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ダンジョン第38階層【実録】『絶望の魔境・東都校!没落貴族と生気を失った魔導女師たち』

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    01:パラドクス・デザイアー〈背反の天秤〉


    高速魔導列車の固い座席に揺られていた。

    俺は窓の外を猛スピードで流れる無機質な景色をぼんやりと見つめていた。

    隣には、冷徹なる大魔女(現場責任者)が座っている。

    大魔女から放たれるアブソリュート・テリトリー(絶対不可侵領域)の瘴気(息苦しい空気)が、俺の全身を包み込んでいた。

    この息の詰まる密室空間。

    大魔女に振る話題など一切存在しない。

    圧倒的…………………………………!!

    ただ静かに。

    走行音だけが車内に響き渡っている。

    大魔女とは一体どのような人物なのだろうか。

    俺は自らの気配を消す。

    こっそりと彼女の横顔を観察した。

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    透き通るような白い肌。

    艶やかに流れる長い黒髪。

    見とれてしまう。

    紛れもない美人であった。

    近くでよく見れば、間違いなく俺の好みのタイプだ。

    だからこそ。

    俺はつい彼女からの理不尽な呪い(無茶振り)を受け入れてしまっているのだろうか。

    俺の心の中。

     パラドクス・デザイアー〈背反の天秤(矛盾した心理)〉 が激しく揺れ動いていた。

    禁断的…………………………!!

    しかし、大魔女の性格や冷徹な組織の論理は、俺の価値観とは完全に一線を画している。

    結局、東都の駅に到着するまで間。

    俺は大魔女と一切言葉を交わすことはなかった。

    魔導列車を降りた俺たち。

    魔導馬車(タクシー)を拾って目的の地へと向かう。

    なぜ、そこまで深刻な奉納の戦果(営業成績)の不振に陥っているのだろうか。

    その根本的な原因を突き止めなければならない。

    魔導馬車(タクシー)の車内。

    大魔女が窓の外を見たままポツリとつぶやいた。

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    「とにかく、責任者には気をつけて」

    俺には、その言葉の真意が全く分からなかった。

    戦慄的…………………………!!

    意味不明な忠告に背筋を凍らせたまま、俺たちは目的地へと到着した。


    02:ゲート・オブ・ディスペア〈絶望の執務室〉


    そこは東都の中枢(ビジネス街)。

    大通りから一本裏手に入った立地の良い場所にあった。

    駅から徒歩3分という距離。

    会社帰りの上位女騎士(バリキャリ女性)たちが集まるには極めて好都合だ。

    しかし、目の前にそびえ立つのは、古びて薄暗い雑居ビルだった。

    俺は嫌な予感を抱えながら、エレベーターの6階のボタンを押す。

    三畳ほどの狭いスペースを抜けたところに、その入り口はあった。

    壁には魔導指導学校(資格学校)東都校という、色褪せた看板が掲げられている。

    俺は意を決して、入り口の扉を手で押し開けた。

    「こんにちは」

    「西都校から来ました」

    「異次元おじさんと申します」

    入り口近くに座っていた巫女(事務員)が静かに近寄ってきた。

    「お待ちしておりました」

    ゲート・オブ・ディスペア〈絶望の執務室(入り口)〉 を越える。

    俺たちは執務の間(事務所)へと足を踏み入れた。

    扉を開けた瞬間。

    西都校とは全く違う異様な空気に包まれた。

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    絶望的………………………………!!

    埃まみれで曇った窓枠。

    無造作に積み上げられた、大量のダンボールの山。

    いつ掃除されたのかも分からない、黒ずんで埃の舞う床。

    奥の方から、35歳前後の男性がのんびりと近寄ってきた。

    「梅木さん、お待ちしてました」

    「さあさあ、中に入ってください」

    俺たちは、彼の応接スペースへと案内された。

    そこで初めて。

    間近で東都校の責任者と顔を合わせたのだ。

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    髪はボサボサに伸び散らかっている。

    面長な顔には、だらしない無精髭が生え揃っていた。

    破滅的……………………………!!

