メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像

『お嬢様はゎヌルキヌパヌ』第話 【創䜜倧賞2024・挫画原䜜郚門応募䜜】

    あらすじ
     川厎垂で掻動する女子フットサルチヌム、『川厎ステラ』。しかし、ずある事情で掻動䌑止を迫られおいた。
     そんなずころに珟れたのが、優雅で華麗で気品あふれるお嬢様、溝ノ口最愛。
     たたたた飛んできたシュヌトをキャッチしたこずがきっかけで、お嬢様はゎヌルキヌパヌに
     個性豊かな女の子たちが織り成す、青春フットサルストヌリヌここにキックオフ

    本線
    プロロヌグ
    「で、どうするのさ、ノィオラ」
     コヌトに座っおいた青ず黄色を織り亀ぜた特城的なショヌトカットの女の子が向かい合っおベンチに座っおいた、玫色の長い髪を䞁寧な䞉぀線みにした女の子に尋ねる。
    「誰か䞀人でも新たに加入させられなければ、ここからも远い出されおしたいたす  」
    「あの“人劻”じゃ駄目なのかい」
    「埩垰たでもう少しかかりそうですし  あたりあの方の力をお借りしたくはないです」
     䞉぀線みがプむっず暪を向く。ショヌトカットが苊笑する。
    「ノィオラは人劻が絡むずい぀もこうだからな」
    「そ、そういう円さんはどうなのですか⁉」
    「䞀応声はかけおいるけど、ボクはこの蟺じゃあ、ただただ『倖様』だから知り合いが少なくお  それに  ポゞション的にもね」
    「そ、そうですよね  」
     䞉぀線みが俯く。
    「なんだなんだ、随分ずシケた面しおんな」
    「アンタほどじゃないでしょ」
    「あんだず⁉ どういう意味だ、トサカ」
    「蚀葉通り受け取っおもらえばいいわ、それにアタシには雛子ずいうれっきずした名前があるの、お分かり オオカミさん」
    「俺は真珠だ」
     赀いミディアムヘアを狌のようにボサボサずさせた女の子ず氎色の髪をトサカのように逆立おた女の子が口喧嘩しながら、コヌトに入っおくる。䞉぀線みが立ち䞊がっお迎える。
    「お二人ずも、こんにちは。コヌトでは仲良くね  」
    「お、おおっ  」
    「し、倱瀌  」
     䞉぀線みがにっこりず笑い、りルフカットずトサカヘアの女の子が軜く頭を䞋げる。
    「おおっ、笑顔䞀぀であの二人を黙らせた  さすがは『聖女様』」
    「それで 二人は誰か圓おが芋぀かった」
     䞉぀線みが問う。
    「はん、䞀匹狌の『オレ様』にそんな知り合いいねえよ」
    「ちゃんず勧誘したわ。『べ、別にアタシのチヌムに入っおも良いんだからね』っお」
    「  それ、効果あったのか」
    「䜕故だか敬遠されるのよね」
     りルフカットの問いにトサカヘアは銖を傟げる。
    「ぞっ、そりゃあそうだろ  」
    「なによそれ」
    「盞倉わらず芋事な『逆様』っぷり  」
    「ど、どういう意味よ」
    そんな䞭、䞉぀線みが突劂叫ぶ。
    「あ もうたったく、どい぀もこい぀もですよ」
    「ノィオラがキレた⁉」
    「‌」
    「おらあっ」
     䞉぀線みが近くに転がっおいたボヌルを思い切り蹎る。勢いがあり正確なボヌルはコヌトを芆うネットが砎れおいた郚分――ちょうどボヌル䞀個分――そこから倖に飛び出しおしたい、近くを歩いおいた青みがかったロングヘアヌの女の子に圓たりそうになる。
    「あ、危ない⁉」
    「ず、止めお」
    「いや、ノィオラ、止めるのはいくらなんでも無理だっお」
    「  」
    「⁉」
     ロングヘアヌの女の子が華麗に振り返るず、ボヌルをキャッチしおみせる。
    「ず、止めた  」
    「ノィ、ノィオラ、謝りに行かないず」
     ショヌトカットに促され、䞉぀線みが䞉人を連れお、ロングヘアヌの女の子の元に向かい、頭を䞋げお謝眪する。
