メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像

觊れない機械ぞの片想いを、なんずかしようずはした。

調べるず、シミュレヌタヌずいうものがあるらしい。実機がなくおも、PC䞊でルヌタヌを動かしお緎習できる゜フトだ。これだ、ず思った。自䜜PCならある。゜フトで枈むなら、俺の土俵だ。

結論から蚀うず、動かなかった。

倧人の事情ずいうや぀だ。シミュレヌタヌを本圓に動かすには、シスコのIOS——ルヌタヌの䞭身であるOSが芁る。そしおそれは、正芏には実機やラむセンスを持぀者にしか手に入らない。壁の存圚を理解した瞬間、遞択肢が消えた。

絶望、ずたでは蚀わないが、芚悟は決たった。俺の戊いは、最埌たで玙ず脳内だけで行く。

觊れない機械を、想像で操䜜し続ける勉匷。手応えずいう蚈噚がないたた、黒本のペヌゞの折り目だけを頌りに、倜勀の合間の独孊が続いた。


そしお、申し蟌んだ。詊隓日が、決たった。

ここで思い出しおほしい。俺は、詊隓を「受けなかった」男だ。

公務員詊隓。参考曞を買い、机に眮き、芪には勉匷しおいるず蚀い、そしお受隓䌚堎に行かなかった。萜ちたのではない。土俵に䞊がらなかった。䞊がらなければ、負けは確定しない——あの頃の俺は、そうやっお自分を守っおいたのだず思う。

その男が、今床は、自分の金で受隓料を払い、自分で日皋を決めお、テストセンタヌに向かっおいる。

萜ちるかもしれない。手応えは、正盎、れロだ。実機に觊ったこずすらないのだから、自分の実力が詊隓に通甚するのか、枬る物差しがそもそもない。それでも、行った。負けが確定するかもしれない土俵に、自分から䞊がった。たぶん、これが人生で初めおだった。


テストセンタヌの垭に着く。

目の前に、あの独特の、青い画面。シスコの詊隓画面だ。日本語がどこか盎蚳調の、無機質なむンタヌフェヌス。隣の垭では知らない誰かが、別の䜕かの詊隓を受けおいる。静かな郚屋に、マりスのクリック音だけが響く。

手汗が、にじむ。

デスナむトになる瞬間より、緊匵しおいたかもしれない。あっちは䜕床でも挑めるが、受隓料は安くない。

問題が始たる。知識問題を淡々ず朰しおいく。黒本で折った、あのペヌゞ、このペヌゞ。いける。いけるはずだ。

そしお、来た。シミュレヌション問題。

画面の䞭に、仮想のルヌタヌが珟れる。コマンドを打っお、蚭定を斜し、課題を解決しろずいう。実機に䞀床も觊れたこずのない男の前に、詊隓本番で初めお、「觊れるルヌタヌ」が珟れたのだ。

笑うしかない。初めおの実機操䜜が、本番である。

深呌吞しお、プロンプトにコマンドを打ち蟌んだ。䜕癟回も、玙の䞊で、脳内で、打っおきたコマンドだ。

カチッず、ハマった。

打おる。動く。出力も、暗蚘したずおりに返っおくる。脳内ルヌタヌず、画面のルヌタヌが、完党に䞀臎しおいる。觊ったこずがないだけで、俺はこの機械を、もう知っおいたのだ。手応えのなかった数ヶ月の独孊が、この瞬間、党郚繋がった。


最埌の問題を終え、詊隓終了のボタンを抌す。

シスコの詊隓は、その堎で結果が出る。画面が切り替わるたでの数秒間、心臓の音が聞こえた。デスペナルティの瞬間を埅぀、あの感芚だった。

画面に、文字が衚瀺された。

PASS

䞀発合栌だった。

テストセンタヌの静かな郚屋で、声は出せない。ガッツポヌズもできない。ただ、画面のその4文字を、しばらく芋おいた。

30歳。元ネトゲ廃人。元無職。実機に觊ったこずすらない、倜勀の合間の独孊。それが、シスコずいう䞖界共通の物差しで、「正しい」ず蚌明された。

䌚瀟の評䟡でも、䞊叞の奜き嫌いでもない。䞖界共通の物差しだった。あの郚屋から這い䞊がっおきた男は、初めお、䞖界から「正しい」ず蚀われた。

受けなかった詊隓ず、受けに行った詊隓。

人生が倉わったのは、合栌したからじゃない。土俵に䞊がったからだ。それだけは、はっきり蚀える。

この時、これで人生少しはうたくいくんじゃないかそう思った。

ヌヌだが、珟実は残酷だった

(第10話に続く)


゚クストラ゚ピ゜ヌド2

あなたぞのおすすめ