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オルタナティブ空想科孊小説「幜限䌚瀟ゎヌストサヌチャヌズ」【調査報告03-2】ホラヌ・怪奇

    前回の話

    調査報告03-2


     H垂の事故物件ぞの調査は、敬老の日にあたる月曜日ずなった。

     祝日のため䟝頌人の金成さんは同行出来ないずのこずだったので、事前に物件の鍵を預かっおいた。

     今回の調査目的は、“物件内で超垞珟象が発生するのか”ず“噂の真停を調べる”ずいう2点になりそうだ。

     今回の調査は、気を匕き締めお取り掛かった方がいいだろう。

     調査道具は前回ずほが同様のものを甚意したのだが、過去の䜏人のこずも調査察象になっおいる以䞊、可胜な限りの情報収集は事前に枈たせおおいた。

     埌は麗子の到着を埅぀だけずなり、東の空から燊々ず照り぀ける朝日を眺めおいた。

     やがお、その逆光の䞭から麗子が姿を珟した。

     玫色のオヌバヌサむズのパヌカヌに、黒のスキニヌダメヌゞパンツずいう装いをしおいる。

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     阿含の前で足を止めるず、挚拶代わりの嫌味が飛び出した。

    「本圓、代わり映えしないわね。䞀幎䞭その栌奜でいるの」

     阿含は芖線を萜ずし、自分自身の代わり映えしない制服姿を䞀瞥しおから答えた。

    「これは秋冬甚の制服だ。厚手の玠材になっおいるから、䞭にゞオラむンのむンナヌを着蟌めば冬でもこの栌奜で問題ない」

    「  ゞオラむンっお登山甚よね」

     聞き慣れない蚀葉を確かめるように、麗子は眉をわずかに寄せた。

    「ああ、この仕事は人里離れた所にも床々行くこずがあるからな。保枩効果も高いし、汗もすぐ也く。静電気だっお吞収しおくれるから、登山者じゃなくおも愛甚しおいる奎は倚い」

    「芋た目に拘らないのがあんたらしいわね」

     麗子は軜く錻で笑うず、軜バンぞず芖線を向けた。

    「それで、ここから目的地たでどれくらいかかるの」

     麗子には、䟝頌人から聞いたざっくりした抂芁しか話しおいない。

     道䞭で现かい情報を共有する必芁があるだろう。

    「前回ず倧しおかわらんな。3時間をみおおけば着くだろう」

    「そう。じゃ早速向かいたしょうか」

     麗子は返事も埅たず、無遠慮に助手垭ぞず乗り蟌んだ。

     ドアが閉たる音を聞きながら、阿含は少しだけ笑った。

     これたでず倉わらない淡薄なやり取りだが、それが麗子ずの関係においおは至極自然な感じがするず改めお思う。

     芪ず子、兄ず効、そんな食らない自然䜓の関係に近いのかもしれない。
     
     前回の遠埁の際に、車内で間が持たないかもしれないず考えおいた自分自身を思い出すず、ひどく滑皜に思えた。

     
     
     ✠

     

     囜道を走らせながら、阿含は事前に調べた内容を麗子に共有しおおくこずにした。

    「今回の物件の事で、わかったこずを䌝えおおく」

     麗子は返事をしなかった。

     聞いおいるのかいないのか刀然ずしないその暪顔に、阿含は構わず話を続けた。

    「法務局に行っお登蚘情報を確認したんだが、䟝頌人の勀めおいるドリヌムカンパニヌが珟圚の所有者。その前が䟋の䞀家殺害事件のあった滝森家のものだった」

    「それはわかりきっおるこずね。問題はそれより前なんでしょ」

     フロントガラスから目を離さないたた、麗子は蚀った。

     声のトヌンに倉化はなかったが、栞心を的確に突いおくる。

     麗子は話を聞いおいないようで、垞に䞀番倧事なずころは抌さえおいるように思う。

    「ああ、犯人の父芪にあたる滝森源䞀が、事件から遡っお32幎ほど所有者だったっわけだが、その前は祖父の枅が所有者だったな」

    「ぞ、䞉代で䜏み続けおいたのね。その前は」

    「登蚘簿謄本によれば、生田目聡䞀ずなっおいるな。今から73幎前に祖父の枅が生田目家を賌入したんだろうな」

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    「その前の  なば ためさんは、事件に巻き蟌たれおたりしなかったの」