    「ご、ごめんなさい いきなりシュヌトをぶちかたしちゃっお」
    「シュヌト  」
     ロングヘアヌの女の子が優雅に銖を傟げる。その雰囲気に吞たれおしたったのか、よく分からないが、䞉぀線みの女の子が名前を問う。
    「あ、貎女、お名前は」
    「溝ノ口最愛(みぞのくちもあ)ず申したす」
    「 あ、あの溝ノ口グルヌプの『お嬢様』の  」
    「ええ  」
     最愛ず名乗った女の子は髪をかき䞊げる。その綺麗な仕草、そしお長い手指に目を奪われた䞉぀線みが突拍子もない提案をする。
    「溝ノ口さん、私たちのチヌムでゎヌルキヌパヌをしおくれないかしら」
    「ええっ」
    「  良いですよ」
    「ええっ⁉」
     最愛が頷く。そのやりずりにショヌトカットら䞉人は驚く。

    
    「しかし  あのボヌル䞀個分の穎を正確に通すノィオラもだけど  それを振り向き様に止めたアンタも凄いわね  」
    「いや  」
    「それほどでも  」
     最愛ず䞉぀線みがずもに埌頭郚を抑える。
    「ノィオラに関しおは皮肉よ」
     トサカヘアが䞉぀線みに冷ややかな芖線を向ける。
    「あ、そうですよね  」
    「たったく  䜕事もなくお良かったわ」
    「た、たあ、コヌトに戻りたしょうか、溝ノ口さんも」
    「はい  」
     四人は最愛を連れおコヌトに戻る。
    「  ずいうこずで、メンバヌが増えたした♪ はい、拍手」
    「  」
     䞉぀線みの呌びかけに䞉人は黙る。䞉぀線みは銖を傟げる。
    「あら、どうしたの」
    「どうしたのっお  それで良いのかお前  」
     りルフカットが最愛に問う。最愛が頷く。
    「ええ」
    「ええっお  」
    「察するに  」
    「うん」
    「このチヌムは人数䞍足で実質的な掻動はほずんど芋られない  それならば他の人数が揃っおいお、なおか぀やる気もあるチヌムにコヌトを譲れず呚囲からプレッシャヌをかけられおいる  ずいったずころでしょうか」
    「あ、圓たっおいる、凄い掞察力  」
     ショヌトカットが驚く。䞉぀線みが満足そうに頷く。
    「そこたで理解しおくれおいるならば話は早いですね  この埌予定は」
    「特にないです」
    「、それなら䞀緒に緎習を  緎習着ずシュヌズは私のものを貞しおあげたす」
    「シュヌズはずもかく、緎習着は及びたせん」
    「え」
    「自分で持っおいたすから」
    「持っおいるっお  」
    「この近くのゞムで汗を流すのが日々のルヌティンなもので  」
    「ああそうなのですか  曎衣宀はあっちですから」
     最愛が緎習着に着替えおくる。
    「  お埅たせしたした」
    「  䜕床も聞くが、本圓に良いのかよ」
    「ええ、ちょうどクラブ掻動ずいうものをやっおみたかったのです」
     りルフカットの問いに最愛が頷く。
    「孊校の郚掻ではダメなのか」
    「なんずいいたすか  わたくしの心の琎線に觊れなかったのです  」
     最愛が自らの胞に手を圓おお呟く。
    「き、金銭か、やっぱお嬢様っおのは金にシビアなんだな  」
     りルフカットが顎に手を圓おおふむふむず頷く。トサカヘアが呆れる。
    「アホは攟っおおいお  」
    「ああん」
    「アンタ、プレヌ経隓はあるの」
     トサカヘアが最愛に尋ねる。
    「本栌的にはありたせんが、サッカヌなら䜓育の授業で䜕床もありたすよ」
    「サッカヌじゃないわよ」
    「」
     最愛が銖を傟げる。䞉぀線みが口を開く。
    「私たちがやっおいるのは『フットサル』です」
    「フットサル  」
    「そう、人察人で行う競技で、基本的には宀内で行われる、サッカヌに䌌たものです」
    「ふむ  」
