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オルタナティブ空想科孊小説「幜限䌚瀟ゎヌストサヌチャヌズ」【調査報告03-3】ホラヌ・怪奇

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    調査報告03-3


     新韍村は、400人にも満たない過疎村だ。

     半数以䞊が60歳を超えおおり、ほずんどが蟲家を営んでいる。

     りんご、プチトマト、ブルヌベリヌ、米などを生産しおいる蟲家が倚いようだ。

     山を切り開いお開拓されたであろうこの村の土地は、田畑ず広葉暹が倧郚分を占めおいた。

     時刻はもう倕刻を迎えようずしおいるため、ほずんどの村人が䜜業を切り䞊げお家に籠っおいる。

     点々ずある家々の窓から照明の明かりがこがれ、その光だけが村にかろうじお人の気配を感じられた。

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     2人で田んがの畊道を歩きながら、この村唯䞀の商店を探しおいた。

    「この村、䜕もないんじゃないの」

     麗子が怪蚝そうな衚情を浮かべる。

     阿含は芖線を巊右に走らせるが、看板の䞀枚も芋圓たらない。

    「おかしいな  。䟝頌人の金成さんからは䞀軒だけだが商店があるっお聞いおたんだがな」

    「䜕で堎所を聞いおないのよたったく  」

     麗子は頬を無くらたせおそっぜを向く。

    「そこたで倧きい村じゃないっお聞いおいたから、すぐ芋぀かるだろうず思ったんだ」

     阿含の蚀い蚳には䜕も返さず、深い溜息を吐いた麗子は黙り蟌んでしたった。

     こんなこずなら、コンビニで食料を調達しおから村に来ればよかったっず今さら思う。

     誰か尋ねられる人はいないものかず、阿含は呚囲を芋枡した。
     
    「んあの建物っお䜕かの斜蚭じゃないか」

     指を指した先に、民家ずは明らかに違う四角い建物があった。

     倖灯がぜ぀りず䞀本、入口を照らしおいる。

     あそこならば、誰か尋ねられる人がいるかもしれない。

    「新  韍 村  公民通っお曞いおあるわね」

     目を现めた麗子が、建物の玄関蟺りにある朚補の衚札を凝芖しおいる。

    「公民通だったら、村の歎史に詳しい人だっおいるかもしれんし、䞀石二鳥じゃないか」

     阿含は意識しお明るい声を出したが、麗子は特に反応しなかった。

     絶賛おかんむり䞭のようだ。

     幎頃の嚘を持った父芪のような心境で、阿含は黙ったたた公民通ぞず足を向けた。
     

     
     ✠

     

     公民通に立ち寄った二人は、恐る恐る建物内を芋枡した。

     内郚は蛍光灯が䞀本だけ点いおおり、薄暗い廊䞋がどこか間延びしお芋えた。

     目の届く範囲には、人っこ䞀人芋圓たらない。

     少し気は匕けるが、勝手に䞭に入らせおもらうこずにした。

     右手には、䜕かレクリ゚ヌションでも催せそうな倚目的郚屋。

     正面には2階ぞず続く階段ず、䜕かの展瀺スペヌス。

     巊手には、ガラス越しに事務宀らしき郚屋が芋え、"本日は終了したした"ずいう匵り玙が貌っおあった。

     もしかしお、ここも無人なのかず焊りを芚えた時、麗子が声を䞊げる。

    「ちょっず、あれ芋お」

     麗子が指を指したのは、正面の展瀺スペヌス蟺りだった。

    「なんだあの展瀺が䜕だっお蚀うんだ」

     麗子は返事もせず、小走りで展瀺スペヌスに近づいた。

     壁の䞀点に顔を寄せ、じっず動かない。

     阿含も埌を远うように展瀺スペヌスぞず足を螏み入れた。

     展瀺゚リアの䞊段には、暪長の色画甚玙に“郷土資料コヌナヌ”ず手曞きされおおり、壁面には叀い小物や資料が所狭しず䞊べられおいる。

     その展瀺物の䞭に、䟋の人圢があった。

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     「この人圢、あの家の玄関にあったものず同じものじゃない」

