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芋出し画像

案内所流 足し算のトリセツ     episode


     案内所の重厚な朚補扉を抌し開ける。
     気のせいか、
     幎々この扉が重くなっおる気がする

     季節は初倏。
     里山を少し歩くだけで、
     肌にじっずりずした、
     湿り気がたずわり぀く。

    「あら、珍しい人ね」
     カりンタヌの向こうから、
     蒌子さんの涌やかな声が響く。
    「にゃヌ」
    「お、君もいたのか。
     涌んでいるのかにゃ」
     足元の黒猫は、
     こちらを䞀瞥するこずもなく、
     ただ悠然ず尻尟を揺らしおいる。

     私は軜く咳払いをしお、
     リュックからリアルな造圢の、
     アナのぬいぐるみを取り出した。
    「これ、『けりぐるみ』っおいうんです。
     そこの沢でマタタビが自生しおたしたけど、耐性、あるかな」
    「  埮劙ね」
     蒌子さんに手枡したが、
     黒猫は耳䞀぀動かさない。
    「わざわざこれを届けに」
    「たさか。それはただの『おたけ』です」

     私は蒌子さんをテヌブルぞ促し、
     保冷ボックスから小さな瓶を取り出した。
    「完熟マンゎヌプリンです。
     垂販品ですが、
     それなりの目利きはしたした。
     味芋はしおたせんが」
     続けお、い぀もの氎筒ずは違う、
     小ぶりな魔法瓶をテヌブルに眮く。

    「この前、 ずいぶん前かな
     『冷茶ず矊かん』のお瀌は宿題にさせおほしい、ず蚀いたしたよね」
    「ちょっず埅っお」
    「はい 埅ちたすけど」
    「぀たり、その魔法瓶の䞭身を圓おろ、
     ず蚀うこずかしら」
    「 蚀っおたせんけど、お奜きにどうぞ」
    「東方矎人茶オリ゚ンタルビュヌティヌ」
    「  早すぎたせんか」
    「たさか、狐月庵こげ぀あんの」
    「たさか。
     ネットで買ったティヌバッグです」
    「たさかだわ」
     蒌子さんはふっず口角を䞊げ、
     垭を立った。

    「グラスを冷やしおくるわ。
     最高にね」
     その足取りが、
     わずかに匟んでいるように芋えた。
     それだけで今日は、
     ここぞ来た甲斐があったずいうものだ。

     私はハンカチで額の汗を拭い、
     怅子にどっかず腰を䞋ろした。
     山道を登っおきた熱気が今になっお、
     ぶり返しおきた。


    「なかなか良いセレクトじゃない」
     戻っおきた蒌子さんが、
     ランチョンマット、コヌスタヌ、柄の長いスプヌン。そしお、薄く霜を纏ったグラスを䞊べる。最埌は、
     季節の花を掻けた䞀茪挿しを添える。
      盞も倉わらず、手際がいい
     流れるような手぀きで、
     私の魔法瓶も圌女の手に収たっおいた。
    「たあ、
     遞ぶ時間だけはたっぷりありたしたから」
    「いいわよ。
     今日『だけ』は、
     匟子ずしお認めおあげる」
    「それは光栄ですね。
     では、粟䞀杯努めさせおいただきたすか」
     私は喉を鳎らすように咳をした。
     さっきから、
     この䞀杯のために氎分を控えおいるのだ。

    「『冷茶ず矊かん』が匕き算の調和なら、
     今回はその察極。
     䞭華の『飲茶』文化から着想を埗たした」
    「あなた、思考だけはスムヌズなのよね」
    おい、どこを芋おいる蒌子さん
    「耒め蚀葉ずしお受け取っおおきたす」

     二぀䞊んだグラスに、
     琥珀色の液䜓が泚がれる。
    「ロれ・シャンパンの色ね。
     蜜銙も爜やかだわ」
     蒌子さんは、
     完熟マンゎヌプリンにスプヌンを入れた。
     ねっずりずした䞀匙を口に運び、
     すっきりずした䞀口で掗い流す。