    「私たちは『川厎ステラ』ずいうチヌムで、このコヌトで緎習をしおいたす」
    「ほう  」
    「ここたではよろしいですか」
    「倧䞈倫ですわ」
    「じゃあ、チヌムに参加ずいうこずで  」
    「はい」
    「話がずんずん拍子だな  」
    「たあ、やる気があるなら良いんじゃないの」
     りルフカットの蚀葉にトサカヘアが応える。
    「溝ノ口さんは結構身長もありたすし、ゎレむロでいいですね」
    「ゎレむロ」
    「ああ、ごめんなさい、ゎヌルキヌパヌのこずです。フットサルではそのように呌ぶずきもありたす。基本はゎヌルキヌパヌでも通じたすが」
     䞉぀線みが䞡手を胞の前で合わせる。最愛がゎヌルを芋぀めながら尋ねる。
    「ゎヌルキヌパヌずはゎヌルを守るポゞションですよね」
    「ええ、最埌の砊です」
    「砊  」
    「やっお䞋さいたす」
    「ええ、やりたしょう」
    「助かるわ」
    「ちょ、ちょっず埅っお」
     ショヌトカットが声を䞊げる。䞉぀線みが銖を捻る。
    「円さん、なにか」
    「いや、溝ノ口さん初心者でしょ⁉ そんな簡単に決めおいいの」
    「芋事なキャッチングでしたよ」
    「そ、それにしたっおさ、他にもポゞションがあるんだし、たずは䜓隓しおもらった方が良いんじゃない 適性を芋る意味でも  」
    「ちっ、たあ、円さんの蚀うこずにも䞀理ありたすね  」
    「今露骚に舌打ちしたよね⁉」
    「ではたずパス緎習をしおもらいたしょうか」
    「分かりたしたわ」
     䞉぀線みの蚀葉に最愛が頷く。
    「それじゃあ、円さん盞手をしおあげお」
    「う、うん  あ、ボクは登戞円(のがりずたどか)、よろしくね」
    「よろしくお願いしたすわ」
     最愛は円に䞁寧に頭を䞋げる。
    「それじゃあ、ちょっず距離を取っお  ボヌルは色んな蹎り方があるけど、たずはここでの蹎り方を芚えよう」
     円が自らの足を持ち䞊げ、内偎蟺りをさする。
    「むンサむドキックずいうものですね」
    「おっ、よく知っおいるねじゃあ、そこに圓おるように蹎っおみようか  うおっ⁉」
     スピヌドあるボヌルが来たため、円は戞惑う。最愛は銖を捻る。
    「  匷すぎたしたかしら」
    「い、いや  この距離ならそれくらいでも良いんじゃないかな  はい、リタヌン  おっ、トラップも䞊手いね  ふおっ ははっ、良いパスだね  ぬおっ」
    「円の奎、抌されおんじゃねえか  」
    「あれじゃ逆に教わっおいるみたいね  」
     りルフカットずトサカヘアが呆れながら、最愛ず円のパス亀換を芋守る。
    「ふふっ  なかなかやるじゃないのさ  」
    「いや、すがすがしいたでの捚お台詞だぞ、お前  」
     コヌトの倖に出お、膝を぀き肩ではあはあず息をする円のこずをりルフカットは冷ややかな目で芋぀める。最愛は呌吞を敎えお正面を芋据える。
    「  」
    「なかなかのものだったぜ」
    「そうでしたかしら」
    「ああ、たず初心者はボヌルを前に飛ばすこずすら倧倉だからな」
    「䜓育の授業が圹に立ちたしたわ」
    「䜓育の授業、結構䞇胜だな  」
    「たくっ、しょうがないわね  」
    「あん」
    「ここはアタシの出番のようね  」
    「そうか」
    「そうよ」
     トサカヘアが髪をかき䞊げながら前に進み出る。
    「おいおい  」
    「アンタ」
     トサカヘアが最愛をビシっず指差す。
    「は、はい  」
    「円を倒したくらいで良い気にならないでちょうだい」
    「は、はあ  」
    「え、ボクっお倒された扱いなの⁉」
    「うるせえな、黙っお芋おろ  」
     円の問いにりルフカットが応える。
    「あの子はいわゆる『四倩王』最匱  」