    絵に描いたような没落貴族(過去にすがる上司)の姿がそこにあった。

    俺は極度の緊張をごまかす。

    無意識のうちに無駄に大げさなオーバーリアクションを取ってしまった。

    応接室のソファに座る際。

    勢い余って深く沈み込みすぎた。

    そのまま後ろにひっくり返りそうになってしまった。

    空中で両手をばたつかせながら、体勢を立て直す。

    痛々しいルーティンに走ってしまった。

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    『おい、おっさん!』

    『無駄に大げさなアクションで威厳を示そうとして、完全に自滅してる ワン!』

    『初陣から無能なピエロとして見下されている ワン!』

    魔犬ツン正論が、俺の心臓を鋭く抉る!

    痛い!

    俺は我に返る。

    一つ目の物理刃(自分軸)を心の中で強く詠唱した。


    03:ステータス・アノマリー・スキャン〈魔法状態検知〉


    「発動せよ……! 」

    ステータス・アノマリー・スキャン〈魔法状態検知(空気読み)〉 ッ!!

    俺は慌てて彼に向かって挨拶の言葉を紡いだ。

    「初めまして」

    「私、異次元おじさんと申します」

    「半年前に西都校に暫定刻限の聖約(アルバイト契約)として入信(入社)いたしました」

    「今回はご縁がありまして、東都校にお伺いすることになりました」

    男は、品のない笑い声を上げながら答えた。

    「あはは……………」

    「あなたが異次元おじさんですか…………」

    「お噂はかねがね……」

    「本部から聞いておりますよ」

    「ずいぶん、西都校ではご活躍されているそうですね」

    「いえいえ、そんなことありませんよ」

    「ただ少しだけ、商いの理(ビジネススキル)と奉納の招陣(営業)経験があっただけに過ぎません」

    そこで、大魔女が話に割って入ってきた。

    「もちろんそうよ」

    「私が見つけたんだもん」

    大魔女は自慢するような態度で発言する。

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    俺はここでそんなこと言う…………。

    心のなかで叫んだ。

    その場を誤魔化すために名前を聞き始める。

    「お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか」

    「申し遅れました」

    「黒金です」

    「この魔導指導学校(資格学校)には、もう10年ぐらい在籍していますよ」

    「今はここで、責任者をさせてもらっています」

    黒金は、大魔女に向かって早速本題を切り出してきた。

    「ところで、ギルドマスター(社長)から話を聞いている改革案のことなんですけど」

    「梅木さんは、今後どのように改革を進めていくおつもりですか」

    大魔女は、柔らかい笑顔を作りながらも、鋭い牽制(けんせい)を放った。

    「私も実は、半年前に責任者になったばっかりだから」

    「黒金さんにはたくさん教えてもらわなきゃいけないことがあると思って」

    「今日はお伺いしたの」

    「そんなに肩に力を入れずに、お互いの意見交換をしましょう」

    水面下での探り合いが始まっていた。

    悪魔的………………………!!

    「そうなんですね」

    「早速、校内をご案内しますよ」

    黒金は愛想の良い作り笑いを浮かべる。

    俺たちを教室のあるフロアへと案内した。

    平日の午後13時を過ぎた時刻。

    そんな中途半端な時間帯には、信徒(生徒)の姿はごくわずかしか見当たらない。

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    修練場(教室)を覗き込んで、俺は絶句した。

    整理整頓すらされていない三角定規。

    床に無造作に投げ捨てられた模造紙。

    魔導板(パソコン)のモニターは、分厚い埃をかぶっていた。

    ここで真剣に学びたいと思う信徒(生徒)がいる環境ではなかったのだ。

    崩壊的……………………………!!