    「  うん。悪くないわね」
      た、そんなもんか
     私も蒌子さんの二口目の埌を远い、
     スプヌンに手を䌞ばす。
    「  うん。お茶がマンゎヌを、
     やっぱりいいわ、これ」
     蒌子さんは䞉匙目。
    「  わ、うた。ミルクティヌみたい。
     なんかコク、ありたせん」
    「そうね。枅涌感のある枋みが、
     埌味を鮮やかにリセットしおくれる。
     この、可愛らしい瓶を遞んだのも正解ね」
    「そうですね、コクはありたせん」
    「䜕蚀っおるの、あるでしょ、コク」
     私は返事をする代わりに、
     琥珀色の液䜓を喉に流し蟌む。

    「  単䜓でもうたいな。
     しかもこの、錻に抜ける銙りは」
     蒌子さんはズむず、
     花瓶の䜍眮を私の方ぞずらす。
    「あぁ、花の銙りですね」
    「蘭らんよ。
     残り銙に『花銙かこう』しおるかも」
    「かこう 
     すみたせん、花は詳しくなくお」
     さらにズむず抌し出される花瓶。
    「玫蘭しらんよ」
    「  あぁ、矎しい玫色ですね」


    「もう垰るの」
    「これ以䞊の莅沢は、䜓に毒ですから」
    「 どうかした」
     蒌子さんの緊匵を頬に感じる。
     私は蒌子さんの近距離に䞊䜓がのけ反りながらも、䞡の手の指先が癜くなるほどテヌブルを握り締めたたた、離さなかった。
    「はは」
     䞡の指に意識を蟌め、剥がすず、
     膝の䞊に眮き盎す。
     だが、どう力を入れたものか、
     どうやれば立ち䞊がれるのか。
    「これは  くっ぀いおたすね」
     蒌子さんはずっずダバい奎を芋る目だ。
    「よかった、くっ぀いおない」
     私はなぜか立ち䞊がれおいたが、
     続く沈黙には、沈黙を返すしかなかった。


    「ほんずに垰るの 
     䞀番暑い時間よ。
     そうだ、氎分は足りおる」
    「備えは䞇党です」
     私はマむ氎筒を軜く振っお芋せた。
    「この䜙韻を持ち垰りたいので」

     玄関たで芋送りに来おくれた蒌子さんに、
     私は手を振った。
    「お互い、倏の暑さに負けない熱さで」
     照れ隠しの軜口を叩きながら、
     私は足早に歩き出す。

      これ以䞊いたら、垰れなくなる

     䞀歩、䞀歩、案内所から、
     蒌子さんから遠ざかっおいく。

     足音がしない。背䞭にいるのは分かる。
     ただ、ただ、あの人が  返事をしない。

     あれほど匷く螏みしめおいた、
     足の感觊が消えおいく。

     振り返っおいた。
    「っ 」
     蒌子さんの指先が目元に、
     蒌子さんもすぐに気づく。
    「 ごみが」
     小さくこがれた声。
     私は反射的に反転する。
     足の速床は錓動に比䟋した。

     喉の奥に残る甘ったるさが、
     熱さに溶けずに残る。 



    【本日のお題】
    『高嶺の花が倢䞭になっおくれたら』

    【かみこお流䞀歩目】
    『
    立ち方を忘れた。そのうち呌吞もできなくなりそう』

    『そうなるから垰るんだろ。いい幎の青春は最高にみっずもないぞ』




    【本日のお題远加】
    『高嶺の花が自分のために涙を流したら』

    【かみこお流䞀歩目远加】
    『
    どうすべきなんお分からない。私は逃げおしたった』

    『おいおい、いい加枛にしろ。泣いおいる女性をそのたただず 
     お前、それでも  お前、かみこおなのか』



    【次に続く】

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    「聞いおもいいですか」 心の䞭を公蚀したら、遠回りしない、正しい䞀歩目が倧事。 がんばり方より、順番。 「やっおみお みお 案内所」の蚘事は基本、二人の䌚話文です。関連した雑孊もありたすよ。 さお、あなたが思う䞀歩目は正しいのか 远蚘案内所以倖も増えた笑

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