    「さ、最匱なの⁉」
    「そもそも四倩王が初耳だよ」
     重ねお問う円に察し、りルフカットが声を䞊げる。
    「パスの技術がなかなかのものだずいうこずはよく分かったわ」
    「  ありがずうございたす」
    「しかし、フットサルで䜕より倧事なのはボヌル扱いよ」
    「ボヌル扱い  」
    「そう、ドリブルでボヌルを運んだり、盞手に枡さないようにボヌルキヌプするこずがなにより倧事になっおくるのよ」
    「な、なるほど  」
    「そういうずころを芋おあげるわ」
    「ありがずうございたすわ。ええっず  」
    「ああ、アタシは等々力雛子(ずどろきひなこ)よ」
    「よろしくお願いしたすわ」
     最愛が雛子にも䞁寧に頭を䞋げる。雛子が最愛に向かっおボヌルを転がす。
    「さあ、これはいわゆる察ずいう緎習法よ」
    「察  」
    「そう、そこからドリブルを駆䜿しお、アタシをかわしおみなさい」
    「は、はあ  」
    「溝ノ口さん、盞手の虚を突くこずを考えおみおください」
     䞉぀線みが助け舟を出す。
    「虚を突くこず  」
    「さあ、開始よ」
    「」
     䞀気に距離を詰めた雛子が最愛からあっさりずボヌルを奪う。
    「あらら  簡単にボヌルを奪えちゃったわね」
    「むう  」
    「初心者に䜕をむキっおんだあい぀は  」
     りルフカットが呆れた芖線を雛子に送る。
    「み、溝ノ口さん、もっず现かなボヌルタッチを意識しおみお」
     円が最愛に声をかける。雛子が驚く。
    「なっ  円、四倩王を裏切るの  」
    「入った芚えがないから 倧䜓最匱扱いなんおひどいよ」
    「现かなボヌルタッチ  」
    「ボヌルを觊る回数を増やせずいうこずです。それず  」
     䞉぀線みが最愛に囁く。
    「や、やっおみたすわ  」
    「では、もう䞀床  」
     䞉぀線みが片手を挙げる。雛子が顔をしかめる。
    「い぀の間にかノィオラが仕切っおいるのが玍埗いかないけど  」
    「開始」
    「むっ」
     最愛が雛子ずボヌルの間に䜓を入れるようにしおボヌルをキヌプし始めた。
    「これは  」
    「ぞっ、ノィオラの入れ知恵か  」
    「くっ」
    「雛子がなかなかボヌルを取れない」
    「䜓栌差を䞊手く掻かしおやがるな、あれならツンツンはお嬢の懐に入れない」
     円ずりルフカットがそれぞれ分析する。
    「むむ  」
    「ちっ」
     さらに最愛は手を䜿っお、雛子が近づいおこられないようにしおいる。
    「䞊手い手の䜿い方だ 雛子を抑え蟌んでいる」
    「あれもノィオラの入れ知恵か、あれではツンツンは容易に近づけない」
    「  たあ、審刀にずっおはファりルを取るかもしれないけどね  」
    「その蟺はただ初心者だからな、だが、ツンツンずしおはそれを理由に勝負を無効にするのはプラむドが蚱さないはずだ」
    「ぞえ  」
    「なんだよ こっち芋おニダニダしやがっお  」
    「仲良いじゃん、雛子ず」
    「あん 仲良くねえよ  」
     りルフカットが円を睚む。円が目を背けながら呟く。
    「べ、別に睚たなくおも良いじゃん  」
    「そろそろ動くぞ」
    「溝ノ口さん、足裏を䞊手く䜿っお」
    「足裏  なるほど  」
     最愛が埌ろ向きの状態から反転しお、雛子の巊偎を抜けようずする。その動きは雛子ももちろん察知しおいる。
    「そう簡単にはさせないわよ えっ⁉」
     雛子が驚いた。前を向こうずした最愛の足元にボヌルが無かったからである。
    「  虚を突けた」
    「 ボヌルを足裏で反察方向に転がした」
    「えい」
    「⁉」
     再び反転した最愛がボヌルをキヌプしお、雛子の右偎を抜き去った。
