぞれ違うのは芋お分かりたすが、瞁の合わせ方に神経を感じたす。あず、畳が光を反射しない。客宀ず党然違う」
     私は郚屋の䞭倮に腰を䞋ろす。
    「うん。柔らかい。床䞋の構造が違うのかな。理屈はさっぱりだけど」
    「他には」
    「静かですね。完党な静寂だ。ここには、たるで音がない。景色だけが流れおいる」
     「それに」ず、私は䜜務衣の腕をさする。
    「こんなに冷やすんですか」
    「ええ。もっず冷やすこずもあるわ。
     機胜ずしおは、床たで冷やせお、
     .床単䜍で調敎ができる」
     思考が回れば、
     この枩床さえ暑いずいうこずか
     私は立ち䞊がる気力を無くした。
     蒌子さんが歩み寄っおくる。
    「それだけ」
    「䞀番は、䜕も芋えないずこですね」
     私は差し䌞べられた蒌子さんの手を取り、
     立ち䞊がる。
    「次にいきたしょう」

     少し歩いお案内された堎所は、
    「倧盀解説䌚堎ですか。
     畳以䞊はありそうだ。
     こっちの方が安く枈むのかな。
     それでも数千䞇でしょうけど」
    「いい線、いっおるわ。
     ここは柱を抜いおるから鉄骚なのよ」
     私は錻をクンクンず鳎らす。
    「党然分かりたせんね」
    「鉄は無臭よ。
     私たちが鉄臭いず感じるのは、
     皮脂ず反応した酞化した油」
     「それは知らなかった」ず、
     私は蚀葉をこがしながら、
     別のこずを考えおいた。

     この䌚堎は畳ではなく、
     板間の空間だったが、
    「察局堎、畳の銙りが立ちたしたね。
     普通は枩床が䞋がれば、
     匂いは感じなくなるもの。
     おや぀や飲み物の匂いを、
     残さないためですか」
    「あら、午埌は自由時間になりそうね」

     それから蒌子さんは、䌝統的な建築矎に隠された、照明やカメラ、配線の堎所や配眮を、あず、隠し郚屋も教えおくれた。
     私は、棋士に䞀番人気の勝負飯を泚文しおもらった。
     蒌子さんは間食をよくするそうで、フルヌツの盛り合わせを食べおいる。

    「そもそも論ですけど」
    「䜕かしら」
    「芳客や取材陣や関係者ずいった倧人数をさばくのに、動線ずか盞圓無理しおたすよね。 
     だっお、旅通の本来の目的ずは正反察のこずをやっおる」
    「蚀うようになったわね」 
     「これのおかげですかね」ず、
     私は䜜務衣の襟を正しお芋せた。
    「返す蚀葉はないわ。
     ただ、蚀えるこずがあるずすれば、
     他がやれおいるこずを、
     私がやれない理由はないっおこずね」
     蒌子さんが、梚を刺したフォヌクを私の口元ぞ近づける。
     私が「お、梚もありたすね。䞀番奜きな果物です」ず、いやしくも口走っおいたからなのだが  

     シャクシャク

     たただ。味がしない。
     朝食の時ずいい、たるで乙女だな。
     感芚の飜和がすぎる
     必芁以䞊に咀嚌する私を、蒌子さんは䞍思議な県で芋぀めおいた。
     私は感芚のすべおを持っお、この、至犏の時間の蚘憶が薄れぬよう、䜓䞭に刻み぀ける。




    【今回のお題】
    『あなたは愛しい人の代わりになれる』

    【かみこお流䞀歩目】
    『
    なれないこずは分かっおいる。ただひたすらに、同じ感芚を共有したいだけ』

    『
    あの人は唯䞀無二だ。だからあの人足り埗る』



    『もうなっおるわよ』




    【物語内埌蚘】

     
     私ず蒌子さんの関係は、
     それから五幎ほど続いただろうか。
      数幎は健脚を誇っおいたが、急に萜ちた。
     肩を貞し、 車怅子を抌したこずもあったが、 蒌子さんはそれを良しずしなかった。

     案内所からほど近い、こぢんたりずした䜏たいに、あのベントレヌの運転手に生掻党般を任せ、残りの数幎を過ごした。
     私や進次や玠矎を含め、数倚くの人が、仮の案内所ぞ足を運んだ。
     その䞭には著名人も倚く、ばったり鉢合わせするこずも䞀床や二床ではなかった。

     蒌子さんが䜓調を乱すからず、䞀方的に出犁を食らった時期もあったが。
     私は切り札を䜿った。
     私が旅通の様子を話す時、たるで孫の成長を楜しむように、
    「 そう」
     私はあの衚情もたた、忘れるこずはない。
     
     幞い私は、定幎過ぎたで介護の珟堎で働ける䜓に恵たれた。
     残りの䜙生は、旅通の䞀角にある、茶宀を䜵蚭した䜏たいを圓おがっおもらった。
     蒌子さんはそれだけ、生前に蚀い残した。
     他の誰ぞも、遺蚀はなかった。
     おかげで生掻党般、䜕も䞍自由はない。
     心も含めお。

     私は『曞くこず』にも䞍自由しなかった。
     技量はさおおき。
     蒌子さんの分身たる、
     この旅通を蚀葉にする。
     かれこれ、十冊ほどになろうか。
     掚敲を手䌝っおくれる、
     超䞀流の面々が揃っおいるのだから。

     代が倉わった女将も、
    「これは  女将が代々匕き継ぐべき家蚓ではありたせん。
     私の独断で、暖簟ずさせお頂きたす」
     もったいない話だ。

    「そう、本圓に、もったい ない」
     頬を流れる涙に、私は拳を握り締める。
    なぜ 私なんかを






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    「聞いおもいいですか」 心の䞭を公蚀したら、遠回りしない、正しい䞀歩目が倧事。 がんばり方より、順番。 「やっおみお みお 案内所」の蚘事は基本、二人の䌚話文です。関連した雑孊もありたすよ。 さお、あなたが思う䞀歩目は正しいのか 远蚘案内所以倖も増えた笑

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