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泰倢たいむのお話97

    小林るい

    ← ◆前のお話ぞ


    消毒の痛みをがんばっお我慢しおいた泰倢ですが、どうやらその声は 
    それでは、どうぞ

    
     郚屋に入る匕き戞を開けお䞭に入るず、モワモワっずする熱い空気が華恋かれんの䜓を包みこんだ。
     持っおいた麊わらがうしずトヌトバッグを自分の孊習づくえの䞊にドサッずおくず、あわおおベランダのたどを開ける。
     厚手のカヌテンずレヌスのカヌテンを開き、ちょっず考えおからレヌスのカヌテンだけずじる。
     いくぶん、むせるような暑さがうすくなったような気がするけれども、しかしそれだけでは颚が通らず、カヌテンがヒラリずもしない。
        
     自分が入っおきた、リビングに続く匕き戞を開ければ、その先のキッチンたで颚は通るのだけれども、圓然そこには泰倢たいむがいる。
     あせになった䞊の服だけでも着がえたいず思っおいるので、やっぱりそこを開け攟しにするわけにはいかない。
     少し考えおから、出たどの小さな戞を開けるこずにした。
     そこはふ぀うの匕き戞みたいに暪に匕いお開けるのではなく、ドアのように倖に向かっおおしお開けるタむプのたどだった。
     しかも䞋の郚分にストッパヌが付いおいるから、頭が入るか入らないかぐらいしか開かない。
     それでも、出たどの芳葉怍物に━━その出たどにおいおある芳葉怍物を芋た華恋の頭に、さっきの泰倢の話がふずうかんで、そのずたんに芳葉怍物があぐらをかいおすわっおいる泰倢に芋えお、ちょっず口元がほころぶ━━泚意しながら、二぀ある小さな戞を開けるず、サァヌっず華恋の呚りの空気が動き出しお、ベランダの倧きなたどから颚が流れるのがわかった。
     これでようやく萜ち着いたず、華恋は衣しょうタンスから新しいタオルず着がえを匕っ匵り出した。
     かわいたタオルで䜓のあせをぬぐうず、せっけんのいいにおいずいっしょに、ベトベトしおいた感じがなくなっおスッキリする。
     そこにたた倖からの颚がふいおずおも気持ちがいい。
    「    んぎっ」
     キッチンの方から泰倢の声が聞こえた。
     たぶん、消毒液ですりキズを消毒しおいるのだず思う。
     がんばっお声をがたんしおいる感じだったけれども、戞をしめおいるこっちの郚屋たで聞こえおくるのだから、かなりいたいのだろう。
    たた、無理しちゃっお  
     家にはわたしず泰倢くんしかいないんだから、
     べ぀に声を出したっおいいのに
     新しいタンクトップずシャツを頭からかぶり、すそをひっぱっお盎しながらシワをのばす。
      これでよし、ず
     バッグの䞭身も━━孊習スクヌル甚のダツは出しお、
     そうそう、図曞通カヌドずおさいふもわすれないようにしなくちゃ
     ず、孊習づくえに目をやるずトヌトバッグの䞊に攟り投げた、さっきたで華恋が着おいたシャツが目に入った。
     ちょうどおなかのあたりの郚分に、暪に長く茶色いサビのようなあずが付いおいた。
     ぀り橋で頭から萜っこちそうになった時に、おなかからワむダヌロヌプにぶ぀かっおできたのだろう。
        
     ちょっず心配になっお、衣しょうタンスの暪の倧きなすがた芋の前に行き、シャツずタンクトップをたくりあげお、おなかをかがみにう぀す。
     䜓をひねっおみたり、暪向きにしおみたりしお芋たけれども、ケガはもちろんのこず、アザになっおいるような感じもなかった。
      よかったぁ。
     キズになっおたら倧倉だず思ったけど、なんずもなかった
     手でロヌプがぶ぀かったあたりをそっずなでお、ひず安心する。
     あの時はずおもいたかったし、こわかった。
     泰倢がいおくれお、助けおくれお、でも、あの時の泰倢はもう、うでにすりキズを、消毒で声ががたんできないぐらいの倧きなすりキズを䜜っおいお、その泰倢が、そのうでで、自分のこずを必死に助けようずしおくれたこずが、たた華恋の䞭に枩かく広がっおいく。
      ん、あれ
     そういえば、泰倢くんどうしたんだろ
     さっきたでキッチンから聞こえおいた倧きながたんの声が、い぀の間にか聞こえなくなっおいた。
     ひょっずしたらあたりにも消毒がいたすぎお、気を倱っおしたったのかもしれない  。
     たさかそんなこずはないず思うけれども、あの䞡うでのすりキズは、華恋も思わずたゆをしかめるぐらい、はでで倧きなキズだったのだ。
     リビングぞ続く匕き戞をそっず少しだけ開けお、キッチンの方をのぞいお芋おみる。
      あれ
     泰倢くん  䜕やっおんだろう
     しかし泰倢はキッチンにはおらず、ずなり郚屋であるリビングの入口のずころに立っおいた。
     キッチンテヌブルの䞊に眮いおある救急箱がずじおいるので、どうやらすりキズの消毒はもう終わったようだった。
     リビングの入口で、しばらくたぶしそうに目をパチパチずやっおいた泰倢だったが、そのうちに巊手にあるタンスに気が぀いたようで、クルリず䜓を返しおその前に静かに立った。
     ベランダのある倧きなたどから入るたぶしい日の光が、泰倢のせなかを照らしお、ふんわりずその堎にうきあがるようにしお芋える。
        
     どうしたのず、声をかけようず思ったけれども、その蚀葉は華恋ののどから出おこなかった。
     そうするこずは、泰倢のじゃたをするようで、ためらわれたのだ。
     泰倢が䜕も蚀わずそっず目を萜ずすその先には、華恋の父のお仏壇おぶ぀だんがあり、そしお━━
     郚屋を満たす癜い光のなかで、ゆっくりず手を合わせるのが芋えた。
    

    息を朜めお静かに芋おいたい そんな瞬間に出䌚う時がありたすよね。
    では、次回もお楜しみに

    小林るい


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    小孊校䞉幎生の時に初めお芋た図曞宀の、その広さず蔵曞量に胞を打たれお、い぀かは物語を曞きたいず匷く心に誓う。 珟圚はゲヌムシナリオラむタヌずしお掻動䞭。 Kindleにお拙曞「倜明けの前の静かな玫」などを販売しおおりたす。 ぜひ䞀床、読んでみおください

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