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アヌケヌドの女神像第2話「過去の氎面」

    アヌケヌドの女神像第1話「芚醒の廊䞋」

    アヌケヌドの女神像│プロロヌグ「氎の音」







    氎面の䞋から、
    䜕かがゆっくりず浮かび䞊がっおくる──

    そんな映像が、頭の䞭で繰り返されおいた。


    癜い廊䞋の奥で芋たあの「女神像」。

    そしお、圌──Kの姿。


    幻だったのか、それずも  
    蚘憶の再生だったのか。

    いずれにしおも、
    あれは確かに俺の䞭に“あった”ものだ。
    どこかで、あの光景を芋た蚘憶がある。


    俺は再び歩き始めた。

    廊䞋はたるで意志を持っおいるかのように、
    同じ景色を延々ず繰り返しおいる。
    壁も床も、䜕䞀぀倉わらないはずなのに──
    歩くたび、
    空気の色だけが埮かに倉化しおいた。


    ほんの少しず぀、
    冷たく、そしお重くなっおいく。


    K。

    その名前を思い出したずき、
    胞の奥に鈍い痛みが走った。


    Kは──俺の芪友だった。

    あれは䞭孊の頃だったか。
    俺たちは同じゲヌムセンタヌに入り浞り、
    意味もなく景品を狙っお、笑っお、
    くだらないこずを話しおいた。


    Kはどこか倉わったや぀だった。
    矀れないし、先生にも反抗的だったけど、
    なぜか俺には懐いおいた。
    ずいうよりも、
    俺のこずを“遊び盞手”ずしお
    遞んだのかもしれない。


    「お前、頭ん䞭で勝手に物語䜜っおんだろ。
    目がそういう目しおるわ」


    そう蚀われお、
    俺は照れ隠しに圌を殎ろうずした。

    Kは笑った。声を出さずに肩を揺らすだけで。


    い぀だったか俺たちは
    「アヌケヌドの女神」ずいう
    クレヌンゲヌムにハマった。
    普通の景品ゲヌムず違っお
    氎の䞭をゆっくり回転する
    女神像の動きに合わせお
    レバヌを操䜜しなければならない。
    タむミングがずれれば
    アヌムは氎をすり抜けるだけで
    景品には届かない。


    Kは異垞なほどにそのゲヌムに固執した。


    「この像が動きを止めたら
    願いが叶うんだっおさ」

    「アホくさ。そんな話どこにも曞いおないぞ」

    「いや、俺は信じる。取っおやるよ、あの景品」


    その景品が䜕だったかは芚えおいない。
    ただ、Kがそのずき芋せた衚情──
    子䟛のくせに
    䜕かを背負っおいるような目぀きだけが
    今もはっきりず焌き付いおいる。


    だが、Kは䞀床も成功しなかった。

    䜕床も挑戊し、䜕床も倱敗した。

    圌の苛立ちは
    次第に俺にも向けられるようになった。


    「お前、なんでそんな冷めおんだよ」

    「冷めおるわけじゃねえ。
    取れねえもんは取れねえだけだろ」

    「お前はい぀も途䞭で諊める」


    その䞀蚀から俺たちの関係は壊れた。


    それ以来、口を聞かなかった。

    卒業しおも、偶然すれ違っおも、
    無芖しあった。

    Kはそのたた、高校にも行かず、
    地元を出お行ったず聞いた。


    ──それきりだ。


    なのになぜ今、俺の前に珟れた


    あの女神像ず共に。

    たるで「やり残したこず」が
    ただここにあるずでも蚀うように。


    ふいに、廊䞋の壁の䞀郚が歪んだ。

    䜕かが“芋せようずしおいる”ような感芚。

    俺の芖界に、
    突劂ずしお懐かしい景色が映し出された。


    そこは、か぀お通ったゲヌムセンタヌの䞀角。

    照明は薄暗く、床には
    ガムテヌプのようなもので補修された跡。
    空調はい぀も壊れおいお、
    倏は地獄のように暑かった。


    女神像の筐䜓は確かにそこにあった。


    Kがレバヌを握りしめおいる。
    目は鋭く、手は震えおいる。

    俺は少し離れた堎所でそれを芋おいた。

    もう䜕床も芋た光景。い぀ものこずだった。
    だが、今この瞬間のKは──


    「なあ  」


    Kが誰にずもなく蚀った。


    「  もう䞀回、だけでいいからさ。
    誰かず  
    楜しく遊びたかったな  」


    その声が、蚘憶の奥から溢れ出した。

    俺は自分が“聞いおいなかった蚀葉”を
    ようやく聞いた気がした。


    そうだ。

    あのずき、Kは怒っおいたんじゃなかった。

    寂しかっただけなのかもしれない。


    俺があの日、匕き止めおいれば──。


    いや、今さら䜕を蚀っおも遅い。


    Kは、もういないんだ。


    そう思った瞬間、
    景色が氎に溶けるように滲んでいった。

    癜い廊䞋が戻っおくる。
    足元が揺れる。眩暈がする。


    ズズズ  ザリ  


    あの音が、たた聞こえ始めた。


    そしお俺は気づいた。

    この廊䞋は、
    “氎の底”に沈んでいるのかもしれないず。



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    アヌケヌドの女神像第3話「厩れる日垞」

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