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#10 FAILEDネトゲ廃人が珟実を攻略する話

    CCENT詊隓で芋た、あのPASSの文字は、俺に資栌以䞊のものをくれた。

    自信だ。䞖界基準で「正しい」ず蚀われた男は、欲が出る。芖線が、自分の足元に向いた。

    䞭小䌁業の、正瀟員。

    30歳で掎んだ足堎は、確かに固い。でも、芋䞊げれば倩井も近かった。この構造の䞭にいる限り、倧幅な昇絊は芋蟌めない。絊䞎テヌブルずいうのは残酷で、個人がどれだけ匷くなっおも、噚の倧きさ以䞊には払われないのだ。

    レベルは䞊がった。装備も埗た。なら、より䞊䜍の狩堎に行くべきだ。

    俺は、人生で初めおの転職掻動を始めた。


    ここで立ち止たっおほしい。「初めおの転職掻動」ず、さらっず曞いたが、これは俺にずっお、ずんでもない決断だった。

    転職掻動ずは、面接の連続である。

    面接。就掻で俺を党滅させ、ハロワで即萜ちさせ、「面接で勝負が決たるルヌトを降りる」ずたで蚀わせた、あの面接だ。俺はそこから逃げ続けお、入れる扉から入り、手で実瞟を積んで、ここたで来た。

    その俺が、自分から面接の山に登りに行く。

    でも、今床は違うはずだった。あの頃の俺には䜕もなかった。今は、CCENTがある。立ち䞊げの実瞟がある。コヌルセンタヌで矯正した䌚話力がある。空癜期間を取り繕う面接じゃない。積み䞊げたものを䞊べる面接だ。装備が違う。

    実際、違った。

    曞類が、通る。䞀次面接が、通る。次も、通る。就掻で党滅した男の経歎が、面接官を頷かせおいる。手応えずいう、人生で瞁のなかったものが、確かにあった。

    そしお、蟿り着いた。

    倧手通信䌚瀟の、最終面接。

    ネットワヌクを孊んだ男にずっお、通信䌚瀟は本䞞だ。自分が監芖しおきたネットワヌクを、今床は䜜り、支える偎。受かれば、絊䞎も、環境も、キャリアも、すべおが䞀段䞊のステヌゞに倉わる。

    あのコミュ障が、぀いに、掎みかけおいた。


    実務の話はできた。積み䞊げおきたものだからだ。

    ヌヌだが
    「あなた自身に぀いお、教えおください」。

    その瞬間、蚀葉が止たった。

    聞かれたこずに、うたく答えられない。話し始めおも、途䞭で倱速する。次の蚀葉が、出おこない。気づけば、郚屋に、無蚀の時間が䜕床も萜ちおいた。偉い人たちが䞊ぶ前で、しどろもどろになっおいる自分を、俺は、自分で芋おいる感芚だった。

    面接宀を出たずきには、もう分かっおいた。手応えは、なかった。

    それでも、結果はすぐには来なかった。

    1週間、埅った。手応えがなかったこずは分かっおいるのに、なぜか、心のどこかで、可胜性を探しおしたう。「二次面接たで進めば、倧抵萜ちない」——そんな趣旚の蚘事を、ネットで探しお読んだ。䜕の裏付けもない話だず分かっおいながら、それにすがっお、なんずかならないかな、ず思いながら過ごす1週間だった。

    手応えのない面接をした男が、郜合のいい蚘事に望みを蚗す。滑皜だず思う。でも、あの1週間は、そうやっお、なんずか気持ちを保っおいた。

    そしお、1週間埌。

    お祈りメヌルが来た。

    芋慣れた文面だった。ご期埅に添えず、今埌のご掻躍を——就掻で䜕十瀟にも蚀われた、あの蚀葉。8幎経っおも、倧手の最終面接でも、この文面から逃げられなかった。

    萜ちた。

    敗因は、分かっおいる。技術でも、経歎でもない。

    最埌の最埌で、あの頃の俺が出た。

    䞀次や二次の面接は、いわば実務の話だ。䜕をやっおきたか、䜕ができるか。手で積んできた男には、語れるものがある。でも最終面接は、違う堎所だった。偉い人たちを前に、実務ではなく「自分」を語る堎。その瞬間、コヌルセンタヌで矯正したはずの䜕かが、音を立おお剥がれた。

    甚意しおいたはずの自分が、出おこない。代わりに出おきたのは、あの郚屋にいた頃の、芖線から逃げる俺だった。

    矯正は、治癒ではなかったのだ。電話越しの䌚話は鍛えた。実務の説明もできる。でも、初察面の暩力者の前で自分自身を売り蟌むずいう、あの就掻で党滅した堎面——その最深郚だけは、8幎経っおも、攻略できおいなかった。

    珟実は、残酷だった。


    正盎に蚀うず、ショックは、かなり倧きかった。

    人生が䞀段倉わるず思っおいた。あの1週間、期埅しお埅っおいた分だけ、萜ちたずきの萜差も倧きかった。しばらく、頭の䞭でお祈りメヌルの文面が、䜕床も再生された。

    ——ああ、やはり俺は、他瀟には通甚しないんだな・・・

    今の䌚瀟では、実瞟を積めた。でも、それは、積み䞊げた信頌があったからかもしれない。䞀歩倖ぞ出れば、その貯金は消える。最埌には、あの頃の俺が顔を出す。だずしたら、俺ずいう人間は、今の堎所に守られおいただけで、倖の䞖界では、倧したものじゃないのかもしれない。

    8幎間動かなかった自分の臆病さも、あながち的倖れじゃなかった気がしおくる。倖に出れば、最埌はたた届かない。その予感は、今回も倖れなかった。

    それでも、忙しさの合間に、冷静になっお、戊果を数える瞬間もあった。曞類は通った。䞀次も二次も通った。元無職の経歎ず独孊の資栌は、倧手の遞考で通甚した。萜ちたのは、最終の、自分を語る力だけだった。党滅じゃない。匱点の䜍眮が、ピンポむントで特定できただけだ。

    そしお、もう䞀぀気づいたこずがある。

    倖の扉は、閉たった。だが、昇る道は、䞀぀じゃなかった。

    (第11話に続く)

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