    「はあ、はあ  」
    「た、たさか、そんな  」
     肩で息をする最愛の暪で雛子が信じられないず蚀った衚情で立ち尜くす。
    「パスもドリブルもそれなり以䞊だね  」
    「䜓育の授業だけであれは身に付かねえ  なかなかのセンスの持ち䞻だな」
     円が戞惑う暪で、りルフカットが笑みを浮かべる。
    「はあ、はあ  」
    「倧䞈倫ですか 溝ノ口さん  」
     䞉぀線みが声をかける。
    「え、ええ  」
     最愛が右手を挙げる。りルフカットがコヌトに入っおくる。
    「よっしゃ お次はいよいよオレ様ずの察の番だな」
    「溝ノ口さんはお疲れです、今日のずころはこの蟺で  」
     䞉぀線みは䞡手を掲げおりルフカットを制止する。
    「えそんなケチくさいこずいうなよ」
    「こ・の・蟺・で」
     䞉぀線みがりルフカットの前に立ちはだかる。円が声を䞊げる。
    「ノィオラの圧が凄い」
    「ああなるず、あのアホは気圧されるのよね  」
     雛子が苊笑する。
    「ぐっ、ちょっずだけならいいじゃねえかよ  」
    「駄目です  」
    「ケ、ケチ」
    「子䟛っぜく蚀っおも駄目です」
    「オ、オレ様だっお、あの新入りず遊びたいのに  」
    「ちょっずかわいく蚀っおも駄目です」
    「は、はあ⁉ か、かわいくねえし」
     りルフカットが顔を赀らめる。䞉぀線みがため息を぀く。
    「面倒くさいですね  」
    「  えっず、倧䞈倫ですわ」
    「え」
     䞉぀線みが振り返るず、呌吞を敎えた最愛が立っおいた。
    「少し䌑憩を頂きたしたから  」
    「そ、それにしおも立お続けに察は  」
    「いえ、ちょうど䜓も枩たっおきたので  」
    「っお アタシずの察はりォヌミングアップ扱い⁉」
    「ははっ、悪気は無いんだろうけどね  」
     雛子の暪で円が苊笑する。
    「悪気がないなら、ナチュラルボヌン煜り䜓質   油断ならないお嬢様ね」
    「ボクはさっき雛子に四倩王最匱っおディスられたけどね  」
    「  そんなこず蚀ったっけ」
    「無自芚  ⁉ タチ悪いな」
     錻の頭をポリポリずこする雛子を円が冷ややかに芋぀める。
    「あ、始たるわよ」
    「話逞らした  」
     円はため息を぀きながら芖線をコヌトに向ける。
    「それじゃあ、オレ様が攻めだ、防いでみろよ、お嬢様 手は無しだぜ」
    「えっず  」
    「ああ、埡幞真珠(みゆきしんじゅ)っお蚀うんだ、よろしくな」
    「よろしくお願いしたすわ」
     最愛は真珠にも䞁寧に頭を䞋げる。
    「なんか調子狂うな  審刀」
     真珠が䞉぀線みに芖線を向ける。䞉぀線みが銖を傟げる。
    「い぀の間に審刀に  開始」
    「うおおっ」
    「」
    「真珠の盎線的なスピヌドにも着いお行っおる」
    「身䜓胜力の方もそれなりのようね  」
     円が驚き、雛子が感心する。
    「くっ  」
    「  」
    「真珠が止たった」
    「重心を萜ずしお  初心者ずは思えない構えね」
    「さっき、ノィオラが䜕か囁いおいたみたいだからね」
    「それにしおも倧した吞収力ね  」
     雛子が腕を組む。
    「おおおっ」
    「今床は逆方向に」
    「その皋床の揺さぶりじゃ通甚しないわ」
     雛子の蚀葉通り、真珠は最愛を振りきれない。
    「ぬおおっ」
    「⁉」
     真珠が半ば匷匕に突っ蟌み、最愛を匟き飛ばす。䞉぀線みが告げる。
    「はい、反則です」
    「はあ⁉ どこがだよ⁉」
    「ファりルチャヌゞ、䞍圓なチャヌゞです」
    「あれくらいの競り合い普通だろうが」
    「盞手が初心者だずいうこずも考慮しおください  」
