
リハビリはゲーム感覚で!13:兆し《脳梗塞(脳卒中)の“前向き”闘病記 小説風》
第一話はこちらからご覧ください
はじめに
ある朝、突然倒れた和泉大輝(45歳・会社員)。
診断は、脳幹部の梗塞。
体は動かず、声も出ず、世界は一変した。
不安と絶望のなか、支えてくれたのは、
最愛の妻・花菜と3人の娘たちだった。
「家族のために、絶対に立ち上がる」
そう誓った男が始めたのは、“ゲーム感覚”のリハビリ生活だった。
本作は、実際の経験をもとにしています。
※本編には、病気、身体の麻痺、生命への不安などセンシティブな描写が含まれます。
心身に負担を感じる可能性のある方は、無理のない範囲でお読みください。
🧠この話には、別記事で医学的見地からの解説があります。物語とあわせて読むことで、脳梗塞の理解がより深まります。ぜひご確認ください。
それでは、本編をどうぞ。
第二部 声か鼓動か ― 言葉を超えて、届いたぬくもり
第十三話 兆し
2025年3月6日
熱はまだ下がらず、今日のリハビリも中止になった。
38度台の熱が続いているせいか、
体の芯が重く、頭もうまく働かない。
(一生このままなのでは?)
昨夜から、どうしてもネガティブなことばかりが浮かんでくる。
そんな朝、スマホに花菜からLINE。
『3月10日、お義父さんとお義母さんも病院に行くことになったよ。久しぶりに会えるね』
(おとんとおかん・・・)
数年前に大げんかをしてから、
全く連絡を取っていなかった。
何を話したらいいのかもわからず、
再会することを素直に喜べなかった。
それでも、
向き合わなければならない時がきたのかもしれない。
そう、感じていた。
ふと、もう一度LINEを見返す。
(これ、もしかして・・・花菜にも会えるんちゃうやろか?)
何もできないこの数日間に、
小さな光が差し込んだ気がした。
早く返信したかったけれど、
『花菜も来るやんね?』と打つだけで、たくさんの時間がながれた。
すぐに花菜から『もちろん!早く会いたいよ』と返信が届いた。
俺の心は躍った。
間違いなく、会える。
今日の空気が急に変わった気がした。
午後、看護師さんに面会の条件を確認をしてみた。
「前日までに車椅子に座れていれば大丈夫ですよ」
思わず息をのんだ。
(車椅子に・・・座れる、か)
一度、短時間だけ座ったことがあった。
3分も持たなかった。
(今のままじゃ、会うこともできへんってことか)
これは・・・
頭の中に、文字が流れる。
―― 緊急ミッション ――
面会前日の3月9日までに車椅子に20分間座れるようになれ!
(報酬)
成功したら、花菜に会えます。

数日前は、ほんの数分座っているだけでも限界だった。
そう思えば、今の目標はまだ高すぎるのかもしれない。
けれど、ベッドのリクライニングを上げて過ごす自主トレを続ければ、
腹筋や首の力はきっと少しずつ戻る。
そうすれば・・・
9日までに、車椅子に乗れるかもしれない。
ただ、本当にこのメニューだけでいいのだろうか。
そんな不安が、背中にまとわりついて離れない。
まずは熱を下げることだ。
そして、一刻も早く自主トレを再開しないと・・・
本当に間に合わない。
焦る気持ちは大きい。
でも・・・花菜に会えるかもしれない。
そう思うだけで、不思議と力が湧いてくる。
その想いを胸に、明日も前を向く。
3日後、ちゃんと首を上げて、
花菜の前に座ってみせる。
【ステータス:2025年3月6日】
• 首:LV1(左右には動く/上下はまだ)
• 右手:LV2(指のグーパーが可能。肘から先は少し反応あり)
• 左手:LV0(反応なし)
• 右足:LV1(足先がかすかに動く)
• 左足:LV0(反応なし)
【スキル】
• 見る:LV1(片目のみ焦点が合う)
• 聞く:LV10(正常)
• 話す:LV2(五十音の発声が改善し、短い会話が成立)
• メール:LV1(スマホ固定時、短文入力に10分以上)
【その他状態】
• ヨダレ:あり
• 発熱:高熱
その頃の花菜
大輝に抱きしめて貰いたいときどうするの?
甘えたいとき
どうしたらいいの?
ふと、大輝がずっとこのままだったらと思った
涙があふれる理由は
なんだろう……
もしかしたら
別の人に甘えてしまうのかと
裏切るようなこと
今考えて
なんか……
こんなわたし、ごめんと思う
このままずっと大輝の温もりがないのは辛いよ
慣れるのかな
大輝のこれからに希望しかないと思ってるけど
ふと、こんな事が頭をよぎってしまった
生理初日
もうさ
毎日何度も涙がでるよ
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