     麗子の声はどこか緊匵しおいた。
     
     「本圓だ。巻いおある垃こそ違うが、同じもんだな」

     民間信仰の察象になっおいるものなのだろうか。

     二人はしばらく無蚀で人圢を芋぀めた。

     公民通の蛍光灯の音が埮かに耳に぀く。

     やがお麗子が人圢の隣に展瀺された資料ぞ芖線を移し、声に出しお読み始めた。

     「オ  シ  メ  サマ」

     「オシメサマ様っおこずは、ここらで信仰されおいるご神䜓っおこずなのか」

     「叀くからこの土地に根づき  地域や人々を守護する土着神っず䌝えられおいるみたいね」

     麗子の声はどこか平板だった。

     内容を読み䞊げおいるずいうより、䜕か別のこずを考えながら口だけが動いおいるような、そんな読み方だった。

     阿含はその暪顔を䞀瞬芋おから、展瀺の人圢ぞ芖線を戻した。
     
     「土着神か。それじゃ守り神っお感じで、あの人圢を食っおいたんだな」

     「オシメサマんこず、おべでのが」

     突然の背埌から声。

     振り返るず、癜髪たじりの幎配の男性が立っおいた。

     い぀の間に近寄っおきたのか、足音は聞こえなかった。

     皺の深い顔に、倀螏みするような䞍気味な目がこちらを捉えおいる。

    「あっ勝手に入っおすいたせん。道を聞きたくおお邪魔させおもらっおたした」

     阿含は頭を䞋げながら無瀌を詫びた。

     老人は頷くでもなく、ただ二人を亀互に芋おいた。

     黙っおいおも䞍審がられるず思い、阿含は話を続ける。

    「オシメサマっお、この地域の守り神なんですか」

     問いかけた阿含に老人の芖線が固定される。

    「んだ。そう䌝わっおら。すたばお、オシメサマの気持ぢになっおみぃば、たげ守るなんお気にはなねど思うがな」

    「どうゆう意味です」

     老人は阿含に芋぀めるだけで、すぐには答えなかった。

     数秒の沈黙の埌、展瀺棚の䞀点を指さした。

    「そこさ資料あるべ。こん村の民譚集だ。むがしの民話さ茉っおらがら」

     指さした先に、䞀冊の叀い本が展瀺されおいた。

     麗子はそれを手に取り、ペヌゞをめくった。

     パラパラず流し読みをしおいた麗子の指先が止たる。

     “オシメサマの事”ずペヌゞの先頭に曞かれおいた。
     
     それは、茂兵衛ずいう男の䞍思議な話だった。

     男は飌っおいた銬を深く愛しおいた。

     男の父芪はそれに憀りを芚え、銬を殺しおしたう。

     狂った男は䞀家を皆殺しにしお、殺された銬の腹の䞭にあった䜕かず䞀緒に倩ぞ昇っおしたったずいう話だった。

    「䞀家皆殺しっお  これ、単なる偶然なのかしら」

     麗子は本から目を離さないたた、抑えた声で蚀った。

     阿含も麗子の手から本を奪い取るず、急いで目を通した。

    「䞀家皆殺しに、オシメサマ。偶然で片付けるには早蚈だな」

     話を聞いおいた老人が、途端に真剣な衚情ぞず倉わる。

    「おめら、䜕すに村さ来だんだ」

     先ほどたでの䞖間話のような口調は消え、射抜くような目が二人に向けられおいた。

     空気が倉わったのが、肌でわかった。

     老人の芖線を正面から受け止めながら、阿含は萜ち着いた声で答えた。

    「怪しい者じゃありたせん。元滝森家のお屋敷の珟圚の所有者の䟝頌で、土地ず家屋の調査をしおいるだけなんです」

    「調査䜕知りたいずや」

     チャンスだず思った阿含は、村の噂に぀いお尋ねおみるこずにした。

    「2幎前あの屋敷で痛たしい事件がありたしたが、それ以前にもこの村で䜕か事件がありたしたかそんな噂があるず聞いたのですが  」

     老人はすぐには答えなかった。しばらく阿含の顔を芋぀めおから、ゆっくりず口を開いた。

    「あん家に滝森さんらが䜏んでがらは、ずっず䜕もなかったんだ」
     
     䞀拍眮いお、老人は続けた。

    「幎前の事件が起ごるたで  」

     その“たで”ずいう蚀葉の埌に、老人は䜕も続けなかった。

     続けない、ずいうこず自䜓が答えのように聞こえた。

    「滝森さんらが䜏んでからはじゃあ、生田目䞀家が䜏んでいる時にも䜕か起こっおいたんですか」

    「おめ、生田目さんのごどおべでらのが」

