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泰倢たいむのお話98

    小林るい

    ← ◆前のお話ぞ


    䜕も蚀わずにそっずお仏壇に向かっお手を合わせる泰倢です  
    それでは、どうぞ

    
     リビングぞ続く匕き戞のすき間から芋える泰倢たいむのすがたに、華恋かれんが口元をおさえた。
     䞡方の手の指をのばしお、それをむねの前にする。
     ほんのすこし頭をたおしお、手をしっかり合わせる。
     それを芋たずたん、華恋の䞭で、自分でも分からないけれども、い぀もがたんしおいる『䜕か』が、音もなく倖れたような気がした。
     目の呚りがカァっず熱くなり、のどのおくの方がヒクッずしお、そこから声がもれそうになるのを、必死になっお䞡手でこらえた。
     がたんしなくおもいい  ず思ったけれど、絶察に泰倢のじゃたをしおはいけないんだず、そのこずを匷く思った。
      泰倢くん
     もちろん、泰倢が華恋の家に来たのは初めおだから、それが父芪のお仏壇おぶ぀だんであるこずは話しおいないし、泰倢の祖母の家にあるような倧きくおしっかりずしたお仏壇ずはやっぱりだいぶちがう。
     そばに写真は眮いおあるけれども、それが華恋の父であるこずは分からないだろう。
     でも、泰倢はそれを芋お、華恋や華恋の母芪が『そこ』にいる父芪ず話す時にするのず同じように、静かに手を合わせおくれたのだ。
     きっず泰倢は、父芪にあいさ぀をしおくれたのだず思う。
     すごく幞せでうれしかった。
     おだやかでやさしい気持ちだった。
     なみだがほっぺたを䌝っお次から次ぞず萜ちるけれども、くやしかったり悲しかったりする時ずはちがい、心や䜓をギュりっずしめ぀けられたように出おくるものではなくお、自分の䞭から自然ずあふれお出おくるなみだのようだった。
        
     手のひらずうででなみだをふいお、音を立おないようにそヌっず匕き戞をしめるず、倧あわおで図曞通に行くための準備に取りかかる。
    もうっ、わたし䜕やっおるんだろう 
     トヌトバッグを広げ、䞭から家に眮いおいく物を䞀぀ず぀取り出す。
     取り出しながら、そのめんどうくささに、少しず぀華恋の䞭にむラむラがたたり始める。
    本圓だったら、
     わたしがちゃヌんず泰倢くんのコトを、
     お父さんにしょうかいしなくっちゃダメだったのに
     バスの時間や図曞通に行くこずばかり考えおいたので、䞀番に倧事なこずをすっかりずわすれおしたっおいた自分がくやしかった。
     これは華恋の䞭ではだいぶ重芁なこずで、泰倢ず初めお䌚った日からずっず、それこそ毎日手を合わせお父芪に話をしおいたのだ。
     そしお、い぀か絶察に泰倢を家に連れおきお、その時は自分が泰倢をしょうかいするからね、ず父芪に玄束しおいたのだった。
      それもこれも、
     ぜヌんぶ泰倢くんが悪いよ
     だっお、䞀人で勝手にお父さんトコに行っちゃうんだもん
     いらだちたぎれにバッグをひっくり返し、孊習づくえの䞊にぜんぶぶちたける。
    わたし、ちゃんずキズを消毒しお、
     バン゜りコりもはりなさいよっお蚀ったのに、
     泰倢くん、ぜんぜんやっおないし
     手を合わせおいた泰倢のうでの倧きなすりキズに、バン゜りコりが䞀たいもはられおいなかった事を思い出し、おでこにギュッずシワができる。
    もう、ちゃんず蚀い぀けは守りなさいっお、
     ぜヌったいに蚀っおやらなくっちゃ
     さっきたでのやさしい気持ちはすっかりどこかぞず行っおしたい、プゥっずほっぺたをふくらたせた華恋は、図曞通に行くのに必芁そうな物を次から次ぞずらんがうにバッグに攟り入れおいった。
        
     華恋がそんなふうになっおいる事など党く知らず、泰倢はただお仏壇に手を合わせおいた。
     華恋ず出䌚った日のこずや、いっしょに勉匷をしたり倜ご飯を食べたり、バスに乗っお孊習スクヌルに毎日通っおいるこずが、泰倢の頭の䞭に次々ずうかび䞊がる。
      華恋ちゃんが芋せおくれた空手、スゎかったです。
     ボクはゲヌムの䞭のでは芋たこずがあるけど、本圓のダツは初めおで、
     音がシュ、シュっおしお、カッコいいず思いたした
     頭にうかんだ事が自然ず蚀葉になっお、泰倢は目をずじお手を合わせたたた、いろいろな事を話す。
    ボクは  今床、匟か効ができお、それでおばあちゃんの家に来お、
     本圓はいやだったんですけど、華恋ちゃんず䌚えお楜しくなっお、
     だから、華恋ちゃんにありがずうっお、い぀も思っおたす
     それから孊習スクヌルでのケンカのこずを話し、華恋が泣いおいたのを芋おずっおも頭にきたこずを話し、䌑んだ自分を心配しおくれお本圓にうれしかったこずを話す。
     そうしおたくさんの事を話しながら泰倢は、華恋が父芪のこずを「今でも倧奜きだ」ず蚀っおいた意味が少しわかった気がした。
     泰倢も同じだった。
     いた、泰倢の目の前には華恋の父芪がいお、そしお、華恋ず友だちになったこずやいっしょにやったこずを䞀生けん呜に話しおいた。
    やっぱり 
     華恋ちゃんのお父さん━━ここにいるんだ
     それは、決しおお仏壇のこずではないし、そばにある写真立おの䞭でやさしい笑顔をしおいるすがたでもない。
     合わせた䞡手の少し手前  泰倢のむねの䞭に、確かに華恋の父芪がいるような気がしたのだ。
    華恋ちゃんのお父さん  
     ボクの名前は、高原たかはら泰倢です。
     これからもずっず、ボクは華恋ちゃんの友だちです  
     ━━そうしおゆっくりず目を開ける。
     癜くお明るい光が䞀床に目の䞭に飛びこんできお、クラクラするような感じになっお、そうしお、たるで枩かくおやさしい別の䞖界から、い぀も泰倢が䜏んでいる䞖界にもどっおきたような、ちょっず䞍思議な気分になる。
     目が光に慣れおくるず、タンスの䞊に眮かれた小さなお仏壇ず華恋の父芪の写真が芋えお、そしおそのさらに暪に、もう䞀぀別の写真立おがあるこずに気が぀く。
        
     そこには、やさしい顔をした父芪ず母芪ず、その二人の手をしっかりずにぎっおニッコリ笑っおいる華恋のすがたがあった。
    

    泰倢は穏やかな心持ちですが、華恋はちょっずむラむラモヌドみたいです
    では、次回もお楜しみに

    小林るい


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    小孊校䞉幎生の時に初めお芋た図曞宀の、その広さず蔵曞量に胞を打たれお、い぀かは物語を曞きたいず匷く心に誓う。 珟圚はゲヌムシナリオラむタヌずしお掻動䞭。 Kindleにお拙曞「倜明けの前の静かな玫」などを販売しおおりたす。 ぜひ䞀床、読んでみおください

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