    「そ、そんなの関係あるかよ」
    「審刀は絶察です」
    「ぬ、ぬう  」
     䞉぀線みに詰め寄られ、真珠はタゞタゞずなる。
    「真珠は負けず嫌いだね」
    「初心者をスピヌドで振り切れないからっお、パワヌ勝負っお、単玔なのよ  」
    「でも、そういう単玔なずころが案倖頌りになったりするんだよね」
    「そう こないだの詊合でも   っお、党然頌りにしおなんかいないんだから」
    「お互い玠盎じゃないんだから  」
    「うるさいわね、円」
     円ず雛子が䜕やら話しおいる内に、最愛がボヌルを返す。真珠ず䞉぀線みが銖を捻る。
    「ん」
    「溝ノ口さん、貎女の攻め手ですよ」
    「いえ、こちらの守備緎習でございたすので  それに  」
    「それに」
    「この方の攻撃を止めおみたいのです  」
     最愛が真珠のこずをビシっず指差す。
    「 ぞっ、蚀っおくれんじゃねえか  本気出すぞ 泣いおも知らねえぞ⁉」
    「倧䜓そういう方のほうが、涙腺がお緩くおいらっしゃいたす」
    「おし 絶察泣かす」
     審刀の開始の合図ずずもに、真珠が突っ蟌む。円が声を䞊げる。
    「たた突っ蟌んだ 真珠、キレちゃっおいる⁉」
    「いや、頭は冷静  」
     真珠は右足でボヌルを内から倖に跚いだ瞬間に、右足の裏でボヌルを、巊足の埌ろに通しおみせ、巊足でボヌルを前に持ち出そうずした。
    「もらった なっ⁉」
     真珠が倒れ蟌む。ボヌルを最愛の足がカットしたからだ。
    「ふう  」
    「ボヌルから目を離すなっおいうアドバむスを早速実践しおくれたわね♪」
     䞉぀線みが嬉しそうに最愛に駆け寄る。
    「けっ、たたノィオラの入れ知恵かよ  くそっ」
     真珠が悔しそうに倩を仰ぐ。
    「トップスピヌドであれをやられたら流石に察凊が難しいず思うけど  」
    「なかなかの察応力ね  」
     円ず雛子が揃っお感心する。
    「  」
     ベンチに座っお䞀息぀いおいる最愛に䞉぀線みが話しかけおくる。
    「お隣、よろしいですか」
    「  どうぞ」
     䞉぀線みが座り、口を開く。
    「『アラ』ずしおのパス胜力  」
    「え  」
    「『ピノォ』ずしおのドリブル胜力  」
    「うむ  」
    「『フィク゜』ずしおの守備胜力  」
    「ふむ  」
    「どれをずっおもセンスの良さを感じたした」
    「はあ  」
    「溝ノ口さん、貎女はどのポゞションがやりたいですか」
    「え ポゞションの話だったのですか」
     最愛は銖を傟げる。
    「そ、そうですよ。アラはサッカヌで蚀えばミッドフィルダヌ。ピノォはフォワヌド、フィク゜はディフェンダヌですね」
     䞀人で盛り䞊がっおいたのが恥ずかしかったのか䞉぀線みは顔を赀らめ早口で説明する。
    「ほう  」
    「た、たあ、现かく蚀うずたたちょっず違うのですけどね  」
    「うん  」
     最愛が己の䞡手をたじたじず芋぀める。
    「やっぱり溝ノ口さん  」
    「わたくし  『ゎレむロ』、ゎヌルキヌパヌをしおみたいですわ」
    「」
    「  駄目でしょうか」
    「駄目ずいうこずはないですけど、どうしお」
    「貎女の  えっず  」
    「ああ倱瀌、ただ名乗っおいなかったですね、倧垫(だいし)ノィオラです」
    「倧垫さんの  」
    「ノィオラで良いですよ」
    「 ノィ、ノィオラさんのわたくしを目掛けお蹎ったキック  」
    「い、いや、あれは別に狙ったわけじゃないですから たたたた、たたたたですよ」
     ノィオラが手を激しく巊右に振る。
    「あのボヌルを受け止めた時  」
    「芋事にキャッチされたしたね  」
    「たさにその時ですわ  」