     老人は目を现めお、品定めするような衚情を芋せる。

    「ええ、少し調べさせおもらいたしたから」

    「生田目さんがあん家にいる時は、村のどこかしらで瞁起のわりこどが起こっちゃ」

     生田目家が䜏んでいた時期にも䜕か起こっおいた。

     阿含は興味が抑えられずに、前のめりで質問をする。

    「具䜓的に䜕が起こったのか知っおたすか」

    「おらもずっちゃから聞いだ話でしかねえんだばっお」

     老人は、䞀床だけ深く息を吐いた。

     そしお、展瀺の壁をがんやりず芋ながら、蚘憶を蟿るように話し始めた。
     
    「90幎くれえ前に、米蟲家の狭山さん家が熊がなんがに襲われで、䞀家党員惚殺死䜓で発芋されだんだど。120幎くれえ前には、りんご蟲家の田口さん家が䞀家心䞭で、党員銖吊りすたよんた」

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     熊被害ず䞀家心䞭か。

     しかも、元滝森家ずは関係なく起こっおいる。

     さすがに、関係性は薄いかず阿含は思った。

    「聞いおる限り、事件性はないのでは」

    「圓時譊察も事件性は無いっ぀っお、䞍幞な事故ずしお結論づけたんだず」

     聞いた限り譊察の刀断はおかしくはないように思う。

     それにしおは、老人の顔はひどく玍埗いかないず蚀いたげな衚情を浮かべおいた。

    「それはそうでしょうね。䜕が匕っかかるんです」

    「村のもんは誰も信じちゃいながったんだ」

     老人の声が、わずかに䜎くなった。

     「熊に襲われだにしちゃ、正確に喉元を切り裂いでだし、誰も食いちぎられでながった。銖吊りした田口さん䞀家も村の暩力者で、金にも困っでながったし、䜕かに悩んでるこずも無かったっお蚀われでだしな」

     圓時の村人は、圌らの死の原因に玍埗しおいなかったず蚀うこずか。

     阿含は手垳に走り曞きをしながら返答した。

    「私が調べた限りではそれらの事件は出おこなかったので、事故ずしお凊理されお衚には出おこなかったっおこずなんでしょうね」

    「人が死んでんだ。倧きな声で話す銬鹿はいねえ」

     老人は䞍謹慎だず蚀いたげにこちらを芋぀めた。

    「ごもっずもで」

     阿含は手垳を閉じおポケットぞずしたった。

     村で囁かれおいたずいう噂は、それらの事件が続けお起こった村人たちの䞍安感からきおいるものなのかもしれない。

     珟時点で、屋敷ずの関係性は薄いだろうず阿含は刀断した。

    「これらの事件ずオシメサマが䜕か関係しおいるなんおこずはありたすか」

     ずっず隣で黙っお聞いおいた麗子が、静かに口を開いた。

     その瞬間から老人衚情に、䜕か異なる感情が顔の䞭心からにじみ出おいるように芋えた。

     怒りずも恐怖ずも刀断しがたい、そんな感情。

    「そったごど、おらがわがるわげねべな。むタコ様にでも聞け」

     こちらを嚁圧するように老人は倧声を䞊げた。

     息を荒げお、目が少し血走っおいる。

     䜕が癇に障ったのかは䞍明だが、異垞な反応だ。

     村人のオシメサマぞの畏怖がそうさせるのだろうか。

     冷静さを倱っおいる老人に、もう質問は難しいだろうず阿含は刀断した。

    「ありがずうございたした。最埌に、この村に商店ずホテルはありたせんか」

    「  そこさ村のガむドマップあるがら持っおけ」

     入口暪に䞊んでいる玙の束を無愛想に指さした。

     老人は、もう2人を芋おもいなかった。

     阿含は深く頭を䞋げお、公民通を埌にした。

     倖に出るず、倕闇がすでに村党䜓を芆い始めおいた。

     麗子は䜕も蚀葉を発さなかった。

     ただ、阿含の隣を少しだけ早足で歩いおいた。
     


    第章「調査報告03」は6話構成でお送りいたしたす。続きにあたる調査報告03-4は明日公開予定です。

    お読みいただきたしおありがずうございたした。たた、蚀わなくおもわかるず思いたすが、このお話はフィクションです。実圚の個人、斜蚭、事件、䌝承ずはいっさい関係ありたせん。

     
     
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