     麗子が初めお阿含の方ぞ顔を向け、読み方を探るように少し銖を傟けおいる。

     生田目なばためなんお珍しい苗字、聞き銎染みがないのも無理はない。

    「名前ず䜏所から調べおはみたが、生田目家では事件は起こっおいないようだった」

     阿含の返答を聞くず、麗子は再び前に向き盎った。

    「それじゃあ、生田目家のさらに前に䜕か事件があったりしたの」

    「  わからない」

     困惑の衚情を浮かべお再びこちらを向く麗子に、阿含は力匷く繰り返した。

    「わからないんだ。登蚘情報は明治時代から珟圚たでしか蚘録されおいない。生田目家より前に誰が䜏んでいたか、蚘録そのものが存圚しない」

     麗子は芖線を阿含に固定しお、眉間に力が入る。

    「手がかりがたったくないっおわけお手䞊げね」

     ため息ずも぀かない息を吐いおから、麗子は続けた。

    「でも、それだけ䜕も起こっおなかったんなら噂の方がデマだったっおこずじゃない」

    「そうかもしれんし、そうじゃないかもしれん。埌は珟堎での調査次第っおこずだ。仮に過去に倧きな事件が起こっおいたずしたら、村の蚘録に残っおいるかもしれないしな」

    「いっそ幜霊に聞いたほうが効率いいかしら」

     呆れ顔で軜口を叩く麗子を芋お、阿含は静かに倱笑した。

     笑えない冗談を飛ばす麗子
     ぶっきらがうな返答をする阿含

     この独特の雰囲気が思いの倖心地よい。

     それが䜕に由来するのかは、阿含にもうたく蚀葉にできなかった。

     ただ、悪くないず思った。

     
     
     ✠

     
     ようやく、目的地の新韍村の物件に到着した。

     時刻は13時を過ぎたくらいだろうか。

     途䞭、昌食がおら地元の定食屋に寄っお到着がやや遅れおしたった。

     貝焌き味噌があたりに旚く、ご飯をおかわりしおしたったのがたずかったか。

     満腹の腹をさすりながら、車を降りる。

     そこには、山々に囲たれた広倧な開けた土地ず、該圓の物件が埅ち受けおいた。
     
     聞いおはいたが想像以䞊の広さだった。

     庭で野球が出来おしたうくらいには開けおいる。

     そんな開けた空間にポツリずある朚造の䞀軒家。

     8人で䜏んでいたずいうこずだが、それでも䜙りある広さのお屋敷だ。

     そんなお屋敷が小さく芋えおしたうのは、このだだっ広い庭のせいだろう。

     そしお、そんな庭にぜ぀りずある異質感を攟った銬屋。

     銬屋はかなり老朜化が進んでおり、所々朚が腐り萜ちおいる。

     敷かれた藁も完党に枯れお、土ずたざり腐葉土化しおいる気さえする。

     前に䜏んでいた䞀家は、りんご蟲家ず聞いおいたが、なぜ銬屋があるのか。

     阿含は䞍可解に思いながらも、屋敷の玄関口ぞず向かった。

     玄関の前に立ったずき、阿含は思わず足を止めた。

     正月のしめ瞄を食るように、玄関扉に劙な人圢が食られおいたからだ。

     朚の圫刻を芯にしお、垃が䜕十にも巻き重ねられたような代物。

     䞀芋するず出来損ないのお雛様のようにも芋えるが、がろ垃の隙間からかろうじお芗く圫刻は、銬の顔を暡しおいるように思えた。

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    「䞍思議な食りがされおいるわね。ここらの颚習なのかしら」

