
リハビリはゲーム感覚で!4:静かな補給、小さな再起《脳梗塞(脳卒中)の“前向き”闘病記 小説風》
第一話はこちらからご覧ください
はじめに
脳幹部の梗塞で倒れ、声も体も奪われた和泉大輝。
霞む視界、動かぬ四肢、迫りくる不安。
病室でただ時間が過ぎていく中、
初めて「死」を覚悟した。
しかし、
再会した妻の想いに触れ、涙が溢れた。
言葉にならない感情が、“未来へ向かう力”として、
大輝の胸にそっと灯り始めた。
🧠この話には、医学的見地からの解説があります。物語とあわせて読むことで、脳梗塞の理解がより深まります。ぜひご確認ください。
本作におけるリハビリの内容や回復の経過は、私自身が歩んだ実体験に基づいています。
この物語は、そんな現実を前向きに乗り越えていく希望の記録でもあります。
※本編には、病気、身体の麻痺、生命への不安などセンシティブな描写が含まれます。
心身に負担を感じる可能性のある方は、無理のない範囲でお読みください。
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それでは、本編をどうぞ。
第一部 夢か現か(うつつか)―交錯する現実と希望
第四話 静かな補給、小さな再起
2025年2月26日 午後
目を覚ますと、天井が違っていた。
昨日までの個室とはまるで別世界だ。
窓から差し込む光も、
どこか他人事のように感じる。
鼻には管が通され、喉の奥には異物感が残っていた。
これは、栄養補給のための鼻チューブらしい。
味はなく、何を摂っているのか、全くわからない。
ただ、“生きるための何か”が、
静かに体へ流れ込んでくる。
目を瞑っていると、
深い海の底に沈んでいくような、そんな感覚だった。
「・・・これ、ずっと続くんか・・・」
そう呟いた声は、
自分の耳にも届かないほど、かすかだった。

そして、もう1つ。
この大部屋では、面会が禁止されているという。
花菜には当分会えない。
理由は、コロナの影響がまだ残っているから。
それだけだった。
胸の奥に、ずしりと寂しさが染みこんでくる。
それでも、俺は希望の兆しを探していた。
右手の指先に目を向けると、かすかにピクリと動いた。
その小さな動きを何度も繰り返すうちに、指がわずかに反応してくる。
″グーとパー″には、まだほど遠いが、
握るような、開くような動きが、ゆっくりと手の中に芽生えはじめていた。
左手は布団の下で点滴に固定されていて見えない。
でも、感覚はある。
右手と同じように、動いている気がした。
たったこれだけのことが、静かに心を照らした。
今、俺は何かに挑んでいる。
その実感が、そこにはあった。

だが、見える右手と、見えない左手。
この差が、後に大きな意味を持つことになる。
ふいに、スマホの通知音が響いた。
【〇〇銀行:+¥10,000,000 入金】
え・・・?
医療保険が下りたらしい。
いつの間に、そんな手続きが?
もう心配しなくていい。
誰かの声が、心の中にそっと届いた気がした。
家族の未来が守れるかもしれない。
病室の天井を見上げながら、自然と口元が緩む。
「これで、リハビリに集中できるな・・・」
その安心感が、気持ちに小さな余裕を与えてくれた。
これからは、目の前の一歩一歩に集中すればいい。
そう、思えた。

だが、リハビリに集中すると決めたその翌朝・・・
俺は、自分の声のみが“命綱”になろうとは、
思ってもいなかった。
その頃の花菜
大輝が不安で怖くて泣いてる時に
わたしは何もできていない
それが
ものすごく泣けてくる
脳梗塞になって2、3日が山場で
1週間が重要とも書いてあって……
電話がないってことは
悪くはなってないんだろうけど
もし夜中に掛かってきたとしたら
もう、それは
危篤だよね……
目をちゃんと開けれるようになって
指先ひとつでも使えるようになったら
電話をかけてくれるのかなと思うけど
今はやっぱり
それもない
大輝が一昨日体調悪いって言ってたとき
もっと真剣に捉えるべきだったとか
日々の色んな管理も
もっとちゃんとしてあげればよかったとか
わたしがやれたことは沢山ある
ごめんね
今後
どれくらいでどこまで回復するのかわからないから
マイナスな記事を見ると不安だよ
でも、その後すぐ
よし!と
気持ちを切り替えるけどさ
声を出して泣きたいのかな
気づいたら目に涙がうかんでる
1日中ずっと
その繰り返ししてるよ
大輝?
精神的に支えたいよ
わたしの気持ちは
届いてる?
こんな1番大切な時に
面会禁止だなんて……
大輝は心の強い人なはずだから
リハビリ頑張ってくれてると信じてる
頭はしっかりしてるって先生は言ってたけど
今も大丈夫だよね?
頭がしっかりしてる分
大輝自身はものすごく辛いね……
あいたいよ
今夜はちゃんと眠れるといいな
続きはこちらからどうぞ
作者コメント
💬 ここまでお読みくださり、ありがとうございました。
このあとの展開では、
“声”が命綱になった入院生活の、リアルな日々が待っています。
“声”すら自由にならない中で、大輝はどうやって希望を見出していくのか。
でもその前に、ちょっと一息。
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