    その惨状を見ただけで、この拠点の奉納の戦果(営業成績)が底を打っている理由がはっきりと察せられた。


    04:クロノス・ハウル〈過去の記憶の召喚〉


    黒金は、そのまま俺たちを教室の奥にある講師の控え室へと導いた。

    そこで黒金が声を張った。

    「みんな、ご苦労さん」

    「今日は西都校から、今回新しく諸領域の総督(統括部長)になられた梅木さん」

    「魔導指導団長(教務主任)になられた異次元おじさんが来られています」

    控え室にいた20代から30代の魔導女師(女性講師)たちは、座ったままの姿勢を崩さなかった。

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    彼女たちは、まるで油の切れた機械のように、反応が鈍くゆっくりとこちらへ振り向く。

    魂なき労働屍鬼(社畜)のような淀んだ目で軽く会釈をする。

    すぐに前を向き無言で作業を続けてしまった。

    屈辱的………………………………!!

    俺は、隣に立つ大魔女の感情がいつ爆発するのではないか。

    気が気ではなかった。

    彼女から発せられる冷気。

    一気に気温がマイナス10度まで下がったような錯覚を覚えた。

    空前絶後的…………………………………!!

    大魔女は、その怒りを押し殺す。

    儀礼的に挨拶の言葉を口にした。

    「皆さん、こんにちは」

    「今回、こちらの学校も担当することになりました、梅木と申します」

    「皆さんと共に、より良い学校にしていきたいと思っています」

    「どうぞよろしくお願いいたします」

    その後。

    冷え切った空気の中。

    続けて俺が挨拶をする。

    二つ目の物理刃(自分軸)を心の中で詠唱する!

    「発動せよ……! 」

    トゥルー・アンロック〈真実の心解錠〉ッ!!

    「皆さんと共に、信徒(生徒)にとってより良い環境を作っていきたいと思っております」

    「どうぞよろしくお願いいたします」

    二人の渾身の挨拶を聞いても、魔導女師(女性講師)たちの反応は致命的に鈍かった。

    俺の魔法は一切効かない。

    誰も歓迎などしていない。

    明確な拒絶の意志。

    悲劇的……………………………!!

    俺は心の中。

    三つ目の物理刃(自分軸)を悲痛な思いで詠唱した。

    「蘇れ……! 」

    クロノス・ハウル〈過去の記憶の召喚〉 ッ!!」

    この冷酷で排他的な状況。

    俺が初めて西都校に着任した時に味わった絶望的な空気と全く同じだった。

    あの時の痛み。

    リアルな幻影として脳内に蘇ってくる。

    東都校に巣食う闇。

    俺の想像を遥かに超える深さと重さを持っていた。

    この腐敗しきった最悪の魔境(ビジネス社会全体)。

    果たして俺のアナログな魔法は通用するのだろうか。

    果てしない絶望感だけが、俺の心を黒く塗り潰していった。


    【次回予告:ダンジョン第39階層】


    東都校の惨状を目の当たりにし、絶望に打ちひしがれる俺!

    しかし、息つく暇もなく大魔女(現場責任者)による容赦ない個人面談が幕を開ける!

    保身に走る没落貴族(過去にすがる上司)の黒金と、無気力な魔導女師(女性講師)たち。

    彼女たちの深層に潜む不満と闇。

    俺の魔法状態検知は暴くことができるのか!?

    そして、ついに大魔女の怒りが頂点に達する!

    次なる死闘が今、幕を開ける!

    次階層を見逃すな!

    最後までお付き合いありがとうございます。

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    覚悟がある奴だけ、次のページをめくれ。

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    「note開始6ヶ月で3,800F突破」 属性:ハゲ・デブ・低学歴(専門卒)の55歳中年おじさん。 幾多の転生(転職)を経て、50歳で王都の最強ギルド(外資系コンサル)へ。魂をすり減らし、現在MPゼロで休職中。これは全てを失ったおじさんが反撃する「なろう系リアルストーリー」

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