     その食りを芋぀めながら、麗子が呟いた。

    「さあな。これだけ田舎だず信心深い人も倚いだろう。このたたにしおおこう」
     
     阿含は、玄関の鍵を開けるず党開に開け攟぀。

     どんよりず暗い屋敷内に、淡い光が差し蟌み埃が挂っおいるのが芋える。

     叀い家特有の、朚材ずむグサの銙りが錻に぀く。

     阿含が土間から内郚を芗き芋おいるず、麗子はさっさず靎を脱いで䞊がり蟌んでいっおしたった。

     玄関からは巊右に廊䞋が通っおおり、右はすぐ突き圓り。

     巊偎はさらに右ぞず折れ曲がり、奥ぞず続いおいるようだ。

     そしお玄関正面には、襖で閉じられた郚屋がいく぀もある。

    「想像以䞊の広さね。枬定機は足りるわけ」

     麗子は正面の襖に手をかけながら、振り返らずに問いかけた。

    「党郚の郚屋を監芖するのは無理だろう。目星を぀けお蚭眮しお、埌は人の五感でチェックするこずになるだろうな」

     それを聞いた麗子は、途端にしかめっ面をする。

    「䞀晩䞭起きおるなんおたっぎら埡免なんだけど」

    「ああ、お前はどっかで寝おいろ。俺1人でやっおおく」

     はじめから1人で調査するこずを想定しおいた阿含は、圓たり前の様に返答をした。

    「結構。それでこれからどうするわけ」

     麗子は郚屋の畳の感觊を足で入念に調べながら、阿含に問いかけた。

    「党郚屋を確認しお、どう調査をするか方向性をたおる。お前も䞀通り芖おみおくれ」

     兎にも角にもたずは、内郚を実際に芋ないこずには始たらない。

     既に間取りは確認しおいるが、家の状態もちゃんず確認すべきだろう。

    「わかったわ」

     短く答えた麗子は、郚屋の奥ぞず消えおいった。

     その埌は、それぞれが屋敷内を芋お回るこずになった。

     1階には、台所、居間、颚呂堎の他に郚屋。

     階にも、郚屋が存圚した。

     特殊枅掃がすでに入っおいるからだろう、ほずんどの畳に真新しさを感じる。

     芁は畳が新しい郚屋は、人が死んでいた郚屋ずいうこずだ。

     鎚居や柱などは、そのたたのようで现かい傷などが芋お取れる。

     郚屋から郚屋ぞず移りながら芋お回っおいた阿含の芖線が、ある柱の前で止たった。

     柱の衚面に、䞞い窪みがある。

     そしお、窪みの断面が黒く倉色しおいるのが芋お取れた。

     䞀芋そうゆう朚目だったようにも思える。

     しかし、それが異質なものであるず遅れお気づき、阿含は息を詰めた。

     これは  匟痕だ。

     幎前の惚劇が珟実にここで行われたずいう、劙に生々しい実感が阿含を襲う。

     凶匟に倒れた人。

     その䞭には、歳に満たない赀子もいたずいう。

     䞀家は銃声を聞いお、死にものぐるいで逃げようずしたのだろうか。

     それずも、泣きながら呜乞いをしたのだろうか  。

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     暗い想像が頭の䞭に広がるのを、阿含は止められなかった。

     それず同時に、この屋敷に留たるこずぞの生理的嫌悪感が、胃の底から膚れ䞊がっおくるのを感じた。

     阿含は匟痕から目を逞らし、足早に郚屋を埌にした。

     
     
     ✠

     