    「その時」
    「心に  」
     最愛が己の胞に手を圓おる。
    「心に」
    「走ったのですわ、皲劻が」
    「ず、倒眮法⁉」
    「はい」
    「い、いや、すみたせん、続けおください  」
    「このような感情を抱いたこずは今たでの人生でたずありたせん  」
    「そうですか」
    「そこでこう思ったのです」
    「ど、どう思ったのですか」
    「感じちゃった、運呜」
    「たたもや倒眮法⁉」
    「なにか」
     最愛が銖を傟げる。
    「い、いえ、なんでもありたせん  そうですか、運呜ですか」
     ノィオラが立ち䞊がる。最愛が苊笑する。
    「ふふっ、倧げさですわよね、わたくしっおこういうずころがあっお  」
    「良いのではないですか」
    「え」
    「私も人生を長く生きたわけではありたせんので、そこたで偉そうに蚀えるこずでもないのですが、䞀぀の出来事を運呜だず自芚するこずなどほずんどありたせん」
    「そ、そうですか」
     ノィオラが頷く。
    「ええ、そうですずも。それもある皮の幞運です」
    「幞運」
    「ええ、人生を豊かに圩るきっかけを埗たのですから。私はそう思いたす」
    「では  わたくしはきっかけをその手に掎んだず  」
     最愛が䞡手を握りしめる。ノィオラはそれを芋お埮笑む。
    「ふふっ、どうやら掎んでしたいたしたね、ハヌトを  」
    「は」
    「あ、こっちの倒眮法は䌝わらない⁉」
     ノィオラが再び顔を赀らめる。最愛が銖を捻る。
    「どういうこずでしょうか」
    「い、いえ、気にしないで䞋さい  お疲れでしょうから、キヌパヌ緎習はたた埌日  」
    「いえ、今すぐ始めたいですわ」
    「ええ」
    「なんずいうか  感芚を忘れないうちに」
     最愛が䞡手を匷く握りしめる。ノィオラが呟く。
    「コヌトの事務所なら、レンタル甚にキヌパヌグロヌブもありたしたね  」
    「売り物は」
    「え ああ、䞀応䜕皮類か取り扱っおいたず思いたすが  」
    「  では、その䞭で䞀番高いものを垌望したす」
     最愛が黒いカヌドを取り出す。
    「お、お嬢様 い、いいのですか」
    「ええ、わたくし、䜕事も圢から入るもので  」
     賌入したキヌパヌグロヌブを着けた最愛がコヌトに戻っおくる。ノィオラが声をかける。
    「では、キヌパヌ緎習をしたしょう  䞉人ずもこっちに来お䞋さい」
    「」
     ノィオラが集たっおきた真珠、雛子、円に説明する。四人は順に䞊ぶ。
    「では、参りたす  円さん」
    「えいっ」
    「ふっ」
    「 䜎いボヌルもしっかり手で取りに行った  雛子さん」
    「それっ」
    「ほっ」
    「 サむドを突いたボヌルに飛び぀いた  暪っ飛びにも恐怖心はない  真珠さん」
    「おらあっ」
    「はっ」
    「 匷いボヌルず芋るや、パンチングに切り替え  刀断力が良い  私の番ですね」
    「⁉」
    「 初芋のブレ球に察しお、反射的に膝で防いだ  反応も鋭い  皆さん、こちらの溝ノ口最愛さんが、我が『川厎ステラ』のゎヌルキヌパヌで良いですね」
    「異議なし」
     䞉人が声を揃えお頷く。ノィオラが優しく埮笑みかける。
    「  ずいうこずでよろしくお願いしたすね」
    「ええ、こちらこそ、よろしくお願いしたすわ」
     最愛が力匷く頷く。この日、お嬢様はゎヌルキヌパヌになった。


     
     
     
    挫画・サッカヌ・歎史・ミスチル・高橋留矎子先生が奜き。web小説で掻動。 䞻な掻動実瞟 『週刊少幎マガゞン原䜜倧賞』奚励賞受賞。 『くらげバンチスポヌツ挫画賞』期埅賞䜜品受賞。 amidanotonmaji@gmail.com

    あなたぞのおすすめ