     庭先に出お、阿含はしばらくそこに立っおいた。
     
     南の空から西の空ぞず傟いたの倪陜の光が顔に圓たる。
     
     頭を空っぜにするために目を閉じお、日光を正面から受け止めた。

     静かに目を開いた阿含は、自分の頬を䞡手で少し匷めに叩く。

     也いた音が広い庭に響いた。

     自分の䞭に溜たっおいた柱のようなものが、少しず぀薄れおいく気がした。

     深呌吞を䞀床しお、阿含は改めお屋敷ぞず戻った。

     そしお、ただ確認できおいない郚屋を、䞀郚屋ず぀芋おいく。

     郚屋数こそ倚いが、襖を開け攟おば耇数の郚屋をたずめお枬定できそうだ。

     思ったより少ない機噚で事足りるずわかり、阿含はわずかに肩の力を抜いた。

     ヌヌギィヌ

     背埌で床を螏む音がした。

    「䞀通り芋おきたわよ」

     振り返るず、廊䞋の奥から麗子が歩いおくるのが芋えた。

     麗子の声の調子はい぀もず倉わらない。

     ただ、衚情からは普段の麗子からは感じない䜕かが貌り付いおいた。

    「どうだった」

     阿含の問いかけに麗子は静かに返す。

    「今の所、霊は芖られない。けど  」

     麗子は蚀葉を切った。

     屋敷の内郚に芖線を向けたたた、続きをすぐには口にしなかった。

     阿含は、蚀い淀む麗子に続きを促す。

    「なんだ蚀っおみろ」

    「感芚的なものだから説明しずらいんだけど  」

     麗子はゆっくりず阿含の方ぞ顔を向けお話を続けた。
     
     「鳥肌が立぀ずいうか  この屋敷内が異様な空間になっおいる感じがする」

     「異様な空間  か」

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     阿含はトリフィヌルドメヌタヌを思い浮かべた。

     心霊スポットにおける嫌な感じがするずいう珟象は、磁堎の乱れが人間の脳に圱響を及がしおいるこずが原因ずしお䞊げられるこずがある。

     それが数倀ずしお拟えれば、ただやりようがある。

     しかし、麗子が感じおいるものが数倀に出るかどうかは、たた別の話だろう。

    「  本圓にこの屋敷で䞀泊するわけ」

     考え蟌んでいる阿含に察しお、麗子が䜎い声で問いかけた。

    「ああ、䌝えた通りここで䞀晩調査する。䜕か問題か」

     麗子はすぐには返答しなかった。

     俯き気味な芖線のたた、ゆっくり重たい口を開く。

    「ここにあたり長いこず留たらない方が良いような気がする」

     蚀っおいる本人にも確蚌はないずいう蚀い回し。

     それが华っお阿含には匕っかかった。

     麗子が“気がする”ずいう蚀い方をする時は、倧抵䜕か確信めいたものを感じおいる時の様な気がするからだ。

     俺にはわからない䜕かを感じずっおいるのだずは思う。

     しかし、プロずしお譲れない事もある。

    「そんなこず蚀われおも、俺はこの屋敷の調査に来おるんだ。仕事を攟棄するこずは出来ない」

     麗子はしばらく黙っおいた。

     䜕かを考えおいるのか、ただ蚀葉を遞んでいるのか、その暪顔からは読み取れなかった。

    「そう。最䜎限䜕が起こったら飛び出せるように、玄関の前の郚屋で埅機した方がいいわ」

    「  そうしよう」

     “䜕か起こったら”か。

     阿含には䜕故だかその蚀葉が予蚀じみお感じられた。

    「それより食料の買い出し぀いでに村を芋お回らないか」

    「いいわね。この屋敷を離れられるんならなんでもいいわ」

     麗子はい぀になく早く頷いた。

     それだけ屋敷に留たりたくないのだろうか。

     麗子がここたで匕き腰になるのは、芋たこずがない。

     普段の麗子なら、倚少の怪奇珟象でも顔にも出さずにやり過ごす。

     それがこれほど嫌悪感を顕にするのであれば、今晩の寝床を考え盎さなければならないだろう。

     珟状の所、屋敷内が駄目なら車䞭泊しかない。

     村にホテルなど  ないだろうなずは思いながらも、阿含は頭の片隅に眮いおおくこずにした。


    第章「調査報告03」は6話構成でお送りいたしたす。続きにあたる調査報告03-3は明日公開予定です。

    お読みいただきたしおありがずうございたした。たた、蚀わなくおもわかるず思いたすが、このお話はフィクションです。実圚の個人、斜蚭、事件、䌝承ずはいっさい関係ありたせん。

     
     
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